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Autodesk、AU 2025でAI戦略と開発中のAIツールを発表!

ニュース

オートデスクは、2025年9月16日から開催されたの年次カンファレンス「AU 2025」において、同社のAI戦略についての発表を行いました。

以下では、その発表の内容を紹介したいと思います。

高まるプレッシャーと変化の必要性

人工知能(AI)が数ヶ月単位で飛躍的な進歩を遂げ、あらゆる産業を再構築する時代が到来しています。オートデスクは、AIはもはや静的なツールではなく、自ら学習・進化し、人間の創造性を拡張する動的なパートナーと定義しており、この大きな変化をリードすべく、信頼性と透明性を最優先にAI開発を進めています。

オートデスクの調査レポート「2025 State of Design & Make Report」では、AIに対する業界リーダーたちの二つの見方が示されています。半数以上(55%)が業界の不安定化を懸念する一方で、大多数の70%は、AIが創造性を高め、働き方を改善する未来に不可欠なツールになると期待しています。このことは、AIという大きな変化に対し、不安と期待が入り混じっている現状を表しています。

メディア&エンターテインメント業界は、制作コストの上昇、納期の短縮、そして視聴者からの期待の高まりという、常に厳しいプレッシャーにさらされています。AIがこれらのプレッシャーを完全に解消するわけではありませんが、課題へのアプローチを根本的に変える可能性を秘めており、創造の可能性を大きく広げることが期待されています。

クリエイターの想像力を解放するAIツール

オートデスクが掲げるメディア&エンターテインメント業界向けのAI戦略は、個人クリエイターから大手スタジオまで、あらゆる規模の制作者に向けた実用的なソリューションを提供することです。

同社は「AU 2025」において、アーティストを制作の中心に据え続けるための3つの重要な方針を発表しました。これらは、現在のワークフローを効率化すると同時に、未来の制作環境への移行を支援するものです。

  1. 創造性を阻害する反復作業の自動化
    • 開発中の Autodesk AI Assistant のプレビューでは、自然言語を使用して、時間帯に合わせてシーンの照明を調整するなど、従来は手動で行っていたタスクを自動化する方法が紹介されました。これにより、クリエイターはポストプロダクション中に反復作業を高速化し、シーンを直感的に指示できるようになります。
    • 開発中のAI搭載の新ツール FaceAnimator は、プロジェクトの過去のアニメーションシーケンスを用いて、音声ファイルから、プロジェクト独自のスタイルに合わせた高品質な表情や口の動き(リップシンク)のアニメーションを自動生成します。あらゆる制作リグを学習し、プロジェクトのスタイルを模倣した高品質なアニメーションを作成できます。
    • MotionMaker は、手作業のキーフレーム、モーションキャプチャ、機械学習を組み合わせ、アニメーション制作の土台となる自然な動きを素早く生成します。Griffin Animation Studiosのような早期導入企業では、既にMotionMakerのメリットを実感しており、90秒の短編アニメーションを従来の3分の1の時間で制作しているとのことです。
  1. プロ品質の制作環境を、すべての人へ
    • 無料プランも提供される Autodesk Flow Studio は、AIを用いてモーションキャプチャやカメラトラッキングといった複雑なVFX作業を自動化し、より多くのクリエイターがアイデアを形にできるよう支援します。Boxel StudioなどのVFXスタジオは、CWの『Superman&Lois』などの番組で、既にFlow Studioを活用してキャラクターデザインの質を高めているとのことです。
How Boxel Studio Used Flow Studio’s AI Motion Capture in Superman & Lois
  1. 制作工程全体のシームレスな連携
    • 新しいレビューシステム Shared Playlists は、Autodesk Flow CaptureAutodesk Flow Production Tracking を連携させ、関係者がどこにいても迅速に映像の確認やフィードバックを行える環境を提供します。
    • Flow CaptureAvid Media Composer の統合により、撮影から編集までのワークフローがさらに効率化されます。
Streamline Film & TV Editing with Autodesk Flow Capture and Avid Media Composer

エージェントAI – Autodesk Assistant

「AU 2024」で初めて紹介されたAutodesk Assistantは、当初、FusionおよびConstruction Cloudのユーザー向けに、作業の迅速化や連携強化を支援するツールでした。

その後、メディア&エンターテインメント分野を含む、より広範な「デザインとものづくり」のための能動的なAIパートナーへと進化を遂げています。

  • 定型的な反復作業を自動化し、クリエイティブな業務に集中できる時間を創出します。
  • 制作状況(コンテキスト)と予測分析を組み合わせ、リアルタイムでの意思決定を最適化します。
  • 対話形式で、各製品の機能や業界の知識に基づいた的確なアドバイスを提供します。

これらの進化により、Autodesk Assistantは単なるアシスタント機能を超えた存在になりつつあります。信頼性の高い企業向けデータ連携基盤「MCPサーバー」と高性能なAPIによって、オートデスク製品全体のインテリジェントな入り口としての役割を担い始めています。

Autodesk Assistant

エコシステムを支えるMCPサーバー

業界標準となりつつあるデータ連携プロトコル「MCP」の採用が各業界で加速する中、オートデスクはAutodesk Assistantの中核に、セキュアで企業利用に対応したMCPサーバーを据えています。

2025年秋後半には、建築や製造業分野向けの「Revit」「Model Data Explorer」「Fusion Data」という3つの独立した公開MCPサーバーが、プライベートベータ版として提供開始予定です。

将来的には、外部の開発者がオートデスクのMCPサーバーを利用したり、独自のサーバーを公開したりできるマーケットプレイスの構築も構想されているとのことです。

使用量ベースのAPI料金モデルの導入

APIは、ソフトウェア間の連携による自動化を支え、Autodesk Assistantが高度なワークフローを実現するための鍵となります。オートデスクは、APIがもたらす価値に見合った価格体系として、2025年末に新たな使用量ベースの料金モデルを導入することを発表しました。

製品サブスクリプションのユーザーは、これまで通り、一定の無料利用枠内で主要なAPIを利用できます。追加料金が発生するのは、日常的な設計や制作の範囲を超える大規模な自動化処理を行う場合に限定されます。

この変更は、顧客の多様な自動化ニーズに対応し、将来のAI主導型ワークフローの基盤を強化することを目的としています。まずは一部のAPIから適用を開始し、段階的に対象を拡大していく計画です。

今後の展望

オートデスクは、Autodesk Assistantの能動的なインターフェース、企業向けのMCPサーバー、そして近代化されたAPIモデル、そしてこれらAIを駆使したソリューションは、まだ始まりに過ぎず、ユーザーやパートナーと共に新たな可能性を追求し、未来の働き方を切り拓いていくことを目指しているとしています。


The 3 biggest Autodesk AI takeaways from AU 2025 – and how they will enhance creativity and impact

Rewriting the rules of creation: Autodesk’s AI mission for the future of Media & Entertainment

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