6月5日(現地時間)、KIRI Engineが提供するBlender向けアドオン「3DGS Render」の最新バージョンであるv5.0.0がリリースされました。
主要な新機能
今回のアップデートは、長らく報告されていたバグの修正と、ユーザーからの要望に応えることに重点が置かれています。それに加え、いくつかの実験的な新機能や、操作性を向上させる多数の細かな調整が行われました。
動作環境に関する注意点: このバージョンから動作要件がBlender 5.1以上となりました。以前のバージョンのBlenderでは動作しないため、アップデートの際はご注意ください。
リギングとプロキシアニメーションのベイク(実験的機能)

プロキシメッシュ上の変形を3DGS(ガウシアンスプラッティング)オブジェクトに転送する機能が追加されました。これにより、標準的なアーマチュアやラティスなどの変形機能を使用して、3DGSオブジェクトを実質的にアニメーション化することが可能になります。
変形はレンダリング時、または.PLYシーケンスとしてエクスポートする際にフレームごとに更新することが可能です。プロキシメッシュの品質が、最終的な変形の品質に大きく影響します。
この機能はまだ実験段階であり、フルシーンのキャプチャよりも小規模なスキャンデータでの使用が推奨されています。Mixamoやモーションキャプチャのデータをガウシアンスプラットに適用するといった用途も想定されています。
ライトベイク(実験的機能)

プロキシメッシュからワールドやライトオブジェクトのライティング情報を読み取り、それを3DGSオブジェクトに投影する機能が実装されました。これにより、ライティングがベイクされたかのような視覚効果を得ることができます。
現時点ではSH(球面調和関数)属性の変更はサポートされておらず、Blender内のライトと完全に一致するわけではないため、ユーザー自身で好みのライティングに調整する必要があります。また、計算処理が非常に重いため、フレームごとの更新機能は無効化されています。
4DGS / .PLYシーケンスのエクスポート
編集モードにおいて、メッシュベースの3DGSオブジェクトに加えたジオメトリの変更を、.PLYシーケンスとしてエクスポートできるようになりました。
これにより、Blenderのジオメトリノードでスプラットを操作し、SuperSplatなどの外部ビューワー向けに書き出す連携が可能になります。

トランスフォーム適用時のSH属性の保持
3DGSオブジェクトのトランスフォームを適用する際、スケールや回転に加えて、SH属性も適切に適用されるようになりました。Blenderを中間的な3DGS編集ツールとして利用する上で、不可欠な改善となっています。
操作性と機能性の向上
ユーザーのワークフローを円滑にするため、以下の機能追加および最適化が行われました。
- レンダーモードの負荷軽減: 低スペック環境向けに、SHの次数(degree)やカメラの閾値を設定できる項目が公開されました。
- コンポジター設定の維持: レンダリング完了後に、ユーザーのコンポジター設定が保持および復元されるようになりました。
- 一時ファイルの削除機能: レンダーモードにて、レンダリング完了後に不要なヘルパー画像を消去する「一時ファイル削除(delete temp files)」ボタンが追加されました。
- カリングオプションの追加: 編集モードでアクティブカメラを使用する際、アクティブオブジェクトに対するカメラの視錐台(フラスタム)および距離ベースのカリングオプションが利用可能になりました。(※永続的な変更やレンダーモードでレンダリングを行う場合は、引き続きカメラカリングモディファイアの追加が必要です)
- ユーティリティ機能の拡充: メッシュから上位のSH属性をすべてクリアする「Remove SH」ボタンや、アーマチュアオブジェクト用の「Apply Rest Pose(レストポーズを適用)」ボタンが追加されました。これは、不規則な形状になりがちな3DGSスキャンにアニメーションリグを合わせる際に役立ちます。
- 編集ツールの強化: 編集モードにおいて、サイズ属性やバウンディングオブジェクトを基準にスプラットを選択するツールや、画像テクスチャ作業用の「UV Editモディファイア」が追加されました。また、頂点ベースと面ベースの3DGSメッシュを相互に変換するボタンも実装されています。
- パフォーマンス: 内部のジオメトリノードツリーが最適化されました。
主なバグ修正
旧バージョンで報告されていた多くの問題が修正されています。主な修正点は以下の通りです。
- Pythonのバージョン変更に起因する、Blender 5.1でのインストールエラーの修正。
- Blender 5.0以降で機能していなかった、編集モードでの高品質(HQ) / 低品質(LQ)マテリアルの切り替え問題の修正。
- 編集モードとレンダーモードを切り替えた際、レンダーモードの更新が停止する問題の修正。
- Blender側のコンポジター仕様変更により、ネイティブメッシュと合成した際に深度が正しく計算されない問題の修正。
- 面ベースの3DGSオブジェクトが、オフラインレンダリング時に頂点ベースのものと比較して正しくレンダリングされない問題の修正。
- 動画ファイルの出力形式を選択した際に正しくレンダリングされない問題の修正。(仕様自体の変更はありませんが、ユーザーの混乱を防ぐため、レンダーモードからのレンダリングは画像出力形式が選択されるまでブロックされる仕様になりました)
- 3DGSメッシュをポイントクラウドとして表示している状態でモディファイアを適用、またはエクスポートしようとすると発生するエラーの修正。
- カラー編集を行った面ベースのオブジェクトが、レンダーモードでその編集結果を保持しないことがある問題の修正。
- オブジェクトを回転させた後、レンダーモードでSH値が不正確になることがある問題の修正。
- レンダーモードでのレンダリング時にカラーバンディング(縞模様)が発生する問題が解消。
見送られた機能とワークフロー上の注意点
開発過程で実装が検討されたものの、技術的な理由により今回は見送られた機能と、利用時の注意点が公開されています。
- 3DGSの複製について: レンダーモードに必要なデータは各メッシュオブジェクトに保存されているため、オブジェクトを直接複製するとレンダラーが正常に動作しません。複製を行いたい場合は、1つの「マスター」メッシュを維持し、代わりにプロキシであるエンプティオブジェクトを複製してください。その際、全てがマスターオブジェクトと同じ位置に戻らないよう「Copy source transforms」を無効にする必要があります。
- ライトベイクの制約: ライトベイクは計算コストが非常に高いため、フレームごとの自動更新は見送られました。また、ライトデータをベイクした後にメッシュを編集するとデータが破損します。Blender側からメッシュ変更の警告を出す仕組みがないため、ユーザー自身で作業順序に注意する必要があります。
- レンダリングのキャンセルボタン: 実装が試みられましたが、システムの不安定化を招くため見送られました。テストの際は数フレームのみをレンダリングするようにし、どうしてもキャンセルが必要な場合はBlender本体を強制終了してください。
- パノラマカメラのサポート: 要望の多い機能ですが、パノラマカメラの使用にはCyclesが必要となり、実用的なレンダリング時間で良好な結果を得ることが難しいため、対応は見送られています。
ダウンロード
使用要件は以下の通りです。
- Blender 5.1+
- Eevee レンダーエンジン
- HQレンダリングサポート: Windows/Mac
動作環境に関する注意点: このバージョンから動作要件がBlender 5.1以上となりました。以前のバージョンのBlenderでは動作しないため、アップデートの際はご注意ください。






















コメント