2026年1月5日(現地時間)- Nvidia は、ラスベガスで開催されたCES 2026の基調講演にてNVIDIA Rubinプラットフォーム、オープンモデル、自動運転開発向けの推論モデルファミリーなどを発表しました。
ここでは、CES 2026で発表された内容をまとめて紹介したいと思います。
AIがあらゆる領域へ拡大
NVIDIAの創業者兼CEOであるジェンスン・フアン氏が、CES 2026の基調講演に登壇し、AIがあらゆる領域やデバイスへと広がっていると語りました。
フアン氏は次のように述べています。「コンピューティングは、アクセラレーテッド・コンピューティングとAIによって根本的に生まれ変わりました。これはつまり、過去10年間に築かれた約10兆ドル規模のコンピューティング基盤が、AIという新しい手法によって近代化されつつあることを意味しています」
フアン氏は、現在量産体制に入っているNVIDIA初の6チップ構成AIプラットフォーム「Rubin」を公開しました。さらに、自動運転開発向けの推論モデルファミリー「Alpamayo」も発表し、AIをあらゆる分野に導入していくという包括的な取り組みを示しました。

Rubinプラットフォームについてフアン氏は、「AIを次の段階へと押し上げる」ものであると説明しています。同時に、トークン生成コストを従来の約10分の1にまで削減することを目指しており、これにより大規模なAI導入が経済的にも現実的なものになると語りました。
また、NVIDIAのスーパーコンピュータでトレーニングされたオープンモデルが、各分野で重要な役割を果たしていることも強調しました。これらは開発者や企業が活用できるインテリジェンスのグローバルなエコシステムを形成しています。
「半年ごとに新しいモデルが登場し、そのたびに賢くなっています。そのため、ダウンロード数も爆発的に増えているのです」とフアン氏は述べています。
新たなインテリジェンス・エンジン:Rubin プラットフォーム
米国の天文学者 Vera Rubin にちなんで名付けられた次世代コンピューティングプラットフォームに関して、フアン氏は「NVIDIA Rubinプラットフォーム」が量産体制に入ったことを発表しました。
これはBlackwellアーキテクチャの後継となるもので、同社初となる、高度に連携設計(extreme codesign)された6チップ構成のAIプラットフォームです。
データセンター全体を見据えて設計されたRubinプラットフォームは、以下のコンポーネントで構成されています。
- Rubin GPU:50 petaflopsのNVFP4推論性能を実現
- Vera CPU:データの移動やエージェント処理に特化して設計
- NVLink 6:スケールアップ・ネットワーキング技術
- Spectrum-X Ethernet Photonics:スケールアウト・ネットワーキング技術
- ConnectX-9 SuperNIC
- BlueField-4 DPU
フアン氏は、これらすべてのコンポーネントを包括的に設計することの重要性を説いています。AIをギガスケール(超大規模)に拡張するためには、チップ、トレイ、ラック、ネットワーク、ストレージ、ソフトウェアの間で緊密な技術統合が必要不可欠です。それによってボトルネックを解消し、トレーニングと推論にかかるコストを劇的に削減できると説明しました。
さらに、AIネイティブストレージとして「NVIDIA Inference Context Memory Storage Platform」も紹介されました。これはAIに特化したKVキャッシュ層であり、長い文脈を扱う推論において、1秒あたりのトークン処理数、TCO(総所有コスト)あたりの性能、そして電力効率のすべてを5倍向上させるとのことです。
Rubinプラットフォーム全体としては、AIトークンを従来の10分の1のコストで提供し、AIイノベーションを加速させることが期待されています。「AIモデルのトレーニングが速くなればなるほど、次のフロンティアを世界に早く届けることができます。これこそが市場投入までの時間の短縮であり、技術的なリーダーシップなのです」とフアン氏は語りました。
すべての人のためのオープンモデルとデータ
オープンモデルの領域を拡大する一環として、NVIDIAは10兆個の言語トレーニングトークン、50万件のロボット軌道データ、45万件のタンパク質構造、100テラバイトの車両センサーデータなど、世界最大級のオープンなマルチモーダルデータコレクションとトレーニングフレームワークの提供を発表しました。
これは、言語、ロボット、科学研究、自動運転におけるイノベーションを加速させるための前例のない規模のリソースとなります。
Bosch、CodeRabbit、CrowdStrike、Cohesity、Fortinet、Franka Robotics、Humanoid、Palantir、Salesforce、ServiceNow、日立、Uberなどの主要テクノロジー企業が、これらのNVIDIAオープンモデル技術を採用し、構築を進めています。
このポートフォリオは以下の主要な領域にまたがっています。
- エージェントAI向け「NVIDIA Nemotron」ファミリー
- 物理AI向け「NVIDIA Cosmos」プラットフォーム
- 自動運転開発向け「NVIDIA Alpamayo」ファミリー
- ロボティクス向け「NVIDIA Isaac GR00T」
- バイオメディカル向け「NVIDIA Clara」
NVIDIA Nemotron:エージェントAIに音声、知能、安全性を提供
NVIDIAは、Nemotron 3ファミリーの成功を受け、音声、マルチモーダルRAG(検索拡張生成)、および安全性に特化した新しいNemotronモデルをリリースしました。
- Nemotron Speech:リアルタイム字幕や音声AIアプリケーション向けに、低遅延の音声認識を提供するモデルです。新しいASRモデルを含み、同クラスの他モデルと比較して10倍高速なパフォーマンスを実現します。
- Nemotron RAG:文書検索や情報取得を強化するための、新しいEmbed(埋め込み)およびRerank(再ランク付け)視覚言語モデル(VLA)です。
- Nemotron Safety:AIアプリケーションの信頼性を高めるため、Llama Nemotron Content Safetyモデルや、高精度で機密データを検出するNemotron PIIを含みます。
Boschはドライバーとの対話にNemotron Speechを採用しており、ServiceNow、Cadence、IBM、CrowdStrikeなどの企業も、それぞれの分野で検索、推論、安全性の向上にこれらのモデルを活用しています。
また、CodeRabbitなどの企業がNemotronモデルを使用してAIコードレビューを強化し、速度とコスト効率を向上させている例も紹介されました。
フィジカルAI

ロボットや自律システムのための物理AI開発には、複雑な現実環境で認識、推論、行動できるモデルが必要です。NVIDIAは、物理AIの開発と検証を加速させるため、人間のような推論と世界生成能力をもたらす「NVIDIA Cosmos」オープンワールド基盤モデルをリリースしています。
- Cosmos Reason 2:ロボットやAIエージェントが物理世界をより正確に理解し、対話できるようにする、推論VLAモデルです。
- Cosmos Transfer 2.5 / Predict 2.5:多様な環境や条件にわたり、大規模な合成ビデオを生成するモデルです。
- Isaac GR00T N1.6:ヒューマノイドロボット向けに構築されたオープンな推論VLAモデルで、全身制御を可能にし、Cosmos Reasonを使用してより良い文脈理解を実現します。
これに関連して、レベル4の自動運転能力を実現するためのオープンポートフォリオ「NVIDIA Alpamayo」についても詳細が発表されました。
- Alpamayo 1:自動運転車(AV)が周囲を理解し、自身の行動を説明できるようにする、AV向けの初のオープンな大規模推論VLAモデル。
- AlpaSim:多様な環境やエッジケースにわたって、推論ベースのAVモデルのトレーニングと評価を可能にするオープンソースのシミュレーションフレームワーク。
- 物理AIオープンデータセット:推論アーキテクチャの進化に不可欠な、1,700時間以上の運転データを含みます。
Alpamayoを採用し、NVIDIA DRIVEフルスタック自動運転プラットフォーム上に構築された最初の乗用車は、新型メルセデス・ベンツ CLAとして間もなく公道に登場します。AIによって定義される運転機能は今年中に米国で導入される予定であり、同車は最近EuroNCAPで5つ星の安全評価を獲得しています。
また、Salesforce、Milestone、日立、Uber、VAST Data、Encordなどのパートナー企業が、交通、生産性向上、ロボットの動作検証などにCosmosやGR00Tを活用しているとのことです。
ヘルスケアとライフサイエンス向けの NVIDIA Clara
コストを削減し、治療法をより早く提供するために、NVIDIAはデジタル創薬と現実の医療とのギャップを埋める新しい「Clara」AIモデルを発表しました。
- La-Proteina:原子レベルで正確な大規模タンパク質の設計を可能にし、これまで治療不可能とされていた病気の研究を支援します。
- ReaSyn v2:発見プロセスに製造の設計図を組み込むことで、AIが設計した医薬品が実際に合成可能であることを保証します。
- KERMT:開発の初期段階で、潜在的な薬物が人体とどう相互作用するかを予測し、高精度な計算上の安全性テストを提供します。
- RNAPro:RNA分子の複雑な3D形状を予測し、個別化医療の可能性を広げます。
加えて、AI研究者がより正確なモデルを構築できるよう、45万件の合成タンパク質構造データセットも提供されます。
RTX、DGX Spark、パーソナルエージェント
AIの未来はスーパーコンピュータの中だけにあるのではありません。私たちの身近なパーソナルな領域にも広がっています。
CESでは、デスクトップ型スーパーコンピュータ「NVIDIA DGX Spark」上でローカル動作するパーソナルAIエージェントをデモンストレーションしています。Hugging Faceのモデルを用いたReachy Miniロボットを介して、オープンモデルとローカル実行がいかにしてエージェントを物理的なパートナーに変えるかが示されました。
また、CodeRabbitなどの企業がNemotronモデルを使用してAIコードレビューを強化し、速度とコスト効率を向上させている例も紹介されました。

DLSS 4.5 およびその他のゲーム・クリエイティブ関連アップデート
DLSS 4.5 が発表
NVIDIAはDLSS 4.5を発表しました。これには「Dynamic Multi Frame Generation(動的マルチフレーム生成)」、新しい6倍マルチフレーム生成モード、およびDLSS Super Resolution向けの第2世代Transformerモデルが含まれており、最新タイトルでのパフォーマンスと画質が向上します。
現在250以上のゲームとアプリがNVIDIA DLSS 4技術に対応しており、『007 First Light』、『Phantom Blade Zero』、『PRAGMATA』、『Resident Evil Requiem』などの注目作が発売時からサポートする予定です。
詳細は以下の記事をご覧ください。
AIとMod技術によるゲーム体験の進化
また「RTX Remix Logic」が登場し、モッダー(Mod作成者)がリアルタイムのゲームイベントに基づいて動的なグラフィック効果をトリガーできるようになり、プラットフォームの機能が拡張されました。
さらに、『Total War: PHARAOH』におけるNVIDIA ACE技術のデモでは、AIがゲームの複雑なシステムやメカニクスのナビゲートを支援する様子が紹介されました。『PUBG: BATTLEGROUNDS』では、NVIDIA ACEを搭載した「PUBG Ally」が長期記憶を持ち、知能と能力を進化させる機能が追加されます。
「G-SYNC Pulsar」モニターが登場
ディスプレイ技術では、「G-SYNC Pulsar」モニターが今週発売となり、ティアリング(画面のズレ)のない表示に加え、実効1,000Hz以上のモーションクラリティとG-SYNC Ambient Adaptive Technologyを提供します。
その他
加えて、以下の発表も行われています。
- Linux PCおよびAmazon Fire TV向けの新しいGeForce NOWアプリにより、GeForce RTXゲーミングがより多くのデバイスで利用可能になります。
- PC上のAI動画生成においては、NVIDIA RTXがLTX-2およびComfyUIのアップグレードにより4K AI動画生成を加速させます。
アーカイブなど
AIのブレークスルーを実現するには最適化されたフルスタック(技術の積み重ね)が必要であるため、「私たちの仕事は、皆様が世界のために素晴らしいアプリケーションを作成できるよう、スタック全体を作り上げることです」と述べ、現在NVIDIAはシステム全体を構築しているとフアン氏は説明しました。
NVIDIAのオープンモデル、データ、フレームワークは、GitHubやHugging Face、そしてbuild.nvidia.comを通じて利用可能です。また、多くのモデルは「NVIDIA NIMマイクロサービス」としても提供されており、エッジからクラウドまであらゆるインフラストラクチャ上で安全かつスケーラブルに展開できます。
プレゼンテーション全編のアーカイブは以下よりご視聴いただけます。




























コメント