2026年5月にリリースされた、NVIDIAが提供するゲーム開発者向けプラットフォーム「NVIDIA RTX」エコシステムの最新アップデートの紹介です。
最新アップデートには、会話可能なNPCの構築を支援する「NVIDIA ACE」の多言語対応、Unreal Engine(UE)向け「NVIDIA DLSS 4.5」プラグインの提供、そして安定性を向上させた「NVIDIA RTX Branch of Unreal Engine(NvRTX)」バージョン5.7.4のリリースといった、AI駆動のキャラクター作成ツールや、最新のフレーム生成技術など、次世代のゲーム制作をサポートする機能強化が含まれています。
NVIDIA ACEが多言語対応の自律型ゲームキャラクターをサポート
オープンワールドゲームなどにおいて、あらかじめ用意されたセリフや固定的なNPCの振る舞いだけでは、プレイヤーの没入感を維持することが徐々に難しくなってきています。
こうした課題に対処するため、NVIDIA ACEは、RTX GPUを活用し、従来の静的なNPCを動的で会話可能なエージェントへと変革するためのテクノロジースイートを提供しています。

現在、ACEには新しい多言語モデルが搭載されており、世界中のユーザーが母国語でゲームキャラクターとのより深い没入感を体験できる環境が整えられつつあります。NVIDIA In-Game Inferencing(NVIGI)SDKの1.6アップデートにより、デバイス上での動作に最適化された最新モデルを利用できるようになっています。
- Qwen 3.5 4B: 201の言語と方言において、低遅延かつ文脈を認識した応答を生成する小規模言語モデル(SLM)です。キャラクターがプレイヤーの指示に対して高い精度で反応するよう設計されています。
- NVIDIA Riva Parakeet TDT 600M ASR: キャラクターが25言語の音声を理解し、文字起こしを行うことを可能にする高性能な音声認識モデルです。
- Chatterbox Multilingual 500M: 24言語をサポートし、キャラクターに表現豊かで感情に訴えかける音声を提供することで、プレイヤーをゲーム体験に深く引き込む役割を果たします。
さらに、NVIGI 1.6では、ローカルで実行されるllama.cppサーバーに接続する新機能が追加され、開発初期段階におけるモデルのプロトタイプをより迅速に作成できるようになっています。
これらのテクノロジーは、NVIGIをダウンロードすることで、開発中のタイトルへ直接統合することが可能です。
NVIDIA DLSS 4.5 Unreal Engineプラグインが動的マルチフレーム生成をサポート
新たに提供が開始されたDLSS 4.5 Unreal Engineプラグインにより、DLSS 4.5 動的マルチフレーム生成(Dynamic Multi Frame Generation)、マルチフレーム生成6倍モード、および超解像向けの第2世代Transformerのサポートが追加されました。

このプラグインにより、開発者は最新の超解像やフレーム生成といった技術へ直接アクセスできるようになります。基盤となる Streamline 上で動作するため、DLSS 全体で統一された統合プロセスが利用でき、Ray Reconstruction(レイ再構築)や動的マルチフレーム生成などの機能を、プロジェクトの要件に応じて部分的に取り入れることも可能です。
さらに、更新された API やドキュメント、サンプルコードが提供されており、統合にかかる時間を短縮し、新規・既存プロジェクトへの DLSS 導入をよりスムーズに進められます。
NVIDIA RTX Branch of Unreal Engine 5のアップデート
2026年5月15日に、NvRTXのバージョン5.7.4の提供が開始されました。
このリリースでは、NvRTXが最新のUnreal Engine 5.7.4にアップデートされるとともに、UE5プロジェクトにRTX機能を統合する際の安定性と互換性が向上しています。

NvRTX 5.7.4アップデートの主な内容は以下の通りです:
- RTX Mega Geometryシェーダーコンパイルの修正: 非DX12プラットフォームにおけるRTX Mega Geometryに影響を与えていたシェーダーコンパイルの問題が解決。
- Opacity Micro-Map (OMM) の修正: 葉や植生などのアルファテスト済みジオメトリのレイトレーシングを高速化するOMMの安定性と正確性が改善。
- Substrateマテリアルの改善: Unreal Engine 5のSubstrateマテリアルフレームワークとNvRTXレンダリングパス間の互換性がアップデートされました。
- NvAPIの修正: NVIDIAドライバーレベルの機能をUnreal Engineに公開するNvAPI統合における問題が解決されました。
- コードベースのリベース: NvRTXがUnreal Engine 5.7.4に対応。
- ドキュメントの更新: 5.7.4リリースに合わせて、統合および移行に関するドキュメントが刷新されました。
さらに詳しく
NPCが従来の固定的なダイアログツリー(会話の分岐ツリー)に依存せず、ゲーム内環境や状況に応じて自律的に演技を行う新たなアプローチについて、NVIDIAは「Unreal Fest 2026」にて新しい開発ワークフローを披露する予定です。
このワークフローでは、NPCの「役割」と「演者」を分離することで、状況に深く反応し、常にキャラクターとしての設定を維持するAIパーソナリティの作成を目指しています。詳細は、6月17日開催のセッション「Ready, Set, Action: Why Your Next NPC Should Be Their Own Method Actor」にて解説されます。
セッション情報(2026年6月17日開催)
セッション名:
Ready, Set, Action: Why Your Next NPC Should Be Their Own Method Actor
コアコンセプト:
NPCの「役割(Role)」と、それを演じるAIである「演者(Performer)」を切り離して設計する手法です。これにより、状況に応じて柔軟にリアクションを変化させつつ、本来のキャラクター性(設定)を破綻させずに維持する、強固なAIパーソナリティの構築を目指しています。
Unreal Engine 5.7における、NVIDIA ACEを用いた完全デバイス動作型のインタラクティブなMetaHuman NPCパイプラインのデモを通じて、以下のような最先端の開発プロセスが示されます。
- LoRA(Low-Rank Adaptation)モデルのローカル高速実行:大規模な教師モデルをベースに生成された「合成トレーニングデータ」を用いて、個々のキャラクター独自の振る舞いや性格を抽出。これを軽量で展開が容易なLoRAベースのモデルへと落とし込み、プレイヤーの手元にあるRTXハードウェア上で完全にローカル処理(オンデバイス実行)させることが可能です。
- 次世代の「Action and Cut(アクション・アンド・カット)」ワークフロー:NPCがゲームプレイ中に役割を演じる段階(Action)と、開発段階でのシミュレーションや調整を行う段階(Cut)をスムーズにつなぐ、ゲーム開発フローです。
- Action(ゲーム中):NPCはあらかじめ設定されたキャラクターの役割になりきり、プレイヤーとの対話や周囲の状況に応じて、動的かつ自律的に演技を行います。
- Cut(カット後):演技を終了し、NPCは「役」から離れたバックステージの状態へ移行します。この状態のNPCは、開発者と直接コミュニケーションをとるAIアシスタントのようになり、自身の行動動機の調整、キャラクター設定(バックストーリー)の肉付け、さらには今後のAI学習に必要なトレーニングデータの構築などを開発者と協力して実施します。
NVIDIAのゲーム開発に関する最新情報や詳細については、ゲーム開発者向けリソースより確認できます。
What’s New for Game Developers in NVIDIA RTX: DLSS 4.5 for UE5 and Multilingual AI Characters























コメント