Unity の 生成AIツール Muse と Sentis が統合!AIツールスイート「Unity AI」として Unity 6.2 に実装へ

CGソフト

先日、Unity 6.2 ベータ版のリリースと共に、AIツールスイート「Unity AI」が発表されました。

本記事では、この新しい「Unity AI」の全貌を、6月25日のライブデモの様子も交えながら紹介したいと思います。

Unity AIとは?

「Unity AI」は、従来提供されていた「Muse」と「Sentis」の機能を発展的に統合し、置き換えるエディターに直接統合されたエージェント型および生成型AIツールスイートです。

Unity AIは、単なる機能の集合体ではなく、開発者の生産性を飛躍的に向上させるための統合環境です。その最大の目的は、ゲーム開発における反復的で単調な作業をAIに任せ、開発者がより創造的なプロセスに集中できるようにすることにあります。

Unity AIは開発者に取って代わるものではなく、あくまで「アシスタント」として機能し、最終製品でそのまま使うというより、プロトタイプ作成やアイデア出しの段階で活用することが推奨されています。アイデアの試行錯誤(イテレーション)を高速化し、これまで時間のかかっていた作業を瞬時に終わらせることで、個人のクリエイターから大規模なチームまで、あらゆる開発者の可能性を広げます。

なお、これらのAI機能のインストールおよび使用は完全に任意であり、開発者が自身の判断で利用を選択できる設計になっています。

An introduction to Unity AI

Unity AIの主な機能

Unity AIは、大きく分けて3つの主要コンポーネントで構成されています。それぞれのツールが改良されています。

以下、ライブデモで示された具体的な使用例と共に、紹介したいと思います。

Assistant

(Muse Chatから名称変更

プロジェクトの文脈を理解する対話型のヘルパーです。単にプロジェクトに関する質問に答えるだけでなく、プリコンパイル済みコードを生成したり、コンソールエラーの解決、複数ファイルの一括リネーム、NPCバリアントの作成、シーンへの大量オブジェクトの配置といったエージェントアクションを実行することもできます。

プロジェクトアセットをプロンプトにドラッグすることで、Assistantに詳細なコンテキストを提供することが可能です。

アシスタントは、クエリとタスクを処理するための 3 つの操作モードをサポートしています。

  • /askモード: プロジェクト ファイルを変更せずに、回答を提供したり、ドキュメントを参照したり、プロジェクト固有の詳細を取得したりします。
  • /runモード: Unity エディターで直接変更を実行できる機能スクリプトを生成することで、反復タスクを自動化します。
  • /codeモード: Unity API と対話するカスタマイズ可能な C# コード スニペットを生成し、レビューします。

ライブデモハイライト:

  • 複雑なシーン編集の自動化 : デモでは「選択したヤシの木を10個複製し、ランダムな向きで地形に沿ってばらまいて」という自然な言葉の指示だけで、AIがスクリプトを生成し、一瞬でシーン内にオブジェクトを配置しました。これにより、手作業では時間のかかるレベルデザインや背景作成が劇的に効率化されることが示されました。
    デモ開始:(https://www.youtube.com/watch?v=doj_TLKGMx8&t=1594s))
  • 物理演算の自動設定 : 「この岩を空中に50個複製し、プレイボタンを押したら重力で落下するようにして」という指示で、AIはオブジェクトの複製・配置だけでなく、物理演算に必要な「Rigidbody」コンポーネントを全ての岩に自動で追加し、コーディングを一切行わずに、複雑な物理シミュレーションを実装しています。。
    デモ開始:(https://www.youtube.com/watch?v=doj_TLKGMx8&t=5012s)

Generators

(Muse Sprite, Texture, Animateから名称変更

プロンプト(指示文)からスプライト、テクスチャ、アニメーション、サウンドといった多様なアセットを生成する改善されたツール群です。機械学習を用いてアセットを生成・修正・最適化し、反復作業の自動化と創造的なワークフローの強化を実現します。

Sprite Generator & Texture2D Generator

テキストプロンプトや参照画像を基に、高品質な2Dのスプライトやテクスチャを生成します。キャラクターや背景、アイテム、アイコンといった2Dアセットの作成に適しており、解像度やビジュアルスタイルの微調整も可能です。

ライブデモハイライト:リアルな雲やミッキーの画像を生成。また、生成した画像の背景を透過させたり、シーンの色調に合わせて色を自動で再調整したりといった、実用的な後処理機能も紹介されました。
デモ開始:(https://www.youtube.com/watch?v=doj_TLKGMx8&t=2571s))

Sound Generator

テキストプロンプトや参照オーディオクリップから、カスタムの効果音を生成します。マイクで録音した音をAIで変形させたり、新たなバリエーションを生み出したりすることも可能です。複雑な音声編集の知識がなくても、直感的にサウンドを作成できます。

ライブデモハイライト :チャットのリクエストに応え、「草を踏む音」「プロペラ機」といった効果音を即座に生成。生成された音源は、Unity内で不要部分をカットするなどの簡単な編集も可能でした。
デモ開始:(https://www.youtube.com/watch?v=doj_TLKGMx8&t=3026s)

Animation Generator

テキストまたはビデオ入力から、直接アニメーションクリップ(.animファイル)を生成します。これにより、キャラクターに滑らかな動きを素早く与えることができます。

ライブデモハイライト:「バスケットボールのシュート」「バックフリップ」から、非常にユニークな「エアギター」まで、複雑な動きをプロンプト一つで生成する様子を確認できます。
デモ開始:(https://www.youtube.com/watch?v=doj_TLKGMx8&t=3844s)

Material Generator

テキストプロンプトや参照画像を基に、木材、金属、レンガといったリアルな3Dマテリアルを生成します。PBR(物理ベースレンダリング)に対応しており、ライティングに正確に反応する高品質なサーフェスを作成できます。

ライブデモハイライト:「黒い岩のテクスチャ」という指示から、リアルなPBRマテリアルを生成。光の反射や凹凸を表現する法線マップなども自動で作られ、ドラッグ&ドロップするだけでオブジェクトに適用できます。
デモ開始:(https://www.youtube.com/watch?v=doj_TLKGMx8&t=4423s)

Terrain Layer Generator

UnityのTerrain(地形)オブジェクト専用のマテリアルを生成する新しいツールです。汎用的なメッシュに適用するMaterial Generatorとは異なり、こちらはTerrain Layerに直接適用可能なテクスチャを生成します。

Inference Engine

(Sentisから名称変更)

Inference Engineは、Unity 用のニューラルネットワーク推論ライブラリです。トレーニング済みのニューラルネットワークモデルを Unity にインポートし、中央処理装置 (CPU) やグラフィックス処理装置 (GPU) などのターゲットデバイスのコンピューティングリソースを使用してリアルタイムで実行できます。

ゲーム実行時に、ユーザーのデバイス上で直接AIモデルを動作(推論)させることに特化した機能です。パフォーマンスの向上に重点が置かれており、プレイヤーの動きに適応するNPCなど、ユニークなランタイム体験の実現に貢献します。なお、このローカル推論機能は引き続き無料で提供されます。

Unity AIを支えるAIモデルとパートナー

Unity AIは、最高の結果を提供するために、Unity独自のモデルと、各分野で専門性を持つサードパーティパートナーの多様なAIモデルをインテリジェントに組み合わせています。これにより、開発者は常に最適なツールを利用できます。

Assistantを支えるモデル

Assistantの強力な対話能力とコード生成機能は、業界をリードする大規模言語モデル(LLM)によって実現されています。これらのモデルはすべてUnityのサーバー上でホストされており、ユーザーデータがパートナー企業に送信されることはありません。

モデルシリーズ提供元ホスティング
GPTシリーズAzure Open AI ServicesUnity
LlamaシリーズMetaUnity

Generatorsを支えるモデル

アセット生成においては、基本的なテクスチャやサウンドはUnity独自モデルで、より専門的なスプライト生成やビデオからのアニメーション抽出はパートナーモデルを活用するハイブリッド構成になっています。

機能利用モデル/パートナー特徴ホスティング
SpriteScenario, Inc.Stable Diffusion, FLUX, Bria, GPT-Imageなどの基盤モデルで学習した多様なスタイル(LoRA)を提供。手描きのラフ画などを参照画像として利用可能。パートナー
Layer AI, Inc.Stable Diffusion, FLUX基盤の多様なスタイルを提供。ユーザー自身のデータでカスタムモデルをトレーニングする機能も持つ。パートナー
TextureUnity独自モデルテキスト、画像、パターン参照からテクスチャを生成するために最適化されたUnityの独自モデル。Unity
Animation (テキストから)Unity独自モデルテキストプロンプトから人型アニメーションを生成することに特化したUnityの独自モデル。Unity
Animation (ビデオから)Kinetix SASビデオ映像を解析し、人型アニメーションを抽出する高度な専門技術を提供。パートナー
SoundUnity独自モデルテキストや参照サウンドから効果音を生成。音の波形編集など、AIを使用しない後処理はローカルで実行。Unity

パートナーモデルを利用する場合、生成に必要な匿名化されたデータ(プロンプトや参照アセット)はパートナーに送信されますが、生成後に削除され、パートナーが自社のモデル学習に利用することはありません。

Inference Engineが利用するモデル

Inference Engineは、Unity Editorやユーザーデバイス上でローカルにAIモデルを実行するための機能です。クラウドへのデータ転送や保存は一切行われません。Inference Engineには特定の組み込みモデルは含まれず、開発者がHugging Faceのようなモデル配布サイトから入手したモデル(Hugging Face モデルは引き続きこちらから利用できます。)や、自らトレーニングしたカスタムモデルをインポートして使用することを前提としています。

事前学習済みモデルを見つける場所:

事前学習済みモデルを見つける方法は様々で、ONNX形式または変換可能な形式で入手できる場合があります。例としては、以下のようなものがあります。

独自のモデルをトレーニングする場合は、次のリンクを参照してください。

データ利用とプライバシーについて

AI生成アセットの管理方法

生成されたすべてのアセットやスクリプトには、「AIで生成された」というメタデータが含まれます。これにより、プロジェクト内での検索や管理が容易になります。商用プロジェクトをリリースする際は、各アプリストアや配信プラットフォームが求めるAIに関する申告を適切に行う必要があります。

データ利用とプライバシーに関する方針

初期ベータ期間中、プロンプトや参照画像といったユーザーのデータがAIモデルのトレーニングに使用されることはありません。例えば、スプライト生成のためにアップロードした参照画像が、モデルの改善に使われることはないと明言されています。将来のベータ版では、自身のデータをモデル学習に共有するかどうかを管理できる設定が追加される予定です。

Muse/Sentis利用者向け情報

Museユーザー向け

Museは、Unity 6.2の正式リリース後、まもなくサービスを終了します。月額サブスクリプションは自動更新されなくなり、新規のアセット生成やチャットは利用できなくなります。

ただし、プロジェクトにインポート済みのMuse製アセットはそのまま残ります。MuseのポイントやデータがUnity AIに移行されることはありません。

Sentisユーザー向け

Sentisは「Inference Engine」に名称が変更されます。これは命名規則を他のUnityエディタ機能と合わせるための単純な名称変更です。Sentisから Inference Engine にアップグレードするユーザー向けに、簡単に実装できるAPI アップグレードパスが用意されています。ローカル推論は引き続き無料で、Unity ポイントは消費されません。

価格について

料金体系(Unity Points)

Unity 6.2 ベータ期間中、Unity AIは無料で全ユーザーが試用できます。

正式リリース(GA)後は、「Unity Points」を消費するモデルに移行します。

Unity Pointsは、Unity Pro, Unity Enterprise, Unity Industryプランに付帯するほか、別途バンドルを購入することも可能になります。具体的な価格は正式リリース時に発表される予定です。

利用可能地域

現在、ロシアや中国など一部の地域では利用できません。

Unity AI の利用手順

  1. Unity 6.2 をインストールします。
  2. エディターの AI ボタン​​をクリックし、AI パッケージをインストールします。
  3. プロジェクトが Unity Cloud プロジェクトにリンクされていることを確認します (詳細についてはドキュメントを参照してください)。

本記事で紹介した機能や仕様は、現在開発中のベータ版のものであり、今後の正式リリースに向けて変更される可能性があります。

最新情報は以下のリンクからご確認ください。

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