DreamWorks Animationのオープンソースプロダクションレンダラー「MoonRay」がAcademy Software Foundationに加入

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 2026年5月19日(現地時間)- Academy Software Foundation は、DreamWorks Animationによって開発されたオープンソースのレンダラー「MoonRay」が、ホステッドプロジェクトとして同財団に加わったことを発表しました。

MoonRayとは

「MoonRay」は、DreamWorks Animation社内で独自に開発された、映画制作レベルの高品質な映像を生み出すためのプロダクション・パストレーシング・レンダラーです。

MoonRayは、2019年以降のDreamWorks Animationの全長編映画のレンダリングを担ってきた実績を持ちます。これには『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』、『バッドガイズ』、『長ぐつをはいたネコと9つの命』、『カンフー・パンダ4』、そして最新作である『野生の島のロズ (The Wild Robot)』や『バッドガイズ2』などが含まれます。

同社は2022年8月に、この長年培ってきたレンダリング技術をオープンソース化する方針を発表しました。その後、2023年3月にソースコードが一般公開され、世界中のスタジオや個人クリエイターが、DreamWorksの大作映画で使用されているのと同じ最先端のレンダラーを利用できるようになりました。

MoonRay | DreamWorks Animation

オープンソース化の発表から現在に至るまで、MoonRayは継続的なアップデートを重ねており、DCCツールとの連携強化やパフォーマンスの向上が図られてきました。

そしてこの度、DreamWorks Animationによって開発されたオープンソースのプロダクション・パストレーシング・レンダラー「MoonRay」は、映画、VFX、アニメーション分野におけるオープンソースソフトウェアの発展を牽引する組織であるAcademy Software Foundation (ASWF)のホステッドプロジェクトとして同財団に加入することになりました。

「現代の最も美しいアニメーション映画のいくつかは、MoonRayによってレンダリングされています。DreamWorks Animationがこの技術をオープンソースコミュニティに提供してくれたことに感謝するとともに、今後の共同開発のためのプラットフォームを提供できることを光栄に思います。」

— David Morin氏 (Academy Software Foundation エグゼクティブ・ディレクター)

MoonRayの主な機能

MoonRayは、効率性とスケーラビリティを重視しつつ、アーティストが豊かな表現力を発揮できるようゼロから設計されたモンテカルロ・パストレーサーです。

フォトリアルな質感から、強くデフォルメされた(様式化された)ルックまで幅広い描写に対応しており、実際の映像制作でテストを重ねられた物理ベースマテリアルの豊富なライブラリを利用することが可能です。

また、過去のレガシーコードを引き継がない最先端の高度なアーキテクチャ上に構築されているため、アーティストは使い慣れたツールを使用しながら、映画品質のプレビューとイテレーション(試行錯誤)を素早く行うことができます。

MoonRayは、現代のプロダクションパイプラインに求められる高いパフォーマンスと柔軟性を備えています。主な技術的特徴は以下の通りです。

  • 分散レンダリングのサポート: 大規模で複雑なシーンの計算負荷を複数のマシンに分散し、レンダリング時間を短縮。
  • ピクセルマッチング XPU モード: CPUだけでなくGPUでも光線(レイ)をバンドル処理することで、画質を保ちながら計算パフォーマンスを大幅に向上させるハイブリッドレンダリング機能。
  • バンドル・パストレーシング: レイを束ねて効率的に計算を行う高度なアルゴリズム。
  • Hydra Render Delegate の同梱: OpenUSD標準をサポートする主要なDCC(デジタルコンテンツ制作)ツールへのスムーズな統合を実現。
  • Apache 2.0 ライセンス: 商業利用も含め、柔軟な利用と開発コミュニティへの参加を促進するオープンソースライセンス。

※より詳細な機能リストや技術仕様については、MoonRay公式のAboutページをご参照ください。

今後のMoonRayの展開について

今後のMoonRayは、Academy Software Foundationの下で保守および開発が進められます。DreamWorks Animationも引き続き、継続的なサポートと専任のエンジニアリングリソースを提供していく予定です。

MoonRayについてさらに詳しく知りたい方や、開発への貢献に関心のある開発者は、公式ウェブサイト(openmoonray.org)を訪問するか、ASWFのSlackワークスペース(slack.aswf.io)内のMoonRayプロジェクトのチャンネルに参加することができます

ASWF Open Source Days 2026 での基調講演

MoonRayのASWF加入に合わせ、2026年7月19日〜20日にカリフォルニア州ロサンゼルスで開催されるASWF主催のイベント「Open Source Days」にて、DreamWorks AnimationのCTOであるBill Ballew氏が基調講演を行う予定です。

今年のOpen Source Daysは、SIGGRAPH 2026カンファレンスと同時期に開催されます。Ballew氏の講演テーマは「How to Train Your Renderer: MoonRay’s Journey from DreamWorks’ Dragons to the ASWF(いかにしてレンダラーを飼いならすか:DreamWorksのドラゴンからASWFに至るまでのMoonRayの旅)」と題され、プロプライエタリ(社内専用)なツールからオープンソースレンダラーの基盤へと進化したMoonRayの軌跡が語られます。

講演では、スタジオの壁を越えてツールを公開する際の技術的な課題や、持続可能なコミュニティを構築するための戦略と教訓、そして今後のプロジェクトにおいてASWFの存在がいかに重要であるかについて解説される予定です。

また、Academy Software Foundationは、ASWF Open Source Days 2026に向けた講演募集(Call for Proposals)を行っています。募集の締め切りは、2026年5月24日(金)です。

VFX、アニメーション、またはデジタルコンテンツ制作のためのオープンソースソフトウェアに携わるエンジニア、テクニカルディレクター、アーティストなど、幅広い分野からの応募が推奨されています。


MoonRay, DreamWorks Animation’s Open Source Production Renderer, Joins the Academy Software Foundation

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