DreamWorks、社内プロダクションレンダラー MoonRay をオープンソースに

CGソフト

2022年8月5日(現地時間)- DreamWorks Animation は、プロダクションレンダラー MoonRay をオープンソースにすることを発表しました。

DreamWorks Animationについて

DreamWorks Animation(DWA)は、Comcast Corporationの子会社であるNBCUniversal内のUniversal Filmed Entertainment Groupの一部門で、長編映画とテレビのブランドを持つ世界的なファミリーエンターテイメント企業です。

DWAの携わった長編映画には、「Shrek」「Madagascar」「Kung Fu Panda」「How to Train Your Dragon」「Spirit」「Trolls」「The Boss Baby」や2022年の「The Bad」などがあり、全世界で150億ドル以上の興行収入を記録しています。

MoonRayがオープンソースに

DreamWorks Animationは、同社独自のプロダクションレンダラーであるMoonRayを、今年後半にオープンソースソフトウェアとしてリリースすることを発表しました。

MoonRayは、DreamWorks Animationで開発された最先端のプロダクション用MCRT(Monte Carlo Ray Tracing:モンテカルロレイトレーシング)レンダラーで、『How to Train Your Dragon:The Hidden World』、『Croods:A New Age』、『The Bad Guys』などの長編映画で使用されているほか、近日公開予定の『Puss In Boots:The Last Gonna』でも使用されています。

DreamWorksのエンジニアによって開発されたMoonRayは、現在も活発に開発が行われており、製品テスト済みの物理ベースのマテリアル、USD Hydraレンダーデリゲート、Arras分散計算フレームワークによるマルチマシンおよびクラウドレンダリングなどの豊富なライブラリが搭載されています。

MoonRayは、レガシーコードを持たない最先端のスケーラブルなアーキテクチャで構築されており、使い慣れたツールを使って長編映画品質のアーティスティックなイテレーションを迅速に行うことができます。

その他の高性能機能としては、分散レンダリングのサポート、光線のバンドルをCPUだけでなくGPUでも処理することで性能を向上させるピクセルマッチXPUモード、Intel® Embreeによる光線処理、Intel® ISPCコンパイルを利用したシェーダーベクタライズ、バンドルパストレーシングがあります。また、搭載されているUSD Hydraレンダーデリゲートにより、同規格をサポートするコンテンツ制作ツールに統合することができます。

MoonRayにはIntelのテクノロジーや分散計算フレームワークであるMicrosoft Azure上Arrasが搭載されています。今回の発表について、 Intel の Jim Jeffers氏 とMicrosoftの Simon Crownshaw氏はそれぞれ以下のように述べています。

「MoonRayは、Intel oneAPI Rendering Toolkitで配布されているオープンソースのIntel EmbreeとIntel Implicit SPMD Program Compiler (Intel ISPC)によってサポートされている印象的なフォトリアル レイトレーシング レンダリング パフォーマンスを持っており、DreamWorksとの密接なコラボレーションを誇りに思っています。

MoonRayの髪や毛皮のレンダリングなどの機能は、Intelとの共同開発によるものです。その結果得られた改良は、Intel® Embreeのレイトレーシングカーネルライブラリに含まれており、オープンソフトウェアを使用することがいかにエコシステム全体に利益をもたらすかを実証しています。MoonRayは、Intel ISPCを採用することで、ベクトル命令並列処理を取り入れ、パフォーマンスを劇的に向上させました。Intelは、すべてのクリエイターのために、oneAPIのクロスアーキテクチャ、クロスベンダーサポートをこのオープンソースプロジェクトに適用する新しい機会を楽しみにしています」

– Jim Jeffers, Sr. Director, Sr. Principal Engineer, Intel Advanced Ray Tracing

MoonRayとMicrosoft Azure上のArrasの組み合わせは、アーティストにとって画期的なものであり、照明の反復を高速化し、マルチコンテキスト・レンダリングを可能にします。

視覚効果やアニメーションのコンテンツが複雑化するにつれて、その作成とレンダリングに必要な計算量も増えています。Microsoft Azureは、スタジオやアーティストがMoonRay with Arrasに初めてアクセスし、クラウド上の幅広い計算能力ポートフォリオでプラットフォームを強化し、世界中でオンデマンドに拡張することを可能にします。

- Simon Crownshaw, Microsoft’s Director of Business Strategy for Media & Communications.

DreamWorksは、今年後半にMoonRayをApache 2.0ライセンスの下で利用できるようにする予定としています。


open moonrayウェブサイトへ

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