2026年4月15日(現地時間)- SketchUp、Rhino、3ds Max向けの「V-Ray 7 Update 3」のリリースがまとめて発表されました。
主な新機能
このアップデートでは、建築ビジュアライゼーションなどの制作工程を効率化するため、V-Rayビューポート内での直接的なリアルタイムレンダリング機能や、「AI Mood Match」をはじめとする複数のAI機能が導入されています。
主なアップデートの要点
- ビューポートでのリアルタイムレンダリング:Chaos Vantageの技術を利用し、作業画面上で直接リアルタイムのプレビューが可能になりました。
- AIツールの拡充:参考画像の雰囲気に合わせて照明を自動調整する「AI Mood Match」や、広範囲の表面に対応した「AI Enhancer」が追加されました。
- 表現の簡易化:水面のコースティクス(集光模様)や、建物の外観から内部の奥行きを表現するパララックス効果などを、より少ない設定で実現できるようになりました。
- コラボレーションの効率化:Chaos Cloud上での動画レビュー機能や、Chaos Cosmosのグループ化アセット(Sets)により、確認作業とシーン構築がスムーズになります。
以下に各ソフトウェア(SketchUp、Rhino、3ds Max)で追加された主な機能をご紹介します。ソフトウェアごとのフィルタリングも可能です。
リアルタイムレンダリング(Vantage連携)
ビューポート内リアルタイムレンダリング
レイトレーシングエンジン「Chaos Vantage」の技術が統合され、別のウィンドウを開くことなく、V-Rayのビューポート上で最終フレーム品質のリアルタイムプレビューを確認できるようになりました。
ラスタライズや近似処理を行わないフルレイトレーシングにより、光の挙動を物理的に正確にシミュレートします。現実世界のカメラや照明、マテリアル、グローバルイルミネーションの変更が即座に反映されるため、オフラインレンダリングとのシームレスな切り替えが可能になり、反復作業やデザインの意思決定を素早く行えます。
リアルタイム・トゥーンエフェクト
V-Ray Toon機能に似たアニメ調の表現(トゥーンエフェクト)が、リアルタイムレンダリング上でも利用可能になりました。フォトリアルなカメラ設定や照明の質感を維持したまま、被写体に輪郭線を追加できます。
設計初期段階でのコンセプト共有や、イラスト調のプレゼン資料作成に最適であり、ポストプロセス(事後処理)の時間をかけることなく、様式化されたフレームやアニメーションをすぐに出力できます。
流体シミュレーターの操作性向上
Vantageのリアルタイム流体シミュレーターに、煙の広がりや温度拡張を制御するための新しいコントロールが追加されました。これにより、アーティストが意図するモーションや外観をより直感的に形作ることができます。
さらに、VDBキャッシュのエクスポートに対応したことで、シミュレーション結果を本番の制作ワークフローにシームレスに組み込み、必要に応じてさらなる調整を加えることが可能になりました。
表現の手軽さとリアリズムの両立
Parallax interiors(パララックスインテリア)
複雑なモデリングや重いジオメトリ(3Dデータ)を室内に配置しなくても、建物の外観レンダリングに対してリアルな室内の奥行きと照明効果を追加できるようになりました。適用が非常に簡単で、窓ごとに個別の質感を調整することが可能です。
レンダリングの負荷が軽くパフォーマンスを落とさないため、特に夜景のシーンにおいて建物を生き生きと魅力的に見せながら、高速なワークフローを維持できます。
Quick caustics(クイックコースティクス)
水面のキラキラとした光の反射(コースティクス)を、従来よりも簡単な設定と短い時間でレンダリングできるようになりました。
プールや水景などの一般的なシーンにおいて、従来のフォトンベースの複雑な設定や、完全なフォトントレーシングの計算負荷をかけることなく、説得力のある自然な光の模様を生成します。これにより、日常的なビジュアライゼーションで、コースティクスが身近で実用的になりました。
Gaussian Splats の再ライティング
3D Gaussian Splattingで生成されたデータに対し、シーンに合わせて照明のバランスを正確に調整できるようになりました。
環境光が焼き付けられているキャプチャ素材であっても、既存の照明情報を再構成できるため、V-Rayのプロジェクト環境に違和感なく自然に統合させることができます。スプラットアセットを用いたより広範なワークフローに効果的です。
ノード式マテリアルエディタ(プレビュー版)
V-Rayマテリアルを視覚的に構築・調整できる新しいノード式のエディタが追加されました。ノードを繋ぎ合わせていくことでマテリアルの構造やロジックが把握しやすくなり、より高いコントロール性で複雑なシェーダーを作成できます。
既存のマテリアルワークフローを補完する柔軟で直感的なアプローチとなっており、将来の正式リリースに向けた基盤となる早期プレビュー機能とされています。
カメラ機能のブラッシュアップ
シーンのフレーミングとレンダリングにおける精度と柔軟性が大きく向上しました。ジオメトリを複製したり複雑な設定に依存したりすることなく、カメラごとに特定のオブジェクトを表示・非表示(Include/Exclude)にする設定が可能になりました。
また、オブジェクトベースのオートフォーカス機能により、カメラの移動中も選択した被写体や3D空間の指定ポイントにピントを固定し続けることができ、手動での調整作業を大幅に減らすことが可能です。
VFB(フレームバッファ)の強化
レンダリング結果を表示・調整するV-Ray Frame Buffer(VFB)での色調整と画像の扱いが、より確実なものになりました。色の分布を明確に表示する新しいヒストグラムウィジェットが追加されたほか、高度な画像レイヤー機能により、背景、参照画像、透かし(ウォーターマーク)などをVFB内で直接かつ容易に管理できるようになり、調整作業が効率化されます。
実用的なAIツール群
AI Mood Match(プレビュー版)
AI Mood Matchは、理想とする参考写真を読み込むだけで、その写真の照明の雰囲気や色合いに合わせて、シーン内の照明をAIが自動で調整してくれる機能です。
画像内の照明条件を分析し、V-Rayの太陽と空、またはイメージベースドライティング(IBL)を正確に構成してくれるので、手動で数値を何度も微調整する手間を省き、目標とするムードを手早く確実に再現できます。
AI Enhancer:広範囲のディテール向上
床、壁、アスファルト、地形などの大きく均一な表面に対しても、AIがリアルなディテールを追加できるようになりました。
摩耗や汚れ、微妙な不完全さといった自然な変化を適切なスケールで付加することで、手作業でテクスチャを再設定しなくても、広大な領域に深みとリアリズムを与え、単調さを解消できます。
AI Enhancer:精度の改善
個別のオブジェクトに対するAIの処理精度が向上し、より一貫性のある信頼性の高い結果が得られるようになりました。アセットの元の特性や形をしっかりと維持することで、誤解釈や意図しない変形を回避し、手動での修正作業を減らしてシーン全体で安定した品質が保証されています。
4K対応のAIマテリアル生成
AIによるマテリアルジェネレーターが4Kの高解像度テクスチャをサポートするようになり、より鮮明なディテールと実制作レベルの高品質な結果が得られるようになりました。
強化されたインタラクティブな3Dプレビュー画面を利用して、ノーマルマップやラフネス(粗さ)の設定を微調整し、タイリングの具合を確認してからライブラリに保存できます。
アセット配置と制作効率の向上
Cosmos Sets と新規アセットの追加
互換性のある家具や装飾を自然に調和するようにあらかじめ組み合わせた「Cosmos Sets」が追加されました。一つひとつ配置する手間を省き、単一のユニットとして配置できるため、素早く説得力のある空間を構築できます。
配置後に各セット内の要素を再配置することも容易で、リアルな環境を構築する際のスピードと柔軟性が向上します。また、新たに700種類以上のアセットが追加されました。
スキャッター:ペイントによる配置調整
表面に植物などのアセットを自動配置するスキャッター機能に、ペイント操作で分布を正確に制御できるクラスターペイントモードが追加されました。
例えば、芝生の中に花が密集している領域をペイントで指定しつつ、周囲はまばらに保つといった調整が直感的に行えます。一度の操作で、何もない表面を自然な風景にすばやく変換できます。
デカールの分散配置
ひび割れや汚れなどのディテールを表現する「デカール」を、スキャッター機能を使って広い表面に散布できるようになりました。
スキャッターの配置対象(ゲストリスト)にデカールを追加するだけで、平坦な領域全体にランダムな質感をすばやく分散させることができ、パターンの繰り返しを排除して表面をより自然にできます。
車両照明の自動化
景観生成ツールのAnimaを使用すると、シーン内のすべての車両に物理的に正確なヘッドライトとテールライトが自動的に適用されます。追加の設定は一切不要で、交通を生成するだけで、活気に満ちた夜間のリアリズムをすぐに実現できます。
駐車場のスマート生成
Animaの機能を使用して、数回のクリックで空のアスファルトをリアルで車が配置された駐車場に変換できるようになりました。
垂直、斜め、平行駐車といったさまざまな配置パターンを簡単に作成でき、車両を一台ずつ手動で配置する手間を省くことができます。
クラウドを通じたスムーズな連携
Chaos Cloud:レビュー状況の一元管理
Chaos Cloud の新しいレビュー機能は、デザイン承認のためのワークフローを整理し、進行状況を視覚的に管理できる仕組みを提供します。ファイルはカンバン形式で整理され、ドラフトからレビュー、承認までの流れを一目で把握できます。
チームはレビュー用ファイルを送信し、承認を受け、進捗をリアルタイムで確認できるため、これまで建築デザインの承認プロセスを遅らせていたメールや外部ツールでのやり取りを置き換えることができます。
動画ファイルの共同確認
Chaos Cloud Collaborationがビデオファイルをサポートするようになり、プラットフォームの既存のレビューツールと注釈ツールを使用して、アニメーション、ウォークスルー、カメラフライトスルーを提示およびレビューできるようになりました。正確な秒数を選択するか、期間をマークすることで、タイムライン上に直接コメントを残すことができ、具体的で的確な修正指示出しをサポートします。
価格とシステム要件
V-Ray 7 は、Windows 10、11で動作する、3dsMax、Autodesk Revit 、SketchUp 、Rhino などで利用できます。
詳しいシステム要件はこちらから
V-Rayのライセンスは、個人向けの「Solo」、すべてのV-Ray統合版やChaos Vantageなどの関連製品が利用できる「Premium」、および大規模なチームや企業向けの「Enterprise」など、ニーズに合わせたサブスクリプションプランが用意されています。
新しいライセンスの種類と価格は以下の通りとなります。
| プラン | 月額 | 年間 | 3年 | 含まれる製品 |
|---|---|---|---|---|
| V-Ray Solo 基本的なV-Ray機能とCosmosライブラリを利用可能。個人ユーザーや単体プロジェクト向け。 | ¥12,200 | ¥74,400 | – |
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| V-Ray Premium Soloの内容に加え、クラウドレンダリングや高度なシミュレーションツールが含まれる。プロフェッショナル向け。 | ¥17,900 | ¥106,800 | ¥320,400 |
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| ArchViz Collection or M&E Collection Premiumの内容に加え、リアルタイムビジュアライゼーション(Vantage)やキャラクターアニメーション(Anima)も含む | – | ¥176,400 | ¥529,200 |
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※ライセンスにはすべての統合プラグインが含まれています。
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V-Ray 7, update 3: Real-time rendering in V-Ray viewport, boost in AI power, & even more realism























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