2023年11月8日(現地時間)- SideFXは、3Dモデリング、アニメーション、VFX、ルックデベロップメント、ライティング、レンダリングを行うためのプロシージャルソフトウェアの最新アップデート Houdini 20 のリリースを発表しました。
新機能ハイライト
Houdini 20には、Karma XPU、フェザー、雲、マテリアルカタログ、レンダースタッツ、Quad Remesh、APEXキャラクタリギング&アニメーションツールなど、数多くの機能強化や新しいワークフローが含まれています。
アニメーション
Houdini CORE | Houdini FX | Houdini Indie | Houdini Education | Houdini Apprentice
堅牢なプロシージャルリギングツールセットを使用して構築された、アニメーターフレンドリーな環境を提供するために設計された全く新しいコンテキスト APEX が登場しました。APEXはHoudini 20でベータ版として利用できます。
APEX Animate
アニメーターは、新しいAPEX AnimateノードでAPEXリグをロードし、コントロールを使用してキーフレームを設定します。Selection setsとLocatorsを使用すると、ショットを素早くブロックアウトでき、Animation slidersを使用すると、中間モーションを管理できます。
Selection Sets
Locators
Animation Sliders
■ワークフロー
この新しいツール群は、より効率的にアニメートできるように設計されており、一度に複数のキャラクタを処理できる、ビューポート中心の流動的なエクスペリエンスが可能になります。
マルチキャラクター
ビデオリファレンス
コンストレイント
カーブグラフの強化
ダイナミック モーション
ダイナミック モーションとラグドール ツールを使用して、キャラクタや小道具によりリアルなモーションを追加できます。アニメーターは、プロセス全体を完全にコントロールしながら、実際の物理現象を作品に取り入れることができます。
APEX Rigging
KineFXにより、Houdiniリギングがジオメトリレベルになり、ジョイントがジオメトリのように扱われるようになりました。当初は、これらのキャラクタにキネマティクスを追加するためにVEXが使用されていましたが、複雑なリグには非効率であることがわかりました。
APEXは新しい中間レベルのグラフタイプで、ジオメトリをマトリックスやベクターのような小さなタイプと一緒にデータとして操作することができます。これにより、プロシージャルなリギングフレームワークが提供され、パフォーマンスが大幅に向上します。
Everything Geometry
Rig Hierarchy
■ワークフロー
新しいAPEXノードグラフは、リグのすべてのパーツをキャラクタと一緒に保存される実際のジオメトリに変えます。このグラフは、キネマティクス、コントロールジオメトリ、ジョイント回転を定義するリグコンポーネントを使用して構築できます。APEXリグは、リターゲットやモーション編集などのKineFXワークフローと優れた統合性を持っています。
ノードグラフ
リグコンポーネント
リターゲットワークフロー
モーション編集
Electra & Od Studiosリグ
ElectraリグはテストジオメトリとしてHoudiniに付属しており、LuchadorとChickenはコンテンツライブラリから入手できます。これらのリグにより、アニメーターまたリガーとして、新しいAPEXシステムを体験することができます。Luchador & Chickenは、SideFXとのパートナーシップによりOd Studiosによって作成されました。
キャラクターFX
Houdini CORE | Houdini FX | Houdini Indie | Houdini Education | Houdini Apprentice
ファーを補完する新しいフェザーツール、クロス、筋肉、群衆ツールが追加されました。
新しいフェザーツール
Houdiniのフェザーシステムでは、リアルで非常に詳細なフェザーを大量に作成できます。ルックデベロップメント、シェーピング、テクスチャリング、グルーミングに加え、シミュレーションやレンダリング用のツールも用意されており、多彩なノードとアトリビュートにより、羽のデザイン、修正、カスタマイズが可能です。そして、このフェザーシステムはGPUアクセラレーションに対応しています。
■羽のグルーミングとルックデブ
グルーミングツールでは、髪や毛皮のグルーミングに使用されるのと同じテクニックを使って、羽毛の形やスタイルを簡単に整えることができます。
ペイントマスク
交差除去
Vulkanビューポート
Karma XPU
■ヘア&ファーシェーダ
ヘアシェーダは、Karma XPUで動作するように強化されました。 このシェーダは、より正確な生物の見た目を作成することができます。より多くの種類の毛皮をレンダリングできるようになり、特に柔らかいふわふわしたルックを実現できます。
筋肉とスキン
Muscles & Skin システムでは、モデリングされたポリゴン ジオメトリを取り込むことができます。
そのジオメトリからリアルな筋肉の動きとスキンエフェクトを模倣したマルチレイヤーシミュレーションを生成し、シミュレーションを高解像度ジオメトリにエクスポートしてショットに統合することができます。
フランケンマッスル
群衆
新しいツール群を使用し、ジオメトリ[SOP]レベルで群衆を設定できるようになりました。Crowds MotionPathツールは、群衆全体を再シミュレーションすることなく、少数のエージェントのモーションパスやアニメーションを素早く変更することができます。
群衆パス
粘着衝突(Sticky Collisions)
KARMA XPU
Houdini CORE | Houdini FX | Houdini Indie | Houdini Education | Houdini Apprentice
KarmaでレンダリングするためにGPUのスピードにアクセスする機能は、前回のHoudiniリリースで導入されました。Karma XPUは、主要な領域でKarma CPUと同等に機能し、Solarisルックデブおよびライティング環境と統合しプロダクションに対応しました。
Uniform Volumes
Tumblehead
Volume Snow
Thomas Klyhn Christensen
Karma XPUの新機能のうち、Karma CPUと同レベルのものは以下のとおりです。
- Rounded Edges/Dirt Map
- Deep Images
- Point Clouds
- Cryptomatte
- Physical Sky Light
- Portals on Dome Light
- Geometry Lights
- IES Lights
- High Resolution Textures
- Light Filter Shaders
- Bezier Curves
- Fur Material
- ACES: Texture Color Space
- Uniform Volume Geometry
- Pyro Shader for Volumes
- Demand loaded textures with Eviction
- Absorption and Nested Dielectrics
- HdCoordSystem support for shaders
- Automatic texture optimization
- Per-instance property overrides
■レンダリング統計
プロダクションで作業する場合、レンダリングプロセスのあらゆる側面に関する情報は、重要な意思決定に役立ちます。 HoudiniとKarmaは、重要な情報をRender Statsパネルまたは詳細なHTMLレポートに送信するようになりました。
■マテリアルとテクスチャ
シーン用のシェーダーを構築するのには Karma XPU Material X が使用されます。SolarisのMaterial Linkerを通して、ドラッグ&ドロップで適用できるマテリアルのギャラリーにアクセスできるようになりました。
Material Linker | Gallery
Room Map
Hextile
■Solaris Cloneワークフロー
Solarisでレンダリング中に、異なるカメラ、ショット、あるいは時点のクローンプロセスを作成できるようになりました。これらのクローンはローカルまたはレンダーファームでレンダリングでき、シーンの重要な側面をすばやく評価するための高速な並列処理が可能です。
Clone Cameras
Clone Shots
Clone Time
■ライセンスについて
KarmaはHoudiniの内部でも、他のUSDベースのアプリケーションのHydraデリゲートとしても動作するため、追加ライセンスには年間195米ドルのレンタル料がかかりますが、SideFXはHoudini CoreとFXに無料でライセンスをバンドルしています。
注:バンドルされたライセンスは、ローカルとレンダーファーム/クラウドの両方で使用できます。
この新価格は2024年1月1日から適用されます。
環境
Houdini CORE | Houdini FX | Houdini Indie | Houdini Education | Houdini Apprentice
新しいクラウドツールは、地形ツールや海洋ツールと組み合わせて、映画やビデオゲームのための環境を作成できます。
雲ツール
Houdini 20には全く新しい雲システムが搭載されており、個々の雲をスカルプトしたり、空全体を覆うSky Boxをセットアップしたりすることができます。
■雲のルックデブ
球体、ライン、その他のシェイプを使用して雲のシェイプを生成し、ノイズを追加してレンダリングの準備をします。これらの雲ツールは、ビューポートで可視化されるように設計されており、新しいマテリアルによりKarmaで効率的にレンダリングできます。
Skybox
ノイズ
雲シェーダー
地形ツール
■機械学習地形
探索を念頭に置いて作られたONNX Machine Learning Terrainデモをコンテンツライブラリから利用することができます。このデモは、Houdiniで直接使用されるMLモデルの作成から始まります。独自の地形浸食HDA、またはハイトフィールドパターンをプラグインすると、高解像度または低解像度を使用して結果を比較できます。巨大な地形に対してテストすることも、細かく調整された小さなディテールで作業することもできます。
コンテンツライブラリーからML Terrainをダウンロード
■SideFXラボ
SideFX Labsチームは、地形ツールのスイートを長期的に計画しています。Houdini 20では、タイル状の地形上に道路を構築したり、Biomesを設定するために設計されたツールがリリースさています。また、シームレスタイリングをサポートしたMapboxノードもアップデートもおこなわれています。
地形
バイオーム
Mapbox
海洋ツール
SOP レベルでのホワイトウォーターの生成や、より効率的にレンダリングするためのオーシャンプロシージャルなど、新しいツールが追加されました。
SOPレベルのホワイトウォーター
オーシャンプロシージャル
VFX
Houdini CORE | Houdini FX | Houdini Indie | Houdini Education | Houdini Apprentice
新しいRippleソルバーやRigid Body Cone Twistハンドルなど、多くの改善により、FXアーティストのQoLが向上しました。
リジッドボディ ダイナミクス
新しいCone Twistインターフェイスや マテリアル フラクチャリングによる曲面ガラスのサポートなど、Rigid Bodyツールの機能が強化されました。さらに、風力に対するオクルージョンもサポートされました。
Wind Break
RBD Cone Twist
RBD Curved Glass
新しいソルバー
バブルの相互作用を処理するソルバーや、水たまりを作ったり、キャラクタに当たる衝撃音をシミュレートできるリップルソルバーなど、Houdini 20はVFXアーティストに実用的なソリューションが追加されています。
パイロFX
Houdini 20には、リアルタイムエフェクトの準備に最適なSideFX Labsの一部として、アップデートされたLoopツールが含まれています。また、よりテクニカルなソリューションのためのOpen CLへのアクセスも向上しています。
Labs Loop
Open CL Snippets
メッシュ化
Houdini 20では、Quad Remesh、Topoflow、LIDAR Import、Point Cloud Surfaceなどの新しいツールにより、高解像度のジオメトリを管理しながら、より効率的に作業することができるようになりました。
Quad Remesh [ベータ版]
Topoflow
LIDAR | Head
LIDAR | Landscape
Unreal 用 Houdini エンジン
Unrealの新しいHoudini Toolsパネルを使用して、Houdiniデジタルアセットに素早くアクセスできます。Houdini Engineは、UnrealのWorld Partitionでネイティブに動作し、Unrealのスプラインでも動作するようになりました。
Houdini Engine for Unreal ページへ
その他すべてのアップデート内容の確認はこちらから(英語)
日本語版は公開されるとこちらに表示されるはずです。
価格とシステム要件
Houdini 20 は、Windows 10 (64 ビット)以降、macOS 11 以降を搭載した 64 ビット Intel ベースまたは Apple Silicon Mac、Linuxで利用できます。
より詳しいシステム要件の確認はこちらから
価格は以下の通りです。
■Houdini Indie
独立系アニメータやゲーム製作者が、事業化を目指すインキュベーション段階において Houdini を必要とする場合、Houdini Indie を導入すれば、Houdini のアニメーションおよびビジュアルエフェクトの全ツールを制限付き商用ライセンスで利用できます。
価格はサブスクリプションで269ドル/年または399ドル/2年です。
■Houdini Core
モデリング、ライティング、キャラクタリグ、アニメーションそしてゲームアーティストの為の Houdini Core には合成とモーション編集などの機能も含まれます。Houdini FX で作成したシーンは、Houdini Core で開くこともレンダリングすることもでき、理想的なバックエンドパイプラインツールになります。
価格は永久ライセンスで1995ドル、アップグレードは995ドルです。
■Houdini FX
Houdini FX は、優れたパフォーマンスと飛躍的に使いやすい機能により、パワフルでかつ便利な3Dエクスペリエンスを提供します。Houdini の持つプロシージャルなノードベースのワークフローにより、迅速なコンテンツ作成が可能になり、あらゆるクリエイティブタスクにおいて、時間短縮と優れた柔軟性を享受できます。
価格は永久ライセンスで4495ドル、アップグレードは2495ドルです。
また、無料体験版で学生やプロシージャル手法を習得したい方は、無料のライセンスHoudini Apprenticeが利用できます。
その他すべての価格オプションの確認はこちらから
それぞれの機能比較はこちらから
コメント