2021年12月2日(現地時間)Open 3D Foundation (O3DF) とそのメンバーである Adobe、AWS、Huawei、Intel、Niantic は、Open 3D Engine プロジェクトの最初のメジャーアップデート O3DE Stable 21.11 のリリースを発表しました。
Open 3D Engine (O3DE)について
Open 3D Engine (O3DE)は、AWSが開発していたゲームエンジン「Lumberyard」をベースとしたクロスプラットフォームのオープンソースゲームエンジンです。詳しい情報は以下をご覧ください。
2021年7月に発表以降、幅広い業界から250名以上の開発者が2,182以上のpull requestと1,801のissueに貢献しています。
新機能ハイライト
Windows用インストーラとLinuxサポート
■Windows用バイナリインストーラが登場
Open 3D EngineのWindows用バイナリインストーラが利用可能になりました。これにより、毎回ソースからビルドする必要がなくなるので、簡単にO3DEを試すことができます。
■Linux 用のプレビュー版
すべてのバグや問題が解決されているわけではありませんが、O3DEクライアントアプリケーションやランタイム(O3DE Editorなど)をLinuxデスクトップで実行できるようになりました。
現在、Ubuntu 20.04.3 LTS (Focal Fossa)の公式サポートは、ビルド済みのバイナリdebianパッケージのみとなっています。
LinuxでO3DEを使い始めるには、Linux install documentationをご覧ください。また、Linux用のO3DEをソースからビルドする方法については、 Linux build documentationをご覧ください。
Atomの改善
Open 3D EngineのレンダリングライブラリであるAtomも、このリリースで多くの改良が加えられました。上記のLinux 用のプレビュー版が利用可能になったことにより、LinuxでもAtomがプレビュー状態でサポートされるようになりました。
■デバッグツールの改善
CPUプロファイラがO3DEのすべてで動作するようになり、自分のランタイムに対してより正確なプロファイリングを行えるようになりました。また、renderdocのサポートが追加、カスタムGPUビジュアライザが提供され、レンダリングパイプラインの高度な診断を実行できるようになりました。
■TressFX 4.1をサポート
コンテンツ制作者のために、AtomはAtomTressFX Gemを介してTressFX 4.1をサポートするようになりました。AtomTressFX Gem を使用すると、リアルな髪、毛皮、その他の密集した薄いボリュームを持つサーフェイスを作成、モデリング、シミュレートすることができるようになります。
エディタの改良
Open 3D Engine Editor 2111.1では、他のエンジンと同様にパフォーマンスと安定性が全面的に大きく改善されました。
■最も重要なのは、プレハブ(prefabs)がワールド内で1つのオブジェクトとして表現されるようになり、プレハブ自体を編集するためには、エディタでプレハブの編集アクションを使用する必要があることです。
プレハブの編集は、Editorでオブジェクトをダブルクリックすることで可能です。プレハブ編集モードにロックされている間、Editorビューポートを通して見えるプレハブの他のインスタンスはリアルタイムに更新されます。
■また、もう一つ重要な変更点として、エディタでの “sticky-select”がデフォルトでなくなりました。これにより、編集中のエンティティの選択を解除する際に、ダブルクリックする必要がなくなりました。この機能を再度有効にしたい場合は、Editor Settingsか /Amazon/Preferences/Editor/StickySelect registry settingで変更できます。
ハイトフィールドベースの地形
実験的な地形システムが導入されました。この地形システムは、幾何学的な平面上の変形を定義するためにハイトマップを使用して、世界の地形を作成することができます。
実装の進捗状況や予定している計画については、O3DE SIG-Content RFC #4を参照してください。
外部ジェムのサポート
Open 3D Engine Project Managerは、公式Gemカタログ以外に存在するGemをサポートするように改良されました。この機能は、プロジェクトマネージャにソースコントロールリポジトリを登録し、これを外部ソースとして使用して、プロジェクトに Gem をプルしてインストールすることができるようになるものです。
また、Open 3D Foundation のメンバーは、拡張可能な Gem システムを通じて O3DE に新しい機能を提供しています。
- Kytheraは、人工知能Gemのアップデートをリリースし、ビルド済みのO3DE SDKのサポートを追加して、クリエイターがゲームやシミュレーションにAI動作を含めることを可能にしました。
- Cesiumは、地理空間3Dタイル拡張機能をリリース。
- PopcornFXは、パーティクルビジュアルエフェクト用のGemをリリース。
このリリースでは、他にもパフォーマンスプロファイリングおよびベンチマークツール、マルチプレイヤー ネットワーク システムの Script Canvas 統合、Windows、Linux、MacOS、iOS、Android のプラットフォームをサポートするエンジンカスタマイズ用の SDK といった新しい開発者向け機能も追加されています。
すべてのアップデート内容の確認はこちらから
ダウンロードとシステム要件
O3DE Stable 21.11 Release はWindows10 64-bit(バージョン1809、10.0.17763以降)、Linux Ubuntu 20.04 LTS で利用できます。
開発者は、GitHubからソースコードを入手し、エンジンのコンポーネントの拡張、新しいコンテンツワークフローの開発、プラットフォーム固有のランタイムバイナリの構築を開始することができます。
コンテンツ制作者は、新しいWindowsインストーラまたはDebianパッケージを入手し、エンジンの3Dオーサリングツールを使用してゲームやシミュレーションの構築を開始することができます。
WindowsインストーラまたはDebianパッケージのダウンロードはこちらから
Open 3D Foundation announces first major release of Open 3D Engine
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