4月に発表されたBlender向けの新たなシミュレーションツール「NeXus for Blender」のベータ版が公開されました。
ここでは、毎週公開されていた機能動画やベータ版の情報をまとめて紹介します。
NeXus for Blenderとは
「NeXus for Blender」は、Cinema 4D向けの高度なパーティクル・VFXシミュレーションプラグイン「INSYDIUM Fused」(X-Particlesなど)で知られる INSYDIUM によるBlender向けの新たなシミュレーションツールです。
「NeXus」は、既存のツールの単なる移植ではなく、Blenderのためにゼロから再構築されたGPUシミュレーションシステムとなっています。流体力学、炎、有機的な広がりを持つエフェクト、あるいは制約ベースのダイナミクスに至るまで、すべての計算がGPU上で実行されます。
これにより、ビューポートでのリアルタイムなフィードバックと、非常に高速なイテレーション(試行錯誤)が可能です。
主な機能
以下は、公式プレビュー動画で紹介された、NeXusの強力な各モジュールの機能と実際の動作となります。
流体シミュレーション
nxFluids FLIP/APIC
キャッシュ不要のライブプレイバックを実現。粘度ソルバや王冠(クラウン)スプラッシュ生成など、リアルタイムに調整しながら高度で柔軟な流体表現を作成できます。
炎と煙の表現
nxExplosiaFX
GPUアクセラレーションによる高速なガス状シミュレーション。カスタム燃焼モデルを使用し、かすかな煙から映画クオリティの爆発まで構築可能です。
インテリジェントなパーティクル
nxQuestion
パーティクルの速度・年齢・色・近接度などの条件に基づき、周囲の環境を知覚してリアルタイムに反応させることができるルールベースの論理制御機能です。
レンダリングとジオメトリ
Geometry and Rendering
Cycles と EEVEE をシームレスにサポート。ジオメトリノードやインスタンスコレクションと連携し、色情報の転送や高速なポリゴン化を実現します。
感染と伝播
nxInfectio
パーティクル間で感染や伝播のような効果を広げ、影響力や成長スピードを制御しながら、有機的で進化していく振る舞いを表現します。
引力と回避
nxAvoid & nxAttract
指定したオブジェクトの回避や引力、フォールオフ(減衰)制御を組み合わせることで、障害物周りのパーティクルの流れを正確にアートディレクトします。
制約と破壊
nxConstraints
パーティクル間に自然な繋がり(コンストレイント)を構築し、力に対する柔軟な動きから、一定の負荷で千切れる破壊行動までをシミュレートできます。
粉体・大規模流体
nxFluids SPH
SPHソルバを使用し、細かな粉体(グラニュラー)エフェクトから大規模な液体シミュレーションまで、無数のセットアップとライブインタラクションが可能です。
押し出しと乱気流
nxPush
nxTurbulenceなどのフォースと組み合わせることで、パーティクル同士の重なりを防ぎつつ、自然で有機的なパーティクルの動きを作り出せます。
スケール制御
nxScale
ノイズ、頂点マップ、GPUフォールオフ、カスタムイーズスプラインなどを使用して、動的で制御しやすいスケール(拡大・縮小)効果を生み出せます。
流体の色ブレンドと衝突
nxFluids PBD
複数のエミッターからの放出、色のブレンド、インタラクティブなコライダー(衝突判定)を用いて、リアルタイムに流体のダイナミクスを調整できます。
エミッターの形状と表示
Emitter Shapes & Displays
スピードと精度を考慮して設計された柔軟な発生源(エミッター)の制御。多彩な形状や表示オプションにより、エフェクトの発生方法を細かくコントロール可能です。
メッシュ生成
nxMesher
計算されたパーティクルのポイントデータから、リアルタイムに滑らかなポリゴンメッシュを生成し、液体などの表面を描画します。
すべての機能リストを見る
NeXusには、シミュレーションの構築からメッシュ化、細かな制御まで、多岐にわたるモジュールが用意されています。
シミュレーション (Simulation)
- nxConstraints複数の制約タイプを備えたパーティクル・コンストレイント・ソルバ
- nxExplosiaFX炎と煙のシミュレーション
- nxFlock群集(フロッキング)の振る舞いを再現
- nxFluidsPBD、SPH、FLIP、APICソルバを使用した液体および粉体シミュレーション
- nxInfectioパーティクル間での感染や伝播(広がり)のシミュレーション
エミッション・メッシュ化・カーブ (Emission, Meshing and Curves)
- nxEmitterパーティクル発生のソース(発生源)
- nxGeneratorすべてのアクティブなパーティクル位置にメッシュをインスタンス化
- nxMesherパーティクルエミッターからポリゴンメッシュを生成
- nxTrailビューポートオーバーレイ、またはカーブとしてのパーティクルの軌跡(トレイル)
- nxUpresソースから対象となるエミッターへパーティクルをアップレス(高解像度化)
フォース (Forces)
- nxAttractモディファイアやターゲットオブジェクトに向けてパーティクルを引き寄せる
- nxAvoid指定したオブジェクトをパーティクルに回避させる
- nxDragパーティクルに空気抵抗(ドラッグ)を適用
- nxExplodeあるポイントから外側に向かってパーティクルを爆発させる
- nxGravityパーティクルに重力を適用
- nxSplashパーティクルを外側へ押し出すスプラッシュ(飛沫)コーンエフェクト
- nxTurbulenceタービュランス(乱気流)ノイズによる力
- nxVorticity渦度閉じ込め(Vorticity confinement)による力
- nxWindパーティクルに風の力を適用
動きと形状制御 (Motion and Shaping)
- nxBlend隣接するパーティクル間でパラメータをブレンド
- nxCoverターゲットオブジェクトの表面を覆う
- nxDirectionパーティクルの進行方向に対する階層的な制御
- nxFollowGeoジオメトリの表面やエッジに沿って追従
- nxPush重なりを防ぐためにパーティクル同士を押し離す
- nxRotateパーティクルに回転力を適用
- nxScaleジオメトリ、半径、または質量を階層的な操作でスケール
- nxSpeedパーティクルの速度に対する階層的な制御
- nxSpinパーティクルのスピン(自転)に対する階層的な制御
- nxStickyオブジェクトの表面にパーティクルを貼り付ける
- nxWaveノイズパターンを利用した波の動き
相互作用と制御 (Interaction and Control)
- nxColliderメッシュオブジェクトとパーティクルを衝突させる
- nxColorパーティクルカラーの階層的な制御
- nxKillボリューム、オブジェクト、またはカウント数に基づいてパーティクルを消滅(キル)させる
- nxLimit階層的な操作を用いてパーティクルのプロパティを制限する
- nxQuestionパーティクルごとの条件付きロジック(特定の条件を満たした場合の処理)
ベータ版の利用方法
6月1日より、Beta版はカスタマーアカウントを作成すれば完全無料でダウンロードして利用することができます。
ライセンスおよびBeta版へアクセスするためには、INSYDIUMのカスタマーアカウントが必要となります。
すでにアカウントをお持ちの方はそのまま利用可能です。まだお持ちでない方は、こちらからカスタマーアカウントの作成ができます。
■インストール手順(Blender 4.3以降)
NeXusは、Blender 4.3で導入された「Extensions(拡張機能)」のオンラインリポジトリ経由で提供されます。
- Blender上部メニューから 編集(Edit) > プリファレンス(Preferences) > 拡張機能(Get Extensions) を開きます。
- 画面右上の「リポジトリ(Repositoriess)」ドロップダウンを開き、「+」ボタンをクリックしてリモートリポジトリを追加 (Add Extension Repository )を選択します。
- URL欄に
https://extensions.insydium.ltdを入力します。 - Requires Access Token にチェックを入れます。
- Secret欄に、ご自身に提供されたアクセストークン(※)を入力し、「作成(Create)」をクリックします。
※アクセストークン(例: insx_…)は、Beta版参加時やアカウント発行時にINSYDIUMから個別に提供される文字列をご使用ください。 - 「Enable Check for Updates on Startup(起動時にアップデートを確認)」を有効にすることが推奨されています。ベータ期間中は頻繁に更新されるため、これを入れておくことで最新ビルドを見逃さずに済みます。
- 拡張機能(Get Extensions)の検索窓で「INSYDIUM」と検索し、INSYDIUM NeXus (BETA) の「Install」をクリックします。
- 最後に 編集 > プリファレンス > アドオン(Add-ons) の項目からインストールしたNeXusを展開し、ご自身のINSYDIUMライセンスを入力してアクティベートします。
システム要件と動作環境
このソフトウェアはBlender 4.3以降で利用可能です。
Blender 4.3で追加された「Blender Extensions プラットフォーム」経由でインストールを行います。Blender 4.5 LTS(2027年7月までの長期サポート版)や、Blender 5以降のすべてのバージョンもサポートされているとのことです。
また、NeXusはGPUアクセラレーションを前提としているため、最新のドライバが適用された最新世代のGPUと、最低4GBのVRAMが必要です。
- WindowsおよびLinux環境:Vulkan 1.3が必要
- macOS環境:Metal 3が必要
※ライセンス認証はオンラインで行われるため、アクティブなインターネット接続環境が必須です。
対応オペレーティングシステムは以下の通りです。
- Windows: Windows 8.1 以降(MSVC v142 ランタイムが必要)
- macOS: macOS 13.0 (Ventura) 以降
- Linux*: glibc 2.31 以降(例: Ubuntu 20.04 LTSなど)
※現在Windows版およびmacOS版が利用可能です。Linux版のビルドは近日公開予定(Coming soon)となっております。
匿名の利用統計情報に関するお知らせ
INSYDIUM NeXusは、開発の参考とするために匿名の利用統計情報を送信します。Beta版の期間中、この機能は常に有効となっており、無効にすることはできません。ただし、収集される統計は完全に匿名化されており、個人情報が保存されることが明言されています。
価格と発売時期について
ベータ版のリリースと同時に価格と正式リリース時期も発表されました。
製品版の価格は£140または$203.00(税抜)です。日本円だと3万円程です。
※INSYDIUMは、買い切りライセンスとサブスクリプション形式どちらも販売しています。製品内に買い切りライセンス化の表記はありませんが、公式ショップにおける既存製品の表記から、今回提示されている£140という価格は買い切り(永久ライセンス)である可能性が高いと推測されます。
ローンチ特典でべータ期間中は30%オフの特別価格で購入可能です。
既存ライセンスをお持ちの方は、最新のINSYDIUMライセンスを既に所有している場合、追加費用なしで「NeXus for Blender」アドオンが含まれます。カスタマーアカウントから直接ダウンロードが可能です。






















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