2025年11月27日(現地時間) – Nekki は、物理演算を活用したアニメーションツール「Cascadeur」の最新バージョン、2025.3をリリースしました。
新機能ハイライト
今回のアップデートでは、アニメーション制作のワークフローに関して重要な改善が行われました。主な内容は、インビトウィーン機能の完全統合と、四足歩行キャラクターへの対応(AutoPosingとQuick Rigging)です。
また、将来的な描画エンジンの更新を見据え、Filamentレンダラーを利用した実験的なビルドも別途ダウンロードできるようになっています。
インビトウィーン機能の刷新
「インビトウィーン(中割り)」機能が大幅に改良され、従来のような独立した機能ではなく、タイムラインの補間(Interpolation)システムの一種として再設計されました。これにより、アニメーション制作の柔軟性が大きく向上しています。

タイムラインの「Interpolation」メニューに統合されたインビトウィーン機能
主な変更点とメリットは以下の通りです。
- スタイル設定へのアクセス向上: 以前は「シーン設定」パネルにあったスタイルオプションが、タイムラインのコンテキストメニュー(右クリック)から直接利用可能になりました。「AI説明(AI description)」リストを使用して、手軽にアニメーションのスタイルを設定できます。
- トラックごとの精密な制御: 特定のアニメーショントラックにのみ中割りを適用し、他のトラックには通常の補間を使用するといったハイブリッドな設定が可能です。

タイムラインの右クリックメニューからAIスタイルを設定可能
- 自動更新機能: アニメーションにキーフレームを追加したり変更を加えても、手動でリセットする必要はありません。「Update Inbetweening」オプション(デフォルトで有効)により、中割りは自動的に再計算されます。
- モーションクリーニング: シーン設定パネルには、中割りアニメーションに対して「Fulcrum Motion Cleaning」を適用するオプションも追加され、より滑らかな動きをサポートします。
補足: 従来の方法で中割りを使用したい場合も、タイムラインメニューの「Inbetweening」項目から引き続き利用可能です。この場合も同メニューからスタイルの設定が行えます。
四足歩行キャラクターへの対応 Alpha
四足歩行キャラクター(動物やクリーチャーなど)のサポートが追加されました。
- AutoPosing (Pro版以上): オートポージング機能が四足歩行キャラクターを正しく認識し、ポーズ作成を支援してくれます。
- Quick Rigging Tool: クイックリギングツールに「Quadruped(四足)」タブが追加され、簡単にセットアップが可能になりました。
Filamentレンダラーのプレビュー Alpha
Cascadeurの将来的な標準レンダラーとなる予定の「Filament」エンジンを先行体験できるビルドが公開されました。
Filamentは、Android、iOS、Linux、macOS、Windows、WebGL向けに開発された、クロスプラットフォームのリアルタイム物理ベースレンダリング(PBR)エンジンです。可能な限り軽量かつ効率的に動作するように設計されており、高品質なグラフィックスを低い負荷で実現します。
詳細やソースコードについては、GitHubページをご参照ください。
Filamentは、以下のような高度なレンダリング技術をサポートしており、3Dシーンをよりリアルに視覚化します。
- 環境光 (Environment lighting)
- 影 (Shadows)
- アンビエントオクルージョン (Ambient Occlusion)
これらの設定は、「Visible/Selectable」メニュー内の「View」セクションから調整可能です。

ビューポート設定の「View」項目でシャドウやAOの設定が可能
さらに、従来の「Simple Textures(単純なテクスチャ)」は、より複雑でリアルな表現が可能な「Materials(マテリアル)」に置き換わりました。これにより、カラー、ラフネス(粗さ)など、個別のテクスチャをサポートすることができるようになりました。
また、FBXファイルをシーンにインポートする際、ファイルに含まれるマテリアル設定も同時にインポートされるようになりました。
注意(2025.3時点での制限事項):
- Filamentは実験的な機能であり、利用するには別途インストールファイルをダウンロードする必要があります。
- 現在はWindows版のみの提供です。
- 「Ghosts(ゴースト)」や「Linked Scenes(リンクシーン)」など、一部の機能はまだサポートされていません。
※将来的に、Filamentはすべてのプラットフォームにおいて、Cascadeurの標準機能として統合される予定です。
リギングと物理演算の改善
リギングツールの強化
Quick Rigging Toolが「ツイストボーン(Twist bones)」に対応しました。これは専用のTwistsタブで設定が可能です。
この機能はDaz StudioやCharacter Creator等の複雑なリグを持つキャラクターをリギングするときに役立ちます。

新たに追加された「Twists」タブ
物理演算のアップデート
- AutoPhysics: キャラクター間の相互作用(インタラクション)の挙動が改善されました。
- ラグドール (Ragdoll): 関節の角度制限(Angle limits)が追加され、より自然な挙動設定が可能になりました。
その他の改善・修正点
上記の主要機能以外にも、多数のユーザビリティ向上とバグ修正が行われています。
- パフォーマンス向上: 長尺のアニメーション再生時のパフォーマンスが改善されました。
- ファイル形式: GLB/GLTFのインポート機能が強化され、VRM形式もサポートされました。
- カメラ機能: FBX等でのカメラオブジェクトのインポート/エクスポートが可能になり、設定項目も刷新されました。
- シーンリンク: リンクされたシーンの制御オプションや同期機能が改善されました。
- 主なバグ修正:
- FBXインポート時のメッシュ崩れやカメラ生成に関する修正
- SpaceMouse(3Dマウス)使用時のナビゲーションやズーム挙動の改善
- 直交ビュー(Orthographic view)での操作性改善
- その他、多数の安定性向上
価格とシステム要件
Cascadeur は、Windows 10 (バージョン1809以降), 11、Ubuntu 20.04以降macOS 13.3以降で利用できます。
より詳しいシステム要件の確認はこちらから
Cascadeur Free、Indie、Pro、Teamsライセンスの4種類となります。
- Cascadeur Free: アニメーションのアンベイクやレイアウトのカスタマイズなど、新機能の多くを提供。アニメーションは独自の.CASCフォーマットでのみ保存されます。
- Cascadeur Indie (96ドル/年または19ドル/月): 独立系アニメーターや小規模スタジオ向け、従来のProオプションの3分の1以下のコストで、無制限のアニメーションエクスポートを提供します。このライセンスには、Cascadeur Freeのすべての利点と、FBX、DAE、USDへのエクスポートオプションが含まれています。
- Cascadeur Pro (396ドル/年または49ドル/月): 最も包括的なツールをお探しのプロのアニメーターやスタジオ向けです。Cascadeur Proには、シーンリンキング、アニメーションリターゲット、Physicsの環境インタラクション強化などの高度な機能が含まれており、高品質なアニメーションの制作に必要なすべてを提供します。
- Cascadeur Teams : 6人以上のチームには割引が適用されます。このプランはお問い合わせが必要です。
※CascadeurのIndieおよびProライセンスは、年払いを選択すると、最低利用期間である1年後に自動的に永久ライセンスに変更されます。
つまり、最初の1年後にサブスクリプションをキャンセルした場合でも、サブスクリプション期間中にリリースされた最後のバージョンを、時間の制限なくフルに使用し続けることができます。

























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