2025年4月2日(現地時間) – Adobe は、VFXとモーショングラフィックスソフトウェアの最新アップデート After Effects 2025年4月アップデート(バージョン25.2)をリリースしました。
新機能ハイライト
このアップデートでは、キャッシュの改善によるプレビュー再生の改善、HDRプレビューのサポート、プロパティパネルでの3Dモデルアニメーションコントロール、アニメーション化された環境光など多数の新機能が追加されました。
高性能プレビュー再生
以前のバージョンの After Effects では、プレビューとレンダリングは RAM に大きく依存していましたが、このアップデートではディスクキャッシュ管理が強化され、プレビューの再生がより快適になりました。
これにより、特に複雑なコンポジションでもスムーズな再生が可能になり、プレビューや編集時の再レンダリングの必要性が大幅に減少します。
主な利点は以下の通りです:
- より長いプレビュー: 利用可能な RAM の制約を受けずに、コンポジション全体を再生できます。
- パフォーマンスの向上: 低スペックのシステムでも、より快適に作業できるようになります。
- 効率的なキャッシュ: RAM がより効果的に活用され、ディスクキャッシュとメモリのバランスが自動的に最適化されます。
このオプションは、フォルトでオンになっており、特別な設定は不要で利用可能です。オフにする場合は、「環境設定」>「メディアとディスクキャッシュ」>「ディスクキャッシュ」>「ディスクキャッシュからプレビューを有効にする」のチェックを外してください。
HDR プレビューのサポート
HDR (ハイダイナミックレンジ) コンテンツの作業において、より正確なプレビューが可能になりました。
HDR 対応ディスプレイや Mercury Transmit を介して、Adobe カラー管理プロジェクトでフルダイナミックレンジの HDR コンポジションをプレビューできるようになりました。
この更新により、HDR メディアを読み込んでコンポジションに追加し、モニターまたは外部ハードウェアで HDR での作業をプレビューして、書き出し時に最終出力を正確に表示できます。

プロパティパネルの3Dモデルアニメーションコントロール
「プロパティ」パネルが拡張され、3D モデルのオプションを直接調整できるようになりました。これにより、ライトやシャドウとの相互作用、埋め込まれたアニメーションの選択などがしやすくなります。
「シャドウをキャスト」、「シャドウを受ける」、「ライトを受ける」、「シャドウのカラー」といったコンポジットオプションは、サポートされているすべての 3D モデル形式で利用可能です。また、GLB および GLTF レイヤーでは、アニメーションオプションにアクセスできるので、埋め込まれたアニメーションを使用することができます。
アニメーション化された環境光
HDR および EXR 静止画ファイルだけでなく、ビデオ、静止画、アニメーション化されたコンポジション、その他のレイヤーを環境光として割り当てられるようになりました。
これにより、3D モデルで、ビデオのライトの明るさ、カラー、位置の変化に反応し、自然で状況に応じた正確な照明と反射を実現できます。
3Dワークフローの新しいコマンドセット
一般的な 3D ワークフローを効率化するための新しいコマンドセットが追加されました。これにより、カメラのようにライトを操作したり、3D モデルに 2D エフェクトを適用したり、コンポジション内で環境ライトの 360 度表現を視覚化したりといった操作が、より簡単に行えます。
- レイヤー > 作成 > 3D レイヤーインスタンスを作成: 3D オブジェクトに 2D エフェクトを適用します。
- レイヤー > ライト > カメラでライトを制御: ライトにリンクされた移動可能なカメラを作成します。
- レイヤー > ライト > 環境光背景レイヤーを作成: 環境光源を視覚化します。
コンポジション内で、「カメラでライトを制御」を使用して照明を調整し、カメラの視点から変更を確認する例
透明度グリッドのカスタマイズ
グリッド&ガイド環境設定の新しいオプションセットを使用して、コンポジションのコンテンツの背後に表示される透明グリッドのサイズとカラーを変更できるようになりました。グリッドとガイド環境設定パネルの新しいセクションからこの設定にアクセスすることができます。
コンポジション要素の背後にある透明グリッドのサイズとカラーを調整すると、様々な要素に対するコントラストが向上し、視認性が向上するので、デザインの他の部分と透明な部分を簡単に区別できるようになります。さらに、グリッドのカラーを個人の好みやプロジェクトの要件に合うようにカスタマイズすると、ワークスペースがより便利で効率的になります。

パネルの背景色のカスタマイズ
「コンポジション」「レイヤー」「フッテージ」パネルの空の領域の背景色をカスタマイズできるようになりました。
5 つのグレーの明るさレベルから背景色を選択するか、カスタムカラーを選択して、コンポジションの周囲の空白の領域の背景色をカスタマイズできます。
プロジェクトを開く際にワークスペースを維持
After Effects の新しい環境設定では、異なるワークスペースで保存されたプロジェクトを開く際に、現在のワークスペースレイアウトを維持できるようになりました。
「環境設定」>「一般」>「プロジェクトを開く際に現在のワークスペースを維持」オプションを有効にすると、プロジェクトが変わってもレイアウトが維持されるため、毎回ワークスペースを再配置する手間が省けます。

ポイントからヌルを作成するための新しいコマンド
「位置プロパティのヌルコントローラー」を使用すると、任意の位置ポイントから迅速にヌルを作成し、そのポイントを独立したレイヤーとして個別にアニメーション化できます。これにより、「シェイプ」「オブジェクト」「レイヤー」内の「位置」や「アンカーポイント」などの特定のポイントを、他の要素に影響を与えることなく正確に制御できます。
パスポイントからヌルを作成することで、複雑なパスアニメーションをより細かく制御し、他のレイヤーをパスに簡単にアタッチできます。
以下は、「シェイプ」または「マスクパス」プロパティのポイントに基づいてヌルを作成するために使用できる 3 つのコマンドです。
- パスポイントのヌルコントローラー:選択した「パス」または「マスクパス」プロパティの各ポイントにヌルコントローラーを作成します。各ヌルはパス上の 1 つのポイント(頂点)の位置を制御しますが、レイヤー制御エクスプレッションコントロールを使用すると、ポイントを他のレイヤーにリンクできます。
- パスポイントに続くヌル:選択した「パス」プロパティの各ポイントにヌルレイヤーを作成します。ポイントを制御するのではなく、各ヌルはそれぞれのパスポイントに追従します。リンクされたヌルに対して他のレイヤーをペアレンティングすることで、アニメーションパスに対して他のレイヤーをペアレンティングできるようになります。
- パスに沿ったヌルトレース:選択した「パス」プロパティに沿ってトレースするヌルを作成し、パスのカーブに合うように方向を変更し、パスのアニメーションと一致させます。 ヌルレイヤーにコントローラーエフェクトを追加して、パスの進行を調整し、パスが終点に到達したときにパスの始点に戻すかどうかを決定します。

その他のアップデート
- Dynamic Link 経由のカラー相互運用性: After Effects のカラーマネジメントが改善され、Dynamic Link を使用して、After Effects と Premiere Pro の間でカラーマネジメント済みのシーケンスクリップをラウンドトリップできるようになりました。
- FBXファイルのインポートサポート: After Effects の 3D コンポジションに FBX ファイルを直接インポートできるようになりました。FBX は 3D モデルに広く使用されている形式であり、モデルだけでなく、埋め込まれたアニメーション、カメラ、ライトも取り込むことができます。
その他最新の修正、パフォーマンスの向上などの詳細についてはこちらから
ベータ版の新機能
今回のアップデートでは、前回のクイックアンカー設定に加えて、2つのベータ版の機能が追加されています。
スムーズズーム
この新機能では、「コンポジション」、「レイヤー」、「フッテージ」パネルにおいて、33%、50%、100% などの固定された拡大率にとどまらず、スムーズで正確な拡大縮小ができるようになります。
画像バッファサイズが許容する限り、以前の制限を超えてズームインが可能です。たとえば、固定された拡大率によって以前は 3200% の制限がありましたが、現在はその値と次の固定レベルである 6400% の間の細かい数値のズーム率にも到達できます。
ビューア内のホットテキストコントロールを使用すると、小数点以下の精度で任意の有効な値に拡大率を調整できます。さらに、スクロールホイールによるズーム操作は、よりスムーズで正確となっています。
環境設定から「ズーム」の「種類」、「動作」、「トラックパッドスクロール」の設定を調整可能です。よりスムーズなズームとより正確な拡大率調整を有効にするには、「スムーズ」を選択します。
スクロールズーム中に、Shift キーを押すとズーム速度が上がり、Ctrl キー (Windows) または Command キー (macOS) を押すとズーム速度が遅くなります。
CICP メタデータのサポート
CICP メタデータは、カラー空間を指定するための放送業界標準であり、ITU-T H.273 規格に従って、ビデオのカラー空間(原色)、伝達関数、マトリックス係数、および画像の拡大縮小率をコードポイントを使用して定義します。
After Effects は、異なるデバイスやプラットフォーム間で正確なカラーマネジメントと一貫性を確保するために、CICP メタデータを使用して HDR コンテンツをインポートおよびエクスポートできるようになりました。
価格とシステム要件
After Effects は、Windows 10(64 ビット) V22H2 以降、macOS Monterey(バージョン 12)以降で利用できます。
より詳しいシステム要件はこちらから
After Effectsの単体プランの価格は以下の通りです。
- 年間プラン, (月々払い) — 3,280 円/月(税込)
- 年間プラン, (一括払い) — 34,680 円/年(税込)
- 月々プラン — 4,980円 /月(税込)
また、After Effectsは、Creative Cloud コンプリートプランの一部としても利用できます。
現在、新生活応援SALEキャンペーンが開催中です。
このキャンペーンでは、年間プラン, (月々払い)と年間プラン, (一括払い)が半額となります。
なお、初めて個人版Creative Cloudコンプリートプランを購入する方が対象です。以前ご購入のある方、既存契約のある方は購入できないのでご注意ください。
期間:2025年4月4日23時59分(日本時間)まで
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