2024年10月22日(現地時間) – Adobeは、デスクトップ&VRモデリングソフトウェアの最新アップデート Substance 3D Modeler V1.15 をリリースしました。
ここでは、Substance 3D Modeler V1.15-V1.19の新機能を紹介しています。
新機能ハイライト
V1.15では、ベータ版で利用可能だったプリミティブワークフローが正式に追加されました。
プリミティブ(Primitive)
プリミティブにより、複雑なジオメトリを作成するために高度にカスタマイズ可能な形状を使用できる新しい非破壊ワークフローが可能となりました。
基本的な形状でブーリアン演算とブレンド演算を使用して複雑なジオメトリを作成することができます。
※ベータ版での動画:UIなどが異なっている場合があります。
この機能は、以前からModelerのパブリックベータ版で利用可能でしたが、この正式版にはプリミティブに6つの結合モードが追加されています。
- はめ込み(Inset)
- 押し出し(Extrude)
- 溝(Groove)
- 舌(Tongue)
- 反発(Repel)
- 回避(avoid)
各モードには追加パラメータがあり、プリミティブ同士の相互作用を完全にコントロールできます。さらに、スムースブレンディングと面取りブレンディングを選択できるブレンディングタイプセレクタが追加されています。
あまりなじみのない結合モードの名前だったのでどのようになるか試してみました。
Substance 3D Modeler V1.15 がリリース!非破壊プリミティブワークフローが追加! https://t.co/XQoKdKcNTj #3D pic.twitter.com/55qrUlKDZy
— CGinterest (@CGinterest) October 24, 2024
Logitech MX Ink サポート
- Logitech の MX Ink ペンのサポートが改善されました。
- ペンの位置を調整して、現実世界の位置にさらに近づけました。
- ペングリップコントロールを調整して、より快適になりました。
- 利き手の問題を修正しました。ペンの利き手は OS によって決定されるようになりました。
- アイコンを修正しました。
- ギズモ モードでペンが粘土に反応しないことがある問題を修正しました。
解像度を上げるためのシェイプ検出モード
新しい解像度を上げるアルゴリズムとして、シェイプ検出モード(Shape detection)が利用可能になりました。

シェイプ検出は、ハードサーフェスモデリングに最適なモードで、レイヤーのエッジとシェイプを認識し、解像度を上げる際にその情報を使用してより良い結果が得られます。
解像度を上げるボタンを右クリックすると、使用するアルゴリズムを変更できます。

エクスポートモードに Project assets が追加(V1.19)
エクスポートモードにProject Assetsが導入されました。
この新しい機能では、シーン内の1つまたは複数のオブジェクトをアセットとして定義し、エクスポート設定を記憶させることができます。
これにより、1つのシーンで複数のエクスポート設定のセットを管理することができ、逐一エクスポート設定を見直すことなく、個々のオブジェクトの反復処理や再エクスポートを簡単に行うことができるようになります。

■エクスポート手順
- 1つのファイルにエクスポートしたいオブジェクトを1つ以上選択。
- アセット定義ボタンを使って、選択したオブジェクトをアセットとして登録。複数のオブジェクトが選択されている場合、ボタンの代わりに Group and define asset と表示されます。
- オプションで、アセットパネルでアセット名をダブルクリックして名前を変更。
- アセットのエクスポート設定を調整。
- アセットをエクスポートします。
さらに、エクスポート設定には、明示的な数値の代わりにパーセントでエクスポートポリカウントを決定するオプションが追加されました。
これにより、エクスポートポリカウントを大幅に変更するような変更をアセットに加える場合でも、ポリゴン密度を一定に保つことができます。
追加のアップデート情報
V1.17 – 2024年12月5日
■プリミティブのアップデート
- 「幅(Width)」と「深さ(Depth)」スライダは、重要なパラメータであるため、「結合(Combine)」モードパラメータの一番上に移動(利用可能な場合)。
- プリミティブの幅(Width)と深さ(Depth)スライダのデフォルト値がゼロ以外の値に変更され、選択時に様々なCombineモードの結果をすぐに視覚化しやすくなりました。
- ペーストおよび複製されたプリミティブは、現在のスコープで選択されている階層の最下位のオブジェクトの後に追加されるようになりました。何も選択されていない場合、オブジェクトは階層内の現在のグループまたはコンテナの一番下に追加されます。
- すべて表示(Show all)を使用しても、プリミティブ オブジェクトの非表示が正しく解除されない問題が修正されました。
- 空のグループが特定のプリミティブ結合モードを壊すことがあった問題が修正されました。
- プリミティブを作成した後にクレイ レイヤーを作成するとクラッシュすることがあった問題が修正されました。
■リンクとコンポーネント
- リンクが削除され、代わりにコンポーネント(Components)が追加されました。
- コンポーネントは、プリミティブ、クレイ、グループなどの他のオブジェクトを保持できるコンテナで、リンクされたグループのように動作します。
- コンポーネントの複製は、元のコンポーネントにリンクされ、リンクされたオブジェクトと同じように管理できます。
- 以前のようにオブジェクトが直接リンクされるのではなく、コンポーネントが他のオブジェクトとのリンク接続を作成するホルダーとして機能します。
- オブジェクトが選択された状態で、アクションメニューのコンポーネントを作成するを使うと、オブジェクトがコンポーネントの中に配置されます。
■QOL(Quality of Life)の向上
- マウスをプリミティブオブジェクトの上に置いたとき、右クリックメニューに 「Contributing components 」が追加されました。アクションメニューを開くには、シーンの何もない場所で右クリックします。
- アプリ内にキーボード ショートカットのリストが追加されました。ショートカットを表示するには、ヘルプ(Help) > ショートカットを表示(View Shortcuts)の順にクリックします。ショートカットメニューを閉じるには、Escを押してください。
- ウェルカム(Welcome)メニューの最近のプロジェクト(Recent projects)タブの項目に右クリックメニューが追加されました。項目を右クリックすると、ファイルブラウザで表示したり、リストから削除したりできます。
- XとYのスケーリング値が、プリミティブとクレイブラシの両方で、さまざまな形状と連動するようになりました。
- 影響を受けるシェイプ:N-gon, Capsule, Ovoid, Gouge。
- ライトとIBL背景の強度範囲を拡大。
- アセットライブラリ(Assets Library)パネルからメッシュとしてオブジェクトをインポートするオプションを追加。「Prefer clay if available」のチェックを外すと、代わりにメッシュバージョンのオブジェクトがインポートされます。
V1.18 – 2025年1月8日
■プリミティブのアップデート
- プリミティブからクレイへの変換で、新しいクレイ オブジェクトに正しいマテリアルが割り当てられるようになりました。
- プリミティブ コンテナ内のリンクされたグループまたはコンポーネントを、None Combine モードに設定できるようになりました。
- プリミティブやプリミティブのグループを選択する際に、選択中のすべてのプリミティブを一度に更新できるようにするためのパラメータを利用できるようになりました。
■エクスポート
- エクスポート(Export)に新しいパラメータ、ローカル スペースを使用(Use local space)が追加されました。オブジェクトが選択されているときに、これをオンに切り替えると、エクスポートされたファイルの原点に表示されるようにオブジェクトをエクスポートできます。
- ファイル(File) > エクスポート(Export)を使用すると、他のパネルが開 いていてすでにエクスポート(Export)モードになってい ても、エクスポート(Export)パネルが開くようになりました。
- 三角形としてエクスポートする際のメモリ使 用量が改善されました。
- [エクスポート(Export)]モードで[マテリアル(Material)]パネルが使用できるようになりました。
■QOL(Quality of Life)の向上
- アプリ全体のアイコンの更新。
- ショートカットリストがプロパティパネルに移動しました。
- VRにグリップポーズをリセットするボタンが追加されました。
- プリミティブとクレイブラシの両方で、テーパーを負の方向に調整できるようになりました。
- Prism プリミティブにShear パラメータが追加されました。これにより、二等辺三角形をより簡単に作成できるようになりました。
- レンダーモードの解像度が、幅か高さのどちらかを変更することで変更できるようになりました。解像度は、選択されたアスペクト比に固定されます。
■一般的な変更と修正
- コンポーネントにフォーカスが当たっているときに、ギズモ・ハンドルの動作がおかしくなることがある問題が修正されました。
- いくつかの文字列が更新され、不足していたツールチップが追加されました。
V1.19 – 2025年1月28日
V1.19.0では、新しいアセットワークフローがエクスポートモードに追加されました。さらに、プリミティブに新しいパラメータといくつかの改善の導入、メッシュを粘土に変換する際のアダプティブサブディビジョンの追加、新しいショートカットエディタを含む一般的なクオリティオブライフの改善が行われています。
■エクスポート
- エクスポートモードにProject Assetsが導入されました。
- シーン内の1つまたは複数のオブジェクトをアセットとして定義し、エクスポート設定を記憶させることができます。これにより、1つのシーンで複数のエクスポート設定のセットを管理することができ、常にエクスポート設定を見直すことなく、個々のオブジェクトの反復処理や再エクスポートを簡単に行うことができます。
- 明示的な数値の代わりにパーセントでエクスポートポリ カウントを決定するオプションが追加されました。これにより、エクスポートポリカウントを大幅に変更するような変更をアセットに加える場合でも、ポリゴン密度を一定に保つことができます。パーセント(Percent)またはカウント(Count)を切り替えるには、[Polycount by]セレクタを使用します。
■プリミティブ
- プリミティブに Shell パラメータが追加されました。Shellはプリミティブの形状を空洞にします。シェル(Shell)をゼロ以外の値に設定すると、プリミティブが選択されたときに、プリミティブの視覚化ラインにその効果が表示されます。結果は、他のプリミティブがシェルのプリミティブから切り離されて空洞部分が見える場合にのみ、一般的に見えるようになります。
- シェル(Shell)パラメータは、グループの結合モード(Combine Mode)がなし(None)に設定されていないグループでも使用できます。
- プリミティブのグループに対するアウトラインの表示方法が変更されました。
- グループ内のオブジェクトがX、Y、Z平面と交差するように配置されていない場合、指定されたグループのアウトラインは表示されません。
- プリミティブが選択されていなくても、プリミティブのプロパティがパレットに表示されるバグが修正されました。
- プリミティブの結合モードを変更すると、アーティファクトが残ることがあるバグが修正されました。
■メッシュからクレイへ(Mesh to clay)
- メッシュの細分化が適応的(adaptive)になりました。メッシュ全体を均一に細分化するのではなく、クレイの解像度を達成するために必要な領域のみを細分化するようになりました。
- クレイに変換(Convert to clay)ボタンを右クリックして、メッシュのサブディビジョン設定にアクセスできるようになりました。
- メッシュのインポート時に、インポートしたメッシュをすぐにクレイに変換するオプションが追加されました。
- 細分化がオンの場合、クレイへの変換アクションは細分化されたメッシュを変換します。
■QOL(Quality of Life)の向上
- VRでのカメラプレビューが追加されました。
- ギズモのような非物理オブジェクトは、カメラプレビューに表示されません。
- カメラの動きを滑らかにするオプションが追加されました。
- FOVとパースペクティブを含むビューポートの設定が、セッションをまたいで持続するようになりました。
- 選択ツールが使用されていない状態でカメラが選択されたように見えるバグが修正されました。
- シーン内のカメラの外観が変更されました。
- シーンが変更され、使用中のツールが無効になった場合、モデラーが自動的にツールを変更するようになりました。
- 環境設定(Preferences) > キーボードショートカット(Keyboard shortcuts)でショートカットを変更できるようになりました。
- このリストのショートカットにはいくつか問題があり、バインドされていないショートカットを変更すると予期しない結果になる可能性があります。重要なプロジェクトで作業する前に、新しいシーンでショートカットの変更をテストすること が推奨されています。
- テクスチャを使用して Buildup(ビルドアップ)ツールを使 用するとクラッシュすることがあった問題が修正されました。
価格とシステム要件
Substance 3D Modelerは、Windows 10 (64bit)以降で利用できます。
サポートされるヘッドセットのリストはこちら(Modeler を使用するためにVRデバイスは必須ではありません)
Adobe Substance 3D Modelerは、Adobe Substance 3D アプリのサブスクリプションプランに含まれています。
- Adobe Substance 3Dテクスチャリングプランには、Painter、Designer、Samplerアプリと、毎月30点の3Dアセット、100GBのクラウドストレージ、25 – 毎月の生成クレジットが含まれています。
- Adobe Substance 3D Collectionプランには、Painter、Designer、Sampler、Stager、Modelerアプリと、1か月あたり最大50の3Dアセット、100GBのクラウドストレージ、25 – 毎月の生成クレジットが含まれています。
- グループ版Adobe Substance 3D Collectionプランには、5つのアプリ、毎月ユーザー1人あたり100点の3Dアセット(グループ内プール可能)、1TBのストレージ、とライセンス管理や高度なサポートが含まれています。
Adobe Substance 3D テクスチャリング | 月々プラン月々払い | 2,680円 |
年間プラン月々払い | 29,980円 | |
Adobe Substance 3D Collection | 月々プラン月々払い | 6,680円 |
年間プラン月々払い | 6,480円 | |
年間プラン一括払い | 74,380円 | |
グループ版 Adobe Substance 3D Collection | 年間プラン月々払い | 13,380円 |
年間プラン一括払い | 160,564円 |
Substance 3Dは、大学・高等教育機関向けCreative Cloudコンプリートプラン(小中高校は対象外)に含まれており、追加料金なしで利用できます。高等教育機関向けプランにアセットは含まれていません。
Substance 3D Collection アプリは、高等教育機関の学生と教師が無料で利用できます。(非営利、教育目的での使用のみ)
■Steam版ライセンス
Adobe Substance 3D ModelerはSteamでも購入可能です。価格は16500円。2023,2024を購入していた方は、今年も無料のアップデートを受け取ることができます。
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