2024年9月24日(現地時間)- Stable Diffusionモデルのためのクリエイティブエンジン InvokeAI 5.0 がリリースされました。
新機能ハイライト
このリリースは、今年最大のアップデートとされており、これまでにないコントロールと柔軟性で画像を生成、反復、改良できる新しいツール、コントロールキャンバスが導入されました。さらに、人気のFluxモデルとの統合も行われています。
コントロール キャンバス
ユニファイドキャンバスをベースにした新しいコントロールキャンバス(Control Canvas)が追加されました。コントロールキャンバスはレイヤー システムを備え、生成(generation)、反復(iteration)、改良(refinement)が1つのワークスペースに統合されています。編集可能なコントロールレイヤー、ラスターレイヤー、エリアガイダンスなどを使用して柔軟な生成のコントロールが可能となっています。

主な機能は次のとおりです:
- ラスターレイヤー: 独立して移動やサイズ変更が可能なシェイプやガイドを簡単に描画、ペイント、操作できるようになり、編集の柔軟性が向上ししました。
- 編集可能なコントロールレイヤー: キャンバス上のコントロールレイヤー(例えば ControlNets)を直接編集できるため、画像を再アップロードすることなく、生成タスクを正確に制御できるようになりました。
- キャンバスレイヤーの呼び出し: 作成したキャンバスの状態を保存して呼び出すことができるため、作品を再生成して適切なメタデータとともに保存できます。
次の動画で新しいコントロールキャンバスの使用方法が紹介されています。
Flux.1モデルの統合
Black Forest Labsと協力して、大人気のFlux.1モデルがInvokeに統合されました。
これにより、以下のことが可能になります。
- 非商用プロジェクトにFluxのschnellとdevモデルを使用
- text-to-image、image-to-image、inpainting、LoRAをサポートし、さらに多くの機能を近日中に追加する予定です。
Fluxを商用目的で使用する場合は、Black Forest Labsから商用ライセンスを取得する必要があります。このライセンスは、Black Forest Labsのプロフェッショナルエディションにアドオンオプションとして含まれています。ご興味のある方は、Black Forest Labsまでお問い合わせください。
Fluxモデルについては以下の記事をご覧ください。
その他のアップデート
- レイヤーの種類 – インペイントマスク(Inpaint Mask)、エリアガイダンス(Regional Guidance)、ラスターレイヤー(Raster Layer)、コントロールレイヤー(Control Layer):
- インペイントマスクとラスターレイヤーは、キャンバスv1のInpaint MaskとBase Layerに相当します。
- エリアガイダンスは、現在のControl Layersキャンバスと同じように機能します。
- コントロールレイヤーは、ControlNetが固定されたラスターレイヤーです。ラスターレイヤーをコントロールレイヤーに変換したり、戻したりできます。
- コントロールレイヤー自動背景:コントロールレイヤーに透明度がある場合、自動的に黒い背景を与えます。つまり、コントロールレイヤーを作成し、白いブラシを選択し、落書きをすることができます。ほとんどのControlNetモデルが要求している黒い背景を自動的追加するので、複数のコントロールレイヤーを重ねることができ、たとえサイズが異なっていても、エッジにアーティファクトが発生することはありません。
- レイヤタイプの非表示:各レイヤー・タイプには非表示トグルがあり、視覚的にレイヤーを非表示にすることができます。例えば、ラスターレイヤーを編集している間、コントロールレイヤーを隠すことで、キャンバスをすっきり見せることができます。非表示にしたレイヤーは、生成中も使用されます。
- レイヤーの変形:全てのレイヤーは移動、サイズ変更、回転が可能です。
- レイヤーフィルタリング:ラスターレイヤーとコントロールレイヤーにフィルタを適用できます。フィルタはいくつでも適用できます。
- その他のレイヤー操作:複製(Duplicate)、ロック(Lock)、無効化(Disable)、非表示(Hide all of type)、整列(Arrange)。 ラスターレイヤーとインペイントマスクの可視部分をマージ。
- レイヤークイックスイッチ:qを押すと最後に選択した2つのレイヤーを切り替えることができます。レイヤーをブックマークすると、ブックマークされたレイヤーと、最後に選択されたブックマークされていないレイヤーを切り替えることができます。
- 新しいレンダリングエンジン:キャンバスのレンダリング・エンジンは、konvajsをベースに、全面的に書き直されました。
- キャンバスキャッシング:キャッシュを多用することで、効率が大幅に向上しました。例えば、Canvas v1では、何も変更せずにInvokeを2回クリックすると、キャンバスの画像データを2回エクスポートしてアップロードしていました。新しい Canvas v2では、このエクスポートがキャッシュされ、再利用されます。
- カラーピッカークイックスイッチ:altを押し続けると一時的にカラーピッカーに切り替わります。
- グラフビルダーの改良:好奇心旺盛なノードの研究者は、更新されたグラフに興味を持つかもしれません。ギャラリーに送るを設定し、生成し、出力画像のワークフローをロードすることで、覗いてみることができます。
その他すべてのアップデート内容の確認はこちらから
アップデート情報
バージョン5.1
このリリースには、Canvas の描画タブレットのサポートと中マウス パン、GGUF FLUX モデルのサポート、その他さまざまな修正と機能強化が含まれています。
■主な機能強化
- タッチ入力デバイスとペン入力デバイス (描画タブレットなど) の両方をサポートするキャンバスタブレット。
- ペン入力デバイスの圧力感度。これは Canvas 設定で無効にできます。
- 小さい画面にフィットするようにキャンバスのレイアウト修正。
- 画像のコンテキストメニューのレイアウト改善。
- コンテキストメニューに長押しトリガーが追加されました。キャンバス自体には長押しトリガーはありませんが、キャンバス右上のメニューボタンから同じアクションにアクセスできます。
- キャンバス上でマウスの中ボタンによるパン操作が可能に。
- GGUF FLUXモデルのサポート。
- 新しい「セッション(session)」を作成し、すべての設定とキャンバスをデフォルトにリセット(モデル選択を除く)できるように。これらの機能は、キャンセルボタンの隣のメニューにあります。
- キャンバス上でbboxにクロップできるようになりました。個々のレイヤー、またはキャンバス全体をトリミングできます。右クリックメニューからアクセス可能です。
- Flux モデルのガイダンス値の範囲が広がりました。
- 翻訳の更新。
バージョン5.3
このリリースには多くの機能強化と修正が含まれています。
主な新機能は以下の通りです。
- コンテキストメニューの再設計(サブメニュー対応)
- キャンバスでのオブジェクト選択(Segment Anything を使用)
- XLabs FLUX IP Adapter のサポート
- インストーラーの改善(xformers関連の問題をすべて解決)
- MPS(Apple Silicon)デバイス向けの FLUX サポート強化
バージョン5.5
このリリースでは、Invoke への FLUX Control LoRA のサポートに加え、その他のいくつかの修正と機能強化が追加されました。
さらに、Windows、macOS、Linux で Invoke をインストール、更新、実行できるデスクトップ アプリケーション Invoke Launcher が利用可能となりました。

- FLUX Control LoRAs のサポート追加
- Canvas のエラー処理と回復が改善され、一部の操作中にネットワークの問題が発生した場合でも Canvas が停止することがなくなりました。ネットワーク問題が発生した際に、キャンバスがフリーズしないように対応
- ログの冗長性削減
- これまでUvicornのログがアプリのログと同じレベルで出力されていたため、非常に多くの不要な情報が含まれていた
- Uvicornのログレベルを個別に設定可能に
invokeai.yaml
のlog_level_network
を設定することで変更可能- デフォルト値は
warning
- 以前のログレベルに戻したい場合は
info
に設定(例:log_level_network: info
)
バージョン5.6
このリリースでは、Invoke のメモリ管理の大幅な改善、新しいぼかし(Blur)およびノイズ(Noise)フィルターの追加、ワークフローにおけるバッチ機能の強化が行われています。
■メモリ管理の改善 – Low-VRAMモード
この改善により、VRAMの少ないGPUでも大規模モデルが扱えるようになります。たとえば、24GBの非量子化FLUX開発モデルなどの重いモデルも動作可能になります。
「Low-VRAMモード」という名称ですが、VRAMの少ない環境に限定されず、ほとんどのユーザーが恩恵を受けられるメモリ管理の改善が含まれています。
このモードは、以下の専用GPUを搭載したシステムで動作します。
✅ Windows/Linux の Nvidia GPU
✅ Linux の AMD GPU
Low-VRAMモードの主な機能(カスタマイズ可能)
- 部分的なモデル読み込み(Partial model loading)
- 動的なRAM・VRAMのキャッシュサイズ調整
- 作業用メモリの最適化
- モデルのコピーをRAMに保持
推奨設定:
ほとんどのユーザーは、invokeai.yaml
に以下を追加するだけで有効化できます。
enable_partial_loading: true
🚨 WindowsユーザーはNvidiaのsysmemフォールバックを無効にする必要があります。
詳細なチューニング方法は、Low-VRAMモードのドキュメントを参照してください。
機能強化リスト
- ワークフローでのインペインティング(修復描画)をサポートするためのノードを追加
- 浮動小数点(float)、整数(integer)、文字列(string)データ型のバッチ処理をサポート
- バッチデータジェネレーターの追加
- グループ化(別名:zipped)バッチをサポート
- FLUX モデルの読み込み時のピークメモリ使用量を削減
- キャンバスに「ノイズ」と「ぼかし」フィルターを追加
- 生成前にノイズを加えたり、ぼかしを適用することで、特にラフなスケッチからの生成時にディテールを向上
- URL からモデルをインストールする際のエラーハンドリングを再設計
- 初回起動画面と OOM(メモリ不足)エラートーストを更新し、「Low-VRAM モード」のドキュメントへのリンクを追加
バージョン5.7
このリリースでは、ワークフローエディターの「リニアビュー(Linear View )」が、より高度な「フォームビルダー(Form Builder)」にアップグレードされました。また、@skunkworxdark のメタデータノードが Invoke のコアノードとして統合され、その他の修正や改善が多数行われました。
- フォームビルダー導入 → ワークフローUIがより自由にカスタマイズ可能
- メタデータノードをInvokeに統合(※既存のカスタムノードは削除推奨)
- アップスケール品質向上 & キュー管理の改善
- ワークフローエディターのUI強化(エラー表示、ノードズーム機能など)
- ダイナミックプロンプト & 画像バッチ処理機能を追加
バージョン5.8
このリリースでは、ワークフローライブラリのアップグレードとFLUX Reduxのサポートが導入、その他の修正や機能改善が行われました。
■FLUX Reduxのサポート追加
ワークフローやキャンバスでFLUX Reduxのサポートが追加されました
FLUX Reduxとは、FLUXのアドオンモデルで、IP Adapterや「即時LoRA」に似た動作をします。入力画像を元に、スタイルや構図をガイドすることで、ある程度のキャラクターの一貫性を保つことが可能です。
📌 キャンバスで使用する方法
- グローバル参照画像レイヤーを追加
- 参照画像をレイヤーにドラッグ(IP Adapterと同様)
- モデルのドロップダウンから「FLUX Redux」を選択
📌 リージョナルガイダンス(部分的な誘導)として使用する方法
- リージョナルガイダンスレイヤーを追加
- 参照画像を設定
- モデルのドロップダウンから「FLUX Redux」を選択
機能強化リスト
- ワークフローライブラリのUI改善(タグ・検索・サムネイル追加)
- FLUX Reduxのサポート追加(画像を元にスタイルや構図を誘導)
- WEBPアップロード対応 & ワークフロー保存関連の修正
- フォームビルダーの機能強化(数値制限・レイアウト修正など)
- UI改善(フォーカスハイライト・ノードエラー表示など)
ダウンロード
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さらに、V5.5からWindows、macOS、Linux で Invoke をインストール、更新、実行できるデスクトップ アプリケーションとして利用できるInvoke Launcher が利用可能になりました。
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