Houdini 向けGPU対応流体シミュレーショソルバー「Paradigm」バージョン1.0が正式リリース!
プラグイン
2026年1月19日(現地時間)- Theory Acceleratedは、新しい液体シミュレーションソルバー 「Paradigm」を発表しました。同年4月20日バージョン1.0が公開され、正式リリースとなりました
Paradigmとは
Theory Accelerated は、煙・炎・爆発などのシミュレーションに対応した高性能 GPU ボリューメトリック流体ソルバー Axiom の開発元として知られています。
Paradigm は、この Axiom で培われた業界標準の技術を基盤に開発された液体ソルバーで、フリーランスから小規模スタジオ、大規模プロダクションまで、あらゆる規模の現場で高品質な流体エフェクトを手軽に制作できるよう設計されています。SideFX Houdini とも深く統合されており、既存のワークフローやパイプラインにスムーズに組み込むことができます。
技術的には、従来の FLIP ソルバーの特性を持ちながら、SPH(Smoothed Particle Hydrodynamics)の概念も取り入れた ハイブリッド型の高性能流体ソルバー となっています。
Introducing Paradigm | GPU Accelerated Liquid Solver
主な特徴
高速なイテレーションとGPU活用
Paradigmの最大の特徴は、そのシミュレーション速度です。従来は数時間かかっていた計算を、GPUのパワーを活用することで数分に短縮可能としています。CPUでは膨大な時間を要する数百万パーティクル規模のシミュレーションであっても、短時間で処理することが可能です。
Houdini SOPコンテキストへの統合
ParadigmはDOP(Dynamics Operators)ではなく、SOP(Surface Operators)ノードとして実装されているため、直感的かつシンプルなセットアップが可能です。ノードメニューから「Paradigm Solver」を呼び出すだけでシミュレーションを開始できます。
高度な物理現象とシミュレーション制御
ユーザーは以下のような高度な制御や設定を行うことができます。
- 柔軟な時間制御: タイムスケール(Time Scale)による全体の速度調整や、サブステップ(Substeps)による高精度な挙動解決が可能です。
- 自動最適化される解像度: パーティクル数やボクセル数はハードリミットではなく、シミュレーションの進行に合わせて自動的に拡張されます。また、グリッド解像度をDivision Sizeに基づいて自動計算させるか、固定値にするかを選択可能です。
- 多様な物理表現: 表面張力(Surface Tension)、粘性(Viscosity)、接着(Adhesion)をサポートしています。
※現段階では粘性の計算は最適化されておらず、処理が重くなる可能性があります。
- スパースボリューム: 完全にスパース(疎)なデータ構造を採用しており、メモリ効率の良い計算が可能です。
互換性と制限事項
- 互換性: 現在はホワイトウォーター(白波)ソルバーやサーフェスメッシャーを内蔵していませんが、Houdini標準のホワイトウォーターソルバーやメッシュ化ツールと互換性があります。
- 制限事項: 現時点ではNarrow Band(狭帯域)処理、ポイントアトリビュートによるフォース制御、カラー情報のソース化には対応していませんが、将来的な実装が計画されています。
- Ocean Spectrum: 公式サポート外ですが、スペクトルをVelocityフィールドとマスクに変換することでカスタムソースとして駆動させることは可能です。
更新情報
Paradigm 1.0 の主な新機能と改善点
Paradigm 1.0 オープンベータ期間中に以下の新機能が追加されています。
ハイライトとソースシェイプの改善
Paradigm 1.0のリリースハイライトです。ソースシェイプからパーティクルを放出する際、パターンの繰り返しを抑え、より自然な分布になるよう改善されました。
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‐バージョン 1.0.176 – 1.0.219
このバージョンでは、処理速度の向上とアルゴリズムの最適化を中心に、多くの改善が行われました。
新機能および改善
- 粘度と重力を制御するための新しいマルチコントロールランプ(ランプパラメータ)が追加されました。
- 出力されるサーフェスSDFに対して、エロード(収縮)およびディレート(膨張)を行うフィルターが追加されました。
- ソルバーの再初期化時に、将来必要となるリソースをより適切に予測できるようになりました。この機能はAdvanced > Solverタブ内の「Acceleration」として提供されています。
- 温度拡散の計算において、コリジョン(衝突)の伝導率を考慮できるようになりました。
- ソースシェイプのノイズ設定において、ソースの値だけでなく、ソースパーティクル自体を間引く(カリングする)オプションが追加されました。
- 粘着力(Adhesion force)がより正確になりました。方向の決定にはコリジョンSDFの勾配(グラデーション)が使用されます。
- Tankノードの安定性が増し、様々なスケールにおいてより効率的に動作するようになりました。
パフォーマンス向上
- SDF(符号付き距離場)の生成アルゴリズムが見直され、処理が高速化されました。
- アドベクション(移流)の計算ステップを進める際にSDFのコリジョン値を考慮するようになり、処理速度が向上しています。
- 粘度の計算に新しいPCG(前処理付き共役勾配法)ベースのソルバーが導入され、計算が大幅に高速化されました。
- 発散ゼロの投影(Project non divergent)計算にもPCGオプションが追加され、従来のヤコビ法(Jacobi)と比較してより速く収束するようになりました。
- パーティクルのリーフベースのソート処理が導入され、グリッドサンプリングのパフォーマンスが向上しています。
バグ修正
- 速度制限(Speed limit)のフォースに関するバグが修正されました。値が誤ってクランプされ、想定よりも低い速度制限がかかってしまう問題が解消されています。
- ソースシェイプを使用してパーティクルを発生させる際の、一部のブレンドモードに関する不具合が修正されました。
‐バージョン 1.0.153 – 1.0.175
アトリビュートの拡張や、新しいノードの追加による表現力の向上が図られています。
新機能および改善
- オープンウォーター(開けた水面)を作成するための新しい「Paradigm Tank」ノードが追加されました。このドメインは、コンテナ自体を動かすようなアニメーションにも対応しています。
- パーティクルの放出タイミングを制御するための新しい「Particle Source」ノードが追加されました。
- パーティクルIDアトリビュートが追加されました。これらはパーティクルごとに固有の値であり、ポイントから生成された場合は完全に決定論的(毎フレーム同じ結果)になります。
- パーティクルの年齢(Age)と寿命(Life)アトリビュートが追加されました。これに伴い、寿命を超えたパーティクルを削除するコントロール機能が備わりました。
- 速度場のカールの大きさを示す「Churn」を、オプションの出力フィールドとして追加しました。
- フィルタリングオプションを備えた、出力用のサーフェスSDFが追加されました。
- パーティクルのカラー、温度、粘度、およびレスト(初期状態)アトリビュートを、オプションとして出力できるようになりました。
- ソルバーノードのOutputタブで定義することで、任意の追加アトリビュートをソースとして扱うことが可能になりました。
- 粘度または温度のパーティクルアトリビュートを使用して、全体の粘度を制御できるようになりました。
- 粘度を使用している際、パーティクルがコライダーに接触したときに、融解や凍結エフェクトを表現するための「コリジョン温度」をソースとして適用できるようになりました。
- コントロールランプを使用して、重力とドラッグ(空気抵抗)を制御できるようになりました。
- パーティクルの温度およびカラーアトリビュートを、拡散(diffuse)および消散(dissipate)させる機能が追加されました。
- 温度のボリュームソースからパーティクルを熱くするなど、ソースVDBを使用してパーティクルアトリビュートに影響を与えることができるようになりました。
- ソースシェイプからのパーティクル放出が改善されました。間隔や配置のランダム性が増し、パターンの繰り返しが軽減されています。
パフォーマンス向上
バグ修正
- 出力データが破損する原因となっていた、出力フィールドの精度に関連する問題が修正されました。
- リラックスフォース(Relax force)が正常に機能するよう修正され、完全に決定論的な動作になりました。
より詳しい情報はこちらから
チュートリアルビデオ
Paradigmの基本的な使い方とワークフローを紹介する動画が公開されています。
Paradigm | Getting Started
設定項目の詳細やマニュアルについては、以下の公式ページをご参照ください。
Paradigm 1.0 詳細情報へ
サンプルプロジェクト
Houdini 21.0およびParadigm 1.0で作成されたサンプルプロジェクトが公開されており、実際の挙動を確認しながら学習することができます。
- Getting Started: 最も基本的なシミュレーションのセットアップ例。
- Strawberries & Cream: 表面張力(Surface Tension)を使用した、スローモーションのクラウンスプラッシュ(王冠状の飛沫)の作成例。
- Adhesion: 流体が表面に付着し、衝突判定のあるオブジェクトの下側から滴り落ちるような「接着」表現のセットアップ例。
- Viscosity: 粘性流体のセットアップ例。座屈(Buckling)やコイリング(Coiling)といった粘性特有の挙動に加え、内部の気泡を移流させる簡易的な仕組みも含まれています。
サンプルプロジェクトの詳細はこちら
オープンベータとライセンスについて
Version 1.1 オープンベータに関する情報が公開されています。
開始時期と期間
バージョン1.1のオープンベータは、2026年5月上旬に開始される予定です。正式なリリース日はまだ決定していませんが、現時点ではおよそ2〜3ヶ月間の実施が想定されているとのことです。
利用料金
オープンベータ期間中は無料で利用できます。ライセンスの取得やログイン手続きは不要です。
提供ビルドの有効期限
各ビルドは、公開日から30日間有効です。有効期限が切れた後は、最新のビルドを改めてダウンロードする必要があります。
制作案件(プロダクション)での使用について
どんな作業にも使用することはできますが、ベータ版のためバグが起きやすく、機能も頻繁に変わる点にはご注意ください。オープンベータ期間中は開発側のサポートが限られているため、不具合があってもすぐに修正されない場合があります。また、ビルドには有効期限があり、一定期間を過ぎると動作しなくなる可能性があります。ベータ期間終了後にビルドが継続提供される保証もありません。
Version 1.0 オープンベータの情報を見る
ベータ期間と費用
オープンベータは2026年2月末までの実施が予定されています。この期間中はライセンスやログインの必要なく、誰でも無料で使用可能です。ビルドの有効期限は公開から30日間となっており、期限切れ後は最新のビルドを再ダウンロードする必要があります。
製品版リリース後の展開
ベータ終了後は商用製品としてリリースされ、ライセンス購入が必要となります(価格体系はAxiomと同様になる見込みです)。ただし、Houdini ApprenticeおよびHoudini Educationライセンスのユーザーは、製品版リリース後も引き続き無料で使用できる予定とのことです。
商用利用とサポート
ベータ版であっても商用・非商用を問わず利用可能ですが、開発中のソフトウェアであるためバグや機能変更の可能性があります。制作業務での使用は自己責任となり、ベータ期間中の手厚いサポートや即時の修正対応は保証されていない点に留意が必要です。
価格とシステム要件
ダウンロード
Paradigmは、以下のシステムで利用可能です。
- 対応OS: Windows, Linux, macOS
- 対応Houdiniバージョン: Houdini 20.0, 20.5, 21.0 のプロダクションビルド(デイリービルドは非サポート)
- GPU要件: OpenCL 3.0をサポートするデバイス。NvidiaおよびAppleシリコン搭載のGPUが推奨され、最も安定した動作が期待できます。
Paradigmは現在オープンベータ版として提供されており、期間限定で誰でも無料で試用可能です。
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