2025年8月7日(現地時間)- Khronos Group、Open Geospatial Consortium (OGC)、Niantic Spatial、Cesium (Bentley)、Esriといった地理空間情報分野の主要組織は、「3D Gaussian Splats」を広く採用されている3Dアセットフォーマット「glTF」の標準に統合するための共同イニシアチブを発表しました。
3D Gaussian Splatsとは
3D Gaussian Splats(3DGS)は、リアリティキャプチャの分野で新たに登場した革新的な3D表現技術です。
従来のソリッドなジオメトリとは異なり、輝度フィールド(radiance fields)を利用して、現実世界の複雑な環境をこれまでにないフォトリアルなディテールで表現します。
この高度な手法は、従来の3Dキャプチャ技術やフォトグラメトリメッシュで表現が困難だった、薄い構造物、半透明な素材、反射、複雑なテクスチャといった微細な特徴を捉えることができます。高忠実度な空間コンテンツを効率的にレンダリングできるそのユニークな能力は、地理空間情報、グラフィックス、そして標準化コミュニティ全体で幅広い関心を集めています。
標準化によって相互運用性の確保へ
この度、この3D Gaussian Splatsの変革の可能性を認識し、各分野の主要組織が協力して、KhronosのglTF標準への統合を進めることが発表されました。
この共同イニシアチブでは、3D Gaussian Splatsのエンコードと共有を可能にする標準化された相互運用性の高いフレームワークを構築し、さまざまなプラットフォームやアプリケーション間での広範な互換性と容易な実装を保証することを目指しています。
SPZフォーマットの採用:効率、シンプルさ、柔軟性
この取り組みの中心となるのが、Niantic SpatialがMITライセンスで提供するオープンソースのファイルフォーマット「SPZフォーマット」の採用です。
SPZフォーマットは、昨年10月にNiantic Labs が 3D Gaussian splats の JPG を目指してオープンソース化したものです。
SPZは、視覚的な忠実度とパフォーマンスを維持しながら、3D Gaussian SplatsをPLY形式と比較して最大90%圧縮することができます。SPZのシンプルさと効率性は、計算性能と高品質な視覚化のバランスが取れているため、広範な採用に理想的とされています。
SPZの強みとglTFの柔軟な構造を組み合わせることで、相互運用可能で簡単な実装が可能になります。また、将来的に多様なユーザー要件やカスタムワークフローに対応するための追加データフィールドを含めることで、拡張性も確保されます。
開発中の新しいglTF拡張機能
現在、Khronos 3D Formats Working Groupは、glTFアセット内でGaussian Splatsを標準化して提供するための2つの新しい拡張機能を開発しています。
KHR_gaussian_splatting:glTF内で3D Gaussian Splatsを格納するための構造を定義します。位置、回転、スケール、透明度、球面調和関数(拡散および鏡面反射成分をサポート)といった属性を持つ点群プリミティブとして扱われます。この構造により、データが完全にはサポートされない環境でも、スパースな点群としてレンダリングする「グレースフルフォールバック」が可能になります。KHR_gaussian_splatting_compression_spz:SPZフォーマットを使用した効率的な保存とストリーミングを可能にします。SPZのデータはglTFプリミティブ内のバッファとして格納され、デコードして属性として利用するか、レンダリングパイプラインに直接渡すことができます。コンテンツのニーズに応じて、球面調和関数を0から3次数まで柔軟にエンコードすることが可能です。
これらの拡張機能は、glTFにおける3D Gaussian Splattingの長期的なサポートに向けた基盤づくりを目的としています。技術の成熟に伴い、より高度な機能へと発展できる余地を残しながら、高精度な空間レンダリングを実現するための柔軟かつ高性能な基盤の提供を目指しているとのことです。
実用化に向けた課題と改善
アプローチの検証にあたり、共同グループはさまざまな地理空間データセットを用いて包括的な評価を行いました。その結果、アンテナ、フェンス、送電線、線路など、地理空間情報で一般的な細長く直線的な地物において、正確な視覚化や分析を妨げる視覚的なアーティファクトが発生するという課題が明らかになりました。このような細長いスプラットを、データサイズを大幅に増やすことなく正確にキャプチャするのは困難だったのです。
この問題に対応するため、グループはSPZフォーマットの回転精度に対して最小限ながら重要な改善を加え、SPZライブラリのバージョン2.0.0として公開しました。この改良により、SPZの回転は正規化されたクォータニオンのうち最小の3成分を使ってエンコードされ、各成分は10ビットの符号付き整数として格納されます。最大の成分は導出され、そのインデックスは2ビットで記録されるため、回転精度が最適化されました。
その後の評価では、データ品質が大幅に向上し、このソリューションが実世界の地理空間情報アプリケーションにおいて、実用的かつ高い適応性を持つことが改めて確認されました。
標準化への参加について
この標準化作業の進展に伴い、Khronosグループは、より広範なコミュニティからのフィードバックや貢献を積極的に歓迎しているとのことです。研究者、開発者、標準化貢献者、3D技術者など、様々な立場からの意見が、実世界のニーズに応える堅牢な仕様を構築するために不可欠です。
Khronosグループのメンバーになることで、Khronos 3D Formats Working Groupに参加し、拡張機能開発に直接的な役割を果たすことができます。また、OGC標準に関する議論や、以下のGitHubリポジトリでのオープンなコラボレーションを通じて貢献することも可能です。




























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