2025年6月18日(現地時間) – オープンソースの3Dエンジン開発を推進するOpen 3D Foundation(O3DF)は、Open 3D Engine(O3DE)の最新バージョン「25.05.0」のリリースを発表しました。
新機能ハイライト
今回のアップデートでは250以上のバグが修正され、ゲームおよびシミュレーション開発者向けに、パフォーマンス、安定性、そしてワークフローの合理化に重点を置いた新機能が追加されました。
今回のリリースがゲーム、シミュレーション、インタラクティブアプリケーションなどのリアルタイム3D開発に与える影響について詳しく知るためのウェビナーを以下で見ることができます。
パフォーマンスとグラフィックスの進化
O3DEは、忠実度の高いリアルタイム3Dゲームやシミュレーションを制作するためのエンジンです。最新リリースでは、レンダリング性能とグラフィックス機能が大幅にアップグレードされました。
特に、AWSとHuaweiの主導によりレンダラー「Atom」のパフォーマンスとユーザビリティが向上し、成熟したマルチGPUサポートが実現しました。これにより、同一シーンのレンダリングに複数のGPUを利用するデータ駆動型パイプラインの開発が可能になります。
主なグラフィックス関連のアップデートは以下の通りです。
- SubPassサポート: VulkanおよびMetalにおいてSubPassをサポートし、最大で40%の帯域幅を最適化。
- シェーダー定数: シェーダーオプションに特殊化定数(Specialization Constants)をサポート。これにより、実行時にシェーダーオプションの値を組み込むことができ、シェーダーバリアントを事前に作成する必要がなくなります。
- GeometryView: DrawItemとDrawPacket間のデータ重複を排除する新しいクラスを導入。キャッシュ効率を高め、インデックスバッファやストリームバッファの実行時変更を容易にします。
- 頂点カラーのサポート: PBRマテリアルに頂点カラーのサポートが追加され、表現力が向上しました。
ロボット工学シミュレーションの強化
今回のリリースの大きなハイライトの一つが、ロボット開発のフレームワークであるROS 2の標準化されたシミュレーションインターフェースを新たに実装した点です。
これは、Open Robotics、Nvidia、Robotec.aiとの協力によって開発されたクロスプラットフォーム標準(仕様はこちら)であり、O3DEが複雑なシミュレーションを駆動できる高性能なリアルタイムエンジンであることを改めて証明しています。
この分野では、以下のような具体的な改善が行われました。
- SimulationInterfaces Gem: 標準ROS 2シミュレーションインターフェースを実装する新しいGemが追加されました。
- ROS2 Gemの改善: LiDARセンサーへのセグメンテーション機能追加、PIDコントローラーの再実装、複数のバグ修正などが行われました。
- Gemの整理・最適化: 関連するアセットGemが整理・統合され、プロジェクトテンプレートもよりシンプルで使いやすいように再生成されました。
開発者体験の向上
開発者の作業効率を高めるための改善も多数行われています。
- VR開発の簡素化: Meta社により、同社のQuest Mobile SDKとO3DEとの統合プロセスが大幅に簡素化されました。O3DEのサードパーティパッケージングシステムを介したパッケージ管理が自動化され、手動でのセットアップ作業が不要になったことで、VR開発をより迅速に開始できます。
- シネマティックツールの安定化: Tech-Round社の貢献により、シネマティックツール「Trackview」が全面的に刷新され、安定性が向上しました。
- Script Canvasの品質向上: 変数名の変更追跡、無効なファイルを開いた際のクラッシュ防止、グラフ内の変数マップに残存する不正なデータの問題など、多数のバグ修正と操作性向上が行われました。
- ドキュメント貢献の容易化: APIドキュメントにHugoのモジュールシステムが採用され、ドキュメントの更新プロセスが合理化されました。
その他のアップデート
基盤となるシステムにおいても、安定性と機能性を高める重要な改善が実施されました。
- コア (Sig-Core)
- レガシーなアセットテーブルを削除し、RAM使用量を削減。
- 最新の安定版CMakeに関する問題を解決。
- プラットフォーム (Sig-Platform)
- Linux: ROS 2環境使用時に発生していたPython共有ライブラリの競合を解決し、セグメンテーション違反を解消。
- Android: APKの非圧縮化により、ロード遅延やソフトロックを解消。最新のAndroid SDKとGradleをサポートするコマンドへ移行。
- iOS: AWS Core Gemの非公開API使用問題に対処し、Appleの検証を通過できるように修正。
- ネットワーク (Sig-Networking)
- サーバーのレベルロード中にクライアントが接続した際のプレイヤースポーン問題を修正。
- マルチプレイヤーコンポーネントで同名コンポーネントを作成した際にコンパイル時エラーをスローするよう改善。
- エンジン本体に依存しないよう、AWSクラウドサービス関連のGemを独立したリポジトリに移動。
詳細な技術情報については、公式のリリースノートで確認できます。
ダウンロード
O3DEは、モジュール式のオープンソースでクロスプラットフォームな3Dエンジンです。
商用での使用料や義務はなく、Apache 2.0ライセンスで利用可能です。
O3DE最新版のダウンロードはこちらから
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