2025年4月4日(現地時間)- Blackmagic Designは、動画編集ソフトウェアのメジャーアップデート、DaVinci Resolve 20 パブリックベータ版を発表しました。
新機能ハイライト
DaVinci Resolve 20には、キーフレーム編集、ボイスオーバーパレット、マルチレイヤー合成ツール、新しいオプティカルフローベクターツール、マジックマスクやデプスマップなど100以上の新機能とAIツールが追加されました。
ここでは、新機能を簡単にまとめました。より詳しい情報はこちらのページにまとめています。
AI ツール

AI IntelliScript(Studio版限定)
AI IntelliScriptは、用意した脚本のテキストとメディアクリップのトランスクリプトオーディオを照合し、セリフの順番に合わせて自動的に映像のタイムラインを構築してくれる便利機能です。
この機能を使用すると、シーンのラフカットをすばやく組み立てることができ、タイムライン上で複数のテイクを自動的に整理することも可能です。

AI Dialogue Matcher(Studio版限定)
Dialogue Matcherは、ダイアログのトーン、レベル、およびルーム環境を自動的に一致させることができるAIツールです。
一貫性のあるオーディオのため、まったく異なる2つのクリップのオーディオを一致させることが可能です。例えば、異なる環境、異なるデバイスで録音されたダイアログ、または数日にわたる撮影で録音されたダイアログなどで役立ちます。

AI Music Editor(Studio版限定)
AI Music Editor は、音楽の希望の長さに合わせて音楽をシームレスに延長または短縮することできる機能です。
この機能には、インスペクターの「オーディオ」タブからアクセスでき、希望の長さを入力すると、自動でAIが音楽を調整してくれます。分析後、編集方法が異なる4つの潜在的な編集バージョンが提供され、その後さらに編集を行うことができます。

AI animated subtitles(Studio版限定)
「Animated」と呼ばれる新しいFusionタイトルテンプレートセットが追加されました。
これらのテンプレートを字幕トラックに追加することで、アニメーション付きの字幕効果を簡単に作成したり、DaVinci Resolveのトランスクリプションエンジンと連携して、話し言葉と字幕のタイミングを一致させ、強調表示することができます。

AI Multicam SmartSwitch
編集ページでは、Multicam SmartSwitchにより、シーン内のアクティブなスピーカーに基づいてマルチカムアングルを自動切り替えができるようになりました。
マルチカムクリップを作成したら、マルチカムビューアでSmartSwitchをクリックします。SmartSwitchはオーディオとビデオの口の動きに基づいてクリップアングルを分析し、自動的に選択します。

AI Voice Convert
AI駆動の音声変換ツールが追加され、声を置き換えることができるようになりました。
DaVinci Resolveが声の特徴を学習して作成した「声のモデル」 を使用することで、別の音声録音の声 を、その「声のモデル」の特徴を持つ声質に変化させることができます。

AI SuperScale(Studio版限定)
DaVinci ResolveのSuperScaleが強化され、3x Enhancedモードと4x Enhancedモード3が追加されました。
エンハンスドモードでは、映像をハッキリさせる度合い(シャープネス)や、映像のザラつき(ノイズ)を減らす度合いを、これまでよりも細かく調整できるようになりました。

AI Magic Mask v2 (Studio版限定)
Magic Mask v2では、の基盤となるAIテクノロジーが完全に再設計され、以前のバージョンと比較して大幅に優れた結果が得られるようになりました。
より優れたパターンと形状認識に加え、マスクの前を物体が通過するような難しいトラッキング状況や、深度に関連するその他の問題においてもそのメリットを実感できる性能となっています。

AI Depth Map v2 (Studio版限定)
新しいAIの利用により、Depth Map Resolve FXの内部構造が大幅に改善されました。インターフェースと使い方はオリジナルと同じですが、シーン分析が高速化され、より実用的なマットが得られるようになりました。
前景のキャラクターをすばやく分離して環境に対して目立たせたり、ショットの背景にレンズぼかしを適用したり、得られたマットを微調整して、グレーディングのために特定の深度を分離できます。

AI IntelliCut
AI Intellicutは、強力なクリップベースのオーディオ処理を提供し、時間のかかるタスクを自動化できる機能です。
よりクリーンなオーディオトラックのために、低レベルまたは無音の領域を削除したり、個別のミキシングのためにダイアログをスピーカーごとに個別のトラックに分割したり、ダイアログを置き換えるためのADRリストを作成したりできます。

AI Audio Assistant
AI Audio Assistantはプロフェッショナルなオーディオミックスを自動的に作成できる機能です。
Audio Assistantはトラックを整理し、ダイアログレベルを均一にし、効果音と音楽をダイアログトラックに合わせて調整し、自動的にマスターされた最終ミックスを作成してくれます。

AI Detect Music Beats
ビートに合わせて編集する場合、AI Detect Music Beats機能を使用して、ビート駆動の音楽を含むオーディオクリップを分析し、ビートを示すマーカーを自動的に配置できます。
これらをカットポイントの視覚的な指標として使用したり、ドラッグしてクリップを最も近いフレームのビートのマーカーにスナップしたりできます。
AI Set Extender
AI Set Extenderは、簡単なテキストプロンプトに基づいて、フレーム全体を埋めるシーン拡張ができる機能です。
拡張したい領域をハイライト表示するだけで、クリップアングルの制限、ブランキング、クロップによって生じた欠落領域が自動的に生成されます。前景オブジェクトの背後に新しい背景を作成することもできます。
この機能は現時点のベータ版ではまだ利用できないようなのでまだわかりませんが、画像生成AIのような機能?

カット&編集

縦型編集に最適化されたUIレイアウト
縦型タイムラインおよびプロジェクトに最適化されたレイアウトがサポートされるようになりました。
縦型タイムラインまたはプロジェクトがロードされると、UIは自動的にカットページ、編集ページ、およびカラーページで縦型ビューア用に最適化されたレイアウトに切り替わります。

キーフレーム編集の改善
キーフレームエディターとカーブエディターは、新しいインターフェースでアップグレードされました。
カットページと編集ページでは、タイムラインでの操作ではなく、完全に新しいパネルで正確なキーフレーム調整ができます。キーフレームカーブとパラメーターモードを使用してキーフレームを編集し、イーズコントロールでアニメーションの形状をカスタマイズできます。

テキスト+グラフィックレイアウトの改善
テキスト+ツールが更新され、レイアウトのポイント、テキストボックス、円、またはパスのスタイルが含まれるようになり、テキストグラフィックのレイアウトをより細かく制御できるようになりました。
タイムラインでPSDファイルを操作する場合、各レイヤーを個別に操作するために、PSDレイヤーをその場で分割することもできます。

MultiTextツール
1か所に複数のテキストレイヤーを作成できるMultiTextツールが追加されました。
このツールでは、インスペクタータブを使用して、外観、レイアウト、ワーピング、キーフレームアニメーションなど、各テキストレイヤー内の個々のスタイルパラメーターを設定可能です。また、テキストリストを使用すると、レイヤーのナビゲート、再配置、ロック、削除ができます。

ボイスオーバーパレット
カットページのボイスオーバーパレットで、タイムラインの再生中にボイスオーバートラックを録音できるようになりました。
キュー、録音、停止のコントロールに加え、音声分離ツールとダイアログレベリングツールへのクイックアクセスが可能です。専用トラックが自動的に追加され、プロンプタースクリプトとカウントダウンをロードして作業できます。

新しいライブ上書きコントロール
カットページでは、ビューアに直接ドラッグして、カメラアングルをタイムラインにライブオーバーライトできるようになりました。
同期ビンがアクティブな場合、またはマルチソースモードの場合、水平方向にドラッグして再生ヘッドでライブペイントしたり、下方向にドラッグしてアングルをドラッグ可能なクリップに変えたりできます。

セーフトリミングモード
カットページには、隣接するクリップが誤って上書きされるのを防ぐためのセーフトリミングモードが追加されました。
トリムポイントをドラッグして、タイムラインのギャップをすばやく埋める際、カットポイントに達すると、DaVinci Resolveは一時停止します。編集を上書きしたい場合は、ドラッグを続けて隣接するクリップをトリミングします。

新しいオーディオミキサー
カットページには、プロフェッショナルなラウドネスメーターを備えたフルオーディオミキサーが搭載されました。
各チャンネルストリップには、左右のパンニングスライダー、フェーダー、ソロボタン、ミュートボタンに加え、プロフェッショナルなパンニング、EQ、ダイナミクス、FXコントロールが搭載されています。これにより、録音、編集、番組の仕上げを行いながら、オーディオをミックスおよびモニターできます。

ボイスオーバーツール
編集ページでは、ボイスオーバーツールで、タイムラインに直接録音できるようになりました。
ファイル名、オーディオ入力、および出力トラックをすばやく設定できるコントロールを備えており、自動トラック選択と、カウントダウンや入力モニタリングなどのカスタマイズオプションにより、ボイスオーバーの作成がこれまでになく簡単になりました。

ソースビューアタイムライン編集
編集ページでは、ソースビューアでタイムラインを開いて、2つのタイムライン間でレビュー、比較、編集できるようになりました。
ソースビューアのタイムラインには青い再生ヘッドがあり、アクティブなタイムラインをすばやく識別できます。積み重ねられたタイムラインを使用して比較し、タイムライン間でメディアをドラッグアンドドロップすることで、作業を高速化できます。
カラーページ

クロマカラーワープ
クロマワープ(Chroma Color Warper)を使用すると、ビューア内の1回の操作で直感的に色と彩度を調整できます。
ストロークコントロールは色を一方向に移動させ、ポイントツーポイントモードはより正確な色相補正のために領域を分離できます。ピンポイントを追加して、影響を与えたくない領域を分離することもできます。

リモートモニタリングの改善(Studio版限定)
リモートストリーミング時、パワーウィンドウなどのオーバーレイをリファレンスモニターに表示することを選択できるようになりました。これは、グレーディングシステムがカラリストまたはそのクライアントのいる場所から離れた場所にあるリモートワークフローや、ローカルモニターに役立ちます。
また、H.265 4:2:2をストリーミングできるようになりました。
Fusion

ディープイメージ合成
Fusionにディープイメージ合成ツールが追加され、ディープイメージEXRファイルにある深度データにアクセスできるようになりました。
新しいノードの範囲により、マージ、変換、サイズ変更、クロップ、リカラー、およびホールドアウトの生成を行うことができます。また、Fusionの3D環境からレンダリングし、Fusion SaverノードでディープEXRをエクスポート可能です。

マルチレイヤーパイプライン
すべてのノードでマルチレイヤー画像をサポートしました。Fusionは、マルチレイヤーEXRまたはPhotoshopファイルを読み取り、ビューアでレイヤーをプレビューし、任意のノードで任意のレイヤーにアクセスして操作できます。これにより、アーティストはソースファイルの個別のレンダリングを必要とせずに、シームレスなレイヤー操作を行うことができます。

ベクターワーピングツールセット
Vector warp(ベクターワープ)、Vector transform(ベクタートランスフォーム)、Vector denoise(ベクターデノイズ)といった新しいオプティカルフローベクターツールがFusionに統合されました。
これらのツールを使用すると、モーションベクトルを活用することで複雑な時間的エフェクトが可能になります。

Fusionの180 VRサポート
FusionのPanoMap、球面スタビライザー、LatLongパッチャー、3D VRカメラ、および3Dビューアが更新され、没入型コンテンツの制作を可能にするために180度の視野角をサポートするようになりました。
また、簡略化された制作プロセスを実現するために、球面カメラとRenderer3Dを使用して3DシーンをVR180にレンダリングすることもできます。

3Dシーンドームライト
機能強化されたドームライトは、3Dシーンで自然なアンビエント照明をシミュレートする3Dツールです。
正確な反射とグローバルイルミネーションのために、360 HDRI画像を統合でき、3Dモデル用のよりリアルな環境を作成できます。

MediaOutノード
MediaOutノードを介して、Fusionページのビューアでカラーページのクリップグレードを直接プレビューできるようになりました。
これにより、最終的な合成をより適切に表現でき、クリップの最終的なルックを確認する必要があるたびにFusionページを離れる必要がなくなるため、時間を節約できます。
Resolve FX
Resolve FX Warper
DaVinci Resolve 20ではWarperが再設計され、新しいカーブモードとツールのレイアウトの再設計が含まれています。
Warperは、ゴムシート上にあるかのように、画像内の特徴をポイントまたはカーブを使用して押し引きし、変形させるフリーフォームの画像ワーパーです。

Resolve FX OpenColorIO
DaVinci Resolve 20に、OpenColorIO Resolve FXの新しいカテゴリが追加されました。OpenColorIO(OCIO)は、アカデミーソフトウェアファンデーションによって作成されたオープンカラー管理システムです。
多くのプロフェッショナルなVFXおよび編集プログラム(DaVinci ResolveおよびFusionを含む)で使用され、制作パイプライン全体で色の精度を保証します。OCIO CDL Transform FXを使用すると、ノードとの間で標準のColor Decision List(CDL)グレードを作成、保存、および適用できます。
Fairlight

6バンドクリップEQ
クリップEQは、カット、編集、Fairlightページで6バンドになりました。これは、ミキサーのトラックEQと一致し、クリップレベルでより多くのトーンコントロールが可能になります。
これにより、クリップ、トラック、およびEQプラグイン間で設定を簡単にコピーアンドペーストして、より一貫性があり、柔軟で正確な制御を実現できます。

EQとLevel Matcher
2つの新しいクリップ処理オプションを使用することで、ターゲットクリップのオーディオをリファレンスクリップのレベルまたはトーンスペクトルに合わせて調整できるようになりました。
EQマッチは動的であり、トーンマッチを維持するためにクリップ全体で自動的にオートメーションされます。Level Matcherを使用すると、手動で変更することなく、クリップセクションをシームレスにインターカットできます。

Chain FX
Chain FXを使用して、お気に入りのプラグインのグループをまとめて適用することができるようになりました。
チェーン内に最大6つのエフェクトを含めることができ、それぞれで設定をカスタマイズしてプリセットとして保存することができます。チャンネルエフェクトスロットでChain FXプラグインを組み合わせてより長いチェーンを作成することもできます。

オートメーションの改善
Fairlightはチャンネルごとのオートメーションモード切り替えをサポートし、プロジェクトをミキシングする際に、より柔軟でクリエイティブなコントロールが可能になりました。
1回のパスで、複数の個々のトラックを動的に調整し、一部のチャンネルオートメーション設定をスナップ、一部をラッチ、その他をトリムにすることができます。
クラウドコラボレーション
クラウドフォルダーの共有
DaVinci ResolveはBlackmagic Cloudをサポートしているため、プロジェクトライブラリをホストしたり、すべてのメディアを同期したりすることもできます。Blackmagic Cloudプロジェクトを共有して、世界中の編集者、カラリスト、VFXアーティスト、オーディオエンジニアと同時に共同作業できます。
DaVinci Resolve 20 では、Blackmagic Cloud共有フォルダをメディアプールにインポートできるようになりましたクラウドフォルダーを使用すると、プロジェクトの追加クリップ、画像、またはグラフィックを他のコラボレーターと簡単に共有できます。
すべてのクラウドコンテンツは、プロジェクトで使用されるまで仮想クリップおよびフォルダーとして表示され、その後ローカルに同期されます。メディアプールを整理したまま、大量のメディアにアクセスできます。

その他・全般的な改善
Apple Immersiveワークフロー
DaVinci Resolveには、空間オーディオのサポートなど、Apple Immersiveワークフローをサポートするための新しいツールとパラメーターが追加されています。Blackmagic URSA Cine Immersiveカメラで撮影したクリップをインポートして、Apple Vision Pro用のメディアを編集、グレーディング、ミキシング、およびプロフェッショナルに配信できるようになります。

このカメラは、初期段階の顧客への提供が開始されています。URSA Cine Immersive はこちらから事前注文できます。
ベータ版ということでまだ利用できない機能もあるようです。変更があれば更新したいと思います。
より詳しい情報はこちらのページから見ることができます。
価格とシステム要件
DaVinci Resolve 20は、macOS、Windows、Linuxで利用できます。
価格は、DaVinci Resolveは無料。
DaVinci Resolve Studio と Fusion studio はともに48,980円(295ドル)となっています。
最新版のダウンロードはこちらから
Blackmagic Design Announces DaVinci Resolve 20
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