Unreal Engine 5.5 が正式リリース!新機能紹介 Part 2!モーションデザイン、シミュレーション、モデリング、PCGなど

CGソフト

2024年11月13日 – Epic Games は、Unreal Engine 5.5 のリリースを発表しました。

新機能ハイライト

このリリースでは、幅広いツールセットで機能強化が行われ、レンダリング、カメラ内 VFX、デベロッパーのイテレーションなどの分野の数多くの機能がプロダクション対応になったほか、UE5 のエディタ内アニメーション オーサリングとモバイルゲーム開発ツールセットも改善されています。

Unreal Engine 5.5 機能ハイライト

ここでは、公式ではあまり焦点が当てられていなかったモーションデザイン、シミュレーション、モデリング、PCG、その他のアップデートについて紹介したいと思います。

モーションデザイン

モーションデザインは、迅速な反復とスケーラビリティを実現する合理化されたクリエイティブなツール スイートを必要とするモーション グラフィック アーティスト向けの機能セットです。主に、放送用のグラフィックとアニメーションを作成する目的の機能とされています。

モーションデザイン には、改良されたワールド アウトライナー、ユーザー インターフェイス、リギング ツール、クローナー、カスタマイズ可能な 2D/3D シェイプ、および合理化されたレイヤー ベースのワークフローを使用してマテリアルを作成する新しい方法である Material Designer が含まれています。

モーションデザイン機能セットは現在実験的機能段階となっています。

クローナーとエフェクターの改善

最新リリースのクローナとエフェクタでは新機能が追加されたことにより使いやすさが向上しました。クローナを使うと、高度なパーティクル エミッタ ワークフローでパーティクルをスポーンさせたり管理したりできると同時に、ポイントベースのダイナミクスでリアルなインタラクションが可能になります。

エフェクタに追加された Push Apart (押し広げる) は、オブジェクトをシームレスに分散させることができ、Particle Color (パーティクル カラー) は動的なビジュアルコントロール、Invert Volume (ボリュームの反転) は柔軟な操作を可能にします。

また、Torus (トーラス) や Radial (放射状) などの新しい形状も追加され、インスタンスやスタティックメッシュを作成できるようになって汎用性が加わり、効率性や精度にこだわるアーティストにとってうれしいアップデートが行われました。

クローナとエフェクタの近接エフェクト

エフェクタシステムでは、クローナパーティクルをカラー化することができるようになり、クローナとマテリアル両システムをシームレスに統合します。

エフェクタとクローナの間でデータをやりとりすることで、大量のクローンセット全体のパーティクルカラーを直感的に適用したり制御したりできます。これにより動的で応答性の高いカラーエフェクトが可能になり、手動調整せずに複雑なビジュアルを実現できます。

クローナとエフェクタのパラメータ

  • Effector Count (エフェクタ数)
  • Random (ランダム)
  • Mesh Index (メッシュ インデックス)
  • Normalized Age (存続時間を正規化)
  • Index (インデックス)
  • Count (カウント)
  • Color (カラー)
  • Effector Weight (エフェクタの重み)
  • Progress (進行度)
  • Mesh Count (メッシュ数)
  • Position (位置)
  • Velocity (速度)
  • Velocity Normalized (速度を正規化)


■クローナとエフェクタのコリジョン

クローナとエフェクタにパーティクルとメッシュのコリジョンを処理する機能が追加され、複雑なプロシージャル エフェクトや動的なインタラクションが可能になりました。

クローンは不要なインターセクションを起こさず効果的にぶつかり合い、環境内の他のメッシュとも相互に作用します。

このコリジョン機能の追加によって、より制御されたリアルな結果が得られ、複雑なシミュレーションや洗練された視覚効果が今後可能になります。

Push Apart エフェクタ

Push Apart (押し広げる) エフェクタは、エフェクタの中心点からクローナを押し出すことができるツールです。

力場のようなエフェクトを生むときに最適で、制御された分離と空間における動的なインタラクションが可能になります。

マテリアルデザイナーの改善

マテリアル デザイナーの PBR ワークフロー

マテリアル デザイナーが PBR ワークフローに完全に対応するようになり、複雑なマテリアルを簡単にビルドできるようになりました。

各チャンネルがスタッキングに対応しており、複数の画像や色、ノイズ パターンを重ねた複雑なマテリアル デザインが可能になります。

また、複数テクスチャのドラッグ&ドロップ機能も使えるため、より素早く効率的にマテリアルを作成できます。

マテリアル デザイナーのテクスチャ セット

マテリアル デザイナーがテクスチャ セットのドラッグ&ドロップ機能に完全に対応するようになり、マテリアル制作が効率化されました。

ORM マップのように、スロットとチャンネルの各パッキングに合う名前を付けてチャンネルを識別することで、素早く効率的にマテリアルを作成できます。

マテリアル デザイナーのエフェクト

マテリアル デザイナーに色補正、歪み、ジェネレータ、ブラーなど幅広いマテリアル エフェクトが追加され、複雑なマテリアルをより迅速に、しかも直感的に作成できるようになりました。

これらのエフェクトを適用して、プロシージャルにオン/オフにすることができます。また、エフェクトはすべてシーケンサーでアニメートできるため、複雑で動的なビジュアルを開発できます。

テキストアニメーター

プロシージャルな非破壊機能によって、これまで以上に簡単に Unreal Engine でテキスト アニメーションを作成できるようになりました。

個々の文字を正確に対象にし、動的なテキストエフェクトを簡単に適用できます。

プロパティアニメーター

アニメーターは、Unreal Engine のほとんどのプロパティを、プロシージャル アニメーションを通じて駆動できる強力な機能です。位置、縮尺、回転、可視性などを数回のクリックで簡単に制御できます。

最新リリースで導入された新しいカーブアニメーターを使用すると、ポップアップ スタイルのエフェクトに最適なスムーズなイン、アウト、ループ アニメーションを作成できます。

強化されたシーケンサーではトラックにアニメーターを追加でき、すべてのプロシージャル アニメーションを維持しつつ、ドラッグ&ドロップで簡単にタイミングを取ることが可能となりました。

また、トラックのフェード イン/アウトに加え、コピー、ペースト、フル プリセット サポートなどの機能が追加されており、ワークフローがさらに効率化されます。

その他

トランジションロジック

ライブ テレビでは、画面上の複数の要素をシームレスに表示し、スムーズに切り替えることが最も重要です。

さまざまな画面表示要素を「レイヤー」に割り当て、要素のインとアウトをライブショーで正確に制御する上で大切なのが、トランジション ロジックです。この機能により、グラフィック システムをインテリジェントに構築し、各要素を意図したとおりに画面に表示したり消したりでき、インパクトのあるライブ ブロードキャストに必要な高精度を実現できます。

モデリング

Unreal Engine 5.5ではベータ版のモデリングツールやワークフロー、UVツールの改善が引き続き行われています。

モデリングの改善

Unreal Engine 5.5 のモデリングツールとワークフローでは、以下の改善が行われています。

ツール (ベータ版)

  • 結合と再構成
    • 結合(Weld)では、中心に結合されるようになりました。新しい「weld to」ツールは、最後に選択されたものに結合します。
    • 閉じている単一トライアングルの穴など、より多くのケースでエッジ再構成(Edge collapse)が可能になりました 。
    • 結合とブリッジは、異なる 2 つのシーケンスに分割できる場合に限り、複数のグループのエッジに対して同時に実行できるようになりました。
    • 結合、ブリッジ、再構成は、適切なエッジ選択に変換できる頂点選択でも機能するようになりました。
    • 結合では頂点のペアを結合でき、再構成では面選択を処理できます。
  • トランスフォームと整列
    メッシュタイプに加えて、プリミティブコンポーネントを処理できるようになりました。
  • ピボットポイントの編集
    ピボット編集ツールがアクティブなジオメトリ選択項目を使用して実行される場合に、ピボット位置がその選択項目の位置に初期化されるようになりました (位置だけが変わり、デフォルトの向きは維持される)。また、向きだけのスナップドラッグもサポートされるようになりました。
  • スカルプト
    スタイラスとタブレットのプラグインが有効になっている場合、頂点スカルプティングブラシとダイナミックスカルプティングブラシでブラシの強度に対する圧力がサポートされました。
  • 分割ツール
    分割ツールで、メッシュがどのように分割されるかのプレビューを表示できるようになりました。また、ポリゴングループ、マテリアル ID、頂点距離の許容範囲で分割する新しいオプションが追加されて、結合されていない境界を越えて分割されないようにできます。
  • MeshToCollision
     MeshToCollision ツールの UI で、凸型分解用の明示的なオプションが追加され (以前は、凸包にある設定として非表示になっていた)、新しいナビゲーション駆動のアルゴリズムがデフォルトになりました。 (以前の方法やハルの数の手動指定に切り替えることも引き続き可能)。
  • ポリゴン カット
    ポリゴン カットで [Cut OutSide (外側をカット)] オプションが追加されました。
  • プリミティブ
     新しいカプセルツールで、円筒部分に沿ったスライスの数の変更がサポートされています。
  • 押し出しポリゴン、押し出しパス、回転パスに関して、ユーザーが選択した描画平面が、ジオメトリ要素の選択 (該当する場合) を含めリセットされるようになりました。そのため、新たな形状の描画は選択した頂点/エッジ/面に合わせて開始できるようになりました。
  • CubeGrid
    アクティブな要素を選択して実行すると、ピボット位置からリセットされるようになりました (ピボット編集と同様に向きはデフォルトを維持します)。

ワークフロー (ベータ版)

  • 選択変換: メッシュ要素の選択変換がすべてのケースで使えるようになりました。そのため、選択タイプが変わっても一貫して選択を保持/変換状態にできます
  • メッシュ要素の選択の色: メッシュ要素の色が更新されました。色の設定は [Project Settings (プロジェクト設定)] でカスタマイズできます


UV ツール (ベータ)

UV ツールには、ブラシで一度に島を作成できる選択ツールやUV の転送ツール、新たなレイアウト オプションなどが追加されました。

  • ブラシ/ペイント UV 選択ツール: 2D と 3D 両方のビューポートで動作します。ブラシで一度に島を作成できるオプションが追加されました。
  • 「Make Island (島を作成)」操作: 選択対象を別の島に作り替えます(つまり、選択範囲内のすべてのシームを取り出して別の境界に入れます)。ブラシ ツールと組み合わせると、以前なら貧弱なトポロジのせいでシームの描画が難しかった場合でも島を作成できます。
  • UV の転送ツール: モデリング ツールの UV セクションにあります。「Existing Positions (既存の位置)」メソッドで簡素化されたメッシュからオリジナルのメッシュに UV 値を転送できます。簡素化メッシュで UV レイアウトを作成してから、オリジナルの高解像度メッシュに戻すことができます。
  • 新たなレイアウト オプション: 島を再パッキングするときに縮尺や回転を維持できる新たなオプションが追加されました
  • UV スナップショットのエクスポート: UV エディタとベイク ツールでベイク UV スナップショットを利用できるようになりました。ユーザーが制御できるワイヤーフレーム表示色状態を含んだ画像をエクスポートできます。


テクスチャリング ツール (実験的機能)

実験的機能のテクスチャリングツールには、5つの新しいノードの追加、3Dプレビューでのデフォルトマテリアルの改善、新しいエクスポートモードが追加されました。

  • 新しいノード
    • Histogram Scan
    • Histogram Range
    • Edge Detect
    • Warp
    • Texture Path
  • 3Dプレビューでのデフォルトマテリアルの改善
    新しいマテリアルは、ベースカラー、ラフネス、ノーマル、スペキュラ、メタリックなどの標準的なマテリアルチャンネル用のオープンスロットを提供します。
  • 新しいエクスポートモード
    新しいテクスチャグラフのエクスポートモードにより、グラフ全体を表示することなく、公開された入出力パラメータを持つ再利用可能なユーティリティとしてテクスチャグラフを使用できるようになりました。


ジオメトリスクリプト処理

Geometry Script は、Unreal Engine のプラグインで、ブループリント (BP) や Python を使用してメッシュ ジオメトリを生成および編集できる一連の関数ライブラリが含まれています。

5.5では、ダイナミックメッシュ コンポーネント のレンダリング オプションに静的描画パスと距離フィールドが追加され、Lumen と一緒に使用できるようになりました (ただし、その Lumen メッシュ カードは同等のスタティックメッシュより簡素になります)。

また、ジオメトリスクリプト処理 ライブラリには、10 以上の機能カテゴリにわたって 50 以上の新たなジオメトリスクリプトノードが追加されました。たとえば、今回のリリースではモーフターゲット、スキンメッシュプロファイル、ボーン ウェイト関数、LOD などのスケルタルメッシュとの相互運用性が追加されています。

他にも次のような更新が行われています。

  • メッシュ上のコリジョン オブジェクトや凸包分解に役立つ新関数がいくつか追加されました。
  • メッシュ選択やメッシュ修復からメッシュ UV パッキングまで、メッシュ用に幅広い機能が追加されました。
  • プールされた一時的なダイナミック メッシュでの作業を簡単にするため、メッシュをリクエストしたりリリースしたりするマクロが新たに追加されました。

シミュレーションと VFX

Chaos データフローエディタ (実験的機能)

実験的機能の 5.5 データフローエディタ(Dataflow Editor) グラフにより、ノードベースの環境内でアセットをプロシージャルに生成できるようになりました。

グラフの実装ではプルベースの評価を活用し、グラフのノードが入力の評価に基づいてキャッシュ済み出力ステートを生成します。

データフローアセットは、プロシージャルなオーサリングとシミュレーション システムのセットアップを支援するために使用されます。例えば、Chaos Clothシステムは、Marvelous Designerからの衣服のインポートとセットアップにDataflowを使用しています。

アップデート内容を見る
  • 再ルーティングノード
  • コピーと貼り付け
  • 改良されたアンドゥのサポート
  • 非推奨サポート
  • 動的入力
  • ピンを表示/非表示
  • コメントに色を付けるアビリティ
  • 無効ノードのグレイアウト
  • ノードバージョン管理 (開発者のためのツール)
  • 任意の型をサポート

Chaos Flesh (実験的機能)

Chaos Flesh システムは、Unreal Engine で変形可能 (ソフト) なボディの高品質のリアルタイム シミュレーションが可能となるシステムで、スケルタルアニメーション中にキャラクターの筋肉の変形をシミュレーションすることを主な目的として設計されています。

実験的機能段階の Chaos Flesh がアップデートされ、重点領域として単純な単一の筋肉アニメーションの仕上げ、シンプルな ML サンプル、筋肉の完全なシミュレーションといった新機能が追加されました。

現在脂肪層のシミュレーションの開発が進められており、残りの作業は同じグラフで筋肉と脂肪の間の静的な制約を設定することとのことです。

Chaos Destruction

Chaos Destruction システムは、シネマティック品質の破壊をリアルタイムで実現するためのツールのコレクションです。優れたビジュアルに加えて、このシステムはパフォーマンスに対して最適化されており、アーティストやデザイナーは、直感的なノンリニア ワークフローを使用することで、コンテンツ作成および破砕プロセスをより細かく制御できます。

5.5 では、Chaos Destruction 機能に多数の改善が加えられています。

シミュレーションビューには、ジオメトリコレクション向けのデータフローエディタが追加されました。これにより、グラフで生成された最終のジオメトリコレクションを、選択したノード結果を含むデバッグビューとともに表示できます。

すべての更新内容を見る

Unreal Editor の改善

  • ジオメトリ コレクションで、次のコリジョン モードが選択されたときに、そのコリジョンが適切に表示されるようになりました。
    • プレイヤーコリジョン
    • 可視性コリジョン

メモリでの改善

  • 5.5 において、Geometry Collection コンポーネントとその対応する物理プロキシのメモリ フットプリントは、適切にスケーリングできるように削減されました。

カスタムレンダラ専用ルート プロキシ

  • 新しいカスタム レンダラが追加され、インスタンス化されたスタティックメッシュを使用してルートプロキシメッシュをレンダリングできるようになりました。ただし、壊れたステートをレンダリングするために通常のレンダラを使用します。 新規レンダラ: GeometryCollectionRootProxyRenderer

データフロー

  • エディタ フラクチャ モードで利用できる各種ツールと的確に一致するようにノードが改善された、いくつかの新規ノードが導入されました。
  • 既存のフラクチャ ノードが改善され、フラクチャ エディタ ツールの各パラメータとよく一致するようになりました。
  • 新規 Radial point distribution ノード
  • 新規 Mesh cutter ノード
  • 新規 FixTinyGeo ノード
  • 新規 Recompute normal ノード
  • 新規 Validate ノード

キャッシュ

  • キャッシュ コレクションでは、新しい補間モードが導入され、デフォルトのモードの制限事項に対応できるようになりました。 デフォルト補間モードは、大きな時間ステップを使用するときや、スローモーションで再生するときに、十分機能しないことがありました。

異なる補間メソッドをユーザーが選択できるオプションが追加。

  • クアット補間:
    • 通常の FTransform Blend メソッドを標準クォータニオン補間で使用します
    • 時間ステップが大きいまたは小さすぎる (スローモーション) ときに制限があります
  • オイラー補間:回転はオイラー角空間で補間
    • 最短パスに沿って補間できないことがあります
  • デュアル クアット補間:回転を補間するダブル クォータニオン メソッドを使用
    • 極端な状況で最も正確なメソッドです
    • ただし、評価に時間がかかる可能性があります

その他

Chaos Visual Debugger (ベータ版)

UE 5.4 でベータ版としてリリースされた Chaos Visual Debugger は、物理シミュレーションのステートを記録 (インエディタまたはパッケージ ビルド) 、時間を前後にスクラブする機能で後からビジュアル化、さらにオブジェクトごとのレベルで記録されたデータを調べることができます。

UE 5.5 でも Chaos Visual Debugger はまだベータ版ですが、新機能が追加され、複数の改善が行われています。

Chaos モジュラービークル (実験的機能)

実験的機能のモジュラービークルシステムは、リアルタイムでビークルを構築/破壊が可能で、コンポーネントをダイナミックに追加/削除できるビークルシミュレーションプラグインです。

5.5では、固定のスケルタルメッシュ トポロジを使用する既存の Chaos Vehicle プラグインと異なり、モジュール式のシステムはより柔軟で、カスタムシミュレーション モジュールとクライアント予測による巻き戻し再シミュレーションが可能なサーバー優先物理をサポートしています。

ビークルは複数のGeometryCollectionアクターから構築され、Cluster Unionアクターで結合されます。また、Static Meshesにも対応する予定です。シミュレーションはモジュール化されており、コンポーネントはシミュレーションツリーに割り当てられるため、従来型のビークルだけでなく、従来とは異なるビークルも作成できます。

Niagara 軽量エミッタ (ベータ)

新しい軽量エミッタでは、フレームごとに状態を保存せず、表示されるプロキシに対してのみデータが計算されます。これにより、エミッターの数を大幅に増やすことができます。また、生産性を向上させるための制約された高速な機能セットが含まれており、シンプルな動作における実行時コストとコンパイル時間を劇的に減少させることができます。

量エミッタは Unreal Engine 5.4 で実験的機能として導入されました。Unreal Engine 5.5 でベータ版としてリリースされています。

Niagara データチャンネル

Niagara データ チャンネル (NDC) により、Niagara システム間、および Niagara とエンジンの他の部分間でデータを渡すことができるようになりました。重要なユースケースの 1 つとしては、NDC を使用して大規模な共有 Niagara システムにイベントを挿入し、インパクト FX などのパフォーマンスを向上させることが挙げられます。

NDC はユーザー エクスペリエンスとランタイムの各機能が向上して、Unreal Engine 5.5 で正式版としてリリースされました。

プロシージャル コンテンツ生成 (PCG)

GPU コンピュート (実験的機能)

PCG フレームワークでの GPU計算のサポートが追加されました。

PCG の GPU コンピュートを使うと、GPU ハードウェアのパワーの一部を、大量の計算を実行する並列処理に利用できます。シーンの背後で PCG がカーネルのグラフをコンパイルし、GPU 上で実行できるようにします。

データは CPU とシームレスにやりとり可能です。GPU シーンに直接書き込むこともでき、CPU パフォーマンスに影響を与えずに大量のスタティックメッシュ インスタンスを効率よく高速にスポーンさせることができます。GPU シーンに直接書き込む場合、コリジョンと間接ライティングに対応していないという制限があるので注意してください。

今後の作業には、最新ライブラリから変換してオプションで GPU 上で実行できる PCG ノードを増やすこと、ブランチングと CPU VM でヘッドレスサーバーに対応することなどが挙げられています。

文法(grammars)

プロシージャルなコンテンツ生成では、「文法」とは正式に体系化されたルールを指し、コンテンツをどのように生成し構造化すべきかを定義するものです。多くの場合これらのルールは、記号や単語などのシンプルな表現を使って、小さな要素 (壁、柱、パネルなど) を組み合わせたりつなぎ合わせたりして複雑な構造体 (フェンスや建築物など) を作成する方法を示します。

PCG フレームワークで文法を使いやすくするため、5.5 で次のような新たなノードが追加されました。これらの新ノードは、与えられた文法に応じて形状を定義したり細分化したりするために使用することができます。

  • Select Grammar
  • Print Grammar
  • Clean Spline
  • Reverse Spline
  • Primitive Cross-Section
  • Spline to Segment
  • Duplicate Cross-Sections
  • Subdivide Segment
  • Subdivide Spline

ジオメトリ処理

UE のダイナミック メッシュ タイプを通じて、PCG 内から直接メッシュをモデリング、変更、結合、出力できるようになりました。

また、モデリングとインスタンス化を組み合わせ、1 つのコンテキストでさまざまなユースケースに対応することもできます。

ジオメトリトリ処理により、例えば次のようなことが可能となります。

  • PCG の建築物ジェネレータで、側面には文法を使ってモジュール インスタンスを追加し、屋上や床には独自のジオメトリを作成する
  • 作成した屋上のジオメトリをリサンプリングして、上にアセットをスポーンさせる
  • Primitive Cross-Section 演算を使って、文法を適用する独自の形状モデルを作成する
初回の実装をみる
  • Dynamic Mesh Data (ダイナミック メッシュ データ) 型
  • Resource Stealing (リソース スティール)
  • Static Mesh to Dynamic Mesh (スタティックメッシュからダイナミック メッシュへ)
  • Create Empty Dynamic Mesh (空のダイナミック メッシュを作成)
  • Get Dynamic Mesh (ダイナミック メッシュを取得)
  • Transform (トランスフォーム)
  • Merge (マージ)
  • Append Meshes from Points (ポイントからメッシュを付加)
  • Spawn Dynamic Mesh (ダイナミック メッシュをスポーン)
  • デバッグ ノードのサポート
  • Export to Static Mesh with Save Dynamic Mesh to Asset (「ダイナミック メッシュをアセットに保存」を使ってスタティックメッシュにエクスポート)
  • 既存の Mesh Sampler 演算子へのダイナミック メッシュ入力をサポート
  • ジオメトリ スクリプト関数を使った PCG ブループリント要素の機能拡張に完全に対応

スプラインメッシュ

Create Spline Mesh ノードが追加され、PCG でスプラインに簡単にメッシュを割り当てられるようになりました。

これにより、スプライン メッシュ アクタを作成するプロセスが非常に簡単になりました。

ワールドレイキャスト

PCG でレイキャストを一般化に役立つWorld Ray Cast ノードが追加されました。無限、スケール済みベクター、開始/終了ポイントのセグメント起点など、各種のマルチ レイキャストモードを利用できます。

また、新しく Create Points Sphere ノードも追加されました。測地、ポアソン、角度ベースの分布などのオプションがあり、簡単なレイキャストロジックをビルドできます。

さらに、すべてのレイキャスト関連のノード (ワールド レイキャスト、World Ray Hit Query など) は、UV やインパクト法線、レンダリング マテリアルなど、レイヒット結果からの属性 をより多く取得できるようになりました。

経路検索

経路検索ノードに、ポイントデータに対する A* 経路検索アルゴリズムのサポートが追加されました。

移動するためのポイントデータが与えられた場合、経路検索は指定された検索半径内のポイントを検索し、可能であれば A* 検索アルゴリズムを使用して開始位置から目標位置までの最適で完全な経路を見つけます。

経路上の次のポイントを予測するためにヒューリスティック (推定) が使用され、これを調整することでパフォーマンスを向上させることができますが、その代償として経路の最適性が保証されなくなる可能性があります。

エレベーション等値線

サーフェスデータ (ランドスケープなど) から効率的に等値線を作成できる Elevation Isoline 抽出ノードが追加されました。これは、足場の近くや傾斜沿いに慎重にアセットを配置するために便利です。

出力されるデータは、ポイントデータまたはスプラインデータとして等値線ごとに生成され、最小・最大高、増分、および解像度を調整することができます。

Niagara データチャンネルに書き込む (実験的機能)

PCG に新たに Write to Niagara Data Channel ノード が追加され、データを直接 Niagara システムに送信できるようになりました。

PCG 属性を Niagara データチャンネル (NDC) に書き込むことで、関連する Niagara システムがエミッタをスポーンしたり、システム自体の入力データとして利用したりできます。これは、特定のスポーン済みアセットの下へのエミッタの配置、ワールドの環境システムの構築、PCG のランタイム階層生成と NDC 島を使用した 1 つのシステムへのエミッタの動的な追加といった、PCG ロジックに基づくランタイム時の状況に応じたスポーンに利用できます。

この機能を使用するには、「プロシージャル コンテンツ生成フレームワーク (PCG) – Niagara Interop プラグイン」 を有効にする必要があります。

PCG データアセットへの保存

Save to PCG Data Assets ノードでは、配置された PCG グラフ実行から入力データ コレクションを直接 PCG データアセットに保存できます。ダイアログを開くか、あらかじめ設定された場所に保存することが可能です。

グラフが再実行されるたびに再度実行されますが、入力が同じ場合には実行されません。このノードは、他のグラフが PCG データアセットとして利用するための情報をオフラインで収集するグラフを構築するのに役立ちます。

その他の追加ノードと演算子

新しいカスタム HLSL、文法、スプラインおよびセグメントの操作、ジオメトリ、レイキャスト、等値線、経路検索、スプラインメッシュ、PCG データアセットへの保存、Niagara データチャンネルへの書き込み演算子に加えて、5.5 では複数のネイティブな PCG 要素が導入されています。

その他の追加ノードを見る
  • Attract: ウェイト値と引き寄せ距離に基づき、ソースデータからターゲットデータへポイントや属性を補間します。ポイントを再グループ化したり、スケールや回転といった属性を近くの引き寄せ中心に補間したりするのに役立ちます。
  • Collapse: 反復的な検索距離しきい値に基づき、ポイントと属性を結合します。近くのポイントを結合し、Attract ノードと組み合わせて使用するのに役立ちます。
  • Blur: 指定された距離内で、指定した属性に空間ぼかしを適用します。
  • Cluster: 従来のクラスタリング アルゴリズムを使用して、Cluster ノードはワールド空間内の「重心」に近接するポイントデータのグループを識別します。
  • Random Choice: エントリの比率または固定数に基づき、ポイントや属性セットのエントリをランダムに選択します。
  • Create Points Sphere: 球体生成モード (測地、角度、セグメント、ランダム、ポアソン) に基づき、ポイントの球体を生成します。
  • Add Component: 入力ポイントごとにコンポーネントを指定したアクタに追加します (「ターゲット アクタ―」 データの属性を通じて、またはデフォルトで PCG コンポーネントの所有者に適用)。追加するコンポーネントは、テンプレート コンポーネントまたは属性に格納されたクラスから取得します。
  • Get Attribute List: 入力データごとに、各属性について 1 つのエントリを含む属性リストを返します。内部タイプおよびデフォルト値 (文字列) を出力するオプションもあります。
  • Bounds from Mesh: 属性で指定されたスタティックメッシュの境界に基づき、入力データのポイント境界を更新します。
  • Create Collision Data: すべてのポイントがコリジョンを持つスタティックメッシュとして機能するデータを作成できます。出力データはプリミティブデータ型 (ボリュームサンプラーと互換性あり) であり、より精度を高めるために Difference ノードの「差分」部分として使用できます。
  • Spawn Spline Component: 入力として提供されたスプラインデータごとにスプライン コンポーネントをスポーンします。
  • Wait Until Landscape Ready: ランドスケープの変更が完了するまで待機します (変更がある場合)。このノードは、グラフや PCG コンポーネントにあるランドスケープの更新を無視するオプション (例:Ignore Landscape Tracking オプション) と組み合わせることで、ループを発生させることなく、ランドスケープに影響を与えるグラフ (アクタをランドスケープのパッチとともに配置するなど) を構築することができます。
  • Attribute Remove Duplicate: 同一の属性値を持つポイントや属性セットのエントリを削除します。
  • Get Tags: 入力データごとに、タグあたり 1 つのエントリを含む属性リストを返し、オプションで値 (文字列) も含めることができます。
  • Data Tags to Attribute Set: 入力データごとに 1 つのエントリを含む属性セットを返します。
  • Sort Data by Tag Value: 入力データをタグ値 (タグ:値 形式のタグがある場合)に基づいて、昇順または降順で並べ替えます。
  • Filter Elements By Index: 指定されたインデックスを使用して、ポイントまたは属性セットをフィルタリングし、新しいデータを直接取得します。
  • Parse String: 文字列を属性として解析し、互換性のある PCG タイプに変換します。
  • Octree spatial queries: ブループリントでポイントデータの八分木から空間クエリを実行するための新しい機能を追加します。

その他

グラフエグゼキューター v2

新バージョンの PCG グラフ エグゼキューター では、マルチスレッド アプリケーションでのスケーリングが向上し、エンジン フレーム時間に縛られずに PCG タスクを実行できるようになりました。

反応性やフレームレートに PCG が与える影響を抑えることができ、エディタとランタイムの両方のユースケースで実行実時間を大幅に改善できます。

データレイヤーサポート

透過的なデータレイヤー割り当てをサポートするようになりました。

これにより、特定のデータレイヤー構成(外部データレイヤーを含む)でPCGコンポーネントから生成されたコンテンツが、作成されたもにに同じプロパティを適切に割り当てることができるようになります。

ビルダー設定とビルドメニュー

前回の 5.4 リリースで、レベル内に PCG コンポーネントを生成し、その結果を保存できる World Partition ビルダーが追加されました。

5.5 では、新たに PCG ビルダー設定アセットが導入され、ビルダーに長い引数リストを渡すことなくビルダー設定を指定できるようになりました。PCG ビルダー設定アセットは、PCG コンテンツ ブラウザ メニューから直接エディタ内で作成し、カスタマイズすることができます。

その他

オーディオ

Audio Insights

Audio Insights は、オーディオのプロファイリングおよびデバッグのための主要ツールです。今回のリリースでは、スタンドアローンモードと追加のビジュアルデバッグで次のような改善が加えられています。

  • リモート接続向けのスタンドアローン Audio Insights モード
  • 高周波プロッター データ
  • タブレイアウトの保存

オーディオ ウィジェット

カスタマイズされ、見栄えよくきれいに装飾された UI は、業界で広く採用されている標準であるため必須です。カスタマイズしやすくなるように、次のような洗練された視覚的表現でカスタム オーディオ ウィジェットを作成するためのシステムを提供することによって、現行のウィジェットシステムの改善が進行中です。

  • よく使われるウィジェット用のカスタム UMaterials をデザイナーが作成できる、UMaterials をベースとして拡張可能なウィジェットを作成
  • UMaterial の基本実装を提供

MetaSounds

MetaSound は、で、サウンドソースのデジタル信号処理 (DSP) グラフの生成を完全にコントロールできるオーディオデザイナーを提供する高性能オーディオシステムです。

MetaSound には以下のように改善されました。

ユーザビリティの向上

今回のリリースでは、MetaSounds および オーディオ モジュレーション に、利便性を向上させる次のような多数の改善が加えられています。

改善内容を見る
  • 新しいコンソール コマンド
  • スペースバーでグラフを再生する前にキャンバスのクリックは不要
  • Get Last Index ヘルパー ノード
  • プリセット ワークフローからの変換の改善
  • 矢印キーをサポートするドロップダウン メニュー
  • サウンド プレビューへの再生/停止ボタンの追加
  • 高速入力の昇格
  • シンプル表示のオプション
  • 接続されていないピンの非表示
  • 右クリックでの CB から MS ソースの作成
  • 使用されていない入力のクリア
  • ウェーブ アセットへの GetName の追加
  • ディレイ ライン オーディオのクリア
  • 参照内検索のサポート
  • 他にも多数

MetaSounds ページ

プラットフォームターゲットに応じて MetaSounds Graph またはデフォルトプロパティを入れ替えできるようになりました。

MetaSounds の相対的レンダリングコスト

多数または比較的大規模な MetaSounds の同時再生時には、かなり多くの CPU 時間が必要となる場合があります。制限付きのプラットフォームでは、MetaSounds で大きな CPU 割り当てを使用している場合に、CPU のボトルネックが原因で他のゲーム システムへの波及効果が生じます。

MetaSound の相対的レンダリング コスト では、動的音声カウントを使用することによって、MetaSound の実効「音声カウント」が MetaSound の実際のレンダリング コストをより正確に反映できるようになります。制限付きのプラットフォームでは、大規模な MetaSounds が多数の音声に対してカウントされ、同時に復号される同時接続ウェーブの数が実質的に減っていることを確認できるはずです。

コンテンツパイプライン

Interchangeの改善

Interchange は、アセットをレベルに直接インポートするために使用できる新しいインポートシステムです。5.5では以下のよな改善が行われています。

インポートの Interchange フレームワーク

Interchange フレームワークは、インポート/再インポート (まもなく、エクスポートも) のワークフローを作成、拡張、パラメータ化するためのより簡単な手段を提供するものです。

5.5 では、レベルのインポートと一部の UI の更新に対する機能が完了しているため、アセットのインポートは 実際の制作に使用可能、レベルのインポートは ベータ版 となっています。レベルのインポートでは、アセットが作成され、モデルの階層がレベルにスポーンされます。

更新内容を見る
  • レベルのインポート (特に FBX ファイル形式に関して) のパイプラインをファイナライズします。コンテンツ クリエイターが、Interchange フレームワークを使用して FBX のパイプラインを完全にカスタマイズできるようになりました。
  • レベルのインポートの出力として、レベル インスタンス アクタ を作成するための新しいオプションが追加。
  • コリジョンの UI と動作が作り直されました (特に、再インポート関連)。
  • インポートのダイアログ ウィンドウで、一部のビジュアルが変更されました。

Interchange のワークフローの改善

Interchange フレームワークは、インポート/再インポート (まもなく、エクスポートも) のワークフローを作成、拡張、パラメータ化するためのより簡単な手段を提供します。

Interchange 機能は以下の点で拡張されています。

  • カスタム パイプラインでエディタ関数を利用するための、エディタ専用ブループリント パイプラインが追加されました。
  • アニメーションおよびスケルタルメッシュ上のモーフ ターゲットで動作するようになりました。
  • MaterialX のインポートで、ブール値入力およびカスタム入力のサポートが追加されました。
  • glTF のインポートで、異方性拡張とエクストラのサポートが追加されました。
  • ノード関連のメタデータが、アクタに格納されるようになりました。

Interchange による USD アセットのインポートのカスタマイズ (実験的機能)

USD が、Interchange フレームワークでサポートされているファイル形式のリストに追加されました。コンテンツ クリエイターは、FBX などの他の形式ですでに利用できる Interchange 機能と同様に、USD ファイルのアセット インポートでカスタム処理ステップを追加してインポート プロセスをより細かく制御できるようになりました

Interchange を通じた USD のサポートは、実験的機能と見なされており、アセットのインポートに限定されています。

USD のサポートとパフォーマンス

USD は、3D 業界全体で採用が拡大している汎用性の高いシーン記述ファイル形式です。USD は、コンテンツ クリエイターやアーティストが 3D コンテンツ、特にシーンの説明を DCC 間で転送するために使用されます。元々はメディア エンターテインメント業界で使用されていましたが、現在ではゲームおよび自動車や建築などの他の業界にも利用が広まっています。

5.5 では、非常に大規模なステージ、特に インスタンス化可能なものを大量に使用する ステージで、インポート/ロードの時間を短縮 し、メモリ使用量 を減らすことに重点が置かれました。そのことは、ステージ アクタのロード/リロードの場合だけでなく、通常のインポートの場合にも表れています。

これにより、シーンでのイテレーションが高速になり、より幅広いマシン (特に、メモリ容量が少ないマシン) でステージをロードできるようになったことにより QoL が向上しています。

再構成 API では、UE でのロード/インポート時にどの要素が再構成されるかをより細かく制御できるようになっています。

フレームワーク

ゲームプレイカメラ

Unreal Engine におけるカメラの調整がこれまでになく簡単になりました。

このカメラでは、システムを論理的に整理された複数のファイルに分割すること、マルチユーザーによるカメラ監査を実現しようとするツールやデータアセットを使用して、新しいワークフローを提供することを目指しています。

チームとして、ユーザーは新規カメラをモジュラー式で簡単に制作でき、非常に柔軟で、効率的な方法で異なるセットアップ間のトランジションを処理するシステムに統合できます。システムとデバッグツールは巻き戻しデバッガと互換性があるため、これらのツールセットにより、カメラのデバッグが以前より確実に簡単になります。

インスタンス化アクタ

Instanced Actors(インスタンス化されたアクター)は、ゲームワールドにアクターが多すぎることによるオーバーヘッドを削減するために設計された新機能です。

アクタを Mass エンティティに置き換えて、アクタとエンティティをオンザフライで変換(ハイドレーション/デハイドレーションと呼ばれます)することで、人口密度の高いオープンワールド環境でのパフォーマンスが大幅に向上します。の変換は、ビューアへの距離ロジックを使用して、Mass LOD システムで制御されます。物理トレースも同様にハイドレーションをトリガーするために使用できます。

大規模環境で同じメッシュ (岩や木など) を使用する、多くのアクタがあるときに、能力を最大に発揮します。

自動ナビゲーション リンク生成

ナビゲーション リンクは、レベル内で直接接続されていない 2 つの移動可能な領域を接続する方法です。例としては、高架プラットフォームと地上、または直接接続されていない 2 つのプラットフォームなどがあります。

開発者は、レベル内にNavLink プロキシ アクターを配置し、ナビゲーション可能な領域間の接続ポイントを定義することで、ナビゲーション リンクを手動で追加できます。

Unreal Engine 5.5 では、ナビゲーション メッシュ設定内でナビゲーションリンクを自動的に生成できるようになりました。

ムーバー プラグイン – アニメーション サポート

新規キャラクタームーバーが開発され、改良が引き続き行われています。

最新の優れた UE5 アニメーション テクノロジー (モーションワーピング、改良されたアニメーション ルート モーション サポート、モーション マッチングの軌跡クエリなど) を活用できるように開発が進められています。

その他のフレームワークのアプデートを見る

State Tree UX

UX およびイベント

  • このリリースでは、State Tree エディタの UX が大幅に改良され、目を引くカラー、アイコン、アクセシビリティ オプションが導入されています。 大規模なツリーですばやくナビゲートできる、新しいアウトライナー ウィンドウも追加されました。

ランタイム

  • 多様にステートを選択できるようにするために、2 つの新規ステート セレクタが追加されました。
  • メインツリーと並行してサブツリーを実行する機能を提供することで、並列タスクを実行するサポートが追加されました。
  • プロパティ バインディング関数が追加されました。これにより、ユーザーはプロパティに送信される値で計算を実行できます。これは、他のパラメータや外部参照で計算を実行し組み合わせるときに便利です。

Diff ツール

 この新規ツールは、以前からあるブループリント Diff ツールと同様に、チームのレビューおよびデバッグ ワークフローを迅速化できるよう、作業をレビューして追加/変更/削除されたコンテンツを簡単に特定するのに最適な形式をサポートしています。

構造体ユーティリティ

Struct Utils プラグインは元々 Unreal Engine 5.0 から導入されていました。それ以来、通常の QOL の改善がなされ、実際の制作に使用できるとみなされ、完全なサポートが進められています。 構造体ユーティリティはまた、エンジン モジュールに移動され、分離されたプラグインではなくなりました。

学習エージェント

学習エージェントは、ゲームデベロッパーが強化学習や模倣学習を使用して、トレーニングを行い、ボットをデプロイできるUE プラグインです。

5.5では、ML トレーニング コードのアーキテクチャの再構成、追加のネットワーキング プロトコルのサポートなどの改善が行われています。

エディタシステムと UI システム

エディタと UIシステムでは、新しい一括名前変更ツールやペンとタブレットの入力をサポートするプラグインの追加、追加のプラグインディレクトリが指定可能になるなど便利な新機能が追加されています。

■UMG でのテクスチャレンダリングの強化

Unreal Engineに組み込まれているユーザーインターフェース(UI)作成ツール UMGが強化されました。

今回の改善では、以下のテキストレンダリング機能により、フォントの視覚的忠実度とレンダリング パフォーマンスの両方が向上しています。

  • 明瞭さを損なうことなくフォントをスケーリングできるようになったため、異なるサイズでもテキストが鮮明に表示されます。
  • マテリアルで距離フィールドを使用することによる、輪郭やドロップ シャドウなどの高品質なエフェクト。
  • ランタイム時のメモリ使用量の低減。

スクリプト可能ツール

スクリプト可能ツール システムは、カスタムツールを作成するためのもので、非 C++ プログラマーが Unreal Editor でインタラクティブ ツールをビルドできるようにすることを目的としたシステムです。

スクリプト可能ツール には次の新機能の追加や変更が行われました。

  • モジュラー動作: モジュラー動作ベースの新しいツールが追加されて、5.4 でのクリックおよびクリック ドラッグ ベースのツールが置き換えられました。
  • ツールビルダー: ツール ターゲットとカスタム ツール ビルダーの両方をサポートする、ツール ビルダーのサポートが追加されました。
  • フィルタとコレクション:大規模なツール コレクションを管理するためのツール グループ フィルタのサポートが追加されました。
  • ポイント/ライン/トライアングルのセット: ポイント/ライン/トライアングルのセットのサポートが追加され、レンダリング イベントで従来のプリミティブ描画のサポートと比較して永続的な描画済みオブジェクトを使用できるようになりました。
  • ウィジェット: ブループリントでスクリプト化されたビューポート ウィジェットのサポートが追加され、ツールの UI をさらにカスタマイズできるようになりました。
  • マウス動作: モジュラー動作ツールベース内での、マルチクリック、シングルクリック、ダブルクリック、クリック ドラッグ、クリックまたはドラッグ、マウス ホバー、マウスホイールの ITF 動作のサポートが追加されました。
  • 入力動作: 単一キー/マルチキーの入力動作のサポートが ITF に追加され、スクリプト可能ツールでのサポートも公開されました。

■追加のプラグインディレクトリ

エンジンとプロジェクト以外のディレクトリを指定できるようになったため、プラグインブラウザから直接プラグインを参照できるようになりました。

フォルダで見つかったプラグインは、他のプラグインと同様にブラウザに表示されます。

この機能を使用することで、ツールの動的なライブラリを一元的に更新し、すべてのプロジェクトから参照できるようになります。

■一括名前変更ツール

以前に 5.4 で「高度な名前変更ツール(Advanced Renamer)」としてリリースされたこのプラグインは、5.5 で「一括名前変更ツール」という新しい名前で再度リリースされ、コア UE エディタ体験の一部になっています。

このプラグインを使用すると、複数のアセットおよびアクタの名前を変更すると同時にプレフィックス/サフィックスを付加することができます。5.5 では、UE5 のスタイルに沿うように、一括名前変更ツールの UI が少し変更されています。

■参照ビューア UX の向上

ユーザーが参照ノードを右クリックして [Resolve Referencing Properties (参照元プロパティを解決)] アクションを選択することによって、どのプロパティでそのノードが参照されているかを参照元ノードから視覚化できるようになりました。現時点では、ノード アセットが参照/値またはタイプとして使用されている場合に、プロパティが取得されます。

将来は、特定のタイプ (マテリアルやフォントなど) の情報 (テクスチャを参照しているマテリアル パラメータの名前など) も表示されるようになる可能性があります。

StylusInput プラグイン

ペンとタブレットの入力をサポートするプラグインが書き直されました。

新しい API は、以下のように変更されたことで、より明示的で堅牢になり、パフォーマンスが向上しています。

ワールド構築

外部データレイヤー

World Partition レベル内のアクタは、特定のゲーム機能プラグインに外部データレイヤーを使用して関連付けられるようになりました。データレイヤーは外部データレイヤーの親に設定することもできます。この関連付けから生成された結果のストリーミングレベルは、ランタイム時に設定できるプラグインのアクティベーションのときにだけ挿入されます。

データレイヤー エディタを活用すると、アクタを外部データレイヤーに対して割り当て、移動、削除できます。無効な組み合わせを避けるために、追加のプラグイン依存関係の検証が発生します。

外部データレイヤーを使用すると、多様なゲーム機能プラグインで、ベース ゲーム コンテンツに影響を及ぼすことなく、レベルにアクタを追加できます。これは DLC およびライブ ゲーム操作には最適です。

静的ライティング (実験的機能)

World Partition レベルおよびレベルインスタンス向けに追加された静的ライティングのサポートが実験的機能として追加されました。

World Partition レベルのライトマップデータは、そのアクタストリーミング設定に応じて、グリッドセルごとにストリーミング用にパッケージされます。ボリュメトリックライトマップでは独立したセルサイズと距離を使用しており、これはワールドセッティング – Lightmass で調整できます。

新規 World Partition 静的ライティング コマンドレット ビルダーが提供され、World Partition レベルの静的ライティングのロードとベイクに使用することが推奨されます。

以上となります!

より詳しい情報はリリースノートをご覧ください。

アニメーション、バーチャルプロダクション、プラットフォームと開発者向けアップデートについてはPart1の以下の記事をご覧ください。

ダウンロード

Unreal Engine のシステム要件の確認はこちらから

Unreal Engine は、収益が 100 万米ドル未満の場合は無料で利用できます。その他ライセンシング詳細はこちらから

最新の Unreal Engine は、Epic Games Launcher からダウンロードすることができます。

また、こちらからソースコードをダウンロードすることができます。
※ソースコードにアクセスするにはいくつかの手順を踏む必要があります。手順の確認はこちらから


Unreal Engine 5.5 がリリースされました

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