Unreal Engine 5.5 が正式リリース!新機能紹介 Part 1!レンダリング、バーチャルプロダクション、アニメーションの強化など

CGソフト

2024年11月13日 – Epic Games は、Unreal Engine 5.5 のリリースを発表しました。

新機能ハイライト

このリリースでは、幅広いツールセットで機能強化が行われ、レンダリング、インカメラVFX、デベロッパーのイテレーションなどの分野の数多くの機能がプロダクション対応になったほか、UE5 のエディタ内アニメーション オーサリングとモバイルゲーム開発ツールセットも改善されています。

Unreal Engine 5.5 機能ハイライト

ここでは、アニメーション、バーチャルプロダクション、プラットフォームと開発者向けアップデートについて紹介したいと思います。

残りの公式ではあまり焦点が当てられていなかったモーションデザイン、シミュレーション、モデリング、PCG、その他のアップデートについては、Part 2 で紹介したいと思います。

アニメーション

UE 5.5 では、エディタ内での高忠実度のアニメーションオーサリングをしやくする新機能と拡張機能の追加され、DCC アプリケーションとの行き来が必要となる場面が減少しました。

シーケンサーの強化

このリリースでは、Unreal Engine の非線形アニメーション エディタであるシーケンサーが強化されました。

ユーザビリティの向上

シーケンサーのコンテンツでビューポートをフィルタリングできるようになり、シーケンス内のコンテンツの表示を制御できるようになったことでプロパティへのアクセスが簡単になりました。これにより。インターフェースを制御しやすくなりました。

その他の改善点を確認
  • カスタマイズ可能なフィルタリング
  • 選択されているバインディング、トラック、チャンネルの分離または非表示
  • 非表示、分離、すべて表示でのホットキーのサポート
  • バインディング、トラック、セクション、チャンネル、キーのプロパティ用のオーバーレイ ウィンドウ
  • シーケンサー コンテンツのビューポート選択項目のフィルタリングの切り替え
  • Take Recorder による、記録されたカメラに基づいたサムネイルの生成

ダイナミック シーケンサー

ダイナミックシーケンサーにより、ユーザーがデータの動的な操作をより的確に定義できるようになりました。

インタラクティブ シネマティックス中のプレイヤーの選択に基づく条件付きステートの変更や、ゲームプレイ シネマティック内でのオブジェクトのより微妙な制御を行えるカスタム バインディングなど、さまざまな動的なシネマティックス シナリオをインタラクティブにトリガーするように設定するのが簡単になっています。

カーブを使用してシーケンスのタイミングをワープしたり、サブシーケンスまたはショットの原点を再配置したりすることもできます。

コア機能を確認
  • 新しいデフォルトのバインディング タイプ – ランタイム時に別のオブジェクトに動的にバインドできる、置き換え可能なもの
  • カスタム バインディング タイプの作成 – シーケンサー内でオブジェクトがどのようにバインドされるかをより細かく制御可能
  • トラック行またはセクションのアクティブなステートを条件付きで制御可能
  • オーサリング カーブを使用したシーケンス、サブシーケンス、スケルタル アニメーションのタイムワープ
  • シーケンスまたはショットのトランスフォーム原点のオーバーライドおよびアニメート

アニメーションモード:アニメーションレイヤー

アニメーションレイヤーが追加され、ユーザーが非破壊レイヤー上にモーションを作成することができるようになりました。

これまでは従来の DCC アプリケーションでしか実現できなかったさらなる制御が可能になり、柔軟性が向上しています。また、これにはコンテンツの簡単な管理、加算またはオーバーライドの選択、これらのレイヤーのウェイトをアニメートする機能も含まれています。

コア機能を確認
  • 選択項目からレイヤーを作成
  • マルチオブジェクト レイヤー
  • 選択されているレイヤーのマージ
  • 加算とオーバーライド
  • ミュート、ロック、選択
  • アニメート可能なウェイト
  • 名前変更、複製、削除

アニメーション デフォーマー

コントロール リグ内に新しく追加されたアニメート可能なアニメーション デフォーマーにより、シーケンサーのキャラクターに対してアニメーション エフェクトをワンクリックで簡単に適用できるようになりました。

これにより、接触変形やさらに優れたカートゥーン スタイルの押し潰しと伸縮など、よりリアルなアニメーション エフェクトを作成できるようになります。 

また、ラティス、カメラ ラティス、スカルプトなどのデフォーマーが組み込まれた既製のコントロール リグのコレクションと、アニメーションで使用したり、独自のリグ駆動型デフォーマーやヘルパー リグをビルドするための例として使用したりできるユーティリティ コントロールリグがいくつか含まれた、Animator Kit プラグインも利用可能となっています。

モジュラー コントロール リグ

モジュラー コントロール リグは、ベータ版に移行し、多くの UI と UX の改善、新しい四足歩行および車両モジュール、一般的な二足歩行のスケルトンタイプがサポートされるようになりました。

スケルタルエディタ

スケルタル エディタは、メッシュの分離、ウェイト転送ツール、ビューポートのワイヤーフレームとボディの改善などが加えられプロダクション対応になりました。

これにより、ウェイトのペイントと編集のワークフローをより迅速でシンプルにできます。

MetaHuman Animator のオーディオ駆動アニメーション

Unreal Engine 用の MetaHuman プラグインの一部である MetaHuman Animator も、このリリースで大幅にアップグレードされています。

実験的機能として導入されましたが、オーディオ パフォーマンスのみから、顔の上部のジェスチャーの推測を含む高品質のフェイシャル アニメーションを生成できるようになりました。

完全にローカルなオフライン ソリューションで、さまざまな音声と言語で動作し、他の MetaHuman Animator 入力と一緒にバッチ処理およびスクリプト化できます。

Mutable キャラクター カスタマイズ

Mutable キャラクター カスタマイズ システムという、ランタイム時に動的に変化するコンテンツを必要とする方におすすめな機能が追加されました。

このシステムを使用すると、メモリ使用量を最適化し、シェーダー コストを低く抑え、ドロー コール回数を減らしながら、キャラクター、動物、小道具、武器などの動的なスケルタルメッシュ、マテリアル、テクスチャを生成できます。

ランタイム時にコンテンツを変更するネイティブ ツールとは異なり、多くのパラメータとテクスチャ レイヤー、複雑なメッシュのやり取り、GPU に適さないテクスチャ エフェクトを伴う詳細なカスタマイズが可能です。

Mutable の機能については、今後数日以内に公開される、対応するサンプル プロジェクトで確認できるようになる予定です。

チューザー

チューザーがプロダクション対応になりました。チューザーは、多数の優れた追加機能とデバッグ機能を備えた、堅牢なゲーム コンテキスト アセットのセレクタです。

今回のリリースでは、複雑なロジックを記述することなくゲーム コンテキストに基づいて再生するアニメーションを選択可能なフレームワークが追加され、ほぼすべてのタイプのアセットを選択できるようになりました。これは、単純なランダム セレクタから、数千のアニメーションを含むデータベース駆動型ロジックまで、複数レベルにまたがって対応可能です。

これらの機能は、更新されたゲーム アニメーション サンプル プロジェクトで試すことができます。

その他

ML デフォーマー

ML デフォーマーを使用すると、機械学習を活用することによって高品質のオフライン メッシュ変形をリアルタイムで作成できるようになります。

UE 5.5 では、ランタイム変形を改善できるいくつかの機能が ML デフォーマーに追加されました。

変更点を見る
  • ML デフォーマー エディタのビューポート内でのマスクの直接ペイントのサポートが追加。
  • トレーニング アニメーション/ジオメトリのキャッシュ入力ごとのマスクを指定して、トレーニング データを特定の領域に限定する機能の追加。
  • ML デフォーマー用の Maya プラグインにポーズ ミキサー ツールが追加され、それを使用してトレーニング データを改善できるようになりました。
  • 社内外のチームからのフィードバックに基づいてワークフローの問題を解決し、ワークフローを改善。

物理コントロール

Physics Control プラグインを使用すると、コンポーネントを使用するブループリント、またはアニメーション グラフ ノードを使用するキャラクターに、シンプルかつ直感的で強力な物理ベースのコントロールを追加できます。

このプラグインにいくつかの改善が加えられました。

リグ バリアント (実験的機能)

リグ バリアントは、コントロールリグのモジュールと関数をアップグレードおよび入れ替えるための実験段階のツールです。

これにより、下位互換性および上位互換性のためにアニメーターがリグを別のバリアントに非破壊的に入れ替えることができるようになります。

UE での MetaHumansの最適化

リリース 5.5 では、UEFNでのMetaHumans の取り込みで大成功を収めた最適化アプローチが取られ、UE の MetaHumans に同じ手法が応用されました。

MetaHumans のエクスポート時に、ユーザーは次のいずれかをリクエストできます。

  • Cinematic (Complete) (シネマティック (完全)) :元の解像度のアセットを使用した既存の「フルファット」MetaHumans
  • High (高)Medium (中)Low (低) (最適化済み) :ベイク済みテクスチャと複雑さの軽減により最適化された MetaHumans

最適化された MetaHuman の詳細については、「最適化された MetaHuman」のドキュメントを参照してください。

レンダリング

MegaLight(実験的機能)

MegaLights は、アーティストがシーンに数百個の動的シャドウ キャスティング ライトを追加できる、新しい実験的機能です。

「ライトの Nanite」と呼ばれている MegaLights を使用すると、シーンに動的シャドウを落とす何百ものライトを制約なしに追加できます。

これにより、初めて、パフォーマンスへの影響ではなく芸術的な観点を重視して、コンソールと PC 上でソフト シャドウ、Light 関数、メディアテクスチャの再生、ボリュメトリック シャドウを備えたテクスチャ エリア ライトを自由に使用できるようになります。

MegaLights Demo | Unreal Fest Seattle 2024

Lumen

ハードウェア レイ トレーシング (HWRT) の基盤となるシステムに多くの改良が加えられ、Lumen、パス トレーシング、ライトベイクのパフォーマンスといった機能が改善されました。

この改良により、Lumenでは、ハードウェアサポートがあるプラットフォーム上で 60 Hz で実行できるようになりました。また、Lumen のグローバル イルミネーション (GI) と反射の品質を向上させる、いくつかの重要な改善も行われています。

  • GI のヒットライティングもサポート。
  • より高コストで高精度な GI 計算方法により、スタティックメッシュで Lumen を使用する際に生じる制約の一部を回避できるように。
  • 低ラフネス反射のシャープネスを大幅に向上させる新しい反射ノイズ除去機能に加えて、反射における屈折の透過性を新たにサポート。

パストレーサー

リリース 5.5 では、パス トレーサーが実際の制作に使用可能となりました。

このリリースでは、一連のパフォーマンスと忠実度の改善、Linux のサポート、および空の大気やボリュメトリック クラウドを含む、その他すべてのプロダクション対応の機能のサポートが含まれています。

パストレーサーは実際の制作に使用できる状態ではありますが、一部の開発中の機能や実験的機能はパス トレーサーで使用できない可能性があることにご注意ください。

■パストレーサー ボリュメトリック

リリース 5.5 では、パス トレーサーで、空の大気とボリュメトリック クラウド両方の参照品質レンダリングがサポートされ、フル機能の参照やグラウンド トゥルース イメージ作成が可能になりました。

インタラクティビティを保つため、一部のレイ マーチング手法最適化によってビジュアル アーティファクトが発生することがあり、高密度クラウド レイヤーの多くは綿密なチューニングが必要となります。

NFOR – 時空間ノイズ除去 (実験的機能)

NFORノイズ除去、「非線形加重一次回帰」または「時空間ノイズ除去」は、時間と空間の両方で周囲のパッチに基づいて各ピクセルのノイズを除去することで、オフライン パッチ トレーシング レンダリングに時間的に安定したノイズ除去を提供するよう設計されたプラグインです。

この機能は、あまりに少ないサンプル数や高速で動くオブジェクトには対応していませんが、高品質な出力を生成することができます。

Vulkan レイトレーシング (ベータ)

リリース 5.5 では、Vulkan レイ トレーシングがデフォルトで有効になっています。

Vulkan レイ トレーシング機能は、Linux プラットフォーム上などで、DX12 と同等で、Lumen のヒット ライティング モードやパス トレーシングを含む、すべてのレイ トレーシング機能を使用できるようになります。

この機能を試す際は、最新ドライバー (Windows には Nvidia 560+、Linux には 550+) の使用が推奨されています。

Substrate

Unreal Engine 5.2 で実験的機能として導入されたマテリアル オーサリング フレームワークである Substrate は、ベータ版に移行しました。

5.5では、大規模プロダクションでの実証は完了していませんが、UE がデプロイされるすべてのプラットフォームと同様に、レガシーマテリアルのすべての機能がサポートされるようになりました。

マテリアルのクック時間とメモリ フットプリントなどSubstrate をリアルタイム アプリケーション向けに完全に最適化する作業が進行中で、制作に使用可能になった段階でさらに改善されている予定です。ビジュアル開発担当者はその強力で柔軟なフレームワークを活用して、オブジェクトのルック アンド フィールをより細かく制御できるようになります。

ムービー レンダリング グラフ

Unreal Engine 5.4 で実験的機能として導入されたムービー レンダリング グラフ (MRG) も、このリリースでベータ版に移行しました。

グラフベースの構成ワークフローにさらなる改善が行われ、カスタム EXR メタデータの使用などのワークフローの改善、コレクション内の Spawnables (スポーン可能なもの) のサポートを含む初期のユーザー フィードバックに基づく改良、オブジェクト ID のサポートなど、従来のプリセット構成との整合性の向上が実現しました。  

さらに、透過オブジェクト、Niagara FX、異種ボリューム、ランドスケープ、空の大気などすべてのアセット タイプが、MRG のレンダリング レイヤー機能で完全にサポートされ、天球を使用する必要がなくなりました。

MRG では、上記で説明したパストレーサー用の実験的機能である時空間ノイズ除去が新しく利用可能となっており、線形シーケンスに対して高品質の結果を生成することが可能です。

メッシュテクスチャカラー ペイント

以前は、Nanite を使用する場合、同じジオメトリのインスタンスに対してアピアランスのローカル バリエーションが認められる一般的なメッシュ ペイントワークフローを適用できませんでした。5.5 では、パフォーマンスとメモリのオーバーヘッドを最小限に抑えた、Nanite メッシュインスタンスへのメッシュペイントがサポートされました。

5.5 では、メッシュペイントツールが拡張され、メッシュコンポーネントに格納された仮想テクスチャにペイントする新しいテクスチャカラーペイントモードが追加されています。これは、頂点ペイントに類似したワークフローをサポートするためですが、Nanite メッシュでより効率的に機能する頂点数ではなく、テクスチャの解像度に合わせてスケールします。

さらに、頂点およびテクスチャ カラー ペイント間コピーのサポートの追加、ペイントしながら頂点カラーにテクスチャカラーを自動反映するオプションも用意されています。

デイシーケンス (実験的機能)

デイ シーケンスは、24 時間のデイ サイクルを自動生成する、実験的なプラグイン機能です。アーティストは、シーケンサー ツール内で太陽、月、星、大気や雲をアーティスティックに制御しながら、ライティングを簡単に作成できます。

デイ シーケンスは、基本的な昼夜のサイクルをゲームに組み込むためにユーザーが行わなければならない作業の多くを行うだけでなく、ネットワーク同期 (すぐに使用できるマルチプレイヤー サポート)、ボリューム オーバーライドによる POI 作成、ライティングへのデータ指向アプローチに重点を置いたプロシージャルなシーケンス作成も行うこともできます。

ファーストパーソン レンダリング (実験的機能)

5.5 では、ファースト パーソン レンダリングの初期サポートが追加されています。ファースト パーソン レンダリングには、プレイヤーの手/武器がワールド内オブジェクトに入らないようにする機能が含まれており、個別の FOV では、デベロッパーがファースト パーソン アセットに対して他の場所とは異なる FOV を指定できます。

ファーストパーソンレンダリング機能は、すべての主要なプリミティブ型およびマテリアル (不透明、透明、および Niagara パーティクル システムなど) と Nanite ジオメトリで使用可能で、ワールド空間とファースト パーソン空間の間でトランスフォームするための新しいブループリント関数も追加されています。

ボリューメトリック クラウド マテリアルの更新

新しいボリュメトリック クラウド マテリアルは、Engine コンテンツとともにこれまで提供されていたマテリアルが進化したものです。

5.5 では、さまざまなタイプと形状のクラウドに求められるアピアランスを実現できるよう、よりシンプルに、そして明瞭で簡単に構成できるマテリアルに変更されました。

このマテリアルは元のマテリアルを完全に置き換えるため、元のボリュメトリック クラウド マテリアルを使用するすべてのテンプレートとプロジェクトは 5.5 で自動的に更新されます。このため、一部のプロジェクトで見た目が変わったり、適切なリソースが見つからなかったりする可能性があります。プロジェクトで以前のマテリアルを使用している場合、5.4 以前から 5.5 に移行することが最も簡単な解決方法となります。

その他

レンダリングパスの改善

リリース 5.5 では、シーン キャプチャとカスタムレンダリングパスを作成し、テンポラル AA ジッターやスクリーン比率など、メインビューのカメラと解像度を自動ミラーリングさせることが可能になりました。

これにより、レイヤーのピクセルが同じになるように合成でき、通常はスクリーン比率を利用してパフォーマンスを向上させることができます。

また、「UserSceneTexture」と呼ばれるユーザー定義の中間テクスチャは、ポスト プロセス マテリアルとして順次書き込みおよび読み取りが可能となり、UE で新たに、より効率的なマルチパス ポストプロセス エフェクト (分離可能フィルターやブラーなど) の実行がサポートされます。

正投影レンダリング

正投影レンダリングは、建築やエンジニアリングに、そして場合によってはゲームプレイのスタイルに合わせたオプションとして、広く使用されています。

アイソメトリック ビューと同様に、すべてのオブジェクトが同じ縮尺で表示され、平行線が平行に保たれ、図面や画像内に縮尺が常に表示されているため、相対的なサイズを簡単に推測できます。

リリース 5.5 では、正投影レンダリングのビジュアルがパースペクティブ レンダリングと同等になり、ラスタおよびパス トレーサーの大半のレンダリング機能がサポートされました。

レンダリングの並列化

5.5 では、RHI コマンド リストをプラットフォーム コマンド リストに移動するために RHI (レンダリング ハードウェア インターフェース) タスクを発行する、平行移動が改善されました。

この変更により、パフォーマンスが最大 2 倍まで (一部のプラットフォームで 7 ミリ秒短縮) 劇的に向上し、ストールの回数が減り、ドローコールが若干減少するほか、プラットフォームの動的解像度とレンダリング スレッド時間が若干改善されます。

5.5 には、非同期 RDG (レンダリング依存関係グラフ) 実行タスクの改善も含まれており、約 0.4 ミリ秒のクリティカル パス レンダリング スレッド時間だけでなく、約半数のスレート レンダリングの非同期実行の許可にもメリットがあります。

バインドレス レンダリング

バインドレス リソースは、DX12、Vulkan、Metal などの最新のレンダラ ハードウェア インターフェース (RHI) のテクスチャやその他の種類のデータ バッファの管理に関連する低レベルの機能です。

バインドレス リソースがサポートされることにより、GPU プログラミング パラダイムがより柔軟になり、レンダラ内の機能がさらに増えます。また、バインドレス リソースは Vulkan での完全なレイトレーシング サポートの要件にもなります。

Unreal Engine 5.5 では、バインドレス リソースを使用できるプラットフォームが増加しています。

ローカル フォグ ボリューム

ローカル フォグ ボリュームは、フォグのローカル バリエーションをすばやく簡単に、しかも効率的に作成するために配置できるアクタです。

ローカル フォグ ボリュームはボリュメトリック フォグとは異なり、すべてのプラットフォームとスケーラビリティ レベルで機能します。他のフォグやライティング システムとビジュアルを統一できるため、ローエンドおよびハイエンドのプラットフォームでの使用に最適です。

ローカル フォグ ボリュームは、Unreal Engine 5.5 で実際の制作に使用可能となりました。

ライト関数アトラス

新しいライト関数アトラスは、ライト関数をテクスチャにベイクし、ライトごとにインラインでライト関数マテリアルを再計算する代わりにテクスチャをシーンに投影することで、ライト関数を使用したさまざまなパスのレンダリングを高速化します。

これにより、GPU 時間を大幅に短縮することが可能です。 この方法には多少制約もありますが、色付きライト関数を使用できるほか、Megalights でも使用できます。

異種ボリューム (ベータ)

Niagara の異種ボリューム (HV) では、レンダリングのために VDB ボリュームをスパース ボリューム テクスチャにインポートできます。Unreal Engine 5.5 では、HV に次のような改善が加えられました。

  • Gen9 コンソールのパフォーマンスに対するスケーラビリティ コントロール
  • 複数の重複 HV をレンダリングする機能
  • 間接ライティングを組み込む際に HV がセルフ シャドウイングを適用
  • ムービー レンダリング グラフにおけるホールドアウトのサポート (パス トレーシングなど)

バーチャルプロダクション

UE 5.5 では、複数のリリースにわたる取り組みの積み重ねにより、ICVFX ツールセットが完全にプロダクション対応になったほか、バーチャルプロダクションとビジュアライゼーションのためのその他の機能も改善ました。

SMPTE 2110

実際の制作では SMPTE 2110 ベースのデプロイメントへの移行を始めているため、Unreal Engine では、現実世界のインカメラ VFX プロジェクトでのニーズを満たすための準備を確実に進めるために、IP ビデオ信号フローに対する改善が優先されています。

エンドツーエンド ワークフローの初期サポートが Unreal Engine 5.3 で導入されましたが、UE 5.5 では、Unreal Engine の SMPTE 2110 をサポートし、安定性を向上させる数多くの改善、フレームロック損失の自動検出と修復、Timecode Provider としての PTP の使用、2110 メディアの OCIO のサポート、IP ビデオ信号フローのその他の改善が行われました。

カメラのキャリブレーション

UE 5.5 では、レンズとカメラのパラメータ推定の精度が大幅に向上したカメラ キャリブレーション ソルバーがプロダクション対応になりました。

この結果、オーバースキャンがすべてのカメラに組み込まれ、レンズ歪みのあるレンダリングや、ポストでカメラの揺れを追加するといったユースケースがサポートされるようになりました。

バーチャルスカウティング

UE 5.4 で導入された、新しい バーチャルスカウティングツールセットは、OpenXR 互換の HMD (Oculus と Valve Index はデフォルトでサポートされています) を使用した強力かつすぐに利用可能なエクスペリエンスと、広範な API を活用した新たなカスタマイズが可能です。

このツールセットには、新しい VR コンテンツブラウザとアセット配置、ブループリントでカスタマイズ可能なトランスフォーム ギズモの追加や、色補正されたビューファインダーなどのさらなる改良も含まれ、ツールセット全体のカスタマイズ機能が向上しました。

UE 5.5 では、バーチャルスカウティングはプロダクション対応となり、レガシーのバーチャルスカウティング ツールはUE 5.5 で機能しますが、UE 5.6 で削除される予定です。

カラーグレーディング パネル

以前は ICVFX Editor の一部であったカラー グレーディング パネルが、Unreal Editor でも一般利用できるようになりました。

カラー グレーディング パネルは、Unreal Engine のあらゆるシーンでクリエイティブなカラー操作を行える、アーティストにとって使いやすいリッチなインターフェースを備えています。強化されたカラー グレーディングを使用できるこのパネルが、nDisplay を使用するアーティストだけでなくすべてのアーティストに利用可能となりました。また、ポストプロセス ボリューム、シネカメラ、および色補正範囲もサポートするようになりました。

DMX

バーチャル プロダクションだけでなく、放送やライブ イベントにも適用可能な Unreal Engine の DMX 技術スタックが、コントロールコンソール、ピクセルマッピング、競合モニターの機能強化により、プロダクション対応のツールセットになりました。

このリリースでは、GDTF および MVR 対応の制御デバイスおよびソフトウェアとのインターフェース用の DMX プラグインに GDTF 準拠が追加されたほか、その他のいくつかの機能強化も行われています。

バーチャルカメラ

バーチャルカメラでは、写真撮影が可能となり、レコーディングを簡単にレビューできるTake Carousel、スムージング機能が追加されています。

ポスト スムージング

デバイスから直接の入力後にバーチャルカメラの動きを非破壊的にスムーズにできるようになりました。オリジナルの動きは常に保持されるため、データが失われることはありません。

フォトグラフィとブックマーク ブラウザ

バーチャルカメラで写真撮影できるようになりました。簡単にレビューし共有できるように、プロジェクトの保存フォルダに直接入ります。

写真を撮影すると、ブックマークも作成されます。これは新しいブックマーク ブラウザから表示でき、すぐに元に戻れます。ブックマーク ブラウザで、ユーザーはビジュアル インターフェースを通じてブックマークを検索、ソート、お気に入り登録、名前変更できます。

Take Carousel

新規 Take Carousel で各レコーディングを簡単にレビューし、順に切り替えできるようになりました。カルーセルをスワイプして、レコーディングのプレビューを表示し、レビューからすばやくロードできます。

バーチャルカメラのメイン画面にある、前のレコーディング プレビュー サムネイルでカルーセルにアクセスできます。

その他

Live Link ハブ (ベータ)

UE 5.5 で Live Link ハブ は ベータステータスになりました。このリリースでは、プロフェッショナル ユーザー向けの機能に重点が置かれていますが、初期の UEFN 対応リリースからの使いやすさは維持されています。

詳細を見る
  • サードパーティ プラグイン: Live Link ハブは、Unreal Editor Live Link プラグインをロードでき、Live Link データ ソースのサードパーティ エコシステム全体を有効にします。
  • データのタイミング再設定 :他の全サブジェクト向けタイムコードおよび同期のソースとして、単一サブジェクトの選択をハブがサポートするようになりました。ユーザーはすべてのサブジェクトを共通フレームレートに設定できます。これにより、Take Recorder で Live Link データをレコーディングするときに整合性を維持し、デフォルトにはないサブジェクト (LiveLinkControllerInput と XR ソースなど) にタイミング データが追加されます。
  • タイムコード サポート:Live Link ハブは、アタッチされたすべてのクライアントに対して、それ自体がタイムコード プロバイダになることができます。SDI ハードウェアを使用することなく、すべてのエンジン セッションを同期させる処理を簡素化します。
  • 仮想サブジェクト:仮想サブジェクトが Live Link ハブでサポートされるようになりました。複数のアニメーションと基本ロール サブジェクトをまとめて、エンジン内で簡単に消費できるように単一のサブジェクトにマージできます。
  • スケルタル アタッチメント:仮想サブジェクトはスケルタル アタッチメントをサポートするようになりました。ボディ データのある Mocap グローブ データをまとめて単一の Live Link サブジェクトにマージします。
  • レコーディング:後で再生するために生データを記録します。レコーディングは非同期に書き込まれ、レコーディングが終了したらすぐにアクセスできます。

LiveLinkOpenVR

LiveLinkXR プラグインのユーザーフィードバックを受け、VP ワークフローに対応する LiveLinkOpenVR が作成されました。LiveLinkOpenVR には同じ UI と UX がありますが、特に SteamVR トラッカから Live Link へのワークフロー向けに作成されています。LiveLinkOpenVR は Live Link ハブ および UE の Live Link 内で利用可能です。コマンドライン引数は必要なく、VR レンダリングにまだアクセスできます。

パフォーマンスキャプチャ用のタイムコードの改善

シーケンサータイムコード、アニメーション シーケンス向けのアニメーションアセットエディタでタイムコードを表示できるようになり、ProRes メディアとイメージベースメディアのタイムコードをサポートするようになるなどのタイムコードに関する改善が行われました。

CineCameras および MRQ 向けオーバースキャン

CineCameraActor で オーバースキャン乗数 をサポートするようになりました。対象フレームのエッジで追加ピクセルをレンダリングして、スクリーン空間ポストプロセス精度を向上したり、ポストでカメラの揺れを追加したり、レンズの歪み を通じて画像を正確に歪ませたりすることができます。

オーバースキャン は CineCameraActor と ムービーレンダーキュー でサポートされています。

マルチユーザーレプリケーション (ベータ)

マルチユーザーレプリケーションでは、一連の UX の改善と技術的改善が行われ、ベータ版になっています。

マルチユーザー レプリケーションでは、ユーザーはプロパティとアクタを指定し、リアルタイムで MU セッションの他のクライアントにレプリケートでき、高頻度でレプリケーションが必要な場合に、アンドゥ バッファがオーバーフローせず、トランザクションで変更をラップする必要がありません。プリセットの保存とロードにより、レプリケーション セットアップの調整時間を大幅に短縮します。

モバイルゲーム開発

プラットフォーム面では、Unreal Engine をモバイルおよびクロスプラットフォームの AAA ゲーム開発に最適なエンジンとして確立することを目指して、モバイルのサポートが強化されています。

モバイルレンダラー

モバイルフォワードレンダラーには、プラットフォーム上の視覚的な忠実度を向上させる多数の新機能が搭載されています。

D バッファ デカール、矩形エリア ライト、カプセル シャドウ、ポイント、スポット ライト用の移動可能な IES テクスチャ、ボリュメトリック フォグ、および Niagara パーティクル ライトがサポートされるようになりました。また、スクリーン空間の反射が、モバイル フォワード レンダラとディファード レンダラの両方で機能するようになりました。

さらに、Unreal Engine 5.4 で導入されたランタイム自動 PSO (Pipeline State Object) プリキャッシュがデフォルトで有効になりました。これにより、PSO 収集を手動ではなく、より高速で簡単な方法で行えるようになりました。

エディタのプレビュー

エディタ プラットフォーム プレビューを使用すると、アーティストは UE エディタ内でコンテンツ (マテリアルや VFX など) を繰り返し調整し、デバイス上での見た目をプレビューできます。Unreal Engine 5.5 では、モバイルゲーム向けのコンテンツ開発を支援するためのさまざまな機能が改善されました。

モバイル プレビューアにモバイル ゲームのコンテンツ開発に役立ついくつかの改善が加えられています。これには、特定の Android デバイス プロファイルをキャプチャしてプレビューする機能や、半精度 16 ビット浮動小数点シェーダーをエミュレートする機能が含まれており、アーティファクトの検出と処理が容易になります。

その他のプラットフォームの更新

XR 解像度スケーリング

XR での解像度スケーリングが更新され、エンジン全体との互換性が向上し、OpenXR コンポジタ内でアップスケーリングを実行する機能を活用した新しいアップスケーリングモードが利用可能になりました (挙動は OpenXR ランタイムによって異なる場合があります)。

visionOS 2.0 (実験的機能)

visionOS 2.0 および混合没入モードの実験的サポートが追加され、Metal によるパススルー機能が可能になりました。詳細は「Apple Vision Pro クイック スタート ガイド」を参照してください。

デベロッパーのイテレーション

Unreal Engine 5.5 では、開発者のイテレーション高速化と効率向上による結果品質の向上と、クリエイター エクスペリエンスの規模と要望の拡大への対応のため、Unreal Engine のデータ処理パイプラインの基盤が引き続き強化されています。

Unreal Zen Server

共有 DDC としての Unreal Zen

Unreal Engine 5.4 で、最適化された新しいキャッシュ データ ストレージおよびネットワーク通信アーキテクチャとして導入された Unreal Zen Server が共有派生データ キャッシュ (DDC) としてデプロイできるようになり、プロダクション対応になりました。Unreal Engine 5.5 では、Windows ホストマシンで実際の制作に Zen Server を共有 DDC として展開することができます。Linux プラットフォームでの Zen 共有 DDC は引き続きベータ版と見なされています。

DDC ストレージとしてのネットワーク ファイル共有の使用が、新しい Unreal Zen ストレージ サーバー アーキテクチャで置き換えられます。Zen では、レイテンシー許容度が高くなり、ネットワーク通信およびリモート マシンに対する読み取り/書き込みに最適化されており、操作の際に DDC ストレージ レベルでは同期 IO が行われなくなりました。

高速ビルド ファーム クックのスナップショット (実験的機能)

クック処理では、ビルド エージェントでの永続的なステートに頼って、同じデータを再度クックしないようにしていますが、次回のクック ジョブにまったく同じエージェントが割り当てられることは保証されていません。

Zen サーバーのスナップショットは、すばやく復元して別のビルド エージェントでの新しいジョブに再利用できるように、クック ジョブのステートを格納するため、より高速な増分ビルド ファーム クックになります。

ターゲット プラットフォームへのストリーミング (実験的機能)

このリリースでは、Zen Server は PC やコンソールからモバイルまでの全体にわたり、クック済みのデータをターゲット プラットフォームにストリーミングできるようになっています。

この新しい実験的機能により、開発者は開発中にコンソールからモバイルまでの全体で、ターゲット プラットフォーム上のゲームの外観と動作をより迅速かつ簡単に評価できるようになります。

その他

また、このリリースでは、エディタ システムとクック プロセス向けに最適化されたアセット読み込みパスを提供する Unreal Zen Loader、C++ とシェーダーのコンパイルを高速化する Unreal Build Accelerator (UBA)*、より効率的でスケーラブルな開発ワークフローを実現する Unreal Horde – 継続的インテグレーションおよびリモート実行など、いくつかの追加機能もプロダクション対応になっています。

UBA C++ とシェーダー コンパイル

Unreal Engine 5.5 リリースでは、UBA は Windows ホスト ビルド マシンでの実際の制作に使用できます。Unreal Build Accelerator (UBA) は、Unreal Build Tool や Horde のリモート ビルド (計算タスク) システムと組み合わせて使用される、C++ およびシェーダー コンパイル用のローカルおよび分散コンパイル ソリューションです。

Unreal Horde はジョブ プール コーディネータとして機能して、ビルド ファーム リソースの UBA エージェント ヘルパー リソースを割り当てます。UBA はローカル データを送信し、リモート タスクを実行してその結果を返します。

macOS および Linux のホスト ビルド マシンでは、C++ コンパイルは安定しているため実際の制作に使用できますが、それらのプラットフォームでのシェーダー コンパイルは引き続きベータ版のままです。

クック済み出力ストアとしての Zen (ベータ版)

以前は、クック済みの出力データはルーズ ファイルとしてディスク上に格納されていたため、ファイルシステム処理のオーバーヘッドが生じていました。

この機能がプロジェクト設定で有効になっていると、プラットフォームでクックされたデータは Unreal Zen Storage サーバーでローカルやリモートに格納されるようになりました。このサーバーにより、ローカルでのデータ調整が改善され、ネットワーク I/O のパフォーマンスが向上し、複数のサーバーが同じように機能します。

Unreal Horde CI とリモート実行

Unreal Horde の継続的インテグレーションおよびリモート実行は、Unreal Engine 5.5 で正式に実際の制作に使用可能になりました。

Horde は、あらゆる Unreal Engine 開発チーム向けに設計された、すぐに使用できる継続的インテグレーション ソリューションです。

Horde は、Perforce に接続された水平方向にスケーラブルな分散型継続的インテグレーションおよびビルド プラットフォーム システムであり、Unreal Engine デベロッパーのイテレーション ツールおよびワークフローと緊密に統合されています。

デフォルトでのエディタ内 Zen Loader

新しい Zen Loader のアーキテクチャは、Unreal Engine 5.5 では実際の制作に使用可能と見なされており、デフォルトで有効になりました。

Zen Loader はオーバーヘッドを低減し、アセットのロード パスを最適化するため、エディタの起動、マップのロード、プレイ イン エディタ (PIE) へのロード、および各種クック処理のパフォーマンスが向上します。

Fab の統合

先月、新しい統合コンテンツ マーケットプレイスである Fab の開始が発表されました。

Fab は Unreal Engine 5.5 に統合されており、Quixel Megascans などの個々のアセットをシーンに直接ドラッグ アンド ドロップできます。

Fab からコンテンツブラウザにアセットパックを追加することもできます。

前半は以上となります!続きは以下の記事をご覧ください。

Unreal Engine 5.5 が正式リリース!新機能紹介 Part 2!モーションデザイン、シミュレーション、モデリング、PCGなど
2024年11月13日 - Epic Games は、Unreal Engine 5.5 のリリースを発表しました。新機能ハイライトこのリリー...

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また、こちらからソースコードをダウンロードすることができます。
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Unreal Engine 5.5 がリリースされました

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