2022年3月29日(現地時間)Autodeskは、3Dアニメーションソフトウェアの最新アップデート Maya 2023 をリリースしました。3ds Max 2023と同時にリリースされ、ロゴも新しくなっています。
新機能ハイライト
Maya 2023では、ビューポートに直接描画できる新しい Blue Pencil ツールの追加、メッシュブーリアンのアップデート、デフォーマとコンポーネントタグの改善、Bifrost のUSDの導入などの新機能があります。また、いくつかの点で UI とユーザーエクスペリエンスが改善され、Maya の操作性が向上しています。
Maya の USD プラグインの更新
Maya 2023には USD for Maya v0.16.0 が付属しており、アーティストは USD と Maya ワークフローの組み合わせをシームレスに使用できます。Maya に事前に組み込まれた USD のオープン ソース プラグインは、Windows、Mac、Linux で使用可能です。
このバージョンに関する最新のハイライト情報については、「USD v0.16.0 リリース ノート」を参照してください。
Bifrost 2.4.0.0
Bifrost 2.4.0.0 には Bifrost USD が導入されています。USD の機能と Bifrost グラフの自由度や使いやすさを組み合わせることで、アセットの非破壊的なアセンブル、整理、編集が可能になります。
Bifrost-USD には、高度なコンパウンドと低レベルのノードが両方含まれています。高度なコンパウンドを使用すると、レイヤやプリミティブを USD ステージに簡単にすばやく取り込むことができます。低レベルのノードは USD API の機能に対応しており、 Maya USD と統合されていることによりビューポートで要素の表示、選択、調整を直接行うことができます。
このリリースのその他の改善点は次のとおりです。
- フィールドを使用して Aero シミュレーションのプロパティを指定することができます。
- MPM クロス シミュレーションの引き裂きを詳細にコントロールできます。
- カラーを表すベクトル値を簡単に設定するためのカラー ピッカーが追加されました。
- 複数のスライダを一度に調整できるようにスライダの相互作用が改善されました。
- ソートされたインデックスの配列を返す sort_array_with_indices などの新しいノードが追加されたため、同じキー配列を使用して複数の配列を効率的にソートすることができます。
- BifrostGeoToMaya を使用して、さまざまなタイプのユーザ データを出力することができます。
- ジオメトリ処理およびその他のパフォーマンス強化機能が改善されました。
このバージョンに含まれている機能とバグ修正の完全なリストについては、こちらを参照してください。
Bifrost の最新バージョンはこちらからダウンロード
Blue Pencil
新しい Blue Pencil 描画ツールを使用すると、アーティストやアニメータは、ビューポート内で 2D 図面や注釈を作成できます。
以前のグリースペンシルツールに代わるこの Blue Pencil は、テキストやシェイプに使用する追加の描画ツールや、レイヤ、リタイム、トランスフォームなどの機能など、多数の機能と柔軟性を備えており、プリプロダクション アニメーションをブロックしたり、シーン ファイルに注記や提案の注釈を付ける場合に最適です。
ブール演算の改善
新しいブール演算ノードを使用することにより、これまでよりも少ないクリック数でブール演算を作成、編集できます。
新しいブール演算スタックのオプションを使用すると、メッシュをライブで編集し、シーン内で発生する可能性のある変更をプレビューすることができます。
ブール演算スタックでは、ブーリアンの編集を一元的に行うことができます。入力オブジェクトはレイヤとして表示されるため、操作の整理と管理を簡単に行うことができます。レイヤを使用して、入力オブジェクトのブール演算と表示モードを変更したり、ブール演算に含めるかどうかを切り替えることができます。
メッシュワイヤフレームの不透明度
カラーチューザ(Color Chooser)でアルファチャネルを使用して、オブジェクトのワイヤフレームの不透明度を設定できるようになりました。
これにより、テンプレートやポリゴン サーフェスのハイライト表示など、特定の要素の不透明度を下げ、サーフェス上のテクスチャをより見やすくすることができます。

Maya のリトポロジーツール
Maya 2020 で導入されたリトポロジ化(Retopologize)ノードに対するアップデートがされました。
従来のリトポロジ化ノードの基本アルゴリズムであるリフォームが、大幅に高速になりました。また、前処理機能も追加され、四角形にリトポロジ化する前に三角形の再メッシュを行う必要がなくなり、パフォーマンスが向上しました。他にも、シンメトリのサポート、密度ペイント、 Maya 2022 で初めて導入された新しいコンポーネント タグ システムを活用する高度な機能保持オプションが含まれています。
Create VR for Maya
Create VR for Maya は、臨場感のあるコンセプトデザインツールです。
デザイナーはシンプルなカーブツールやサーフェスツールを使用して、外観やシェイプを調べながら、バーチャルリアリティ環境でデザインすることができます。作成したスケッチやモデルは、 Maya またはその他のコンテンツ作成アプリケーションに簡単に書き出して、最終的な調整を行えます。
Create VR for Maya は、こちらからダウンロード可能です。
デフォーマの更新
新しいリターゲット機能とミラー機能、ソリッド化のスケーリングオプション、追加のデフォーマ減衰が Maya デフォメーションツールに追加されました。
モーフの接線ダンピング

モーフミラーオプション

モーフリターゲットオプション

モーフ接線コンストレイント

ソリッド化のスケーリング

サブセットの減衰

近接の減衰

カスタム減衰カラー

コンポーネント タグのその他のオプション
タグのメンバーシップをさらにコントロールできるように、コンポーネントタグに新しい機能が追加されました。
- コンポーネント タグ(Component Tag)テーブルで、[Ctrl]+[Shift]キーを押しながら複数のタグを選択することで、タグのグループに同時に機能を適用できるようになりました。
- 右クリックメニューのマージ(Merge)オプションを使用すると、選択したコンポーネントタグの内容から新しいコンポーネントタグを作成できます。
- 右クリックメニューの変換(Convert)オプションを使用すると、コンポーネントタイプを変更できます(エッジから面など)。
- 右クリックメニューの複製(Duplicate)オプションを使用すると、コンポーネントタグを再現できます。
- コンポーネントタグでネームスペースにコロン(:)とピリオド(.)を使用できるようになりました。以前は、ネームスペース内でコロンやピリオドを使用すると、FBX 読み込み時に問題が発生していました。ネームスペース内のコロンとピリオドに関する規則の詳細については、「コンポーネントタグ エクスプレッション」トピックの「命名構文」セクションを参照してください。
- コンポーネントタグ(Component Tag)テーブルのフィルタ(Filter)の最終のみ(Final Only)オプションメニューを使用すると、モデリング操作で同じ名前の複数のタグが作成される場合、コンポーネントに最後に作成されたタグのみを表示できます。
モデリングパフォーマンスの向上
すでに紹介したリトポロジツールの更新とブール演算の改善に加えてパフォーマンスの向上とツールのアップデートがされています。
- ホットキーを使用したビュー内エディタ(In-View Editor)のアトリビュート選択
- [Ctrl]+[Tab] (リストの先頭から末尾まで順番に切り替える)
- [Ctrl]+[Shift]+[Tab] (リストの末尾から先頭まで順番に切り替える)
- 押し出しとベベルマーキングメニューの改善:マーキング メニュー([Ctrl]+[Shift]+右クリック)で、アクティブな ビュー内エディタ(In-View Editor)アトリビュートをコントロールし、アトリビュートをすばやく調整することができます。
- マルチカットツールの精度の向上:パーセンテージが表示され、より正確なカスタムカットを作成できるように
- スカルプト ツールの更新:リラックス(Relax)、塗り付け(Smear)、つまむ(Pinch)、グラブ(Grab)、およびスムーズ(Smooth)ブラシがライブ サーフェスをサポートするようになりました。
- エッジループのキャップの改善:最大 1000 個のエッジ ループを一度に挿入可能に
- 折り目セットのカラーをカスタマイズ
- モデリング パフォーマンスの向上
- 四角ポリゴン描画(Quad Draw)のパフォーマンスが向上して、高密度メッシュでの四角ポリゴン作成とポイント配置が高速化されました。
- モデリング ノードがキャッシュされるようになり、モデリング コンストラクション ヒストリに多数のノードを追加した場合のパフォーマンスが向上しました。
- モデル制作者は高密度メッシュ上でコンポーネントを編集するときに、改善されたインタラクティブ性を活用することができます。
メッシュをスイープ(Sweep Mesh)の新しいオプション
メッシュをスイープ(Sweep Mesh)ツールに新しいオプションが追加され、カーブごとに単一のクリエータノードを使用するか、複数のクリエイタノードを使用するかを選択できるようになりました。複数のカーブをコントロールする単一のノードを作成するか、個々のカーブにノードを作成して、各カーブのアトリビュートを個別にコントロールするかを選択できます。
また、ポリゴンのモデリング(Poly Modeling)シェルフに、メッシュをスイープ(Sweep Mesh)が表示されるようになっています。
その他のアップデート
■ユーザ エクスペリエンスの向上
初めて使用するユーザと経験のあるユーザの両方を対象とした多くの改善が行われました。改善の内容は、新しいアプリケーション ホーム ハブ、インタラクティブなチュートリアル、検索、ViewCube などです。
■アニメーション パフォーマンスの向上
Maya 2023 には、キャッシュされた再生(Cached Playback)、評価ツールキット(Evaluation Toolkit)、シミュレーションのベイク処理(Bake Simulation)の各オプションの更新など、作業時間を短縮するのに役立つアニメーション パフォーマンスの改善がいくつかされています。
■Arnold for Maya 5.1.0 プラグイン
Maya 2023 には、新機能、バグ修正、パフォーマンスの最適化、および改善を含む MtoA 5.1.0 が付属しています。
MtoA 5.1.0 には Arnold 7.1.0.0 が導入されており、プロダクション向けの新しい追加のノイズ除去機能、三平面シェーダに要求されている多数の追加機能、USD プロシージャルと Hydra Render Delegate の新機能とバグ修正、および CPU と GPU のインタラクティブ性に関する改善が実装されています。
Arnold USD は最新の USD 21.11 をサポートしており、Arnold プラグインの一部として使用することも、オープン ソース プロジェクトとして使用することもできます。 https://github.com/Autodesk/arnold-usd
最近追加された機能とバグ修正については、「Arnold for Maya リリース ノート」を参照してください。
また、Arnold 7.1については以下の記事をご覧ください。

■OS、Python、PyMELのアップデート
Maya 2023 で Rocky Linux のサポートが追加、macOS でサポートされている新しい最小バージョンが更新されました。また、Maya 2023 で Python 3 のみが使用されるようになっています。
■Maya 2023 devkit のアップデート
Maya 2023 devkit にプリファレンス システムの向上をサポートする新しいメソッドとコマンド オプション、新しい Blue Pencil API とコマンド、MFnMesh に対するいくつかの変更、および強化された GPU デフォーマ APIなど、いくつかの変更が行われました。
■Substanceプラグインの更新
Substance Engine 8.4.2 を使用する Substance 2.2.2 が付属していて、マップにワークフローを適用する機能の強化、Arnold 7.1.0.0 のサポート、MEL スクリプト コマンドの改善、その他のバグ修正が含まれています。更新の詳細については、http://www.autodesk.com/maya-substance-docs を参照してください。
その他すべてのアップデート内容の確認はこちらから
価格とシステム要件
Maya2023は、Windows 11, 10、Linux RHEL / CentOS 8.2 , 7.6-7.9 /Rocky Linux 8.5とmacOS 12.x, 11.x, 10.15.x, 10.14.xで利用することができます。より詳しいシステム要件はこちらから
価格はサブスクリプション形式で、36,300円/月、286,000円/年、815,100円/3年です。
また、条件にあてはまる方はIndieライセンスを購入することが可能です。価格は42,900円/年です。より詳しい情報は以下の記事をご覧ください。

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