2022年2月14日(現地時間)QuadSpinner は、地形生成ツールの最新アップデート Gaea 1.3 を正式にリリースしました。
新機能ハイライト
この最新リリースは、これまでで最大かつ最もパワフルなアップデートとされており、アプリケーションの使用時および地形構築時の応答性が向上しています。また、100以上の新しいクイックスタートや強力な新ノードを含む260の新機能、修正、改良があります。
安定性とパフォーマンス
■安定性と予測性
この最新バージョンに費やされた時間の大半は、すべてのモジュールで安定性を確保することに費やされています。また、どのようなCGアプリケーションからアクセスしても、しっかりとした使い慣れたエクスペリエンスを提供できるようにナビゲーションシステムが再構築されました。ビューポートのインタラクションは完全にカスタマイズできるようになり、ペン/スタイラスとタッチのユーザーへのサポートも強化されています。
■パフォーマンス
Gaea 1.3 は Gaea 1.2 と比較して最大30%高速化されています。アプリケーション全体のレスポンスも大幅に向上しており、ミディアムからハイエンドの環境では、起動が劇的に速くなっています。
2Kや4Kなどの高解像度でのプレビューは、よりレスポンスが良く、メモリフットプリントも小さくなっています。2K以上の複雑なワールドを作成する場合は、64GB以上のRAMの使用が推奨されています。
■長期サポート(LTS)
Gaea 1.3 は、LTS(Long-Term Support)バージョンとなります。LTSバージョンへの将来のアップデートは完全な後方互換性があり、運用中にリスクなくアップグレードするために並行してインストールすることができます。
■互換性についての注意
Gaea 1.3は、以前の1.2ビルドおよび1.3のBleeding Edgeビルドとの後方互換性はありません。
どのような場合でも、古いファイルを開く前にバックアップを作成することが強く推奨されており、可能であれば、Gaea 1.3でゼロから地形を作成することがお勧めされています。
既存の地形に対する移行ガイドについては、こちらのドキュメントを参照してください。
新しいノード
このリリースでは、Canyon、Craterfield ( Crater内の新しいモード)、Distance、DriftNoise、Gabor、Hill、Loop、Repeat、Rivers、Rocky、Rugged、Sea、Seamless、Slump、SoftClip、Sunlight、Wizardなど多くのノードが追加されています。
■Riversノード
新しいノード「Rivers node」は、最小限の労力で広大で複雑な川のネットワークを作り出すことができます。
このノードは、地形が河川に適していない場合でも、地形の全体的な形状や特徴を維持しながら河川の形成を可能にするためにインテリジェントに地形を適応させます。
■Combineノードの新しいモード
Combineノードに追加された新しいモードにより、2つの異なる地形を結合することができます。
Insert mode では、砂丘のような凹凸のある地形に、岩の塊のような比較的平坦で孤立した形状を、岩の平坦さを保ったまま挿入することができます。
Embed mode では、任意の地形を別の地形に転送することが可能です。平らかどうかに関わらず、あらゆるシェイプを他の地形に埋め込むことができます。スクリーンや追加とは異なり、2つのシェイプが互いに汚染されることはありません。
この機能によって、地形の外でパターンや岩を作成し、後から埋め込むということが可能になり、地形の全体的な形状やシルエットに集中し、表面的なディテールを後から追加するということができるようになります。
■最適化されたメッシュ
メッシュを合成する新エンジン「Sophia Engine」は、最先端のアルゴリズムで最適化されたメッシュを生成します。任意のポリゴン数に合わせることができ、必要なところにポリゴンを割り当てて、局所的な形状の複雑さを維持することができます。
Mesher ノードのデフォルトが新エンジンを使用した Optimized geometry になりました。均一なグリッドメッシュ(trisまたはquad)と比較して、地形形状に応じて最大60%のポリゴンを節約できます。特に、平らな部分や滑らかな部分がある場合に有効です。
細かいディテールはすべて法線マップにすることで、ノイズの多いメッシュを作成することなく、鮮明さを保持することができます。これは、オフラインレンダリングだけでなく、バーチャルプロダクション、ゲーム、その他のリアルタイムシナリオに非常に有効です。
■Wizard ノード
Wizard ノードは、 Erosion ノードに特化したノードです。シンプルな選択肢と洗練されたビルトインレシピとパスにより、浸食シミュレーションの全く新しい使用方法となるとされています。
このノードは、Gaeaを初めて使う方でも、最小限の学習曲線で精巧な侵食を実現することができるように設計されています。また経験豊富な地形アーティストでも時間の節約に役立ちます。
■Sediment Removal
Sediment Removal(土砂除去)は、Erosion、Wizard、Thermalの各ノードに搭載された新機能です。侵食の過程で発生した堆積物を任意に除去し、深いクレバスを明らかにすることができます。
Sediment Removalは、地形全体で一様か、降水量や侵食強度と同じようにマスクによって制御することができます。

■ThermalShaper ノード
ThermalShaperは、Shaperと同様に形状を凝縮し、合体させる高速で効果的な方法で、生成される形状は、より熱浸食シミュレーションに近いものとなっています。
このノードを使用すると、エロージョン(浸食)のスパイクを作成することなく、ピークやリッジを凝縮してシャープな外観にすることができます。球根のような形状を作成することなく、より滑らかな尾根を作成したり、地形をかさ上げするために使用することができます。このノードは、新しいRiversノードと非常に相性が良いノードとされています。
■Seamless Tiling ノード
シームレスノードは、どんな地形も再現性のあるタイル状に変換することができます。変形は左右どちらかの軸で調整でき、ブレンドゾーンの範囲も選択できます。ビルトインのタイルプレビューにより、作業中にその実行可能性を素早く確認することができます。このノードは最も要望の多かった機能のひとつだったようです。
■Repeatノード
Repeatノードは、シームレスな地形を取り出し、それを繰り返すことで、地形内で使用するための大きなタイル状の風景を作成することができます。たとえば、高いスケールで砂を作成し、シームレスとリピートを使用して、小さいスケールでより広い範囲にタイルを敷き詰めることができます。
■Loopノード
新しいユーティリティノードLoopBegin/LoopEndを使用すると、小さな操作を繰り返し行うことができます。LoopEndでは、反復回数を選択でき、オプションでループ内のすべてのノードのシードを変更することができます。
その他の新しいノードについては以下の記事も参照ください。

新しいスタートエクスペリエンス
新しいスタート画面からは、新しいクイックスタート、最近のファイル、アップデート通知などに直接アクセスすることができます。クイックスタートや最近開いたファイルは検索することも可能です。また、過去に開いたファイルを最大5000個まで記憶することができます。
■110以上のクイックスタート
テクスチャリングのテクニックやノードの構築、地形設計の様々な側面を紹介する110以上の新しいクイックスタートが搭載されています。新しいスタート画面では、カテゴリー別メニューと検索ボックスにより、これらのクイックスターをブラウズすることができます。
ヘルプメニュー
Gaeaウィンドウの右上にあるヘルプメニューを使用すると、Gaeaのドキュメントにアクセスしたり、現在選択されているノードのプロパティ詳細などのヘルプをすぐに表示させることができます。
ヘルプメニューからWatsonを起動し、現在のセッションを診断したり、ログを作成してテクニカルサポートに送信することや、以下のようなキーボードショートカットガイドを表示することも可能です。
ターンテーブルアニメーター
Gaea内でターンテーブルアニメーションを作成することが可能になりました。Gaeaのサイドバーにある「ビルド」タブのメニューからアクセスできます。
ベイク処理の改善
Gaea 1.3では、ビルドの速度を上げたい、グラフの特定の部分をロックダウンしたい、メモリからファイナライズされたノードをオフロードしたいなど、さまざまなニーズに対応し、ベイクがさらに便利になりました。
ノードのベイクやアンベイク、ベイク済みキャッシュのロードやアンロードは、ベイクメニューやプロパティパネルから簡単に行えるようになっています。
Tiled Builds(プレビュー)
Tiled Buildsのプレビュー版が導入されました。このリリースでは、コア機能が利用可能ですが、完全なテストが行われていないため、Production Readyとは見なされていません。3月下旬に予定されている1.3.1アップデートで正式実装となるようです。
この機能は、8Kの制限を超え、より大きな世界を作ることができます。また、Tiled Buildsと同時に、1:1タイルプレビューが追加され、地形を操作しながら、各タイルを実解像度で確認することができます。ビューポートオーバーレイなどの追加機能により、ブレンディングが発生するエッジを特定し、事前にシェイプを保護することができます。
また、1.3.1アップデートでは、メッシュインポート機能と樹木/植生ノードが追加されるようです。現在アルファ版の準備ができており、社内でテストが行われているようです。
その他のアップデート
- Build Swarmが再構築:より効率的に動作するようになり、インターフェイスも改善されています。
- 検索プリセット:検索結果にプリセットも含まれるようになりました。
- Atmospheric Perspective:内蔵のスカイボックスを切り替えることで、空気遠近法が利用可能になりました。ビューポート設定で量を制御できます。
- Watsonの再設計:診断・修理ツールは、いくつかの新しいモジュールによって、より速く、より便利になるように一から作り直されました。
その他すべてのアップデート内容の確認はこちらから
価格とシステム要件
Gaea 1.3は、現在Windows 7-Service Pack 1以降で利用できます。
価格はすべて永久ライセンスで、Indieライセンスが99ドル、Proライセンスが199ドル、Enterpriseライセンスが、299ドルとなります。
すべてのマイナー(0.x)アップデートは無料、メジャーアップデート(x.0)は有料アップグレードとなります。
無料のコミュニティバージョンもあります。それぞれの機能比較はこちらから
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