3D and Motion Design Show が7月22日から開催され、Maxon の CEO David McGavran氏は “ Maxon news and announcements(Maxonニュースと発表)”の講演の中で、Cinema 4D、Redshift、RedGiantの最新情報を公開しました。
この講演では、RedGiantのアップデート情報やRedshift3.0の情報、Cinema4Dに将来実装されるノードベースのコアシステム「Project:Neutron」が公開されました。
RedGiant
RedGiant チームは現在、「Magicbullet」と「Trapcode」の2つのメジャーアップデートに取り組んでいるということです。この講演では、近日リリース予定のエディターやモーショングラフィックスアーティストのための動画トランジションとエフェクトのプラグインの最新版 Universe 3.3 でアップデートされる新しいツールと既存ツールが紹介されています。
新しいツールと既存ツールのアップデート
●quantum
これは光線を投影したり収束させたりするグロー効果です 。
独立してカラーマップされている3つの異なるグローを、有効/無効にして使用することができます。
●Modes
これは、ブレンド モード ユーティリティです。2 つのレイヤーを選択してブレンドしたり、最大 2 つの異なるブレンド モードを選択したりすることができます。
●グローの改善
新しいバージョンのグローは、指数関数的または逆二乗フォールオフを持つ、より洗練されたテクニックを使用しており、モーショングラフィックスの細部への応答性が向上しています。
●chromatic aberration(色収差)の改善
色収差とは、レンズのぼやけやエッジの周りの色の分裂をシミュレートする効果のことです。任意のパス数を設定して、処理をスムーズにすることができるようになりました。パス数を上げれば、色収差のあるレンダリング処理をよりスムーズに行うことができます。また、レンズの焦点を調整するための新しいセンターコントロールが追加さています。
●glimmer の改善
glimmer はレンズ上のスターフィルターのような効果をシミュレートしますが、これが大きく改良されました。グローストリークの数を 3 つから 6 つに増やし、単方向だけでなく双方向のレンダリングもできるようになりました。
●hacker text の改善
テキストをアニメーションさせる機能を追加。今までは大文字小文字とランダムな記号がありましたが、今はランダムな文字を何にするかを具体的に定義できるようになっています。
RedGiantの情報は1:25あたりから
Redshift 3.0
この講演では、Redshift on metal と Redshift RTのデモが公開されました。
Redshift 3.0 は、以前はExperimental buildとなっていましたが、いつの間にかカスタマー(安定)ビルドに移行していました。おそらく先月か今月に入って移行したものと思われます。
Redshift 3.0 の情報について以下の記事をご覧ください。
Redshift 情報は4:15あたりから
Cinema 4D
Cinema 4Dの次の秋リリースの情報を公開しました。例年通りであれば、Maxonは、9月のIBC 2020でのCinema 4Dの次のリリースに関する詳細を発表します。
この講演ではPython3、Apple Silicon 、USDのサポートと、新しいノードベースのシステム Project:Neutronの発表がされました。
Python3
Cinema 4Dの
次のリリースでPythonエンジンを2.7.7から3.7.7にアップグレードされます。多くの重要な利点があり、拡張文字セットを処理するためのパフォーマンス、セキュリティ、Unicodeサポートが向上しています。また、これまでよりも簡単にPython API内で新しいCinema 4D機能を利用できるようになります。
この変更には、ほとんどのPythonプラグイン、スクリプト、およびCinema 4Dでのその他のPythonの使用にいくつかの微調整が必要になります。開発者が主にCinema 4DのAPIを使用している場合、変更はわずかであり、ほとんどの変更は下位互換性のある方法で行うことができるため、古いCinema 4Dリリースを引き続きサポートするために個別のコードベースを維持する必要はありません。
すべてのPythonディストリビューションに含まれている2to3ツールを使用すると、互換性の問題を簡単に特定でき、コードに直接パッチを適用できるということです。
USDのサポート
Cinema 4D の次のバージョンでは、USD形式(USDA USDC USDZ含む )のインポートとエクスポートの両方に対応します。これによって、AdobeやApple製品のARワークフローを非常に簡単にサポートすることができるようになります。
講演では、キッチンシーンをUSDから直接シネマ4Dにインポートしているところや、冷蔵庫をusdzでエクスポートしてiosデバイスで開き、それを操作している様子を確認することができます。
Apple Silicon サポート
Appleは、今年の WWDC20 でMac の CPU を Intel製 から独自のARMベースのプロセッサ「Apple silicon」に移行することを発表しました。
今回の講演では、正式にCinema 4DがApple siliconに対応することが発表されました。
Cinema 4DはMacプラットフォームで最初に開発されたことで知られており、Mac上でマルチプロセッシング機能を提供する最初のプロ用3Dパッケージでもあったということで、Maxon の CEO David McGavran氏は「この伝統を継続することをお伝えできることを嬉しく思います。」と述べています。
Project:Neutron
Maxonは近年、ノードベースのマテリアルの導入など新しいエンジンを開発に注力してきました。ここ数年の間にモデリングコアには多くの変更が加えられ、よりモダンな方法でメッシュを扱うことができるようになり、最近では新しいビューポートコアを導入し、レガシー接続を取り除き、最新のハードウェア技術で優れたパフォーマンスを発揮できるようになっています。
そしてこの度、CINEMA 4Dの新しいノードベースのコアとして「Project:Neutron」が発表されました。「Project:Neutron」では、ノードを相互に接続することで複雑な表現を手続き的に作成することが可能になります。
以下の動画では、「Project:Neutron」を使用して、配列化された球体を使用したモーショングラフィックアニメーションを確認することができます。
また、他にもいくつか例が紹介され、プロシージャルモデリングに使用できることも示されています。
このシステムの目標は、ノードベースのワークフローを強制することではなく、ノードベースのワークフローを可能にすることと述べられています。バックグラウンドでノードを作成する現在の Cinema 4D Object Managerと非常に似ていますが、それよりも優れたワークフローを作成します。
「Project:Neutron」は、Cinema 4Dの次のバージョンでプレビューとして利用できるようになり、今後のリリースでは、これをCinema 4Dの機能の核となる部分にまで発展させていく予定ということです。
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