2026年3月19日 – Unityは、Webベースのノーコード3Dエディタ「Unity Studio」を発表しました。
Unity Studioとは?
Unity Studio は、コーディングや複雑なワークフローを必要とせず、組織内の誰でも直感的にインタラクティブな 3D 体験を構築・共有できる Web ベースのエディタです。Unity Studio は昨年にオープンベータ版として公開されており、今回の正式リリースとなりました。
重いソフトウェアをインストールすることなく、既存の 3D アセットを素早くインポートして 3D アプリケーションを作成し、あらゆるデバイスに向けて共有できるため、レビューやイテレーションのサイクルを効率的に進められます。
開発の背景
これまで、製造業や建築業などで作成されたCADアセンブリやBIMモデル、精細な3Dアセットを「触って動かせる」インタラクティブなアプリケーションにするには、専門的なスキルを持つ開発チームの存在が不可欠でした。デスクトップ用のゲームエンジンを用いてC#コードを書き、数週間から数ヶ月かけて開発を行う従来のプロセスは、製品や業務プロセスを最も熟知している現場の専門家(ドメインエキスパート)が直接制作に関わることを困難にしていました。
Unity Studioは、この依存関係を排除するために構築されました。エンジニア、デザイナー、トレーナーなど、コードを書かない非エンジニア層であっても、ブラウザ上で直接3Dアプリケーションを構築し、公開することを可能にします。
主な機能
Unity Studioは、専門知識のないチームでもアイデアを即座に形にできるよう設計されており、以下のような特徴を備えています。
コーディングなしで簡単構築
製品デモからトレーニングシーン、ウォークスルー、コンフィギュレーターまで、誰でも学べるドラッグ&ドロップエディタで簡単に構築できます。
既存エコシステムとのシームレスな連携
既存の3Dデータ(CAD、BIMなど)をインポートし、Asset ManagerやAsset TransformerなどUnityのワークフローに直接接続できます。
数分でプロトタイプ作成と即時共有
インターフェースの設計からマテリアルの微調整までを数分で行い、Webリンク一つでステークホルダーと即座に共有可能です。
トレーニングアプリの迅速な作成
UIによる指示の追加やチュートリアルのリアルタイム更新を活用し、オペレーター向けのインタラクティブなトレーニング体験を素早く作成します。
フィードバックループと意思決定の高速化
レビュー用のインタラクティブな3Dビューアを通じてアイデアを直感的に共有することで、認識のズレを防ぎ、開発の初期段階での意思決定を早め、手戻りのコストを削減します。
次の動画では、実際のブラウザ上の操作画面とともに、Unity Studioがサポートする多様な産業向けユースケースが紹介されています。自動車や産業用ダッシュボードのHMIプロトタイプ検証、営業・マーケティング部門がリアルタイムで色や部品を変更できる製品コンフィギュレーター、機械の動作ステップのデモンストレーション、オペレーター向けのインタラクティブなトレーニングアプリの構築など、幅広い活用が可能です。
Unity Studioのワークフロー
Unity Studioでの制作は、主に「インポート」「構築」「公開」の3つのステージで構成されています。
1. 3Dデータのインポート
FBX、glTF/GLB、OBJ、STEP、USD、PXZといった一般的なフォーマットをネイティブサポートしています。さらに、特定のライセンスを適用することで「Unity Asset Transformer」を通じ、CATIA、Revit、SolidWorks、Inventorなど30種類以上のCADフォーマットへの拡張サポートも利用可能です。
数百万ポリゴンに及ぶ重いCADデータであっても、Asset Transformerが自動的に最適化・軽量化を行うため、手作業でのクリーンアップ作業なしにブラウザ上でもスムーズにレンダリングできるようになります。

2. シーンの構築とインタラクティブ機能の追加
ブラウザ上のエディタは、主に 4 つのパネルで構成されています。
アセットを管理する 「プロジェクト」、3D 環境や UI を扱う中央の 「シーンビュー」、構造を整理する 「ヒエラルキー」、そして選択したオブジェクトのプロパティを調整する 「インスペクター」 です。ユーザーはアセットをドラッグ&ドロップして配置やスケールを調整し、クリック操作でマテリアルや表示設定を直感的に構成できます。
ゼロから構築するだけでなく、業界向けのテンプレートや事前に用意されたコンポーネントを利用して、素早くプロトタイプを作成することも可能です。

このステップでは、次のような機能を使って 3D モデルに動きや表現を加えることができます。
- Logic Editor: コードを一行も書くことなく、ノードグラフの接続すら不要なビジュアルスクリプティングシステムです。MITのScratchのように、アクションや条件を表すブロックを繋ぎ合わせる(”When”と”How”を繋ぐ)ことで、オブジェクトクリック時の挙動やビュー間のナビゲーションなど、複雑なインタラクションフローを構築できます。
- Animation Director: キーフレームを使用して共通のタイムライン上で複数のオブジェクトの動きを調整し、機械の組み立て・分解手順などをアニメーション化できます。インタラクションが不要でアニメーションのみが必要な場合は、Logicとは独立して単独で使用することも可能です。
- UI Creator: 3Dシーンの上に直接、ボタン、画像、スライダー、トグル、テキストフィールド、さらには埋め込みWebビューなどのインターフェースを配置できます。これらはLogicと直接連携し、「スライダーで3Dモデルを回転させる」「トグルで音をON/OFFする」「ボタンでモデルの色やバリアントを変更する」といった高度な制御を可能にします。
- AI Screenshot Enhancement: テキストプロンプトを用いて、シーンの生のスクリーンショットにリアルな照明やマテリアル、背景を付加する初期デザイン向けAIツール。すべての処理はセキュアなクラウド環境で行われ、画像やプロンプトがAIモデルの学習に使用されたり保存されたりすることは決してありません。
3. パブリッシュと共有
完成したプロジェクトはワンクリックでUnityのクラウドインフラに公開され、共有用のWeb URLが発行されます。
閲覧者はソフトウェアのインストールなしにブラウザ上で体験にアクセスできます(機密コンテンツの場合はパスワード保護を追加することも可能です)。更新もボタン一つで完了し、閲覧者はブラウザをリロードするだけで最新バージョンを確認できます。

Unity Studio vs Unity Engine
機能とターゲットの違い
「Unity Studio」と「Unity Engine」は、共通のレンダリングパイプラインやアセット基盤を持ちながらも、対象ユーザーや目的が根本的に異なる、独立した製品です。
そのため、Studio は Engine の「簡易版」という位置づけではありません。主な違いは以下のとおりです。
Unity Studio
- 主な対象: 非技術系チーム(PM、マーケター、デザイナー、トレーナー等)
- 環境: Webブラウザ(インストール不要)
- コーディング: 不要(ビジュアルロジックを使用)
- 公開先: Webブラウザ向けURL
- レンダリング: WebGPU(ブラウザネイティブ)
- 主な用途: コンフィギュレーター、研修、デモ
Unity Engine
- 主な対象: 開発者、プログラマー、テクニカルアーティスト
- 環境: デスクトップアプリ(要インストール)
- コーディング: C# スクリプト
- 公開先: PC, モバイル, コンソール, AR/VR等25種以上
- レンダリング: URP, HDRPなど
- 主な用途: ゲーム、本格的なシミュレーション
▼ Unity Studio が適しているケース:
- 開発チームに依存せず、自分たちでインタラクティブな3D体験を作りたい。
- CADなどの産業用3Dデータを素早くWeb上で公開・共有(URL共有)したい。
- 複雑なロジックよりも、公開までの「スピード」を重視している。
▼ Unity Engine が適しているケース:
- C#を用いた複雑なカスタムロジックや物理演算が必要。
- Webだけでなく、スマートフォンアプリ、ゲーム機、AR/VRデバイス向けに配信したい。
- フォトリアルな最高品質のレンダリング(HDRP等)やカスタムシェーダーが必要。
- 本格的な「ゲーム」を開発したい。
両製品を組み合わせて活用
上記のようにターゲットや用途は異なるものの、多くの組織では両製品を併用することで開発効率を高めることができます。
たとえば、現場の非技術系チームが Unity Studio を使って素早くプロトタイプやデモを作成・共有し、より高度なプログラミング制御が必要なカスタムアプリケーションは、開発チームが「Unity Engine」で構築するといった使い分けをすることができます。
この連携を支えているのが、両製品の共通基盤となる「Unity Asset Manager」です。
これが双方のツールにおける「共有アセット層」として機能するため、同じ 3D データを再インポートする必要がなく、それぞれのワークフローでシームレスに活用できます。
さらに今後のロードマップとして、Studio で作成したプロジェクトを Engine に直接エクスポートし、そのまま開発を引き継げる機能も予定されています。
また、組織内の幅広いニーズに対応するため、Engine と Studio の両方に加え、70 種類以上のフォーマットに対応する高度な CAD 変換ツールなどをまとめて利用できる、企業向けオールインワンのサブスクリプション「Unity Industry」も提供されています。
価格とアクセス方法について
Unity Studioは年間サブスクリプションとして提供され、30日間の無料トライアルも用意されています。ライセンス有効後は、Unity Dashboardから直接ブラウザ上で起動でき、ローカルへのセットアップは不要です。
| 価格 | 1シートあたり 年額799ドル(Unity Asset Manager含む) |
|---|---|
| クラウドストレージ | 1シートあたり 120GB |
| 公開アプリの帯域幅 | 月間10GB |
| 対応ブラウザ | Chrome 113以降、Edge 113以降、Safari 17以降 |
詳細な対応フォーマットや技術要件については、Unity Studio 公式ドキュメントおよびプランと価格ページをご参照ください。
























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