無料の Cinema 4D用のノードアセットライブラリ「Druckli Tools」がバージョン2(V2)としてリリースされました。
主な機能
このバージョンは、V1に含まれていた全ツールを引き継ぎつつ、多くの新しいツールや機能改善が加えられた、より充実したツールセットになっています。
選択と可視化
選択範囲の制御や、データの視覚化を支援するツール群が利用可能です。
これらは、V1から機能が強化され、デバッグや効率的なシーン構築に役立ちます。
Outline Selection
メッシュの輪郭(アウトライン)を選択するツールです。標準の「Border Selection」ノードが存在しますが、高密度なメッシュで使用すると処理が遅くなる傾向があります。このツールは独自の構築により高速に動作し、選択結果はポイントまたはエッジ選択として保存可能です。
Select by Camera View
指定したカメラの視野(フラスタム)内にある要素を選択するツールです。ノード内で使用する場合は「Object Link」モードでカメラの位置情報を参照できます。
- クリッピング制御: 画面内の上下左右(XY Border)や奥行き(Near/Far)の範囲を指定して選択エリアを制限できます。
- 遮蔽物の除外: カメラから見えていない裏側のポリゴンを除外(Occlusion Culling)するオプションがあり、レンダリング負荷の軽減(必要な場所にのみ木を配置するなど)に役立ちます。
Vertex Map Visualizer
頂点マップの値を「数値」としてビューポート上に表示します。標準のカラー表示では0~100%(0~1)の範囲でクランプされてしまい、それ以上の値やマイナス値、または微細な数値の違いを確認できません。このツールは正確な数値を可視化するため、ノード構築時のデバッグに不可欠です。
Normal Visualizer
頂点法線(Vertex Normals)をラインで可視化します。シーンノード内や生成されたジオメトリでは、標準ビューポートオプションで法線が表示されない場合があります。なお、Phongタグで生成された法線はノードで読み取れないため、Normal Tagへの変換が必要です。
Axis Preview
マトリックスの各ポイントにXYZ軸を表示します。スキャッターなどでオブジェクトを配置する際、単純な円柱などのプレビューでは回転(向き)が判別しにくい場合に、それぞれのマトリックスがどの方向を向いているかを明確に確認できます。
モディファイアとノード
以下のようなジオメトリの修正や情報の取得・設定を行うためのユーティリティが含まれています。
Close Polygon Holes
オブジェクトの穴をプロシージャルに塞ぐツールです。標準のモデリングコマンド「Close Polygon Hole」と同様の機能をノードベースで実現します。
- 自動/手動モード: 全ての穴を自動で塞ぐ「Automatic」モードと、エッジ選択範囲を指定して特定の穴のみを塞ぐモードがあります。
- Plane Splitとの連携: Plane Splitツールでカットした後の断面を塞ぐ際などに有用です。
- 法線の処理: Normal Tagが存在する場合、シェーディングエラーを避けるために塞いだ面に適切な法線(フラットシェーディング等)を追加するオプションを備えています。
Spline Smooth
スプラインの補間(Interpolation)を再設定・調整するツールです。
- 補間の復元: リサンプル(Resample)などを行って補間情報が失われた(角張った)スプラインに対し、再度BezierやB-Splineなどの補間を適用して滑らかにすることができます。
- 形状調整: 補間の強さを調整することで、星型のような鋭角な形状を丸めて花のような形状にするなど、プロシージャルな変形にも利用可能です。
3D Noise
ノード内で3Dノイズ値を生成します。標準のSample Noiseと似ていますが、以下の点で強化されています。
- ベクトル出力: 標準ノイズが1D(単一の数値)を出力するのに対し、このツールは3Dベクトル(X, Y, Z)を一度に出力可能です。これにより、位置のランダム化などを1つのノードで効率的に行えます。
- リマップ機能: 通常0~1の範囲で出力されるノイズ値を、-1~1などにリマップする機能を内蔵しており、変位(Displacement)などの用途に適しています。
Get / Set Polygon Color
ポリゴン単位での頂点カラー(Vertex Color)の操作を可能にするツールセットです。
- Set Polygon Color: ポリゴンごとに色を設定します。単色設定、ランダム設定、または配列を使用した個別指定が可能です。
- Get Polygon Color: ポイントベース(頂点間で色が補間される状態)の頂点カラーを読み取り、ポリゴンベース(面ごとに色が分かれた状態)に変換できます。ピクセルアート風の表現や、特定の条件(インデックス番号など)に基づいた色の塗り分けに活用できます。
ジェネレーター
新しい形状や構造を生成するツールが3つ含まれています。
Stitching
サーフェス上にリアルなステッチ(縫い目)を生成する強力なアセットです。ガイドスプラインと対象のサーフェスを指定するだけで、自動的に縫い目が生成されます。このツールは実寸スケール(Real World Scale)で動作するため、オブジェクトのサイズに合わせて使用します。
- パターン制御: ステッチの長さ、間隔(Gap)、ランダム性を細かく調整可能です。ジグザグ縫い(Zigzag)や平行縫い(Parallel)のモードも搭載しています。
- 形状調整: 縫い目の浮き上がり(Lift)、傾き(Tilt)、先端の収束具合(Tip Randomness)などを調整し、手縫いのような有機的な表現や、機械的な均一な表現を作り出せます。
- 成長アニメーション: 縫い目が生成されていく「Grow Animation」を簡単に作成できます。「Floating」モードを使えば、縫い目が空中に浮かんで現れる演出も可能です。
Multi Loft
標準のLoftオブジェクトの強化版です。通常、Loftは複数の独立したスプラインオブジェクトを必要としますが、このMulti Loftは「1つのオブジェクト内の複数のスプラインセグメント」を認識して面を張ることができます。
- Clonerとの連携: Clonerで複製したスプラインをConnectオブジェクトで1つに結合し、それをMulti Loftに入力するだけで、複雑なねじれ構造やモーフィング形状を簡単に生成できます。
- 柔軟な設定: クローズド/オープンの切り替え、セグメント数の調整、キャップ(蓋)の有無などを設定可能です。
Split Spline Mask
標準のSpline Mask(ブーリアン)の機能を拡張し、「開いたスプライン(Open Spline)」の結果を出力できるようにしたツールです。
- オープンパスの生成: 通常のSpline Maskは結果を必ず閉じたスプラインとして出力しますが、このツールは交差部分でカットし、パスを開いたままにすることができます。
- カット軸の自動検出: 2D処理を行う際の投影軸(Cutting Axis)を自動で検出する「Auto」モードを搭載しています。
- 用途: 特定の形状でパスを切り取り、Sweepなどで厚みをつける際に、意図しない閉合を防ぐのに便利です。
分布・配置
オブジェクトや要素を特定パターンで配置するためのツールが含まれています。
Surface Stippling Distribution
V1に含まれていた「Surface Stippling」アセットを、クローナー等で使いやすいDistribution(分布)ノードとして再設計したツールです。パラメータが整理され、より直感的に扱えるようになりました。
- スケール非依存: 以前はオブジェクトのサイズ変更に伴って強度の再調整が必要でしたが、V2ではオブジェクトを拡大縮小しても分布のパターンや見た目が維持されます。
- 反復とソルバー: 静的な配置を行う「Iteration」モードと、時間経過とともに粒子が広がっていくアニメーション計算用の「Solver」モードを搭載しています。
- 頂点マップと電荷: 頂点マップの濃淡を「電荷(Charge)」として扱い、密度をコントロールできます。Post Relax機能を使えば、密集したポイントの重なりを解消して均一な配置を得られます。
Paint Strokes Distribution
油絵のようなペイントストローク(筆跡)を生成・配置するツールです。作者の過去のチュートリアルをベースにアセット化されました。
- フロースプラインによる制御: 「Gradient Intersection」ツールなどで生成したスプラインをガイドとして入力することで、画像の輪郭や明暗の流れ(Flow)に沿った筆跡を生成できます。
- セットアップ: クローナーでストロークオブジェクト(アルファ付きの平面)を複製し、Distributionモードを「Advanced」→「Paint Stroke Distribution」に設定して使用します。テクスチャから色をサンプリングし、ランダムエフェクタでサイズやZ深度(重なり)を調整することで、立体感のある絵画表現が可能です。
V1ツールの主なアップデート
既存ツールに関する重要な変更点は以下の通りです。特に「Plane Split」は大規模な改修が行われました。
Plane Split 3.0
旧バージョンで課題だった属性転送(Attribute Transfer)の問題を解消するため、完全に再構築されました。
- 属性の完全転送: UV、法線、ウェイトマップ、選択範囲が正しく転送されるようになりました。
- カット機能の強化: カット軸の指定や、出力(Top/Bottom/Both)の選択が可能です。
- パフォーマンス最適化: 不要な属性転送をオフにするオプションが追加され、大規模メッシュでの処理速度が向上しました。
- 選択範囲の保存: 切断面(Border)の選択範囲生成などが可能になりました。
マイナーアップデート
- Selection Visualizers 1.01: C4D v25.1以降の仕様変更に対応し、選択文字列のデフォルト値(”default”)が廃止されました。現在は明示的な入力が必要です。
- Ray Connector 1.02: 入力ポート名が「Points Object」から、実態に即した「Matrix Object」に修正されました。
- Surface Stippling 1.08: 大規模シーンにおける動作パフォーマンスと安定性が向上しました。
インストール方法
ダウンロードしたZIPファイルは解凍せずにそのまま使用します。
- Cinema 4Dのアセットブラウザを開きます。
- 「データベース」メニューから「Zipデータベースを接続 (Connect Zip Database)」を選択します。
- ダウンロードしたZIPファイル(Full または Light)を選択します。
- アセットブラウザ内に「Druckli Tools V2」フォルダが表示され、Materials、Models(Visualizerツール)、Nodes、Scenes(Full版のみ)が利用可能になります。
※Light Versionはサンプルシーンが含まれず、アセットのみの構成で容量が軽量化されています。
価格について
Druckli Tools V2は、Cinema 4D 2026.0 以降で利用可能です。
バージョン2には、バージョン1のすべてのツールが含まれているようで、既存ユーザーはV2のみをインストールすれば、全ての機能にアクセス可能です。
バージョン1 については以下の記事をご覧ください。



























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