JangaFX は、開発の進捗状況についてより透明性を高めるため、JangaFXのツールに何が計画されているかを確認することができるロードマップを公開しました。
このロードマップでは、EmberGen 2.0についての計画、今年中にリリースさせたい LiquiGen 1.0、近々アップデートが行われる予定のGeoGen に加えて、IlluGenが何であるかについての新しいヒントを見ることができます。
主な内容は以下の通りです。
EmberGen 2.0 (2025/2026)
新しいスパースシミュレーション技術とレンダリング
ボクセルデータが存在するアクティブ領域でのみシミュレーションを行う、新しいスパースシミュレーション技術が搭載予定です。
アクティブな領域は、目に見えるもの(煙など)がある場所によって暗黙的に制御されるか、明示的に使用制御可能なアクティビティマップによって、あらかじめ定義された領域と組み合わせることができます。
8192x8192x8192 の適応的な領域でシミュレーションが行われるため、実質的に境界のないシミュレーション空間が実現できるとのことです。
1つのスパースボクセルは、通常は4-6個の密なボクセルに等しく、EmberGen 1.0と比較すると以下のリストの数字のおよそ4-6倍のボクセル処理を行うことができるようになります。
ターゲット:
- 6GBカードで約2億アクティブボクセル
- 8GBカードで約3億アクティブボクセル
- 16GBカードで約6億アクティブボクセル
- 24GBカードで約10億アクティブボクセル
- 48GBカードで約20億アクティブボクセル
理論的な最大値は、約80億のアップスケーリングされたスパースボクセル(上限値では80GBのカードが必要になる可能性が高い)。
参考までに、EmberGen 1.0は、アップスケーリングなしで約4億の高密度ボクセルが処理可能で、24GBのカードで調子が良い日にはアップスケーリングで最大12億の処理が可能です。
これにはすべて、スパースなボリューム表現用に新たに最適化されたレンダラーが付属しています。
VDBファイルのインポート
静的およびアニメーションVDBファイルをインポートすることができるようになります。
他のツールからのデータであっても、キャッシュされたシミュレーション状態を再開するためにシミュレーションで使用できます。
⦅燃料(Fuel)、火災(Fire)、煙(Smoke)、温度(Temperature)、速度(Velocity)⦆
メッシュレンダリングの改善
EmberGen 1.xのメッシュレンダリングは、インポートされたメッシュの粗い体積近似です。
EmberGen 2.0では、ポリゴンメッシュに適切なシャドウとシェーディングをつけることが可能になります。
新しいGPUパーティクルシステム
EmberGen 1.xのパーティクルはパフォーマンスが重く、少し複雑です。
2.0ではこれが置きかえられ、将来のGPUパーティクルエミッターの改良のための新しい基盤として機能します。
24GBのカードで5億以上のGPUパーティクルをサポートされ、より良い衝突、より簡単なコントロール、より多くの爆発が可能になります。
スクラブ可能なシミュレーションのためのボリュームキャッシング
EmberGenが登場した当初から、シミュレーションをスクラブ(タイムライン上で自由に前後に移動しながら再生や編集)できるようにキャッシュしてほしいという要望がありましたが、2.0ではそれが可能になります。
その他
■MシリーズチップセットのMacOSサポート
EmberGenは、互換性のあるMシリーズのMacOSデバイスで動作するようになる予定です。
■新しい燃焼(Combustion)モデル
EmberGen 1.0の燃焼は複雑で、理解しにくいパラメータが多数あり、正しく燃焼させるのが困難でした。
EmberGen 2.0では、燃焼シミュレーションの速さ、大きさ、悪さを完全にコントロールできるようになります。効率化され、理解しやすく、よりリアルな燃焼がかつてないほど簡単なる予定です。
■HDRIサポート
完全にダイナミックな間接照明が、環境マップ(通常はHDRIまたはシミュレートされた大気)からのサンプリングによってサポートされます。
アダプティブ リファインメント スキーム (Adaptive refinement scheme)をサポートし、プレビュー中や重いシーンのシミュレー ション中は結果が粗く(しかし良く)なりますが、シミュレーションを一時停止したり、 エクスポート中に徐々に改善されます。
このテクニックは効果的に使用され、正しいアンビエントオクルージョン(事実上の平均視認性)を無条件で実現します。パフォーマンスは一般的に非常に良く、常にオンになっています。
また、ライティングの微調整のために環境マップを回転させることもできます。
■可変コンポーネントインジェクション – カスタムボクセルデータ ( Multi-sim )
EmberGen 1.0では、ボクセルが保持できる情報に多くの制限があります。
可変コンポーネントインジェクション (variable component injection) を使用することで、燃料タイプや煙の色などに異なる値を保存できるようになり、シーン内で複数のユニークなシミュレーションやボクセルタイプを使用できるようになります。
例えば、土の中で爆発する爆弾があった場合、爆弾から出る白い煙と土から出る茶色い煙が混在するようなケースなどが考えられます。また、2種類の燃料が存在するシーンでは、火と煙の色が変化します。
■シミュレーションのリタイミングとトゥルーシーンのFPSオプション
希望するフレームレートに合わせてシミュレーションをリタイミングしたり、スーパースローモーションなどへの移行をサポートするために可変フレームレートを持つ機能を必要です。
プロジェクトによっては、EmberGen のデフォルトの 60 フレーム/秒以外の独自のフレームレートが必要になる場合があり、シーンを24、25、30、あるいは23.97フレーム/秒で実行するように簡単に切り替えることができるようになる予定です。

■スプライン形状とフォース
EmberGenの新しいスプラインツールで、カスタム形状やフォースフィールドを作成できます。 スプラインはJSONとしてエクスポートすることもできます。

■選択可能なビューポート項目
すべてのプロダクトのビューポートでは、シェイプ、エミッター、コライダーなどは一般的に選択できませんが、その変更が計画されています。
すべてのアイテムは、新しいギズモグラフィックスとシェーダーで選択可能になる予定です。
■メッシュベースのパーティクル – デブリとメッシュのインスタンス化
デブリシミュレーションのために、EmberGen内のパーティクルにメッシュをインスタンス化したいことがあります。この機能により、その動作が可能になります。
■USDフォーマットのサポート
USD(Universal Scene Description)ファイルのインポートとエクスポートをサポート。
■リアルタイム パス トレーシング
すべての製品で共有される統一されたリアルタイムパストレーサーを実装。
■ゲーム用アニメーション3D/4Dボリュームテクスチャ
ゲーム用4Dボリュームスライスのエクスポート。
■ウェッジ & バッチ処理 UI
EmberGenでは既にファイルメニューのタブで無限のバリエーションをエクスポートすることができます。バリエーションエクスポートをより利用しやすくするため、さらにUIの強化が行われる予定です。
■より多くのパラメータに対応するカーブコントロール
カーブUIウィジェットはEmberGen 1.xでは比較的新しく、GeoGen開発の副産物でした。EmberGenには、ノード内カーブでリマップすることで恩恵を受けるパラメータがたくさんあり、EmberGen 2.0の開発中および開発後に、これらのカーブの使用例をさらに調査する予定です。

■スクリプト可能なAPI
お好きなスクリプト言語を使用して、製品とのインターフェイスや自動化を行うことが可能に。
■テクスチャからのエミッション
以前はありましたが、今はない機能.. 🙂
さらにその後
- ディストーションのためのボリュームモディファイア:ボリュームをひねったり、曲げたり、平らにしたり、ボコボコにしたり、スカルプトしたいことがあります。ボリューム・モディファイヤーを使えば、それが可能になります。
- パフォーマンス向上のためにテクスチャをベイク
- DeepEXR:より高度な外部合成のためのDeepEXR。
- MP4エクスポート:EmberGenからMP4動画ファイルを直接エクスポート可能に。
- 爆発内の土や砂のためのGranular Solver:保証はありませんが、土、砂、雪を粉々に吹き飛ばすのに便利な機能です。
- ベクターフィールドのエクスポート:.FGAとJSONベクトルフィールドでボクセルごとの速度をサポート。
LiquiGen 1.0
可変のパーティクル属性(色、粘度、密度)
個々の液体パーティクルに、粘度、表面張力、色などの固有の属性を持たせることができます。これにより、アーティストは、粘度や複数の色が変化するユニークなシミュレーションを行うことができます。
より高品質な液体メッシング
LiquiGen の現在のメッシングはプロダクションには十分な品質ではありません。
ユーザーがどんな液体でもメッシング解像度を調整できるようにする研究開発に重点が置かれています。
シミュレーションの安定性の改善
LiquiGen は現在、シミュレーションの安定性に関して多くの問題を抱えています。
1.0 までに再現可能な主要な問題を解決することが目標とされています。
ホワイトウォーターの強化
■リアルなホワイトウォーターレンダリング
LiquiGen のホワイトウォーターは現在照明がありません。ボリューメトリックレンダリングによるホワイトウォーターの実現が計画されています。
■ホワイトウォーターPBFソルバー
ホワイトウォーターパーティクルは現在互いに重なっており、パーティクル間の衝突はありません。新しいPBF(Position Based Fluids)ソルバーにより、すべての泡、泡、スプレータイプが衝突するようになり、シミュレーションにリアルな泡や泡のパターンを作成できます。
粘度
粘度(Viscosity)が実装予定。
その他
- パストレーシングの改善:より多くのパストレーシングの改善と安定性
- VAT(頂点アニメーションテクスチャ)のサポート:ゲーム用にVATをエクスポート。
- カメラのインポート:EmberGenと同様に、合成ワークフロー用にカメラをインポート可能に。
- スプラインフォースとエミッタ:スプライン!
- 海と川のツール:海や川の流れや波を扱う特別なソルバーが追加予定。
GeoGen
崖とオーバーハング(せり出した部分)
平面のハイトマップ変位の制限を取り除くことに重点を置いた複雑な研究開発が行われています。
IlluGen

IlluGenについて次のようなヒントがでています。
IlluGenはイリュージョンです。
ゲームにおける視覚効果は、煙と鏡の束で構成されています。アーティストとして、我々は仕事を成し遂げるために非常に多くの奇妙なことを行い、プレイヤーが見ているものが単なるグラフィックのハックやパフォーマンスの最適化の束ではないことを納得させるのが我々の仕事です。このようなイリュージョンを組み立てるために使われるアセットの大半を、もっとうまく作る方法があればいいのだが。
ということです。
実際の環境アートの作成も可能ですが、その機能は少なく、どちらかというとリアルタイムの視覚効果(VFX)の作成に特化したツールとのことです。
まとめ
以上が投稿時点で計画されていることです。
これらのロードマップに沿って、この夏に向けてできる限りの進歩を遂げて今年のエレメンタルウィーク(2025年7月)に多くのイノベーションを披露することがJangaFXの最大の目標とされています。
ロードマップには各製品の開発が進むにつれて、より細かな機能が掲載予定とのことですが、リリース日や機能などは進行状況によって変更される可能性があることにご注意ください。
また、新しいロードマップページでは、アイデアに投票したり、新しいアイデアを提出したりすることも可能となっています。
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