2023年9月13日 – アドビは、ベータ版の提供を経て、アドビの生成AI『Adobe Firefly』の正式リリースし、商用利用が可能になったことを発表しました。
Adobe Firefly が商用利用可能に
Adobe Firefly は、画像生成、テキスト効果、ベクター用の生成 AI モデルを基盤としており、日本語を含む 100 以上の言語のテキストプロンプトをサポートし、安全性を考慮した魅力的なコンテンツを、世界中のユーザーが生成できるように設計されています。
約 6 ヶ月間のベータ版の提供を経て Adobe Firefly の機能は、AdobeCreative Cloud、Adobe Express、Adobe Experience Cloud の新たなワークフローに深く統合され、商用利用が可能となりました。また、Adobe Firefly web 版も利用可能となっています。
また、Adobe Photoshop の「生成塗りつぶし」と「生成拡張」、Adobe Illustrator の「生成再配色」、Adobe Express の「テキストから画像生成」や「テキスト効果」などの Adobe Firefly搭載機能もベータ版を終了し、Adobe Creative Cloud にネイティブ統合されることになります。
これらの統合は、これまで以上にクリエイティブの力をユーザーに提供し、まったく新しい方法で、試行錯誤したり、アイデアを具現化し、クリエイティブな活動を行うことを可能にします。今後もアドビは、写真、デザイン、ビデオ、3D など、より多くの Adobe Creative Cloud 製品やワークフローに Adobe Firefly 機能を搭載する予定としています。
アドビのデジタルメディア事業部門代表 デイビッド ワドワーニ(David Wadhwani)は、次の
ように述べています。
「Adobe Firefly で生成されたアセットは 20 億点以上におよび、生成 AIはあらゆるセグメントの顧客にクリエイティブな表現の新時代を切り開こうとしています。Adobe Firefly の驚愕的な機能と、Adobe Creative Cloud、Adobe Express、Adobe Firefly web版、Adobe Experience Cloud の豊富なツールを組み合わせることで、ユーザーは生成 AI を活用した新しく豊かで生産的な方法で、比類のない機会を得ることができます。」
■Firefly Web 版と Adobe Express のプレミアムプラン が Creative Cloud プランの一部に
Adobe Creative Cloud のコンプリートプランおよび一部の単体プランには、AI 支援によるクリエイテブな表現を探索するためのプレイグラウンドである新しい Firefly Web アプリケーションと、新しい生成 AI Text to Image および Text Effects 機能を備えたオールインワンのクリエイティブ アプリである Express Premium が含まれるようになりました。
■企業向けの一般提供が開始
また、今回 Adobe Express エンタープライズ版を含む Adobe Firefly エンタープライズ版も一般提供開始となりました。アドビは、企業独自のアセットを使用して生成 AI モデルをカスタマイズし、コンテンツの生成を可能とするよう取り組んでいます。また、Adobe Firefly API にもアクセスできるようになることで、自社のエコシステムに生成AIのパワーを組み込み、ワークフローを強化することが可能です。さらに、AdobeFirefly エンタープライズ版では、Adobe Firefly を利用したワークフローで生成されたコンテンツの知的財産 (IP) 補償を得る機会も提供します。
■北米、中米、南米、ヨーロッパでは値上げ
日本では行われる予定はないようですが、2023 年 11 月 1 日より、北米、中米、南米、ヨーロッパで特定の Creative Cloud プランの価格が値上げされるようです。単体アプリで年額24ドル、コンプリートプランでは年額60ドル程の値上げとなっています。
生成クレジットが導入
本日より、Adobe Firefly による新しい画像生成ワークフローを採用した全ての製品に生成 AIの新しいクレジットベースモデルが導入されました。Adobe Firefly、Adobe Express のプレミアムプラン、Adobe Creative Cloud の有料プランが対象に含まれます。
生成クレジットとは、テキストベースのプロンプト入力により、Adobe Photoshop、Adobe Illustrator、Adobe Express、Adobe Firefly 上で画像やベクター作品を生成するためのクレジットです。
プランごとに定められた生成クレジットの利用上限に達した場合でも、処理速度が低下した状態で画像やテキスト効果の生成をし続けるか、あるいは生成クレジット サブスクリプションパックを追加することで、継続して Adobe Firefly の機能を快適に使用することができます。2023 年 11 月以降、ユーザーが追加の生成クレジットを購入できるようになる予定です。
■無料版のユーザーにも毎月生成クレジットが付与
Adobe Creative Cloud、Adobe Express、Adobe Firefly の無料版のユーザーにも、毎月生成クレ
ジットが付与されます。各プランの月ごとの上限に達した場合、ユーザーは有料プランにアップグレードし Adobe Firefly 機能を使ったアセット作成を継続するか、翌月にクレジットがリセットされるまで待つことで再び利用可能です。
生成 AI で作成したコンテンツの信頼性と透明性
Adobe Firefly は複数のモデルで構成されており、さまざまなスキルセットや技術的背景を持つ、多様なユースケースに対応できるように構成されています。Adobe Firefly の初代モデルは、Adobe Stock の画像、一般に公開されているライセンスコンテンツ、著作権が失効しているパブリックドメインコンテンツでトレーニングされており、画像とテキスト効果に焦点を当て商用利用の際も安全性を考慮したコンテンツを生成するように設計されています。
今後の Adobe Firefly モデルでは、アドビやその他の企業が提供するさまざまなアセット、テクノロジー、トレーニングデータを活用する予定です。他のモデルが実装される場合でも、アドビは潜在的に望ましくないバイアスに対し、優先的に対処していくとしています。
■コンテンツクレデンシャル機能
また、Adobe Firefly で生成したコンテンツにはコンテンツクレデンシャル機能が含まれています。コンテンツクレデンシャル機能は、コンテンツの名前、日付、作成に使われたツールなどの情報、および加えられた編集の内容を示し、デジタルコンテンツの「成分表示ラベル」の役割を果たします。
コンテンツクレデンシャル機能にはコンテンツ認証イニシアチブ(CAI)が提供する無料のオープンソース技術が搭載されており、コンテンツの使用、公開、保存といったすべての局面においてコンテンツとの関連付けが維持されるように設計されています。コンテンツの帰属先を確認できるようにすることで、消費者がデジタルコンテンツについて十分な情報を得たうえで意思決定できるよう支援します。
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