2023年5月18日 – Serif は、同社のグラフィックスソフトウェアスイートの最新アップデート Affinity 2.1 のリリースを発表しました。
このアップデートは、3つのプラットフォームのAffinity製品すべてに同時に適用され、MacやWindows PCでアップデートされた機能は、iPad版でも利用できます。
新機能ハイライト
このリリースでは、ガイド、レイヤー、アセット、ワープ、境界線、テキスト、ブラシの操作性の向上を含む、使用頻度の高い機能のほとんどに改良が加えられています。
さらに、Affinity Designerのベクター塗りつぶしツールやAffinity Publisherのランニングヘッダーといった新しい機能もいくつか追加されています。
ベクター塗りつぶしツール
交差したオブジェクトやカーブによってできた領域をシングルクリックで簡単に塗りつぶすことができるようになりました。ピクセルベースの塗りつぶしに似ていますが、ベクターデータで塗りつぶすことができます。
- ツールで使用したいアイテムをすべて選択します。
- ベクター塗りつぶしツールに切り替えます。
これにより選択が分析され、塗りつぶしが可能なすべての領域が特定されます。
- 塗りつぶしの色を選択します。カラーパネルまたはスウォッチパネルから領域の塗りつぶしに使用する色を選択します。
- 塗りつぶし可能な領域をクリックして、選択した色で塗りつぶします。
このツールの他の優れた点は、ビットマップ塗りつぶしテクスチャも簡単に作成できることです。テクスチャ塗りつぶしはアセットまたはストックアイテムをクリックするだけで作成できます。コンテキストツールバーにあるオプションで、カラー塗りつぶしの上にテクスチャ塗りつぶしを重ねることもできます。
ツールの使い方に関するヒント:
- オブジェクトが何も選択されていない状態でこのツールを使用すると、既存の閉じたすべてのシェイプを塗りつぶすことができます。この方法では、最初にオブジェクトを選択しなくても、すばやくオブジェクトの色を変更できます。
- このツールを使用中に選択を変更するには、⌘ Command (Mac/iPad)またはCtrl (Windows)を押しながらマーキーをクリックまたはドラッグすると、他のオブジェクトを選択します。
- 領域を認識させるには、選択範囲のあらゆるカーブが完全に交差している必要があります。そのため、このツールを使用する前に、境界線を拡張してパスの隙間を埋めると有効な場合があります。
破線の改善
■バランスの取れた破線
破線スタイルに[バランス]設定が追加されました。バランス設定では、カーブの尖点間で、パターンが自動的にサイズ変更され、ボックスのコーナーや境界線の始点や終点などに対して、より理想的な結果を得られます。この機能は境界線パネルの新しいボタンで、破線のオン/オフを切り替えることができます。
■より複雑な破線が可能に
破線の設定が拡張され、3つの破線と3つのギャップを設定できるようになりました。これにより、2ドットのチェーン線など、より複雑なパターンを作成することができるようになりました。デスクトップ版では、破線とギャップのラベルをドラッグして、値をすばやく調整することができます。
ランニングヘッダー
ランニングヘッダーは、ヘッダーやフッターにドキュメントのページの現在のトピックを簡単に挿入できる機能です。ページの特定の段落スタイルや文字スタイルで書式設定されたテキストを、ランニングヘッダーフィールドにコピーします。
例えば、ドキュメントの新しい各セクションのタイトルが「見出し1」という段落スタイルを使用している場合、各ページの上部にランニングヘッダーフィールドを追加することができます。これを追加すると、そのフィールドに自動的にセクション名が表示されます。ドキュメントのタイトルの変更は、ダイナミックに適用されます。
デスクトップでは、右クリックのメニューから、iPadでは、拡張キーボードのフィールドリストから使用できます。
レイヤーパネルでAltドラッグで複製
レイヤーパネルで任意のレイヤーを選択した状態で、Alt (Windows)または⌥オプション(Mac/iPad)を押しながらドラッグすると、選択したレイヤーの複製ができるようになりました。複製されたレイヤーは、レイヤースタックのドラッグした位置に挿入されます。
※iPad版でキーボード接続がない場合は、コマンドコントローラのオプションモディファイアを使用する必要があります。
写真切り抜きツールの改善
Affinity Photoのクロップツールに多数の改良が加えられました。
- 選択範囲に合わせて切り抜き:アクティブなピクセル選択範囲がある場合、切り抜きツールは選択範囲に最小サイズでフィットするようになりました。
- ズームレベルを維持:切り抜き後は、(自動的にズームして合わせるのではなく)現在のズームレベルを維持します。
- 同じ比率の切り抜きを簡単に適用:切り抜きツールが最後に設定した内容をグローバルに記憶できるようになったため、より簡単に複数の画像に同じ比率の切り抜きを適用することができるようになりました。
- ハンドルからドラッグするのではなく、境界ボックスの端の好きな場所からドラッグして切り抜きサイズを変更できます。
- 現在の切り抜きをEscでリセット
- 制約なしのモードでは、Shiftを長押しすると、現在の縦横比が制約され、⌘ Command (WindowsではCtrl)を長押しすると、中心を基準にサイズが変更されます。
ペイントブラシ自動初期化機能が追加
ペイント混合ブラシのコンテキストツールバーに新機能が追加されました。必要に応じてストロークごとにブラシの自動初期化が可能になりました。
ブラシパネルの改善
ユーザーからの意見をもとにブラシパネルが改良されました。
- ブラシパネルでは、現在のラスターブラシは青でハイライトされ、ブラシが編集された場合は赤でハイライトされるようになりました。
- 異なるブラシが割り当てられているブラシツール(たとえばペイントブラシと消しゴム間など)を変更した場合、パネルは自動的にスクロールし/カテゴリを切り替え、常に現在のブラシを表示します。これは、オフにすることもできます(パネルのハンバーガーメニューの[自動スクロール])。
- ブラシの一時的プロパティのいずれかを変更した場合、ブラシのプリセットをアップデートするかどうかを選択できます(デスクトップでは右クリックメニュー、iPadでは左スワイプメニュー)。
- Affinity Designerでは、サムネイルビューでベクターブラシを表示することができるようになりました(ブラシパネルのハンバーガーメニュー>[リストとして表示]のチェックを外す)。これは、以前はラスターブラシでのみ使用できるオプションでした。
さらに、デスクトップ版では次のことができるようになりました。
- パネルにブラシの名称を表示できるようになりました(ハンバーガーメニューのオプション)。iPad版では、以前のバージョンですでにブラシ名を表示していました。
- Alt / ⌥オプションを押しながらブラシをドラッグすると、パネルにブラシの複製をすばやく作成できます。
ピクセルペルソナにラスターワープが追加
Affinity Photoのパースペクティブライブフィルターとメッシュワープライブフィルターの両方が、Affinity Designerのピクセルペルソナでも使用できるようになりました。これらのライブフィルターは、デスクトップ版のピクセルペルソナのレイヤーメニューから、iPad版のレイヤーパネルの + ボタンから追加できます(ピクセルペルソナを使用している場合のみ)。
これらのフィルターは完全に非破壊的で、特にデザインに取り込みたい画像や埋め込みドキュメントを歪ませる場合に有効です。
ジオメトリ演算の長押しで複合を作成
メニューからいずれかのジオメトリ演算を長押しして、すばやく複合(非破壊的ブール演算)を作成できるようになりました。
スタイルピッカーツールが全iPadアプリに追加
2.0のデスクトップ版に追加されたスタイルピッカーツールが、今回iPad版でも使えるようになりました。これはカラーピッカーツール内で見つかります。
このツールを使うと、ドキュメント内の任意のオブジェクトやテキストのスタイルを、他のオブジェクトにすばやくコピーできます。
使い方のヒント:
- コンテキストツールバーで、現在のツールにスタイルが読み込まれているかどうかがわかります。ツールをアンロードする場合は、コンテキストツールバーの[削除]ボタンをタップします。
- ピッカーをアンロードすると、ドキュメント内の任意のオブジェクトやテキストから、ピッカーをスタイルと一緒に1回のタップで読み込むことができます。
- または、アンロード時に画面上でドラッグすると、カラーピッカーに似たルーペが表示され、ピックアップしたいスタイルをより正確に選択することができます。
- スタイルを読み込んだら、他のオブジェクトをタップしたり、その周りをマーキーで囲むことで、そのスタイルを他のオブジェクトに適用することができます。
- テキストにスタイルを適用する場合は、シングルタップで1単語にスタイルを適用したり、クリック&ドラッグでスタイルを適用したいテキストの部分をハイライトすることができます。
- 新しいスタイルをすばやくリロードするには、Alt / ⌥オプションのタップで、別のシェイプのスタイルをピッカーにコピーすることができます。
- ツールバーのスタイルピッカーメニューから、デスクトップで利用できる追加オプションにアクセスして、スタイルピッカーがコピーする属性を選択することもできます。
その他
ブレンドモードと不透明度がメインのレイヤーパネルで利用可能に
以前はレイヤーオプション(…)パネルからのみアクセスできた不透明度とブレンドモードオプションが、メインのレイヤーパネルの上部からも利用できるようになりました。不透明度をダブルタップすると値が100%にリセットされ、ブレンドモードをダブルタップすると[通常]にリセットされます。
特殊文字の表示/非表示
Affinity DesignerとAffinity Photoでは特殊文字の表示と非表示が選択可能になりました。これにより、プロジェクト内の段落割れ、スペース、タブ、リターンなどの見えないマークアップを表示できます。
自動選択の切り替えと選択オプション
すべてのAffinityアプリで、オブジェクトのクリックで自動選択する移動ツールの機能を無効にできるようになりました(これは、今までAffinity Photoでのみ利用可能でした)。これは、作業中のオブジェクトとは別のオブジェクトを誤って選択したくない場合に特に便利です。
ブレンドモードのキーボードショートカット
キーボードショートカットが追加されたので、現在のレイヤーのブレンドモードを簡単に変更したり、ペイントブラシツールを使用している場合は、現在のブラシを変更することができるようになりました。
- ガイドの改善
- レイヤーで使える新しい左スワイプのオプション
- マイアドオンに新しい検索バーが追加
- アートボードラベルをダブルクリックして名前を変更
- WebPとJPEG XLの一括書き出し
- [すべて閉じる]がファイルメニューに追加
- Apple Pencilをダブルタップでクイックメニューにアクセス
- 配置ツールがAffinity Photoのツールバーに追加できるように
- iPadOS写真アプリとの統合
- 新しくなったiPadの編集メニュー
- より高度なPDFインポートオプションが利用可能になりました
- [オブジェクトを選択]のモディファイアが使用可能になりました
- メインビューでルーラーが使用できるようになりました
- ナビゲーターからダブルタップで回転をリセット
- ワープグループのサムネイルをタップするとノードツールが選択されるように
- レイヤータイプアイコンを非表示できるように
価格とシステム要件
Affinity 2.1 は次のオペレーティングシステムで利用できます。
macOS
- macOS Ventura 13
- macOS Monterey 12
- macOS Big Sur 11
- macOS Catalina 10.15
Windows
- Windows® 11
- Windows® 2020年5月のアップデート(2004、20H1、ビルド19041)またはそれ以降のアップデート
iPadOS
- iPadOS 15以上
対応製品:
- iPad Pro(全モデル)*
- iPad Air (2、3、4、&5)*
- iPad (2017 以降)
- iPad mini (5 & 6)
より詳しいシステム要件の確認はこちらから( Designer / Photo / Publisher)
個別アプリの価格はサブスクリプションなしの買い切りで、Mac OSとWindows版が10,400円、iPad版は2,700円です。
Affinityスイート全体をmacOS、Windows、iPadOSのすべてのデバイスで利用できる新しいユニバーサルライセンスの価格が24,400円となります。
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