EpicGamesは、12月4日(現地時間)リアルタイムエンジン&エディタの最新アップデートUnreal Engine 4.26 をリリースしました。
このリリースでは、リアルなリアルタイム環境とキャラクタを作りあげる機能がさらに強化されました。他にもバーチャルプロダクションツールセットの進化、高品質なメディア出力サポート、デザインレビューツールの改善なども含まれています。
新機能
リアルなキャラクターとアニメーション
ヘア、ファー、フェザー機能のプロダクション リリース
このリリースでは、髪のレンダリング システムが実際の制作で使用できるようになりました。ミドルレンジからハイエンドのデバイスでパフォーマンスと拡張性が向上し、Unreal Engine でより幅広い機能をサポートするようになっています。
■グルームアセットエディタ(Groom Asset Editor )
プロパティ エディタに代わって新たに搭載されたグルームアセットエディタは、インポートしたグルームを自分のビューポートで視覚的に表示して管理、編集できる機能を完備したエディタです。
グルーム アセット エディタでは、次の操作を実行できます。
- 補間、ストランドの外観や長さ、物理などに関してグルームを微調整する
- インエディタ ツールを使用して、ストランド、カード、メッシュの詳細度 (LOD) を生成して設定する
- 様々な髪の表現のためのマテリアルを管理する
髪のレンダリングとシミュレーション、グルームアセットエディタの詳細については、こちら を参照してください。
シーケンサーノンリニアアニメーション (NLA) ツール (ベータ)
このツールにより、モーションキャプチャデータといったアニメーションクリップをブレンドして、シーケンサー内部で新しいアニメーションを作成することが可能になりました。
他のノンリニアアニメーションエディタでの作業と似たようなワークフローで、スケルトンアニメーションのプレビューを行い、スケルトンが次のスケルトンとどのようにブレンドするかを簡単に確認できます。アニメーターは外部ツールを使用しなくても、シーケンサーでアニメーションを作成することができます。
この機能は通常の FK/IK に加えてフルボディIKソリューション(実験的機能)も追加された Control Rig にも統合されています。
Fullbody IK ノード (実験的機能)
空、雲、環境のライティング
このリリースでは、空、大気、雲の状況を反映した広大なワールドに、時間帯に応じたダイナミックなライティングを実現できるようになりました。さらに、このような環境とライティングのコンポーネントを一か所で作成、編集できる統一ウィンドウも追加されています。
■ボリューメトリック クラウド
大規模な雲のランドスケープや大気フォグのための新しい雲のレンダリング システムが追加されました。このシステムでは、コンソールプラットフォームとデスクトッププラットフォームでスケーラブルで質の高い雲を作成するためのダイナミックなマテリアル主導のワークフローが可能になります。これは、映画やテレビ制作に対応できるシネマティック品質をサポートしています。
マテリアル主導型のワークフローでは、ユーザーが使いやすいボリューム テクスチャを使用したアプローチを提供しています。このアプローチにより、作成した天候エフェクトと組み合わせて、大気中に拡がる波状雲、陰鬱な曇り空の日、サイクロンまで様々な種類やバリエーションの雲を作成することができます。
この雲システムは完全に統合され、空の大気、スカイライト、(太陽と月を表現する) 2 つのディレクショナルライトからの環境照明とのインタラクションをサポートしています。雲システムを使用するには、Volumetric Cloud コンポーネントをシーンにドラッグして、そのコンポーネントにボリューム テクスチャを持つマテリアルを割り当てます。このシステムを使用し始めることができるように、構成済みの雲マテリアルのサンプルが、Engine/EngineSky/VolumetricClouds/m_SimpleVolumetricCloud の「Engine Content」フォルダに用意されています。
■Sky Atmosphere コンポーネントの改善
Sky Atmosphere
コンポーネントは、物理ベースの空と大気をレンダリングするテクニックです。このコンポーネントは柔軟性が高く、日の出と日の入りの時間帯を持つ地球のような大気を作成することも、地球外の変わった特性を持つ大気を作成することもできます。また、適切な惑星の曲率で地上から空、さらに宇宙空間への遷移をシミュレートする空気遠近法も使用できます。
このリリースでは、プロジェクト全体をより使いやすくし、また品質を向上させるため、Sky Atmosphere コンポーネントにいくつかの新機能が追加され、既存の機能が改善されました。
- 空が不透明のメッシュとボリュメトリック クラウドのシャドウを受けることが可能に
- [Cast Shadows on Atmosphere (大気にシャドウをキャスト)] と [Cast Cloud Shadows on a Directional Light (ディレクショナル ライトに雲のシャドウをキャスト)] を有効にすると、大気のシャドウイングをサポートします。
- [Cloud Shadow Strength (雲のシャドウの強さ)] と [Cloud Shadow on Atmosphere Strength (大気に対する雲のシャドウの強さ)] では、シャドウの濃さを制御します。
- ワールドをカバーして妥当なパフォーマンスを実現できるように適切なシャドウマップの解像度とレベルを設定することで、不透明なシャドウの距離、深度バイアス、およびスケーラブルなシャドウ マップの解像度を制御できます。
- また、雲は雲の下の大気の多重散乱をオクルードします。このようなアンビエントオクルージョンは、暗く不気味な嵐を作成するような場合にはで重要になります。
- 大気のトレースに使用されるサンプル数のスライダを使用する際のスケーラビリティを改善
- 不透明のメッシュや雲からのボリュメトリックシャドウを有効にするには、ボリュメトリックシャドウのディテールのすべてを確実にキャプチャできるように、大気をトレースする際により多くのサンプルが必要になります。Sky Atmosphere コンポーネントのサンプリング品質を調整できるようになりました。
- シネマティックスでは、コンソール変数 r.SkyAtmosphere.SampleCountMax を使用してサンプル数の上限を上げ、Sky Atmosphere コンポーネントのプロパティ フィールドにより大きい値を入力することで、さらに高い品質の結果を得ることができます。
Sky Atmosphere の詳細については、こちらを参照してください。
■スカイライトのリアルタイムのキャプチャ
スカイライティングで、大気、雲、高さフォグ、不透明なメッシュ用のシーンのリアルタイム キャプチャをサポートするようになりました。これにより、スカイ ライトの品質が向上し、ブループリント ノードでより迅速に機能するようになります。スカイ ライトの リアルタイム キャプチャ モードでは、CPU リードバックを一切行うことなく、GPU 上ですべての計算を実行するため、シーンをキャプチャする際に生じる可能性のある問題が解消されます。
スカイライトの詳細については、こちらを参照してください。
■環境光ミキサー
新たに搭載された 環境光ミキサー は、1 つのウィンドウに空、雲、ディレクショナル ライト、スカイ ライトのすべての環境ライティング コンポーネントが集約されており、簡単にアクセスして編集することができます。デザイナーおよびアーティストは、このウィンドウからこれらのコンポーネントを作成して編集したり、プロパティ パネルに表示する詳細度を選択したりできます。
シーンで環境光ミキサーを使用するには、メイン メニューの [Window (ウィンドウ)] ドロップダウンで [Environment Light Mixer (環境光ミキサー)] を選択します。
環境光ミキサーの詳細については、こちらを参照してください。
ウォーターレンダリングとメッシュシステム (実験的機能)
新しいウォーター レンダリングとメッシング システムが導入されました。このシステムは、大規模で開かれたワールドをサポートしており、スプラインベースのワークフローを使用して、河川、湖、海を素早く作成できます。
また、ゲームプレイでの物理インタラクションと流体のシミュレーションをサポートするサーフェス メッシュ機能とともに、統一されたシェーディングとレンダリングパイプラインも提供しています。
Water プラグインでは、既存の Landmass プラグインを活用し、Water Body アクタが非破壊の「ランドスケープ編集レイヤー 」機能を使用して、地形のサーフェスとインタラクションできるようにします。
ウォーター システムは、ワールドをビルドする (河川、湖、海をビルドして編集し、ワールドにシームレスに融合させる) ための 2 つの機能コンポーネントと、マテリアルとポスト プロセスを使用してルック&フィールを定義する単一のレンダリングおよびシェーディングのパイプラインとして機能します。
ムービーレンダーキューのワークフローと機能強化 (ベータ)
Unreal Engine 4.25 で追加された ムービーレンダーキューでは累積したアンチエイリアスとモーションブラーを含む高品質なフレームを作成できます。映画やテレビ、動画、マーケティングや、印刷向けの非常に高解像度の画像素材などをレンダリングできます。
このリリースでは、新しいワークフローとエクスポート機能を追加することで、Movie Render Queue (これまでの High-Quality Media Export) 機能が拡張されています。
Matte ID、カメラのモーション ベクター、Zepth などのレンダー パスを出力できるようになり、合成アプリケーションでの編集処理がより簡単になりました。
Apple Pro ResやAvid DNxHRなどの業界標準のコーデックが追加や、ビューポートでのOpenColor IOサポートの追加。さらに、Final cut Pro XML と EDL のサポートも追加され、Unreal と編集ソフトウェア間のポストプロダクションパイプラインワークフローをサポートしています。
共同デザインレビューの効率化
VR/AR/デスクトップでマルチユーザーによる共同デザインレビューを実現する Collab Viewer テンプレートに、ユーザビリティとパフォーマンスに関する大幅な改善が行われ、共同デザインレビューのユーザー体験が向上し、より多くのユーザーがセッションに参加できるようになります。さらに、エンジン内の P2P プロトコルを使った VOIP による参加者間のボイスコミュニケーションのサポートも追加されています。
その他の新機能と改善
Unreal Engine 4.26 には他にも、Chaos(ケイオス) 物理システムやリアルタイムレイトレーシングの改善、GPU Lightmass、新しいバーチャルカメラシステム、強化された DMX サポート、新しい Rhino と Navisworks 向けの Datasmith エクスポータ プラグインなど
多くの新機能があります。
すべての新機能と改善の確認はこちらから(リリースノート)
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