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Unreal Engine 5.7が正式リリース!PCG、Substrateマテリアルが製品版に!Naniteフォリッジ、 AIアシスタントの追加などなど

CGソフト

2025年11月12日(現地時間)- EpicGames は、Unreal Engine 5.7の正式リリースを発表しました。

新機能ハイライト

このバージョンには、広大でリアルなワールドを構築し、ディテールを追加し、それらを現行世代のハードウェアで忠実かつリアルタイムにレンダリングするために必要なツールが搭載。

さらに、ユーザーは高密度で緑豊かな植生やその他のコンテンツを大規模にプロシージャル生成し、複雑なレイヤー化・ブレンドされたマテリアルを物理的に正確に作成し、これまでより桁違いに多くのライトを使用して、自由にでワールドを照らすことが可能になりました。

また、より強力で直感的なアニメーションおよびリギングワークフロー、より深く柔軟なMetaHumanインテグレーション、拡張されたバーチャルプロダクションの可能性を体験できます。さらに、新しいエディタ内AIアシスタントから専門的なガイダンスを得ることもできるようになりました。

Unreal Engine 5.7 機能ハイライト

主な新機能は以下の通りです。

高度なオープン ワールドの作成

PCG が製品版に

プロシージャル コンテンツ生成フレームワーク (PCG) が製品版に移行しました!PCG を使用すると、環境を素早く構築し、自然なバリエーションを取り入れ、より魅力的なゲーム体験を短時間で提供することができます。このリリースでは、ダイナミックで視覚的に充実した、ユニークで大規模なワールドをより簡単かつ効率的に作成できるよう機能が強化されています。

新しく追加された PCG エディタ モードでは、スプラインの描画、ポイントのペイント、ボリュームの作成機能など、PCG フレームワークに基づいて構築されたカスタマイズ可能なツールのライブラリが利用可能です。各ツールは PCG グラフにリンクされており、リアルタイムのパラメータ制御、アセット ワークフローのスタンドアローン実行、プロジェクトのニーズに合わせてライブラリを拡張するための新しいツールを作成する機能を、コードを 1 行も書くことなく利用できます。これは、PCG フレームワークに慣れ、PCG フレームワークのあらゆる機能を理解するのに最適です。

パフォーマンスも最適化され、PCG GPU コンピューティングが大幅に高速化されました。加えて、GPU パラメータ オーバーライドのサポートも追加されました。このサポートにより、GPU ノードで作業する際に異なるパラメータ値を動的に設定できるようになりました。

ゼロからツールを構築したい場合には、新しい Polygon2Dデータ型 と関連オペレータが柔軟性を高め、閉じた領域を定義してサーフェスやスプラインに変換できます。さらに、新しいスプライン交差演算子およびスプライン分割演算子も追加されています。

プロシージャル植生エディタ (PVE)

PCG フレームワークとは、その名前のとおり、PCG 上に構築するためのフレームワークで、新しいプロシージャル植生エディタ(PVE)は、このシステムでどのようなことを実現できるかを示す適切な例です。

スピード、スケーラビリティ、そしてクリエイティブなコントロールを重視して設計された PVE は、Unreal Engine 内で高品質な植生アセットを作成したりカスタマイズしたりできるグラフベースのツールであり、Nanite スケルタル アセンブリを直接出力することもできます。

この最初の実験的機能リリースでは、Fab でコンテンツ ブラウザに直接ダウンロードできる新しい Quixel Megaplants アセットと組み合わせて PVE を使用できます。最初のコレクションには、それぞれサイズや構造の異なる 5 種類の植物が含まれています。ロードマップでは、樹木、低木、草、植物など、数百種類の作成済みの植生レシピへと拡張される予定です。

スケーラブルで高忠実度のレンダリング

Nanite Foliage

今回のリリースでは、パフォーマンス、堅牢性、スケーラビリティを重視して設計された、実験的な新しいジオメトリ レンダリング システム Nanite Foliage が追加されました。Nanite Foliage を使用すると、現世代のハードウェアで効率的にレンダリングされる、高密度で高精細なフォリッジを多用した大規模なオープン ワールドの環境を作成し、アニメートすることができます。

このシステムは、Nanite Voxels を活用しています。Nanite Voxelsは、樹冠や松葉、地面の散らかった様子など、遠くから見ると塊に見える数百万もの細かな要素を、クロスフェードやポップ、LODの作成を必要とせずに、安定したフレームレートで自動的かつ効率的に描画します。

さらに、Nanite Assemblies によってストレージやメモリ、レンダリング負荷を軽減し、Nanite Skinning によって風に揺れるなどの動的な挙動も再現できます。

このシステムでは、PVEからNanite Foliage対応メッシュをレンダリングできるほか、USD経由で外部アプリケーションから樹木をインポートすることも可能です。

Substrate

今回のリリースでは、Unreal Engineの最新マテリアルオーサリング・レンダリングフレームワーク Substrate  も製品版に移行しました。Substrateは、レイヤー化やブレンドされたマテリアルを高品質に扱えるよう設計されています。

Substrateを使うと、金属、クリアコート、皮膚、布など複数のマテリアルの挙動を物理的に正確に組み合わせることができます。これにより、車両のリアルな多層塗装、オイルレザー、皮膚上の血や汗といった複雑な表現も簡単に作成できるようになりました。さらに、カスタムシェーディングの細かなサポートにより、エンジンを改造することなく独自のマテリアルロジックを定義できます。

SubstrateはUnreal Engineのライティングパイプラインに完全に統合されており、あらゆるマテリアルタイプで高品質な結果が得られます。モバイルまでスケールダウンできるよう設計されているため、UE5のすべてのターゲットプラットフォームで一貫したパフォーマンスとビジュアル品質を保証します。

ライティング強化 (MegaLights)

MegaLights は、このリリースで実験的機能からベータ版に移行しました。

MegaLights を使用すると、動的なシャドウをキャストするライトをこれまで以上に多くシーンに追加できるため、エリア ライトなどの複雑な光源からリアルなソフト シャドウなどのエフェクトを生成できます。このスケーラビリティの高いライティング ワークフローにより、さらに思いのままに作業できるようになり、これまで以上に大規模かつ豊かで、複雑なワールドを構築できます。

このリリースでは、ディレクショナル ライト、透過処理、Niagara パーティクルのシャドウ キャスティング、髪の毛のより正確なシェーディングとシャドウイングなどを新たにサポートしたことで、ビジュアルの忠実度も大幅に向上しています。また、パフォーマンスの向上をすぐに実感できるだけでなく、ノイズがさらに軽減され、手動によるライトの最適化の必要性も軽減されています。

MetaHuman との統合の強化

MetaHumanは、Unreal Engineやパイプライン内の他のツールとの統合がさらに進みました。

スクリプティングによる自動化とバッチ処理

今回のリリースでは、Unreal Editor内でPythonやBlueprintスクリプティングを使って、MetaHumanキャラクターアセットのほぼすべての編集やアセンブリ操作を自動化し、バッチ処理できるようになりました。さらに、コンピュートファーム上でオフライン実行することも可能です。

メッシュのポーズ適合機能

メッシュをさまざまなポーズに適合させる機能も追加されました。この機能では、コンフォームテンプレートとモデルメッシュ間でUV空間の頂点対応を利用でき、FBXを介して外部DCCツールとのインポート/エクスポートも行えます。

リアルタイムフェイシャルキャプチャ

アニメーション面では、Live Link Face を使って、iPadやAndroidデバイスに接続した外部カメラからリアルタイムでアニメーションを生成し、パフォーマンスを録画できるようになりました。これにより、よりコンパクトで予算に優しいリアルタイムフェイシャルキャプチャソリューションを利用できます。

ヘアスタイリング機能の強化

ヘアスタイリングにも新しい機能が追加されました。

  • Unreal Engine内でジョイントベースの変形、ペイント、メッシュベースの操作を使ってヘアガイドやストランドを作成・制御できるようになり、シミュレートされた髪の物理挙動と演出されたアニメーションを融合できるようになりました。
  • MetaHuman for Houdini の最新アップデートでは、事前に作成されたデータを活用してヘアスタイルを作成するためのガイド付きワークフローが利用できるようになりました。このツールには、アーティストが開始点として使える調整可能なプリセットヘアスタイルも多数用意されています。

MetaHuman CreatorのLinux/macOS対応

最後に、MetaHuman Creator Unreal Engineプラグイン がLinuxとmacOSの両方でサポートされました。

これにより、これらのプラットフォームのユーザーもUnreal Engineとの統合によるメリットを活用できるようになりました。なお、MetaHuman AnimatorのLinuxおよびmacOS対応は今後のリリースで予定されています。

インエディタのアニメーションツールセットの強化

今回のリリースでは アニメーションモードの追加、選択セット機能、IKリターゲッタの改善、スカルプティング強化、物理コリジョン対応、依存関係ビューの導入 により、アニメーション制作の効率と表現力が大幅に向上しました。

新しいアニメーションモード

Unreal Engine 5.6で大幅に改善されたリギングおよびアニメーションオーサリング機能に続き、今回のリリースではワークフローを効率化し、画面スペースの使い方を最適化する新しいアニメーションモードが追加されました。

ツールをよりスリムなパネルに最小化できるようになったため、ビューポートのスペースをより広く確保できるようになりました。そして、更新されたコンストレイントUXウィンドウは、スペース、コンストレイント、スナッパーを単一のインターフェースに統合し、1つのアイコンからアクセスできます。

選択セット

アニメーターにとって、リグや複数アセットにまたがるコントロールを繰り返し選択する作業は手間がかかります。そこで、選択セット(Selection Sets) を作成できる機能が追加されました。

ワンクリックで複数のコントロールをまとめて選択できるほか、キャラクターの左右を自動的にミラーコピーしたり、集中しやすいようにセットの表示/非表示を切り替えたりすることもできます。さらに、作成したセットはチームメンバー間で共有できます。

IKリターゲッタの改善

IKリターゲッタ にも新機能が追加されました。足と地面の接触がより自然になり、スクワッシュ&ストレッチアニメーションのリターゲティングが可能になりました。

さらに、空間を考慮したリターゲティング操作によってキャラクターの自己衝突を防ぎ、キャラクターのサイズに関わらずプロポーションに基づいた接触点を維持できるようになりました。

スカルプティングワークフローの強化

Unreal Engine 5.7では、業界標準の柔軟なスカルプティングワークフローが実現しました。

スケルタルエディタが更新され、スケルタルメッシュ上でボーンの配置、ウェイトペイント、ブレンドシェイプのスカルプティングをシームレスに切り替えられるようになりました。即時更新により、50〜100個のブレンドシェイプを持つリグも簡単に作成できます。

一方向の物理ワールドコリジョン

新たに 一方向の物理ワールドコリジョン がサポートされました。キャラクターをシーンに配置して環境内のオブジェクトと自然に相互作用させることができ、よりリアルなラグドール挙動やダイナミックなゲームプレイ、没入感のあるアニメーションテストを実現できます。

依存関係ビュー

新しく依存関係ビュー(Dependency View) が追加されました。ノードベースのグラフでコントロールリグやモジュラーコントロールリグ内のデータフローを視覚的に表示できるため、複雑なコントロール設定のデバッグや最適化をこれまで以上に迅速かつ簡単に行えるようになりました。

バーチャルプロダクション ワークフローの強化

Unreal Engine 5.7では、バーチャルプロダクション向けに 小道具用ダイナミックコンストレイントコンポーネント、Live Linkブロードキャストコンポーネント、そして強化された Composure が追加されました。これにより、モーションキャプチャの自然な動作表現、マルチマシン環境での柔軟なワークフロー、実写とCGのリアルタイム合成がさらに効率的かつ高品質に行えるようになりました。

ダイナミックコンストレイントコンポーネント

モーションキャプチャを利用する際に役立つ ダイナミックコンストレイントコンポーネント が追加されました。Mocap Managerに実装例が用意されており、小道具が手の位置に自動的にアタッチされます。ジャグリングのような複雑な動作でもスムーズに補間され、自然な見た目を実現できます。

さらに、Blueprintで関数をオーバーライドすることで、独自のコンストレイントロジックを実装し、カスタマイズした動作を作成できます。

Live Linkブロードキャストコンポーネント

新しい Live Linkブロードキャストコンポーネント により、Unreal Engine自体をネットワーク全体のアニメーションデータのソースとして利用できるようになりました。

これにより、リターゲティング作業を別のエディタセッションにオフロードし、その結果をメインシーンにブロードキャストするなど、マルチマシン環境でのワークフローが可能になります。レベルにアクタを追加してLive Linkの対象にするだけで、トランスフォーム、カメラ、アニメーションをエディタから直接ストリーミングできます。

Composureの強化

Unreal Engineに組み込まれているリアルタイム合成ツール Composure が強化され、より使いやすく、ライブビデオ入力とファイルベースのメディアプレートの両方を処理できるようになりました。

映画やビデオ撮影で24fpsのリアルタイム結果を提供できるほか、新しいシャドウや反射の統合により、実写とCG要素をシームレスに融合できます。さらに、キーヤー機能も改善されました。

AI アシスタント – 簡単ですぐに利用できるヘルプ

このリリースでは、新しいAI アシスタントが追加されています。エディタ内で直接、Unreal Engine に関する役立つガイダンスを提供してくれます。まるで、経験豊富な UE デベロッパーがチームに常駐し、さまざまな詳細レベルでサポートしてくれるように役立ちます。

専用のスライドアウト パネルを使えば、エディタを離れることなく、質問したり、C++ コードを生成したり、ステップバイステップのガイダンスに沿って作業を行ったりすることができるので、目の前のタスクに集中できます。

質問を入力するだけでなく、インターフェース要素にカーソルを合わせて F1 キーを押すだけで、ツールチップのように簡単に AI アシスタントにアクセスでき、そのトピックに関する AI アシスタントとの会話が自動的に開始されます。

また、チュートリアル、ドキュメント、ニュース、フォーラムなどの重要なリソースや、最近作成したプロジェクトにも、新しい Unreal Editor のホーム パネルから直接アクセスできるようになりました。Unreal Engine のまったくの初心者の方は、Unreal Editor 内で直接起動できるインタラクティブな Getting Started サンプルをすぐに利用できます。

その他のアップデート

以上は、Unreal Engine 5.7 の新機能と追加機能のほんの一部です。すべての新機能と追加機能については公式のリリースノートや、以下の記事をご覧ください。

利用について

Unreal Engine 5.7は、Epic Games launcherからダウンロード可能です。

ご利用にあたっては、Unreal Engineエンドユーザーライセンス契約 (EULA) が適用されます。

  • 無料利用のケース:
    • ゲーム開発: ゲームの全世界における総収益の最初の100万米ドルまでは、Epicへのリリース通知を条件にロイヤリティが免除されます。
    • サードパーティへのライセンスアプリケーション: ランタイム時にUEコードを利用し、生涯収益が100万米ドル未満の場合。
    • 個人と企業: 上記以外で、事業の年間総収益が100万米ドル未満のすべての用途。
    • 教育目的・学校での利用。
  • 100万米ドルを超える収益がある場合の価格体系:
    • ロイヤリティベース: ランタイム時にエンジンコードを使用し、サードパーティにライセンスされるゲームまたはアプリケーションの場合、生涯世界総収入が100万米ドルを超える収益に対してのみ5%のロイヤリティが適用されます (期限内のリリース通知が条件)。
    • シートベース: ゲームやアプリケーション開発以外の商用目的でUnreal Engineを使用する場合は、ユーザーごとに年間1シート(年間 280,454円)の購入が必要です。

基本的な利用条件は以上の通りですが、詳細や特定のケースについては、必ず公式のライセンスページをご確認ください。


Unreal Engine 5.7 がついにリリース

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