2025年5月20日(現地時間)- Chaos は、没入型のデザインストーリーテリングと魅力的なプレゼンテーションのために構築された新しいリアルタイム視覚化プラットフォーム、Chaos Envision 1.0の正式リリースを発表しました。
Envisionとは
Chaos Envision(エンビジョン)は、建築家やデザイナーが、特にアニメーションを通じて、視覚的なストーリーを伝えることを支援するために開発されたリアルタイムビジュアライゼーションプラットフォームです。
既存のEnscapeワークフローを拡張し、フォトリアリスティックなレンダリング、リアルタイム3Dアセンブリ、そして高度なアニメーション作成機能を提供します。
Envisionのコアには、リアルタイムで数兆ポリゴンもの処理が可能な高性能レイトレーシングエンジンが搭載されています。ユーザーはパフォーマンスや品質を犠牲にすることなく、非常に詳細な大規模シーンを扱うことができます。これらにより、プロジェクトのエネルギーや本質を、静止画や従来のBIMモデルでは伝えきれなかったレベルで表現し、関係者とのコミュニケーションを円滑にすることを目指しているとのことです。
主な機能
Envisionは、建築家やデザイナーが、社内デザインレビュー、マーケティングプレゼンテーション、または最終的なクライアントへの納品に至るまで、プロジェクトのあらゆる段階で活用できる多彩な機能を提供します。
直感的な操作性と強力なビジュアライゼーション能力を組み合わせることで、専門知識の有無にかかわらず、誰もが魅力的で説得力のあるコンテンツを作成できます。
Envision 1.0 では、建築ビジュアライゼーションの可能性を大きく広げる、以下のような主要な機能を備えています。
1. ハイエンドなビジュアルリアリズム
- 100% レイトレーシング: 物理的に正確な照明、反射、影、グローバルイルミネーションをリアルタイムおよびオフラインレンダリングの両方で実現し、現実と見紛うほどのリアリティを追求します。
- ワンクリック強化: 角丸、ファー、半透明、ストランド(毛髪や草などの細い線状の表現)、ディスプレイスメント(表面の凹凸表現)といった複雑な視覚効果を、ワンクリックで簡単に追加できます。AI によるテクスチャ、照明、明瞭度を使用して、植物や人物を強調することも可能です。
- Cosmos ライブラリ: レンダリングに最適化された高品質な3Dアセット、HDR画像、マテリアルが豊富に用意されており、プロジェクトのディテールアップを迅速に行えます。
2. シネマティックストーリーテリング
- 簡単なアニメーション作成: 映画のようなフライスルー、トラッキングショット、オブジェクトの段階的な表示(フェージング)など、専門的なアニメーション知識がなくても、高品質なアニメーションを迅速かつ容易に作成できます。
- 没入型環境の構築: 霧や光芒などのボリュームエフェクト、風にそよぐ植栽のアニメーション、忠実度の高いアセットを、ダイナミックなカメラワークと組み合わせることで、シーンに深みと雰囲気、そして空間的な文脈を与えます。
- 4D 人間と群衆: Anima エンジンを直接統合することで、アニメーション化された大勢の人間をデザインに登場させることができます。
3. シーンのスケーリング
- 堅牢なアセンブリ機能: Chaos .vrscene形式や業界標準の交換フォーマット(FBX、OBJなど)を介して、複数のソースからのデータを統合。異なる3D作成ツールで作成されたシーン要素を、データ変換の手間や情報の損失なく組み合わせることができます。
- リアルタイムでの高忠実度レンダリング: 複雑なジオメトリ、高解像度テクスチャ、高密度な環境を含む詳細なシーンであっても、リアルタイムの操作性とレイトレーシングによる高品質なビジュアルを維持します。
- クリエイティブな柔軟性: データはオブジェクト単位でインポートされるため、シーン内の個々の要素に対して、事前の分離作業なしに、マテリアル変更、移動、表示/非表示などの調整を自由に行えます。
4. デザインの探求とバリエーション
- 無制限のデザインバリエーション: 照明条件、マテリアル、オブジェクトの配置や形状、表示/非表示設定など、プロジェクトの様々な側面について、必要なだけバリエーションを作成し比較検討できます。
- インタラクティブなウォークスルー: 作成したデザインバリエーション間をスムーズに移行するアニメーションを簡単に作成し、没入感のあるウォークスルーや、クライアントへの「肩越し」のプレゼンテーションを実現します。
- オブジェクトレベルでの詳細な編集: 参照しているシーンデータやライブラリアセット内のオブジェクトに対し、マテリアル、位置、アニメーションの挙動などを個別に、かつ詳細にカスタマイズできます。
5. スムーズなワークフローとコラボレーション
- 主要ツールとの簡単な連携 (.vrscene): Enscape、V-Ray、主要なCADソフトウェアとの連携はもちろん、DCC(デジタルコンテンツ作成)ツールからのインポートも可能です。.vrscene形式を介することで、シーンのジオメトリ、マテリアル、アセット、ライティング設定などを完全に、かつ即座にEnvisionにロードできます。
- クラウドベースのコラボレーション: Chaos Cloudを利用することで、建築ビジュアライゼーションプロジェクトに関するコミュニケーション、ファイルの共有、プレゼンテーションを効率化します。関係者はデザインレビュー中にビジュアルに直接コメントを残したり、インタラクティブなバーチャルツアーを体験したりできます。
- 継続的なデザイン連携: Envisionで作成したビジュアライゼーションは、元のデザインデータと常にリンクしています。設計の変更(ジオメトリ、マテリアル、レイアウトなど)が発生しても、Envision上のデータは自動的に更新され、常に最新の状態を保ちます。
※単体プランでは含まれていない機能もあるかも
次の動画でデモをみることができます。
既存ツールとの違い
Enscapeとの違い
Enscapeは主にデザインプロセスのためのリアルタイムレンダリングプラグインであり、使いやすさとホストアプリケーションとの緊密な連携が強みです。
しかし、ホストアプリケーションが時間軸の概念を持たないため、高度なアニメーション機能の追加は困難です。Envisionは、Enscapeのデータを活用しつつ、より高度なストーリーテリング機能を提供します。
Vantageとの違い
Vantageは、V-RayやCoronaのリアルタイムビューポートであり、主にビジュアライザーが高品質なプレビューを得るためのツールです。Envisionは、より広範なストーリーテリングとアニメーションに焦点を当てています。
今後の展望
Envisionはバージョン1であり、今後もユーザーからのフィードバックを元に、AIなどの新技術も活用しながら、より使いやすく、より多くの人が高度なビジュアルストーリーテリングを行えるように進化していく予定とのことです。
次のアップデートでは、ダイナミックな交通シミュレーション、近接トリガーインタラクション、リアルなアニメーション化された水マテリアル、および自動レンダリングキューといった機能が計画されています。
これらの追加機能により、手動設定がさらに削減され、リアリズムが向上し、複雑なプロジェクトでも最初から最後までスムーズでインタラクティブ、かつ視覚的に一貫性が保たれるようになります。
価格とシステム要件
対応プラットフォームとシステム要件は以下の通りです。
対応プラットフォーム
- Chaos Envision は、Enscape、V-Ray Next、V-Ray 5、V-Ray 6、V-Ray 7 および Corona 12 からエクスポートされた .vrscene ファイルで動作します。
- 究極の体験のためには、Enscape、V-Ray 5 以降、または Corona 12 以降の使用が推奨。
- .vrscene ファイルは、ダウンロード可能な独立したファイルエクスポーターを介して、SketchUp および Rhino から直接エクスポートできます。
- Revit 用の .vrscene エクスポートの無料オプションも利用可能です(ダイレクトエクスポーターは近日公開予定)。
システム要件
- Windows 10 Update 2004 以降(バージョン 10.0.19041)
- DXR 互換の NVIDIA または AMD GPU(最大 2 基)
- NVIDIA GPU の場合 – RTX シリーズ以降、必須ドライバー 515 以降、推奨ドライバー 530 以降
- AMD GPU の場合 – RX 6000 シリーズ以降
- システム RAM は GPU メモリと同等以上である必要があります(最小 8GB RAM)
Envision の価格は64,800/年です。
また、新しく発表されたArchDesign Collectionの一部としても利用可能です。
Envision 1.0 is Here: Real-Time Cinematic Visualization for Architects (Clone)


























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