2023年1月10日(現地時間) – Rick Brewster氏 は、Windows向け画像・写真編集ソフトウェアの最新メジャーアップデート Paint.NET 5 をリリースしました。
Paint.NET とは
Paint.NETは、Windowsが動作するPC向けの画像・写真編集ソフトウェアです。レイヤー、無制限の取り消し、特殊エフェクト、さまざまな便利なツールをサポートし、直感的なユーザーインターフェイスを備えています。活発なオンラインコミュニティでは、親切なヘルプ、チュートリアル、プラグインも提供されています。
このソフトウェアは、Microsoftの指導のもと、大学の卒業制作として開発が始まり、現在はRick Brewster氏によって維持・開発されています。元々はWindowsに付属するMicrosoft Paintの無料代替ソフトとして開発されましたが、現在でパワフルかつシンプルな画像・写真編集ツールに成長しました。
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Paint.NET 5 新機能ハイライト
このメジャーアップデートでは、多くのパフォーマンスの改善、ペンや描画タブレットの筆圧感知などの新機能、GPUレンダリングをサポートする新しいエフェクトプラグインシステムが追加されています。内蔵のエフェクトや調整のほとんどが GPU を使用してレンダリングされるようになり、パフォーマンスと品質が大幅に改善されました。
筆圧感知機能
要望が多かった筆圧感知に対応し、自然で美しい筆跡を描くことができるようになりました。Windowsの「Pointer」入力システム(通称「Windows Ink」)のサポートが条件となっています。Surface PenやWacom、UGEEなどの各種ドローイングタブレットをはじめ、ほとんどのデバイスが対応しています。
パスのスムージング(スタビライゼーション)も実装されており、これは、ツールバーのデフォルトで有効になっています。
また、ツールバーには、新しいスペーシングプロパティが追加されています。デフォルトは15%となっています。次の図はスペーシングの値を200%にして描画したものです。
新しく書き直されたブラシエンジンは、すべてのブラシツールでサポートされています。ペイントブラシ、イレーザー、クローンスタンプ、リカラー。カスタムブラシを含む、より多くのブラシ形状とタイプのサポートは、将来のアップデートで登場する予定です。
GPUサポート
Paint.NETは、v4.0以降、キャンバスを画面に描画する際に、すでにハードウェアアクセラレーションによるレンダリングが使用されており、v4.1ではいくつかのエフェクト(主にブラー)にGPUアクセラレーションが追加されていまうす。そして今回のv5.0では、GPUのサポートが大幅に拡張されました。
レイヤーや履歴ウィンドウ、ルーラー、メインウィンドウ上部の画像リスト、カーブやレベル調整のUIなど、より多くのUIがGPUを使用するようになり、パフォーマンスが向上し、ラップトップでのバッテリー寿命も改善されています。
ほぼすべての調整とエフェクトがGPUを使用するようになり、Sergio Pedri氏(@sergiopedri)の ComputeSharp.D2D1 ライブラリを使って実装されたピクセルシェーダでDirect2Dのイメージングとエフェクトシステムを活用することではるかに高いパフォーマンスを実現することが可能となっています。これらのエフェクトは、完全な32ビット浮動小数点精度(ピクセルあたり128ビット)で実行され、、処理パイプラインを通過する際のレンダリングの品質と色の正確さが大幅に向上しています。
エフェクトプラグインは、レンダリングにGPUを使用できるようになり、WindowsグラフィックスライブラリDirect2D、DirectWrite、Windows Imaging Component(WIC)にフルアクセスできるようになりました。
さらに、選択ピクセルの移動ツールは、バイキュービックサンプリングオプションが選択されたとき、GPUを使用するようにアップグレードされました。このパフォーマンス は非常に優れていることが分かっており、現在ではデフォルトモードとなっています。また、新しい異方性サンプリングモードが追加され、これもGPUを使用します。バイキュービックとアニソトロピックのどちらを使うかは個人の好みですが、前者はよりシャープな結果を、後者はよりスムーズでソフトな結果を生み出します。
GPUサポートの設定は、UIとキャンバスのハードウェアアクセラレーション(有効または無効)と、レンダリング(ツール、調整、効果)に使用するGPUの選択という2つのセクションに分かれています。デフォルトでは、Paint.NETはWindowsが「パフォーマンスGPU」として認識するGPUをレンダリングに使用し、統合GPU(「iGPU」)とディスクリートGPU(「dGPU」)の両方を備えたシステムで最高のパフォーマンスが得られるよう保証します。以前は、Paint.NETはiGPUのみを使用していたため、ハイブリッドグラフィックス搭載のラップトップでは、パフォーマンスが大幅に向上します。UI/キャンバスは常にWindowsが「デフォルト」GPUとして認識するものを使用し、通常iGPUであるのでバッテリー寿命の延長に役立ちます。
埋め込みカラープロファイルを適用
Paint.NETには、Photoshop、Krita、The GIMPのようなカラーマネジメントシステム(CMS)はありません。将来のアップデートでは計画されていますが、今のところ Image -> Apply Embedded Color Profile が、画像を正しく見せるための実用的な解決策となります。
Paint.NETはv4.2以降、EXIF、XMP、IPTC、カラープロファイルなどの画像メタデータの保持に優れた機能を備えていますが、カラープロファイルについてはなにもしません。画像を開いたとき、アプリ内では色がおかしく、アプリ外(ウェブブラウザなど)では違って見えたことがある人は、おそらくこれが原因です。このコマンドは、画像をsRGBカラースペースに変換し、カラープロファイルのメタデータを削除することで、画像を本来の見え方で見ながら編集を行うことができます。
image -> resize の改善
Image -> Resize が更新され、新しいリサンプリングモード Adaptive と Lanczos が追加されました。 また、Bicubic と Bilinear モードが更新され、品質が向上しました。Bilinear (Low Quality)、Nearest Neighbor、Fant 以外は、Clinton Ingram 氏の PhotoSauce.MagicScaler ライブラリによって実現されており、これは非常に高品質で高速です。
新調整機能
このリリースでは、新しい調整機能:露出、ハイライト/シャドウ、温度/色合い(Exposure, Highlights / Shadows, and Temperature / Tint)が追加されました。これらは、これまでプラグインをインストールする必要があった、写真編集の定番機能です。
また、Sepia調整では、Intensityスライダーが改良されました。0でグレースケール、50で従来のPaint.NETと同等、100でより彩度の高い画像になります。
新しいエフェクト
Effects -> Photo サブメニューにある新しいStraighten エフェクトは、画像を回転させたり、自動的にズームして、端に透明部分がないようにキャンバス内に収まるようにすることが簡単にできます。
内蔵のドロップシャドウ効果が、「Effects -> Object」サブメニューで利用可能になりました。新しい Direct2D GPU 画像処理システムにより、非常に簡単に実装でき、パフォーマンスも優れています。
ボケ
Paint.NETに非常に高品質な Bokeh blur エフェクトが追加されました。これは、旧来のUnfocusブラー効果(Bokehの別名)に代わるもので、どちらも画像のピンぼけ部分によって生じるぼかしをシミュレートするものです。
Sergio Pedri氏 @sergiopedri と Mike Pound氏との共同開発で、このバージョンの Bokeh には、ImageSharp などの他の実装で見られるような通常の 6 ではなく、10 までの品質スライダーがあります。これにより、ガンマ補正された画像やエッジのコントラストが高い画像でも、ほとんどすべてのフリンジアーチファクトを除去する非常に高い品質結果が得られます。Gamma Exponent プロパティを増加させるときは、必ず品質を上げるようにしてください。
新しいエフェクトプラグインシステム
エフェクトプラグインを使用するための新しいシステムが追加されました。古いシステムもまだ使えますし、古いプラグインもまだ互換性がありますが、新しいシステムには多くの利点があり、新しいエフェクトプラグインのベースとなります。
最大の新機能は、Direct2Dとそのエフェクトシステム、ピクセルシェーダを使ったハードウェアアクセラレーションによるGPUレンダリングです。
これらの動作を確認したい場合は、いくつかのサンプルプラグインが用意されており、ソースコードもGitHubで公開されています。
その他より詳しい情報の確認はこちらから
価格とシステム要件
Paint.NET 5 は、Windows 11またはWindows 10 (バージョン 1809 以降)で利用することができます。詳しいシステム要件の確認はこちらから
価格は無料でこちらからダウンロードすることができます。
また、Microsoft Storeから1150円で購入することにより開発をサポートすることも可能です。
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