iCity によるBlenderアドオン「iCrowds – Crowd Simulation」の紹介です。
iCrowds とは
「iCrowds」は、都市ジェネレータで知られる iCityによって開発された、建築ビジュアライゼーション、都市計画、映画制作、ゲーム開発など、幅広い分野での使用を想定して設計されたBlender用の群衆シミュレーションシステムです。
主に3Dの人物や背景キャラクターをシーン内に配置することに特化しており、あらゆるシナリオで大規模な群衆を管理するために最適化された、自律的なエージェント(キャラクター)を何千体も生成できます。シームレスに連携する統合システムを通じて、静的な配置機能と動的な動作機能の両方の人物をシーンに追加することができます。
柔軟な動的・静的システムを搭載
あらゆる群衆シミュレーションのニーズに対応するため、「動的システム(Dynamic System)」と「静的システム(Static System)」に大別される、群集システムを搭載しています。動的システムは、自律的な行動を持つ動くエージェントを備えていますが、静的システムは、背景の群衆のためにエージェントを固定された位置に配置します。
City System
City Systemは、都市環境に生命を吹き込む動的システムです。キャラクターは「空腹」「睡眠」「楽しみ」「排泄」といったニーズに応じて自律的に行動し、ニーズが低下すると最も近い関連施設へと経路探索(パスファインディング)を行います。移動速度に応じてアニメーションも変化し、アイドル・歩行・走行の状態が自然に切り替わります。
パスファインディングの精度は調整可能で、値を低く設定すれば大規模なシーンでも高速にシミュレーションできますが、ナビゲーションの精度はやや低下します。内蔵のデバッグツールにより、個々の行動をリアルタイムで監視・微調整できるため、都市の挙動を細かく制御することが可能です。
Fluid System
この動的システムでは、群衆の動きを完全にアーティストが制御できます。エージェントはフローカーブの接線に沿って移動し、Alt+Sキーで半径をスケーリングすることで影響範囲を調整できます。誘引要素(アトラクター)や反発要素(リペラー)を追加することで、特定の位置に人々を引き寄せたり、避けさせたりすることも可能です。
さらに「リラックス反復(Relax Iterations)」の設定により、エージェント同士が重なって通過するのを防ぐことができ、密集したシーンでも自然な動きを保つことができます。(ただし高い値はパフォーマンスに影響します)。
Walkers System
リアルな歩行者交通を作成するのに最適な動的システムです。カーブを描くだけで経路を定義でき、キャラクターは歩道、廊下、行列などで自然に両方向に沿って移動します。双方向の流れを作るには、方向パラメータを0.5以上に設定することで、一部のレーンが反対方向に進むようになります。
エージェントの処理方法には「リスポーンモード」と「削除モード」があり、リスポーンではスタート地点に戻って再利用され、削除モードでは終点に到達した時点でエージェントが消去されます。これにより、交通の流れや人の循環を柔軟に設計できます。
Stadium System
柔軟な配布方法で会場を埋めることができる静的システムです。セクションごとの確率設定や高度なウェイトペインティングツールで群衆の密度を制御し、完売したコンサートからまばらな午後の試合まで、あらゆる状況をシミュレート可能です。
エージェントの配置には目的に応じて複数の配布タイプを使い分けることができます。たとえば、観覧席のような面に沿った配置には「On Face」、あらかじめ設置された座席オブジェクトには「On Instance」、整理されたセクションには「On Collection」、そして正確な座席位置を指定したい場合には「On Vertex」が最適です。また、フェイス属性やインスタンス属性を活用することで、セクションごとに異なるエージェントタイプを割り当てることも可能です。
Scatter Systems
3つの配置方法(Scatter)で、キャラクターを配置することができる静的システムです。自然な屋外の集まりのための「On Ground(地面上)」、整理された列や行列のための「On Curve(カーブ上)」、そして正確なフォーメーションやグリッドのための「On Vertex(頂点上)」でニーズに合った配置が可能です。
さらに、エージェント同士が重ならないようにするために、パーソナルスペースの設定と「リラックス反復(Relax Iterations)」の値を調整することで対応できます。密集度が高いシーンでは、これにより自然な間隔を保った配置が可能になります。ただし、値を上げすぎるとパフォーマンスに影響するため、シーン規模に応じた調整が推奨されます。
また、エージェントが地面から浮いたり沈んだりする場合は、「上方向(Up Direction)」パラメータを調整し、地形との整合性を確認することで、自然な接地表現を実現できます。
カスタマイズ可能なキャラクター
Crowdsは、多様な群衆を構築するために、10種類の詳細な男性・女性モデル(それぞれハイポリ版とローポリ版あり)が含まれています。
プロフェッショナルなスーツ、カジュアルウェア、帽子、メガネ、さまざまな衣服の組み合わせなど、広範なカスタマイズが可能で、本物のような多様性を持つユニークな個人を作成できます。
あらゆる業界をサポート
建築 & 3Dビジュアライゼーション
- 建築レンダリングに即座に人々を配置
- 建物の収容能力と流れをテスト
- リアルな環境コンテキストの作成
ゲーム開発
- オープンワールドの背景群衆
- 日常ルーチンを持つNPC集団
- イベントや群衆シーン
映画 & アニメーション
- アニメーションする背景キャラクター
- 手作業なしでの大規模な群衆シーン
- プリビジュアライゼーションと絵コンテ
都市計画
- 公共スペースのデザインテスト
- 歩行者の流れの分析
- 収容能力のシミュレーション
よくある質問 (FAQ)
技術的な質問
Q: 多数のエージェントでパフォーマンスを向上させるにはどうすればよいですか?
A: パスファインディングの詳細度を下げ、リラックス反復を減らし、よりシンプルなエージェントメッシュを使用し、最大エージェント数を制限します。
Q: エージェントが動かないのはなぜですか?
A: 活動が正しく割り当てられているか、コライダーが設定されているか、速度のしきい値が正しいかを確認してください。
Q: カスタムエージェントを作成するにはどうすればよいですか?
A: アーマチュア付きのアニメートされたメッシュを準備し、任意のシステムのカスタムエージェントパネルから追加します。
Q: シードパラメータは何をしますか?
A: 再現可能なランダムパターンを保証します。同じシード = 毎回同じエージェント分布。
Q: エージェントを異なる方向に向かせるにはどうすればよいですか?
A: ランダム回転モード、またはランダム化を伴うAt Objectモードを使用して、自然なバリエーションを追加します。
トラブルシューティング
Q: エージェントが互いを通り抜けてしまいます。
A: リラックス反復とパーソナルスペースの設定値を増やしてください。
Q: 群衆が均一で人工的に見えます。
A: 回転のランダム化、スケールのバリエーション、位置のバリエーションを追加してください。
Q: シミュレーションの実行が速すぎる/遅すぎます。
A: 衝突オブジェクトを確認し、活動場所にアクセス可能であることを確認し、パスファインディングの詳細度を上げてください。
価格とシステム要件
iCrowds は、Blender4.5以降で利用できます。
価格は19ドルです。
























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