DaVinci Resolve 20.2の新機能の紹介です。
新機能ハイライト
主な強化点として、編集者のワークフローを簡素化・高速化するタイムラインコントロールの大幅な改善、よりシネマティックな映像表現を可能にする新しいエフェクト、そしてイマーシブ(没入型)ワークフローへの対応強化などが含まれています。
次の動画で新機能を確認できます。
動画内で紹介されている新機能は以下の通りです。
タイムラインコントロールの改善
編集ページのタイムラインパネルでは、トラックのパッチ設定UIが新しくなり、青色の「ソーストラックセレクター」(ソースクリップのトラック)と赤色の「デスティネーションセレクター」(タイムラインのトラック)の2列に分割されました。これにより、ソースメディアをタイムラインのどのトラックに配置するかを、より直感的に割り当てることができます。
リップルトリミング機能の再設計
リップルトリミング機能も再設計され、タイムライン上のクリップが意図せず上書きされるのを防ぎ、編集操作中の同期がより良く維持されるようになりました。
同じトリム位置にあるクリップは選択不要で一括してリップルされ、長いクリップは同期を維持するために自動でカットされます。
トラックヘッダーの同期ロックアイコンは、他のトラックでのリップル(波及)編集の影響を受けるかどうかを決定します。これにより、タイトルやナレーションといった特定のトラックの内容と同期を保護できます。
一方、選択、コピー、ペーストなどの操作は赤色のデスティネーションセレクターで制御されるため、リップル編集を無効にしたまま、オートセレクト機能は有効に保つことが可能になりました。
ダイナミックトリムモードの強化
ダイナミックトリムモード使用時、ビューアにデュアルスクリーンのトリムエディタが自動的に表示されるようになり、シーンのアクションに合わせて直感的にカットを調整できるようになりました。
この動作はユーザー設定で無効にすることも可能です。
タイムライン上での同期済みオーディオの分離
外部で録音され、カメラ映像と同期されたオーディオを、タイムライン上でビデオから分離できるようになりました。
これにより、オーディオのソースパスが元のオーディオファイルに戻るため、音響編集への引き渡し(サウンドターンオーバー)がスムーズになります。クリップはタイムライン上でビデオとの同期とリンクを維持します。
無音部分のリップル削除
カットページと編集ページに、選択したクリップの無音部分を検出し、ギャップをリップル削除するオプションが追加されました。
音声録音から不要な間を削除したり、ナレーションの仮編集を素早く組み立てたりするのに役立ちます。
カーブエディタの機能強化
タイムライントレイのカーブエディタに、キーフレームやカーブの作成、修正を行うためのアクションツールバーが追加されました。
複数のキーフレームを扱う際のイージング動作の改善や、クリップの編集点を超えてキーフレームを表示する機能なども強化されています。
マルチテキストツールの改善
マルチテキストツールが大幅に改善され、文字単位および段落単位でのスタイリングに対応したほか、CSVファイルをインポートして、列ごとに整列したテキストボックスとして扱うことも可能になりました。
ルーラーガイド機能
カットページと編集ページのビューアに、タイトルやグラフィックの配置を補助するルーラーガイド機能が搭載されました。
ガイドの位置や色を調整でき、アンカーポイントはガイドに自動でスナップします。この機能はFusionページでも利用可能です。
Fusionページの機能強化
FusionページのRenderer 3Dツールが、マルチレイヤー出力に対応しました。これにより、最終的な合成に至るまでの各ライティングパスにアクセスし、モニタリングや微調整を行うことが可能になります。
カラーページの新エフェクト
AIによる深度マップ(V2)を利用し、被写体との距離に応じて霧や煙のような効果をシーンに追加するエフェクト「AI Cinematic Haze」が追加されました。
深度に応じた可変密度、大気散乱、風による揺らぎなどをシミュレートし、奥行きのある自然な雰囲気を作り出します。
他にも、カラートーンディフューザーとスプリットトーンが利用可能になっているようです。
- カラートーンディフューザー: プロの写真家が使用するガラス製ディフュージョンフィルターの独特な質感を再現します。
- スプリットトーン: 画像のハイライトとシャドウにそれぞれ対照的な色相を適用し、シネマティックなルックを作り出すことができます。
クリップ番号によるナビゲーション
カラーページで、クリップ番号を指定して特定のクリップにジャンプできるようになりました。
この機能は、タイムラインのクリップフィルターが有効な場合でも動作します。
イマーシブワークフローのアップデート
Apple Vision Proの空間ビデオワークフローへの対応がさらに強化され、イマーシブEXRワークフローへのサポートが拡張されました。
これにより、メタデータを保持したまま、プロキシ作成やVFXの引き渡しが可能になります。
また、ステレオスコピック3Dを完全なサイドバイサイド形式またはトップボトム形式でレンダリング可能になるなどの改善が行われています。
その他
- 再生ヘッドの操作性向上:ディア、カット、編集、Fairlightの各ページで、キーボードの「C」キーを押すことで再生ヘッドをマウスカーソル位置に即座にスナップできるようになりました。「C」キーを押しながらドラッグすると、再生ヘッドをスキミングできます。
- オーディオバスオートメーションの維持: Fairlightページで行ったオーディオバスのオートメーションが、カットページや編集ページでのリップル削除などの編集操作後も維持されるようになり、オーディオオートメーションとビデオ編集との同期が保たれます。
- 新たなフォーマット対応: Samsung APVクリップのエンコード、ソニーの静止画フォーマットであるARWのデコードに対応しました。
- カスタムメタデータフィールド: メタデータパネルにカスタムフィールドを追加できるようになりました。テキスト入力、テキストエリア、数値、タイムコード、チェックボックスといったデータタイプを自由に定義できます。
- 日付・時刻のデータ焼き込み: カスタムのデータ焼き込み(バーンイン)や、レンダリングするファイル名に、現在の日付と時刻を含めることが可能になりました。
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URSA Cine Immersiveワークフロー
- FusionページからVision Proへのストリーミング機能。
- PanoMapにおけるイマーシブオプションに対応。
- イマーシブワールドのポーズ回転および反転をサポート。
- ステレオスコピック3Dを完全なサイドバイサイド形式またはトップボトム形式でレンダリング可能に。
- ステレオスコピック3Dワークフローのためのノードスタックをサポート。
- イマーシブEXRワークフローに対応。
カットページ
- インターレースタイムラインにおけるリプレイのスティンガートランジション処理を改善。
- リプレイエディターとATEMスイッチャーからのフィードバックによるリプレイのキューイングを改善。
エディットページ
- シンクロックコントロールが、自動選択とは独立してリップル編集に作用するよう変更。
- リップルトリミング機能が改善され、編集操作時の同期が維持されるように。
- ダイナミックトリミング時にトリムエディターが自動的に表示されるように。
- トリムエディター用にシングルビューアモードへ切り替えるユーザー設定を追加。
- ソーストラックとデスティネーショントラックのパッチングUIを改善。
- タイムラインのオーディオメニューに、同期されたオーディオをビデオから分離するアクションを追加。
- カスタムメタデータフィールドの追加と入力に対応。
- 速度変更が適用されたマルチカムクリップのフラット化をサポート。
- ソースタイムラインビューアでのオーディオトラックのソロ機能に対応。
- ソーストラックのデスティネーションをデフォルト状態にリセットするアクションを追加。
カット&エディットページ共通
- 選択したキーフレームを上下左右に移動させるメニューアクションを追加。
- タイムラインのカーブおよびキーフレームエディターにアクションツールバーを搭載。
- キーフレームエディターのヘッダーをShift+クリックすることで、複数のパラメーターを同時に切り替え可能に。
- キーフレームエディターのヘッダーをAlt+クリックすることで、特定のパラメーターのみを排他的に切り替え可能に。
- ガイドに個別の色設定とロック状態を追加。
- ガイドの追加・編集時に、ピクセル単位とパーセンテージ単位を切り替え可能に。
- Fusion、トランスフォーム、エフェクトのオーバーレイ操作が、ガイドよりも優先されるように。
- ボイスオーバーのカウントダウンでビープ音を鳴らすことが可能に。
- 編集時にオーディオバスのオートメーションが保持されるように。
- 選択したクリップの無音部分をリップル削除するオプションを追加。
- macOSでの文字起こし速度が最大75%高速化。
- macOSでの音声変換分析が最大2倍に高速化。
Fusionページ
- Fusionビューア内でのカスタムガイド編集に対応。
- MultiTextのアライメントおよびトランスフォームコントロールを改善。
- USDツールでアニメーション付きの画像入力に対応。
- 3Dレンダラーがマルチレイヤーをサポート。
- USDレンダラーがマルチレイヤーのAOVチャンネルをサポート。
- サーフェストラッカーのパフォーマンスが最大2倍に向上。
カラーページ
- AIベースの新しいResolve FX「Cinematic Haze」を追加。
- Resolve FXのライトエフェクトが、アルファソースからのグローに対応。
- クリップ番号を使用してクリップ間を移動するメニューアクションを追加。
- 複数選択したクリップのノードカラーを一度にリセットする機能を追加。
- Advanced Color Panelのサイドパネルの状態が、再起動後も維持されるように。
- RCMおよびCSTが、HLGとPQの変換にITU BT.2408を使用するように。(旧:BT.2048から修正)
- Resolve FXのサーフェストラッカーのパフォーマンスが最大2倍に向上。
Fairlightページ
- プロジェクト設定に、クリップ編集間のソフトフェード(1.5msのクロスフェード)を無効にするオプションを追加。
- プロジェクト設定に、再生開始時のランプアップタイム(最大100ms)を設定するオプションを追加。
コーデック&I/O
- Samsung APVクリップのエンコードに対応。
- Sony ARW画像のデコードに対応。
- 単一フレームのwebpおよびgifクリップが、静止画としてインポートされるように。
全般的な改善
全般的なパフォーマンスと安定性の向上。
Cキーを押しながらドラッグすることで、ビューア上で再生ヘッドをスキミング再生する機能を追加。
エクスポートされたDRTタイムラインに、リンクされたFusionコンプのメディアが含まれるように。
データ焼き込みとレンダリングで、現在の日時タグを使用可能に。
スクリプトAPIが、レンダージョブへの字幕追加をサポート。
スクリプトAPIが、タイムラインとメディアプールのクリップ名設定をサポート。
注意:DaVinci Resolve 20.2では、プロジェクトライブラリがDaVinci Resolve 19.1.4と互換性を保つよう配慮されているので、19.1.4でプロジェクトライブラリにアクセスすることは可能ですが、20.2で作成または一度でも開いた個別のプロジェクトは、19.1.4ではアクセスできなくなります。そのため、20.2でプロジェクトを開く前には、プロジェクトライブラリ全体のバックアップと、個別のプロジェクトのバックアップを必ず取得することが強く推奨されています。
価格とシステム要件
DaVinci Resolve 20は、macOS、Windows、Linuxで利用できます。
価格は、DaVinci Resolveは無料、DaVinci Resolve Studio と Fusion studio はともに48,980円(295ドル)となっています。
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