Momo from moportfolio氏による無料のBlenderコンポジター向けのプリセットパック「MP_Comp」の紹介です。
MP_Compとは?
MP_Compは、Blenderのネイティブノードを巧みに組み合わせて作られた、40種類以上のユニークなエフェクトを集めたコレクションです。
さまざまな既成エフェクトを提供することで Blender コンポジターの機能を示す Blender 用のアセットライブラリカタログとして作成されています。これらのプリセットは直感的なドラッグ&ドロップワークフローで利用できるので素早く追加でき、学んだり、さらに拡張していくことも可能です。
Blender 4.5ではコンポジターが大幅にアップデートされ、ほとんどのノードにインプットソケットが追加されたり、新しいノードやプロシージャルテクスチャへのアクセスが可能になったりしました。MP_Compはこれらの新機能を最大限に活用しているとのことです。GPUを活用したリアルタイムコンポジットにより、エフェクトの結果を待つことなく、即座に確認しながら作業を進められます。
40種類以上の多彩なエフェクト群
MP_Compには、制作者のこだわりが詰まった多種多様なエフェクトが、機能ごとに分かりやすく分類されて収録されています。
調整 (Adjust)
映像のルックを仕上げるための基本的なツール群です。
- MP_Develop: RAW現像ソフトのような包括的なカラーコレクションツール。
- MP_Halation: フィルム上で光がにじむ「ハレーション」を再現し、暖かみのある表現を加えます。
- MP_Vibrance: 彩度が低い部分にのみ作用し、自然に映像を鮮やかにします。
- その他: ティルトシフトレンズのボケを再現する
MP_TiltShift、フィルムグレインを追加するMP_FilmGrain、プロシージャルなビネットを作成するMP_Vignetteなど。
複雑なフィルター (Complex Filters)
特定のメディアの質感を再現する、高度なエフェクトです。
- MP_VHS (reworked): VHSテープの視覚特性を忠実にエミュレート。信号の変調、テープノイズ、色ずれなどを細かく調整でき、非常に柔軟なルックを作成可能です。
- MP_NTSC: アナログビデオのNTSC規格信号を再現します。
- MP_TV: 古いテレビ画面のような効果を手軽に得られます。
歪み (Distort)
映像に動きやインパクトを与える歪み系エフェクトが豊富に揃っています。
- MP_Glitch: アニメーション可能なグリッチエフェクトを生成します。
- MP_Shake: 強力なカメラシェイク効果を追加します。
- MP_RGBSlide (reworked): After EffectsのTwitchプラグインのような、色ずれを伴うスライドエフェクトです。
- その他: 渦巻き状の歪みを作る
MP_Twirl、レンズのような球面歪みを加えるMP_SphereDisplace、色収差を模倣するMP_RGBsplitなど。
ジェネレーター (Generators)
何もないところから光や模様などを生成するエフェクトです。
- MP_LensFlare (reworked): リアルタイム合成に適した、新しくなったレンズフレア。複数のマスクとテクスチャを組み合わせることで、パフォーマンスを大幅に向上させつつ、非常に高いカスタマイズ性を実現しています。
- MP_Overlay: レンズのホコリや汚れをプロシージャルに生成します。
- MP_FlowTexture: 様々な光の効果やプロシージャルな背景を作成できる、柔軟性の高いテクスチャジェネレーターです。
- その他: 映画のような黒帯を追加する
MP_BorderBars、虹を簡単に作るMP_Rainbowなど。
スタイライズ (Stylize)
映像を特定のスタイルに加工するユニークなエフェクト群です。
- MP_Comic: 色を単純化し、輪郭線を加えることでコミック風のルックを作り出します。
- MP_Outline: レンダリング結果にアウトラインを追加します。
- MP_Modulation: アナログ信号の変調を視覚的にエミュレートし、波形が映像上を走るような独特のスタイルを生み出します。
- その他: ゲームボーイ風の画面にする
MP_GameKid、ドロップシャドウを追加するMP_DropShadowなど。
おすすめのワークフローとヒント
レンダリングと合成を分離する
一般的に、3Dシーンのレンダリングはコンポジット作業よりもはるかに時間がかかります。最終結果を確認した後、コンポジットだけを修正したい場合に、3Dシーン全体を再レンダリングするのは非効率です。これを避けるために、生のレンダリング結果とコンポジット結果を分離するいくつかの方法があります。
- ファイル出力ノードを使う: コンポジターで「ファイル出力」ノードを「レンダーレイヤー」ノードに接続します。これにより、コンポジット済みの結果と生のレンダリング結果の両方を、指定したディレクトリに出力できます。
- マルチレイヤーOpenEXRを使う: レンダリングをマルチレイヤーOpenEXRファイルとして書き出します。これにより、生のレンダーパスとコンポジット済みのパスが、ファイル内の別々のレイヤーとして保存されます。
- (推奨)コンポジットを無効にしてレンダリングする: 3Dシーンをレンダリングする際にコンポジットのノードツリーを一時的に無効にします。その後、レンダリングされた生の画像を(シーケンスとして)コンポジターに読み込み、それを入力としてエフェクトを適用します。
3番目の方法が最も推奨されます。 ファイル形式に制限がなく、操作も簡単です。また、Blenderがビューポートを再レンダリングする代わりにファイルを読み込むだけになるため、リアルタイムコンポジットのパフォーマンスも向上します。
リアルタイムプレビューを高速化する
Blenderのコンポジターはキャッシュ機能に制限がありますが、便利なアドオンが存在します。作者がおススメしているBlender Compositor Disc Cacheアドオンを使えば、コンポジット設定のディスクキャッシュを作成し、Blender内でリアルタイムに再生できるようになります。
利用について
MP_Compは、、「Pay-what-you-want(支払いたい額を支払う)」方式で提供されています。
無料で入手することも可能ですが、もし余裕があれば、少額でも支援することが作者の今後の創作活動の大きな助けとなります。

























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