Blender用プロシージャル都市ジェネレータ『ICity』の紹介です。
ICityとは
『ICity』は、Blender内で仮想都市を作成するための都市生成アドオンで、詳細な街並みを作成することができます。プロシージャル生成と膨大なアセットライブラリにより素早く都市を作成することが可能です。
道路、高層ビル、公園、車両、そして背景環境の構築に最適化されおり、車両シミュレーション、リアルタイムでの都市アニメーション、建築デザインなど、多岐にわたる用途で、よりスマートかつ迅速に、リアルな都市景観を制作できます。
システムの仕組み
このアドオンは、システムとアセットの2つの主要部分から構成されており、システムは都市の基本的なフレームワークとして機能し、アセットは都市内の建物やインフラストラクチャを構築し、装飾するために使用されます。
アドオンの使用を開始するか、”Start “ボタンを押すと、アドオンのシステムが読み込まれ、アセットを受け取る準備が整います。システムには、都市の基本構造を形成する基本アセット一式がロードされ、他のアセットを追加することができるようになります。以下の動画では、使用方法を見ることができます。
主な機能
簡単な都市形成
ICityは、都市のレイアウトを作成するのにエッジと面を使用し、プロシージャルシステムにより瞬時に詳細な建物や通りに変換します。
プロシージャルビルディング
ICity のプロシージャルビルディング機能は、ブロックベースの機能を活用して、反復するたびにユニークな結果をダイナミックに生成します。
これにより、繰り返しのコピーペーストは必要なくなり、毎回さまざまな街並みを作り出すことができます。
また、このシステムは20種類以上の建物のバリエーションと、アセット、不完全性、小道具の広範なライブラリにより、リアリズムを向上させるユニークな特徴を持つ建物を生成することが可能です。
多様なブロックタイプ
Icityには、高層ビル、アパート、裁判所などの厳選されたビルディングプリセットが用意されています。
そのまま使用しても、それらをさらにカスタマイズして自分のビジョンを反映したユニークな街並みを作成することも可能です。
プロシージャル道路
ICity のプロシージャル道路機能では、車線の幅、路面標示、高さ、カーブの形状などを精密にコントロールし、アセット(ライトやベンチ、植物など)を追加して思い通りの道路を簡単に作ることができます。
さらに、複雑な複数車線の高速道路、そして橋に至るまで、インフラを自由自在に設計できます。
リアルなディテールを追加
デジタルで完璧を目指すなら不完全性が必要となります。
Icityの不完全性(imperfection)システムは、ひび割れや色あせたペンキだけではなく、ゴミ、葉っぱ、水たまりを散らしたり、排水を追加するなどさまざまなディテールを使って生活感のある雰囲気を演出できます。
高品質なマテリアル、ライティング設定、そしてエフェクトがあらかじめ含まれているため、導入後すぐに最終的なレンダリングに取り掛かることができます。
ユニークなアセットバリエーション
ユニークなバリエーションとカスタマイズ可能なアセットが豊富に用意されています。簡単なカスタマイズオプションで、独自のスタイルや好みに合わせて、完璧な街並みを作り上げることができます。
V1では、300以上のアセット、60の道路アセット、12のビルディングプリセット、20以上のプロシージャルビルディングが含まれています。
ゲームエンジンへのシームレスなエクスポート
制作した都市は、完全なインスタンス化をサポートした最適化済みのGLTFファイルとして、シームレスにエクスポート可能です。
Unreal EngineやUnityといった主要なリアルタイムエンジンとの高い互換性を持ち、高パフォーマンスな環境構築やクロスプラットフォームでの開発パイプラインに理想的なワークフローを実現しています。
変更履歴
バージョン1.6.0
バージョン1.6.0では、アップグレードされた建物、強化されたプロップ、よりリアルなマテリアルによって完全にリマスターされたクラシックテーマが追加されました。
また、ビジュアル面の強化だけでなく、都市を自由にコントロールするための強力なカスタマイズ機能や新しいアセットも導入されています。
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- 新しいテーマ
- 都市生成のための、新しい全体的なテーマが追加されました。
- グリッドとブロックのアップデート
- グリッドビルディングが更新され、より良いレイアウトのための機能強化が図られました。
- ブロックシステムに新しい建物タイプが導入されました。
- 新しいアセット
- 新しいリアルな樹木がライブラリに追加され、すべてのブロックに適用されました。
- より詳細な環境を表現するため、新しい道路プロップと歩道プロップが導入されました。
- パフォーマンス
- ライトモードの動作がより高速になり、シーンの応答性が向上しています。
- カスタマイズコントロール
- グリッドビルディング用に新しいスライダーが追加され、タイプごとのカスタマイズが可能になりました。
- 植生の密度を微調整するため、グリッドビルディングの樹木出現確率を調整するスライダーが追加されました。
- バグ修正
- 全般的なバグ修正と安定性の向上が行われ、よりスムーズなワークフローを実現します。
バージョン 1.5.0
バージョン1.5.0では、機能性と効率性が大幅に向上しました。特に注目すべきは、作業中のファイルを妨げることなくバックグラウンドで処理が可能な新しいエクスポートシステムです。これにより、GLB/GLTF、FBX、USDといった複数の形式で、同時に複数のエクスポートを行えるようになりました。
また、道路システムも強化され、一般道を高速道路に変換する機能や、カスタマイズ可能な交差点プリセットが追加されています。さらに、公園や緑地の詳細な設定、地形を直接編集できる新ツールも導入され、よりパワフルな都市制作体験を提供します。
次の動画では1.5を使用してGooglemapから都市を作成する手順が紹介されています。
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- 新しいエクスポートシステム
- エクスポート処理が、アクティブな.blendファイルから独立し、バックグラウンドで実行される仕様に変更されました。
- リアルタイムのステータス追跡に対応し、複数のエクスポートを同時に実行可能になりました。
- 対応するエクスポート形式が追加されました:
- GLB/GLTF(オプションでテクスチャフォルダを分離)
- FBX(オプションでテクスチャフォルダを分離)
- USD(テクスチャスケール調整付き)
- 新しいオプションが利用可能です:
- エクスポート前にインスタンスをメッシュに変換するオプション
- 共有メッシュデータに基づいてメッシュを結合するオプション
- 道路システムの強化
- 道路を高速道路に変換する機能が実装されました。
- カスタマイズ可能な設定を持つ高速道路用の交差点プリセットが導入されました。
- 道路のカスタマイズ性が拡張されました:
- 道路の属性とテクスチャの制御
- カスタムの車線マーキングと塗装パターン
- 新しいカスタムアイランドオブジェクトが追加されました:
- 道路との複雑な統合をサポート
- 高速道路の構成と完全に互換
- ブロックのカスタマイズ(公園&緑地)
- 公園ブロックと緑地ブロックに高度な設定が追加されました。
- レイアウト、密度、視覚的な多様性の制御が強化されました。
- 地形システム
- iCity環境内で地形を生成・変更するための新ツールが実装されました。
- その他の改善
- UVマッピングとテクスチャ解像度の処理が改善されました。
- アドオン全体でパフォーマンスと安定性が向上しました。
- アップグレードシステム
- アドオンが後方互換性を持つようになりました。
バージョン 1.4
このバージョンでは、クリエイティブの選択肢を広げるためのアセットが拡充されました。具体的には、3種類の新しいタワーと、駐車場および緑地として利用できる2つの新しいブロックタイプが追加されています。
また、都市中心部の建物間の距離を調整する機能や、屋根の形状に関する設定がカスタマイズ可能になり、都市の景観をより細かくコントロールできるようになりました。
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- 新機能
- 3種類の新しいタワータイプが追加されました。
- 「駐車場ブロック」と「緑地ブロック」という2つの新しいブロックタイプが導入されました。
- 改善
- ダウンタウンの建物の間隔を制御できるようになり、レイアウトの柔軟性が向上しました。
- ダウンタウンの屋根の出現確率が完全にカスタマイズ可能になりました。
- 追加アセット
- 都市建設の選択肢を広げる新しいタワーアセットが追加されました。
- バグ修正
- 安定性に関する様々な改善と、全般的なバグ修正が行われました。
バージョン 1.3.1
バージョン1.3.1は、将来の拡張性を見据えた大規模な基盤アップデートでした。パフォーマンス向上のためにシステム全体が再設計され、アセットライブラリもよりリアルで約50%軽量化されたモデルに刷新されました。
機能面では、メートルやフィートなどの測定単位を選択できる機能や、大規模シーンでのパフォーマンスを改善するカリングシステムが導入されました。
さらに、GLTFエクスポート機能がアップグレードされ、UnityやUnreal Engineといった外部エンジンとの互換性が向上。このアップデートにより、旧バージョンと比較して最大で1200%ものパフォーマンス向上が達成されました。
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- システムアップグレード
- パフォーマンス向上と将来的な拡張性確保のため、システムが全面的に再設計されました。
- アセットライブラリが再構築され、よりリアルなモデルでありながら約50%の軽量化を実現する最適化が施されました。
- 新機能
- アドオン設定に、メートルやフィートなどに対応した測定単位セレクターが追加されました。
- 大規模シーンで詳細な要素を管理し、パフォーマンスを向上させるための新しいカリングシステムが導入されました。
- GLTFエクスポートシステムがアップグレードされ、ジオメトリノードインスタンスの完全なサポートと、外部エンジン(例:Unity、Unreal)との互換性が確保されました。
- より現実的で効率的な初期設定のため、デフォルト値が更新されました。
- 修正と最適化
- ライティングの挙動が改良され、昼モードでの意図しない発光が除去され、夜モードの明瞭さが改善されました。
- ファイルサイズが大きすぎることによるテクスチャ関連のエラーが解決されました。
- 全般的なパフォーマンスの向上と、ユーザーエクスペリエンスの改善が行われました。
- 1.2.xユーザーへの重要なお知らせ
- バージョン1.2.xからのアップグレードにより、以下のような大幅なパフォーマンス向上が見られます:
- 最大1200%の全体的なパフォーマンス向上。
- 道路と歩道の生成速度が500%〜900%向上。
- 柔軟性とエクスポートの安定性が向上。
- バージョン1.2.xからのアップグレードにより、以下のような大幅なパフォーマンス向上が見られます:
価格とシステム要件
Icityは、Blender 4.4 以降 で利用できます。
ライセンスは用途に応じた3種類のライセンスが用意されています。
| ライセンス名 | 内容 | 価格 |
|---|---|---|
| ICity 個人ライセンス | 個人での利用を対象としたライセンスです。1シートが含まれ、商用利用が可能です。 | $79 |
| ICity 小規模スタジオライセンス | 最大5名までの小規模チーム向けのライセンスです。商用利用が可能です。 | $119 |
| ICity 大規模スタジオライセンス | 6名以上のチーム、または年間収益が10万ドルを超える大規模なプロジェクト向けのライセンスです。商用ゲーム開発にも対応しています。 | $499 |
























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