2026年1月20日(現地時間)- Adobeは、サンダンス国際映画祭に先立ち、Adobe PremiereとAdobe After Effectsのアップデートを発表しました。またアドビは、次世代映像クリエイター育成のため、「Film & TV Fund」に1,000万ドルを拠出することも併せて発表しました。
ここでは、発表された内容をまとめて紹介したいと思います。
Premiere Pro 新機能
Premiere Proでは、AIを搭載した「オブジェクトマスク」により、複雑な動きをする被写体のマスク作成や追跡が効率化されます。また、設計が見直された「シェイプマスク」は最大20倍の高速トラッキングを実現しました。さらに、Firefly BoardsのPremiereへのインポート機能により、ストーリーボードの作成や共同作業が効率化されました。
新機能ハイライト
- AI搭載オブジェクトマスク:ホバー&クリックで被写体を自動認識・追跡。タイトル合成や背景削除も容易に。
- シェイプマスクの高速化:トラッキング速度が最大20倍向上し、交差モードなどのブレンドも可能。
- Firefly Boards連携:生成した絵コンテや素材を直接インポート。
- Frame.io V4パネル:アプリ内で完結するコラボレーション機能(ベータ版)。
- パフォーマンスと品質向上:ビデオフェードハンドル、スマートな再リンク機能、Nikon RAW対応など。
※これらには、すでに実装されている機能やベータ版の新機能として紹介している新機能も含まれています。詳細はこちらのアップデート紹介記事をご覧ください。正確な新機能情報は個別の記事で紹介予定です。
複雑な動く被写体に対応する「オブジェクトマスク」
新しい AI 搭載の「オブジェクトマスク」は、複雑に動く被写体でも簡単にマスクを作成できる機能です。
対象にカーソルを合わせてクリックするだけでマスクが生成され、独自のトランジション作成、被写体の背後にタイトルを配置する演出、高度なカラーグレーディングなどがこれまで以上に手軽に行えます。
ツールバーからオブジェクトマスクを選択し、フレーム上でカーソルをホバーすると、AI が人物や物体を自動で識別してオーバーレイ表示します。6 種類のカラーオーバーレイから選べるため、視認性も高く、クリックするだけで対象を素早く選択できます。
マスクの使い道は多彩で、右クリックで「オパシティマスク」を作成して背景を削除したり、エフェクトパネルからドラッグ&ドロップで効果を適用したり、Lumetri カラーで特定の被写体だけを強調するグレーディングを行うこともできます。
また、ラッソ(投げ縄)ツールや長方形選択ツールを使った修正、フェザー調整やサイズ変更もスムーズに行えます。
オブジェクトマスクは Adobe の新しい支援 AI モデルを採用しており、処理はデバイス上(オンデバイス)で行われます。また、Adobe は AI のトレーニングに顧客データを使用しない方針を明確にしています。
シェイプマスクの再設計とトラッキング高速化
シェイプマスク機能が刷新され、顔のぼかしや部分的なリライティングといった細かなコントロールが、これまでよりスムーズに行えるようになりました。オブジェクトマスクツールを長押し(クリック&ホールド)すると、従来の楕円形・長方形・ペンマスクといったおなじみのオプションにアクセスできます。
再設計されたベジェ曲線や新しいオンスクリーンコントロールにより、編集時の操作性も大幅に向上しています。さらに、従来バージョンと比べて最大 20 倍の高速トラッキングを実現し、作業中の待ち時間を大きく削減します。
また、Premiere のすべてのマスクでブレンドモードが利用可能になりました。シェイプマスクとオブジェクトマスクを組み合わせて、追加・削除・交差(Intersect)といった処理を行うことで、クリエイティブな表現の幅が無限に広がります。
Firefly Boardsとの連携強化
Firefly Boardsは、AIを活用したアイデア出しや共同作業のためのツールです。
今回のアップデートで、Firefly BoardsからPremiereへのメディア読み込みがスムーズになりました。手動でダウンロードやインポートを行う必要はなく、ボタンをクリックするだけで生成されたクリップをPremiereプロジェクトに直接送信できます。
Premiere内に統合されたFrame.io V4パネル(ベータ版)
コラボレーション機能が大幅に強化されました。新しいFrame.io V4パネルにより、編集作業を続けながら、コメント、メディア、バージョン管理を行うことができます。Premiereを離れることなく、アセットの取り込み、カットの共有、メモの同期が可能です。
シーケンスを書き出す際、バージョンはFrame.io内で自動的にスタック(積み重ね)られます。フィードバックはタイムライン上に直接表示され、編集中もメモはリアルタイムで維持されます。これにより、チームとの連携ループがよりスムーズになります。なお、Frame.ioはCreative Cloudに追加費用なしで含まれています。

Adobe Stockのライセンス取得もスムーズに
Adobe Stock が Premiere にこれまで以上に深く統合され、92,000 点以上の無料クリップを含む 5,200 万点以上の素材を、Premiere 内から直接ブラウズできます。
作業の流れを途切れさせることなく、プレビュー、ライセンス取得、インポートまでシームレスに行えます。

Adobe Stockの統合
品質向上とパフォーマンス最適化
さらに、プロフェッショナルの作業を快適にするための、細かながら重要な改善が多数実装されています。
- インタラクティブなビデオフェード:クリップ上のハンドルを操作して、ビデオのフェードイン・アウトをスムーズかつ簡単に調整できます。
- スマートな再リンク:ファイル再リンク時の制御がより詳細になりました。すべての欠落ファイルを再リンクしなくても、変更を適用してプロジェクトを開くことができ、作業の進行を妨げません。
- エフェクトパネルの整理:新しい整理と命名規則により、プロジェクトに適したツールを識別しやすくなりました。
- パフォーマンスの最適化:Macでは起動時間の短縮とディスク使用量の削減を実現。ARM搭載Windowsデバイスでは、バッテリー寿命の延長とレスポンスの向上が図られています。
- Nikon RAW動画サポート:Nikon R 3D NEファイルなどの新しいフォーマットに対応し、Nikon ZR(Zシリーズ)などの新しいカメラからのRAWビデオ編集とカラーグレーディングが可能になりました。
After Effects 新機能
After Effects では、新しいモーションデザイン機能の追加とパフォーマンス向上により、制作プロセスのスピードとコントロール性が大きく強化されています。
これらのアップデートによって、リライティングや背景処理、特定箇所のカラーグレーディング、カスタムエフェクトの設計といった作業がより効率的に行えるようになりました。特にマスク機能の高速化と精度向上により、制作フローのボトルネックが大幅に解消されています。
新機能ハイライト
- ベクターワークフロー強化:Illustratorファイルをシェイプレイヤーとして編集可能に
- ネイティブ3Dパラメトリックメッシュ:3D形状をAfter Effects内で直接作成
- Substance 3Dマテリアル:1,300以上の無料マテリアルで質感を適用
- バリアブルフォント対応:フォントの可変軸をアニメーション化
- 機能改善:Unmultエフェクト標準搭載やプレビューの効率化など
※これらには、すでに実装されている機能やベータ版の新機能として紹介している新機能も含まれています。詳細はこちらのアップデート紹介記事をご覧ください。正確な新機能情報は個別の記事で紹介予定です。
ベクターワークフローの改善
SVGファイルやIllustratorファイルを、ネイティブのシェイプレイヤーとしてインポートできるようになりました。
変換後もグラデーションや透明度が保持され、After Effects内で編集可能です。グラデーションのスケールや回転プロパティも追加され、塗りや線の制御性が向上しました。

ネイティブ3Dパラメトリックメッシュの作成
After Effects内でパラメトリックメッシュを作成し、3Dデザインを行えるようになりました。
立方体、球、円柱、円錐、トーラス、平面を作成・カスタマイズし、これらを組み合わせてグラフィックやセットを作成できます。新しい「スポットライト」と「平行ライト」による影の表現にも対応しています。

Substance 3Dマテリアルの活用
ネイティブメッシュおよびインポートしたモデルに、Substance 3Dマテリアルを適用できます。
マテリアルはカスタマイズ可能で、「Substance Community Assets」を通じて1,300以上の無料マテリアルが利用可能です。各プロパティをアニメーション化することもできます。

バリアブルフォントのアニメーション対応
バリアブルフォントが持つ太さ、幅、傾きなどの可変軸を、テキストアニメーターシステムで制御できるようになりました。
キーフレームやエクスプレッションを使用し、レイヤーごとに最大8つの軸を操作可能です。

その他の機能改善(Quality of Life)
作業効率を高めるための改善が含まれています。
- Unmultエフェクト:輝度に基づいて背景(黒または白)を透過させる機能が標準搭載されました。
- 新しいオーディオエフェクト:Gate、Compressor、Distortionが追加されました。
- プレビュー再生の効率化:ディスク使用量を抑えつつ、プレビュー時間を延長できるよう改善されました。
- その他:ネイティブWinARMサポート、設定アクセスの改善、エクスプレッションの簡素化など。
次世代クリエイター育成へ1,000万ドルの支援
Adobeはツール開発だけでなく、クリエイターコミュニティへの直接的な支援も拡大しています。
今回、サンダンス映画祭での発表に合わせて、「Adobe Film & TV Fund」へ1,000万ドル(助成金および製品寄付)を拠出することを表明しました。これは、映画やテレビ業界における過小評価されているコミュニティ(underrepresented communities)や、新進気鋭のクリエイターを支援することを目的としています。
この基金は、助成金、製品の提供、トレーニング、メンターシッププログラムなどを通じて、次世代のストーリーテラーがキャリアを築くための機会を提供します。パートナー団体には、Sundance Institute、Gold House、Rideback RISEなどが含まれており、今回の拠出により、2024年の基金設立以来のコミットメント総額は2,000万ドルに達します。
提供時期
新しいAdobe Premiere ProおよびAfter Effects 26.0は、2026年1月20日(現地時間)より順次提供が開始されています。
また、個別の記事内で正確な新機能を紹介したいと思います。
Adobe Premiereに新AIビデオ編集機能が登場、Adobe After Effectsではモーションデザイン機能が大幅強化




























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