2025年10月5日(現地時間)- RodZilla による無料オープンソースのマテリアル作成ツール「Material Maker 1.4」が正式リリースされました。
新機能ハイライト
Material Makerバージョン1.4は、Godot 4への完全な移植に伴い、今回のリリースまでには長い時間がかかっていました。しかし、その分、UIレイアウトの柔軟化、32bitチャンネルテクスチャレンダリングのサポート、そして新しいMeshMapノードによるスマートマテリアルワークフローの改善など、多数の重新機能が実装されています。シェーダー生成の仕組みも完全に書き直され、パフォーマンスと効率が向上しました。
開発者によると、今回のリリースはGodot 4への完全移植を目標としていましたが、その作業に想定以上の労力が必要だったこと、そして開発の過程で生まれた多くの魅力的な新機能の追加を優先したことにより、リリースまでに長い時間がかかったと述べています。
開発が長期化した背景を詳しく見る
Godot 4への移植は、単なる作業の連続ではありませんでした。例えば、マルチウィンドウへの対応は、パネルのレイアウトを自由に変更できる機能や、パネルをウィンドウから分離して独立させる機能の実装へと繋がりました。また、コンピュートシェーダーの導入は、チャンネルあたり32ビットの高品質なテクスチャレンダリングを可能にしましたが、そのためにはシェーダー生成の仕組みを根本から書き直す必要がありました。この再設計が、結果としてスプラインやピクセル、ラティスといった新しいシェーダーパラメータタイプを導入するきっかけとなったのです。これらの魅力的な新機能の開発を中断し、バグ修正とバージョンリリースに集中することは非常に困難だったと、開発者は述べています。
特に大きな課題の一つであったペイントツールに関しては、現在もその理想的な形を模索中とのことです。技術的には、1.4では各ストロークが単一のコンピュートシェーダーですべてのチャンネルを一度にペイントするなど、非常に興味深い実装がなされています。しかし、これがモデルのテクスチャリングにおける最善のアプローチであるかについては、まだ確信が持てていないようです。将来的には、マテリアルグラフ内でマスクやIDマップを直接ペイントするような、より基本的なペイント機能を導入し、それを発展させていく構想も明かされています。
また、Material Makerは開発者の余暇を利用して開発が進められていますが、この期間中は本業が非常に多忙な時期と重なり、開発に十分な時間を割くことが難しい状況もあったとのことです。
パフォーマンスの向上
Godot 4への移植によりシェーダーコードの生成機能が全面的に刷新されました。これにより、処理が高速化され、生成されるシェーダーもコンパクトになりました。
UIの改善
UIの柔軟性が向上し、ほとんどのパネルを自由に移動したりドッキングを解除したりできるようになりました。テーマ機能も大幅に改善され、新たに「モダンテーマ」が追加されています。さらに、「ノードを追加」ポップアップやライブラリ、各種プレビューパネルのデザインが刷新され、より使いやすくなりました。
機能面では、2Dプレビューパネル上でスプラインやラティスといった幾何学パラメータを直接編集できるようになり、3DプレビューにはAgXトーンマッパーが追加されました。また、シェーダーのエラー箇所を特定しやすくする診断ツールも搭載され、開発効率が一層高まっています。

新しいノード
MeshMapノード
現在の3Dモデルから、位置、法線、曲率、オクルージョンなどのマップを自動でベイクする新ノードです。これにより、「スマートマテリアル」の制作ワークフローが大幅に改善されます。

Splines ノード
新しい Splines パラメータ タイプと新しい Splines ノードが追加されました 。

Pixelsノード
新しいピクセルパラメータタイプと、新しいピクセルノードおよびスムーズピクセルノードが追加されました。マテリアルに含めるための小さな画像をドット絵のように作成できます。

Lattice&Distortノード
グリッドベースで入力画像を変形させることができる、ラティス(Lattice)パラメータタイプと新しい歪み(Distort)ノードが追加されました。

Custom Tilesノード
タイルの形状をSDF入力として受け取れる、新しいCustom Tilesノードが追加されました。

その他
- 多数の新しい2Dおよび3DのSDF(符号付き距離関数)ノードが追加されました。(Theaninova氏、williamchange氏による貢献)
- MathノードやBlendノードに新しい演算やブレンドモードが追加されました。(williamchange氏による貢献)
- Kuwaharaフィルターなど、新しいフィルターノードが複数追加されました。(williamchange氏による貢献)
- その他、既存ノードの改善や、新しいノード(Comment Lineなど)の追加が多数行われています。
その他のアップデート
UI(ユーザーインターフェース)
- 「ライブラリを作成」ダイアログが更新されました。(NotArme氏による貢献)
- マテリアルをアップロードする際に、プレビュー画像を選択できるようになりました。
- すべての3Dビューでカメラ操作が統一されました。
- シェーダーコードエディタに検索/置換ツールが追加されました。
- 起動時に、保存されなかったプロジェクトのバックアップを削除するオプションが追加されました。
ノード
- デフォルトのノードライブラリの名称が、より一貫性のあるものに整理されました。(NotArme氏による貢献)
- Shard FBMノイズ、Tex3D Uniformノードが追加されました。(williamchange氏による貢献)
- FloatおよびGradientパラメータのエディタが再設計されました。(Jowan-Spooner氏による貢献)
- SDF Boolean、Transformノードなどが可変入力(複数の入力を接続可能)に対応しました。(williamchange氏による貢献)
- Spherize(球形化)ノードが改善されました。(williamchange氏による貢献)
- 多くのノードのドキュメントが改善されました。(williamchange氏による貢献)
- Advanced bufferで32ビットオプションが利用可能になりました。
- Pixelizeノードがベイヤーディザリングをサポートしました。
- EasySDFエディタに、より多くのプリミティブが追加されました。(williamchange氏による貢献)
- Unity URP litのエクスポートターゲットが追加されました。(williamchange氏による貢献)
- Fillノードの結果から単一の領域を選択できるFill Selectノードが追加されました。
ダウンロード
Material Maker は無料ですが、様々な方法でプロジェクトをサポートすることができます。サポートは、itch.ioからのダウンロード時か、Patreonから可能です。
最新版のダウンロードはこちらから( itch.io / github)
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