Blenderのアーティスト兼アドオン開発者 Amandeep氏による Blender用のオールインワンアドオン RanTools の紹介です。
RanTools について
RanTools は、Amandeep氏によって開発された、作成、ディテールの追加、プレゼンテーション、レンダリングなど、あらゆるニーズに対応するツールが含まれている Blender用のオールインワンアドオンです。
ハードサーフェスツール、レンダリングツール、ライトツール、モディファイアツール、テクスチャベイキングツール、ブーリアンのクリーンアップ、モディファイアプリセット、ワイヤーを追加してワンクリックでシミュレートするツール、オブジェクトバックアップ管理など様々なツールが含まれています。
昨年初めてリリースされて以来アップデートを重ね、より多機能になっています。また最新アップデートでは、若干訳がおかしく感じますが日本語にも対応しています。
主な機能
ここでは、主な機能を紹介したいと思います。
P-Cutter
P-Cutterは、ブーリアンを使用した非破壊的なモデリングツールです。同様の機能を持った人気Blenderアドオン BoxCutter と比較しても遜色ない機能を備えています。
この機能は【 P-Cutter パイメニュー(Shift+Q)>ドロー(Draw)】から使用することができます。使用を開始すると、キーガイドが表示されるので初めてでも簡単に使用することができると思います。
デフォルトでは、一度ずつP-Cutterモードが終了していましますが、【継続的に描画する】のチェックを入れることで連続して使用することができます。
またP-Cutterのは、ブーリアンのエッジをきれいに整える機能も備えており、スライダーを使用して調整することができます。
カーブツール
カーブツールでは、以下のようなケーブルの作成、複数のワイヤの生成、ワイヤーシミュレート、任意のオブジェクトをカーブに配置してカスタムケーブルや被覆を作成できる機能が利用できます。
ケーブル/ワイヤの作成
2回のクリックで簡単にケーブルを作成
複数ワイヤへの変換
単線を放射状や平行線に変換して、複数のワイヤーを作成できます。
シミュレート
ワイヤーをリアルタイムにシミュレートし、衝突させることができます。
カーブに配置
任意のオブジェクトをカーブに配置して、カスタムケーブルや被覆を作成できます。
この機能は、Curve Tools Pie Menu(Shift + E)か、Nパネルのカーブツールセクションから利用できます。
カメラとレンダリングツール
■カメラツール
カメラツールのパネルには、アスペクト比、解像度、シャッタースピード、焦点距離などのカメラ設定がまとめられており、ワンクリックで変更できます。また、ここから背景やライトを追加することも可能です。
■バッチレンダリング
レンダリングプリセットを複数作成し、バッチレンダリングツールを使って、さまざまなアングル、カメラ、設定で一度にレンダリングすることができます。
モデルのクレイレンダリングやワイヤーフレームレンダリングを生成することもできます。
ランダム/その他のツール
パネルにあるランダムツールはランダム化のためのツールではなく、いろんなツールがランダムに収納されている場所となります。ここには、モディファイアプリセット、配列、ミラー、面を布に変換するツールなどが含まれています。
■モディファイアプリセット
単一のモディファイヤーの設定や、モディファイヤースタック全体をプリセットとして保存することができます。
一度作成したモディファイアのセットをゼロから作り直すことなく、ワンクリックで再び使用することが可能です。
■クイックモディファイア調整
SHIFT +Q パイメニューから、ビューポート上でモディファイアの値をインタラクティブに調整することができます。マウスを水平軸にそって動かすことで値を調整でき、Aボタンを押すと、調整可能な値が切り替わります。
■クロスシミュレーション
選択した面を布パネルに変換することができます。
この他にもさまざまなツールが含まれています。
マテリアルツール
マテリアルツールには以下のような機能が含まれています。
- マテリアルライブラリ(SHIFT + M):ビューポートからambientcg.comの1000以上のPBRマテリアルに直接アクセスできます*。
- オブジェクトにクレイマテリアルを適用、オプションで半透明のものをスキップすることができます。
- パイメニュー(Shift + W)で素早くUVチェッカーテクスチャのオン・オフを切り替えられます。
- マテリアルの転送:マテリアルドロッパーを使用して、面またはオブジェクトから別の面へシームレスにマテリアルをドラッグ&ドロップできます。
- クイック調整(SHIFT + F)でビューポートから直接マテリアルに小さな変更を加えることができます。
- ディレクトリやサブディレクトリにあるすべてのPBRテクスチャをワンクリックでシームレスにセットアップできます。
■ノードツール
マテリアルノードパネルには、エッジマスクなどの便利なプリセットノードがいくつか用意されています。また、ワンクリックでフローマップを任意のテクスチャに追加するボタンもあり、一度に複数のノードに追加することも可能です。
テクスチャベイキングツール
このツールは、テクスチャのベイク処理を簡素化します。テクスチャをベイクしたいオブジェクトを選択>ベイクしたいテクスチャの種類を選択>「テクスチャをベイク」をクリックすると、選択されたテクスチャは、選択されたすべてのオブジェクトに対してベイクされます。
ベベルをマップをベイクするオプションなど以下のようなことが可能です。
- ベベルマップを簡単にベイク:空の法線ソケットが自動的に検出され、マップが追加されます。
- シンプルなエッジマスクや摩耗したエッジマスクをベイクして、マテリアルのディテールを向上させます。
- 複数のオブジェクトに対して、単一または複数のテクスチャを同時にベイク。
バックアップツール
パネルからバックアップマネージャを使用して、オブジェクトのバックアップコピーを作成および管理することができます。
このツールでは、オブジェクトのバージョンをすばやく切り替えたり、以前バージョンから法線を転送することが可能です。
以上となりますが、紹介した以外にも多くの機能があります。
全ての機能の確認やより詳しい使用方法などはこちらのドキュメントページから確認することが可能です。
アップデート情報
v3.0 新機能ハイライト
2022年4月末頃、最新アップデートの RanTools v3.0 がリリースされました。以下のような多くの新機能が追加されています。
- 新しいHDRI(PolyHaven)ライブラリと高度なワールドシェーダ
- P-Cutterの高速カッターモード
- 布とケーブルのシミュレーションの改善
- マテリアルライブラリのアセットブラウザサポート(Blender 3.0以降):ダウンロードしたマテリアルをアセットとしてマークすることが可能に
- 日本語対応
これらの新機能は、以下の動画で確認することができます。
v3.1 新機能ハイライト
2022年5月25日、最新アップデートの RanTools v3.1 がリリースされました。このアップデートでは、以下のようなベーキングツールのアップデートが行われています。
- 複雑なシーンでオブジェクトをベイクする際のパフォーマンスが最大10倍高速化。
- ベイク完了後、自動的にマテリアルを作成し、割り当てることができるオプション。
- ベベルマップベイクの改善
- エッジマスクベイクの改善
v3.2 新機能ハイライト
2022年8月3日、最新アップデートの RanTools v3.2 がリリースされました。このリリースでは、以下のような新機能があります。
- マテリアルと HDRI ライブラリのパフォーマンスが大幅に向上。
- マテリアルライブラリにカテゴリを追加し、マテリアルの検索がより簡単に。
- マテリアルに複数のプリセット(バンプ、変位、および適切な FBX エクスポートのための新しいプリセット)。
- AOマップのベイクを大幅に高速化(最大5倍)し、PBRベイクにかかる時間を全体的に短縮。
- ブールクリーンアップとバッチレンダリングのバグフィックス。
以下の動画では、V3.1とV3.2のライブラリの速度比較を確認できます。
V3.2へのアップデート後、オンラインライブラリを高速化するには以下の手順をとる必要があります。
- アドオン環境設定の’Install Pillow’ボタンをクリックします。
- キャッシュされたプレビューのzipファイル(ダウンロードセクションにあります)をアドオン環境設定の「Load Cached Preview」ボタン(マテリアルとHDRIセクションの下)を使って読み込む。
すべてのアップデート内容はこちらから確認することができます。
価格とシステム要件
RanTools は、Windows 10(20H2)、Windows 11、Ubuntu 21.04、macOS(Catalina)で動作する Blender2.91->3.0を使用してテストされており、使用することができます。Blender2.90以前ではサポートされていません。
価格は、すべてのツールが含まれたコンプリートエディションが33ドル。P-Cutter、ブールクリーンアップ、バッチレンダリング、カーブツール、モディファイヤプリセット、ランダムツールのみが含まれているエッセンシャルエディションが24ドルとなっています。
また、Amandeep氏のすべてのアドオンが含まれた『Ultimate Value Bundle』の一部としても利用することができます。
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