Blender Conference 2026(BCON26)で行われたプレゼンテーションが公開されましたので、その紹介です。
2026年9月23日から25日まで、オランダ・アムステルダムのFelix Meritisで「Blender Conference 2026(BCON26)」が開催されました。Blenderのアーティスト、開発者、コントリビューターの最大規模の集まりとなっています。
この記事執筆時点(2026年9月29日)で、YouTubeの公式再生リストには94本の講演が並んでいます。前半では、再生数の多いセッションなどから17本を選び、チャプターごとの要約つきで紹介します。後半の「セッション一覧」では、投稿時点で公開されているすべてのセッションを、日本語タイトルつきのカテゴリ別に掲載しています。
目次 Imposter Syndrome:平面に描く擬似3Dオブジェクト Blendrooms:A24『Backrooms』のVFX The Art of Real-Time Viewport Cheats:ビューポートの小技 Vtubing Using EEVEE/Cycles DLSS:Blenderからのライブ配信 2D Comic Style in 3D:3Dの中に作る2Dコミック調 Level Up Your Non-Photoreal Rendering with One Weird Trick Motion Sculpting:新しいアニメーションの考え方 Automotive Design in Blender:自動車デザインの現場 Porting Blender to Android:Android版Blenderの移植 Grandma Z:Clay Pencil、公式のBlender Labプロジェクト Every Hair Deliberate:ヘアカーブで作るフォトリアルな猫 Not Color:デジタルアーティストが知っておきたい色彩科学 The Future of Rendering:OTOYが語るレンダリングの未来 Suzanne Awards:授賞式 The Nature Generator:実用的なジオメトリノードツールの作り方 Rigify – Future Proof Rigging Concepts:Rigifyの未来志向のリギング The Quest for the Ultimate Stylized Mouth Rig:究極のスタイライズ口リグを求めて 人気・注目セッション チャプターのボタンを押すと、動画がその位置に移動し、下にそのチャプターの要約が表示されます。動画の再生位置に合わせて、要約も切り替わります。
まず、17本の一覧です。各カードを押すと、この記事内の該当セッションに移動します。
※各セッションの要約は、YouTubeの自動字幕をもとに整理したもので、講演の全内容を網羅するものではありません。固有名詞などは、字幕の聞き取りによる場合があります。登壇者名は、公式スケジュールの表記に従っています。詳細は、各動画でご確認ください。
Imposter Syndrome:平面に描く擬似3Dオブジェクト平面に描いた「インポスター」を、シェーダーで擬似的な3Dオブジェクトとして見せる手法の講演です。Blender内での使い方や従来手法との比較、UnityとGodotへの書き出しにも触れています。(登壇:Thomas R Murphy/再生時間:23:36)
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イントロと自己紹介
インポスターカードとは・課題
UPBGEのゲーム開発と旧手法
シェーダーで作る疑似3D平面
3枚合成とアトラス
Blender内での利用と従来手法との比較
追加機能とアーキビズ対応
大量オブジェクトとレンダリング時間
UnityとGodotへの書き出し
AI生成コードの失敗談
質疑応答
❯ 登壇者のThomas R. Murphy氏は、ニューヨーク出身でマサチューセッツ在住のアーティストです。UPBGE(UP Blender Game Engine)向けにEEVEEで作ったインポスターカードのシェーダーとアドオンを、最初は自分用に作ったところ、多くのアーティストの役に立つと気づいて発表に至った、という経緯が語られます。
インポスターカードは、複雑な3Dモデルを1枚の平面や低ポリゴンのオブジェクトに置き換えて、描画負荷を下げる手法です。ゲーム開発では定番ですが、ポリゴン削減は手間がかかります。ツールやプラグインも、仕組みを理解して使いこなすには経験が必要です。
そこで、ポリゴン削減そのものを省き、すべてシェーダーで処理する方法を考えました。アドオンのボタン名は「Impostor Cards Nacho Time」です。ソリッド表示にすると、シーンが無数の平面(四角いナチョス)で埋まって見えることに由来します。
出発点は、UPBGEで作ったオープンワールドのゲーム(Steamで配信)です。当初は、複数の平面とX軸方向のフリップブック型テクスチャアトラスによる簡易的なビルボード方式でした。1枚のカードに載せられる木は10〜11本ほどで、真上や真下から見ると錯覚が崩れる弱点もあります。
ゲームには216種類のユニークなアセットがあり、これらを1回のドローコールで描画しつつ、単なる1枚の平面より説得力のある見た目にする必要がありました。
ボリュームのあるインポスターを目指した結果、ホログラムのように平面の上に浮かんで見える表現にたどり着きました。中身はアニメーションするシェーダーだけです。
仕組み
オブジェクト座標と入射座標(Incoming)から疑似的な3D平面を作り、オブジェクト空間で回転・配置します。 頂点の回転は使わず、軸の入れ替え(Swizzle)だけで上下左右の面を得ます。 平面を常にカメラへ向けるには、カメラのワールド座標からオブジェクトのワールド座標を引きます。 発表ではEEVEEで実演されていますが、Cyclesでも動作します。数学が多く見えても、実際は軽量でシンプルな処理です。
同じ効果を3回複製し、テクスチャを3回引く代わりに、ベクトルを混ぜてアトラスのサンプリングを1回にまとめています。交差する平面の前後は、ベクトルの長さと大小比較で判定します。
従来のフリップブックが全方向の見え方を撮影するのに対し、この方式は6面に集約します。1つのテクスチャに数百点のオブジェクトを収められ、ドローコール1回、テクスチャ1枚、サンプル1回で済みます。同時に使われるテクスチャサンプルは最大3つです。高解像度を選ぶと法線マップも生成され、ライティングにも反応します。
ゲームエンジン向けだけでなく、Blender内でもそのまま使えるようにアドオンを拡張しました。カメラを引くと高ポリゴンのメッシュデータが自動で切り替わり、Blendファイルに保存されます。アクティブカメラの視点で更新され、レンダリング中も機能します。
Instant Imposters との比較
Instant Impostersは、大規模なシーンや森のように、オブジェクト同士が食い込む場面に向いています(ケージメッシュを持つため)。一方、ゲームではオルソグラフィックで撮影したフリップブックが原因の段差(ステッピング)や、カメラに張り付いて見えるズレが没入感を損ないます。この方式は遠近感のある見え方を再現するため、大きなオブジェクトや近距離でも自然に見えるという説明です。
アドオンには次の機能が加わっています。
平面の奥行きを調整するインポスターエディター エミッションマップ(画面の点滅などのアニメーションも可)、ボリューメトリクス、マルチスライスの深度、アンビエントオクルージョン オブジェクトの縦横比に応じてアトラスへ詰め込むアダプティブスケーリング アーキビズ向けの反射と影
正確な反射と影が必要なアーキビズの場面では、平面を2枚追加した3枚構成(トリプラナー)にします。Poly Havenの高ポリゴン素材で比較しており、約5メートル離れると差はあまり目立たなくなります。深度を使う方式では、さらに細かく表現できます。
ボトルネックはオブジェクト数です。約20万個のオブジェクトを含むシーンのレンダリングは、通常は約4分かかりましたが、生成したインポスターを1つに結合する「Join Imposters」を使うと21秒になりました。ビューポートも軽くなります。
レイトレースのテストでは、テーブル上の小物を1サンプルでレンダリングして約5分かかったものが、インポスター化で半分に、結合すると1分18秒になりました。
【Tips】数値の前提 これらの時間は、発表者が自身の環境で計測した例です。シーン構成やマシンによって変わります。
ゲームエンジンへの書き出しは、UnityとGodotに対応しています。Unreal Engineは、途中でブループリントが削除されたため、アーティスト向けのツールとして作る意味が薄いと判断し、対応を見送っています(発表者の見解です)。
書き出しでは、複数の方向からレイキャストして高さと奥行きを推定し、代替となるモデルを生成します。 GodotはGLTFで比較的簡単に出せました。UnityはマテリアルとテクスチャをUnity側で割り当てるスクリプトが必要でした。 1つのアトラスでプロジェクト全体を賄う想定で、ドローコールと描画を1回にまとめられます。 アドオンがなくても、保存したファイルにはシェーダーが含まれるため表示は動作します。 Blender内のインポスターエディターで平面の深度を調整すれば、オブジェクトに平面が食い込む部分を直せます。高解像度のBSDF版は、メタリックとラフネスを1枚のテクスチャにチャンネルパックします。
「常にカメラを向くシェーダー」を作るスクリプトをAIに書かせる実験が紹介されます。ChatGPTやClaudeを含め、見た目はそれらしくても動作しない、または効率がよくないコードが返ってきたそうです。最も近かった例でも、余計な処理が付いていました。
正解として示されたノード構成では、末尾にベクトルトランスフォームとドット積を加えます。これにより、インポスターを拡大縮小したときに平面も追従します。
スカルプトしたUVなしの高ポリゴンモデルで、テクスチャはどう作るのか、という質問が出ました。回答は、このアドオンはBlender内で動作し、前後左右と上下の6方向から見た目をオルソグラフィックに捉える仕組みなので、モデルはBlenderを経由して取り込む必要がある、というものです。外部のテクスチャツールを中心にしたワークフローでは、この点が制約になります。
Blendrooms:A24『Backrooms』のVFXYouTube発の作品からA24の映画へと展開した『Backrooms』のVFXを、Blenderで制作した事例です。バックルームの構築、バーチャルカメラでの撮影、レンダーパイプラインまでが語られます。(登壇:Calvin Romeyn/再生時間:24:04)
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イントロ
なぜBlenderなのか
バックルームVFXリール
制作データ
バックルームの構築
ヴァーティゴルームの設計
コールドオープンとカメラワーク
バーチャルカメラ撮影
レンダーパイプライン
ティーポットと締めくくり
❯ 登壇者のCalvin Romeyn氏は、ディレクターでありVFXスーパーバイザーです。自身の会社Roxo Creativeとして、A24の映画『Backrooms』で大量のVFXを担当しました。この講演では、Blenderがそれをどう可能にしたかが語られます。
監督のKane Parsons氏は、16歳でBlenderを始めた経歴の持ち主です。登壇者も若い頃からBlenderを使ってきたと語っており、2人はBlenderを軸に密接に作業しました。
業界の主流はMayaやHoudiniを軸にしたワークフローで、「なぜBlenderなのか」とよく聞かれるそうです。答えは、1995年の『トイ・ストーリー』に衝撃を受けた少年時代にさかのぼります。
当時は高価なソフトに手が届かず、PC雑誌の付録CDに入っていたBlender(約200MB)に出会い、Blender 2.42の頃から独学で使い始めました。右クリックで選択する操作や、バージョンが古いPDFのチュートリアルに苦労した思い出も語られます。
約20年後、MayaなどほかのDCCも経験したうえでBlenderに戻ったと語られます。『ゲーム・オブ・スローンズ』『ジュラシック・ワールド』『スター・ウォーズ』などに参加し、2つのVFXスタジオ(Niche、Roxo Creative)を設立しています。
続いて、Roxo Creativeが『Backrooms』で手掛けたショットのリールが上映されます。CGはすべてBlenderでレンダリングされています。
映画全体のショット数は約800で、そのうちVFXは約600 Roxo Creativeの納品は42ショットで、最長で約10分のショットも含まれる 総フレーム数は28,596(約19分) Blendファイルは676個(整理後は約600個)、EXRは約30.3万枚、プロジェクト全体で8.2TB チームは10人以下で、フルタイムは8〜10人 少人数で、長回しのショットを大量に処理した点がこのパートの要点です。
原作は、4chanの投稿から広まった「不気味な空間」という感覚です。映画でもその再現を目指し、次の手法を使いました。
ボックスマッピング
テクスチャを4面投影(ボックスマッピング)にすることで、UVを気にせず押し出しや移動ができます。拡大しても、象徴的なシェブロン柄の大きさが変わりません。
天井・壁紙・カーペット
天井は2×4と2×2の2種類です。オブジェクトの原点を揃えて、ディフューザーやシミのパターンを簡単に入れ替えられるようにしています。壁紙は4種類で、撮影セットは赤みが強く、4chanの元画像は緑がかった色味です。
カーペットは、セットで約30,000平方フィート(約2,800平方メートル)を実際に制作し、残りは3DCGで拡張しました。汚れた「carpet nasty」は監督のお気に入りです。ノイズテクスチャのDistortionを、足跡の模様に使っています。
デカールとクモの巣
アルファ付きテクスチャをBSDFにつなぎ、シャドウキャスティングをオフにするとデカールとして使えます。シュリンクラップと組み合わせて、茶色に着色した血痕や、コーヒーのシミを配置しました。クモの巣も追加され、監督に気に入られたそうです。
28階建てのバックルームが広がる、映画で最大かつ最も複雑な環境です。監督のオーダーは「バックルームを作って、真ん中でブーリアンカットしたように」というもので、実際にBlenderのブーリアンでその通りに作っています。
実際のバルコニーは幅3〜4フィート(約1メートル)で、さらに狭めて高所の感覚を強めました。 プロシージャルではなく手作業で作り込み、ソリッド化とブーリアンのモディファイアで、1頂点の押し出しから壁の厚みと高さを決めています。 7フロア分ほどを複製・回転して配置し、立方体で中央を切り取りました。 ジオメトリノードでメッシュブーリアンとマテリアル設定を行い、上半分をむき出しのドライウォール、下半分をシェブロン壁紙にしています。 天井のタイル、ケーブル、フレキシブルパイプなどを段階的に追加しました。 冒頭の登場人物の死のシーンは、全編CGです。ファウンドフッテージの雰囲気を出すため、最終EXRを実物のVHSテープに出力しています。
7,500フレーム(約5分)の長回しで、環境は約180,000平方フィート(約16,700平方メートル)と、実物では作れない規模です。 マップのレイアウトは監督が作り、Roxoが仕上げました。 監督にParsecのアカウントを渡し、同じワークステーションを遠隔で操作してもらう形で、カメラ調整とレンダリングを往復しました。 手持ち風の有機的なカメラの動きを、ノイズの追加ではなく、バーチャルカメラ(Vcam)の実撮影で作りました。Beyond Captureが急遽チームを組み、スタジオでの撮影が実現しています。現場では、実際のBlenderシーンをプリビズとして使い、監督が物理的にカメラを操作しました。
13テイクをつなぐ際は、編集側で先にタイミングを固定してもらい、各カメラをChild Ofコンストレイントでつなぎました。
【Tips】カーブエディターの操作 グラフエディターでAlt+Sを使うと、キーを滑らかにできます。カーブエディターでも比例編集が使えるため、モーションキャプチャのキーフレームをまとめて回転・スケールできます。
レンダー設定が画面で共有され、スクリーンショットが勧められます。ビューティとAOVを分けるワークフローでは、EXRのDWAB圧縮(ハーフフロート)が有効です。クリプトマットには、別の圧縮(PIZ)を使います。
使うパスは、カラー、Zポジション、ノーマル、クリプトマットが中心です。
冒頭に出てきたティーポットのレンダリングは、登壇者がBlenderを始めた頃の作品です。宣伝で使える素材を探していた際、「バックルームは奇妙な世界なので、出来の悪いCGレンダリングを生成してしまう」という案を監督に出したところ採用され、映画の中の1コマとして登場します。コマ送りで確認できます。
締めくくりでは、若いBlenderアーティストとして、Blenderが最高峰の現場で戦えることを示せた意義が語られます。
The Art of Real-Time Viewport Cheats:ビューポートの小技ビューポートシェーディングとリアルタイムコンポジターを使った表現と、ジオメトリノードやドライバーで「触れるビューポート」を作る事例を紹介しています。(登壇:Bao-Thinh Dinh/再生時間:22:04)
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自己紹介とスタジオ紹介
ビューポートシェーディングとの出会い
3つの柱とシェーダー活用
楽しさの低下とリアルタイムコンポジター
コンポジターの作例
ジオメトリノードとドライバーで「触れる」ビューポート
ドライバーで音声を制御
まとめ
❯ 登壇者は、ベトナムのホーチミン市で少人数のスタジオを主宰する3Dジェネラリストです。テック系や自動車メーカー向けに、TVC、紹介動画、SNS向けの短尺、イベント用の大型映像といった製品アニメーションを手掛けています。
今回の発表は、ビューポートを「最終結果を確認する場所」ではなく、「3Dモデルと遊べるインタラクティブな場」として使う方法の紹介です。
きっかけは、ミニPCのTVCでした。キャラクターの背後の画面に、3Dビューポートの画面収録を入れるよう求められ、ビューポートの見た目をカスタマイズしたそうです。
マテリアル、背景色、オブジェクト、ワイヤーフレーム、アウトラインの色を変えられる ライティングをフラットにすると、2Dの線画のような見た目になる ビューポートレンダーで、見えているものをそのまま画像や動画にできる ビューポートを遊び場にする柱は、シェーダー、コンポジター、ジオメトリノードの3つです。まずシェーダーの実例が紹介されます。
Cyclesの映り込みをEEVEEで再現
ネオンの抽象的な空間を走る自動車のCMで、手元のマシンではビューポートでCyclesを動かせませんでした。そこでEEVEEを使い、Cyclesで360度動画としてレンダリングした環境を、アニメーションするHDRIとして車に適用しています。環境のカメラ表示だけをオフにしてライティングは残すことで、車に反射が入ります。
内部が見えるカットスルー表現
別の自動車CMでは、内部部品を見せる断面表現が必要でした。ブーリアンは部品が多く重すぎたため、ミックスシェーダーで車のシェーダーと透明シェーダーを混ぜ、グラデーションのマスクを空のオブジェクトで動かして切り取っています。
【Tips】ノードグループにまとめる 最初は、すべてのマテリアルを1つのシェーダーにまとめ、オブジェクトインデックスで切り替えていました。これは最善ではなく、カットスルーの処理をノードグループにして各マテリアルに配置するのが正解です。ノードグループの中を編集すれば、すべてのマテリアルに即座に反映されます。
その後は、クライアント対応やパイプライン管理が中心になり、アーティストというより「マシンの管理者」になったと感じて、制作の楽しさが薄れたと語られます。フォトリアルを求めて複数のソフトを使い分ける状況も背景にあります。
そんなとき、リアルタイムコンポジターの進化が「Blenderのビューポートの中で作業を続ける手段」になりました。以前はAfter Effectsで行っていたブラー、ディスプレイスメント、2Dモーショングラフィックスを、ビューポート内で実現できます。
フェイクウィンド
クリプトマットで車を分離し、ディレクショナルブラーで軌跡を作ります。ノイズによる歪みをディスプレイスメントにつなぐと、軌跡が波打ち、カメラが動かなくても速度感が出ます。
パターングラス
白黒のパターン(波テクスチャなど)をディスプレイスメントにつなぐ効果で、無料で公開されています。空のオブジェクトでマスクを制御するため、カメラアングルを変えてもマスクの位置は変わりません。
ASCIIアート風
ベトナムの文化(李朝の龍など)に着想した作例です。レンダー上の各点の明るさをサンプリングし、その値でキャラクターのスプライトシートをずらして、明るさに応じた文字を表示します。ノードグループにして組み合わせれば、ロゴアニメーションのような複雑な効果もプロシージャルに作れます。
3Dモデルをビューポート内で直接操作できるようにするため、ジオメトリノードとドライバーを使います。
分解図アニメーション
インスタンスをポイントに変換して1軸上に並べ、再びインスタンスに戻します。各部品のアニメーションを変えずに、部品を1つの軸上でずらせます。モデルを差し替えても同じ仕組みが使えます。
フィールコアと呼ぶ手法
カーソル位置の球(実際は1つの頂点)が、機械上の非表示の「タッチゾーン」の平面に触れると、ジオメトリノードのプロキシミティで距離を測ります。そのデータをシミュレーションゾーンに送り、再生、速度、回転の3つの値を計算して、機械の各部分を動かします。
難所は、Blenderでは音声がタイムライン上で再生されることです。そこで、スピーカーオブジェクトに音声を追加し、NLAエディターのストリップにドライバーを設定して、現在のフレームに追従させました。
空のオブジェクトのZ位置を使い、「フレーム − Z位置」という式のドライバーにします。空を動かすと、再生、一時停止、速度の変更ができます。 空のオブジェクトを頂点に紐づけ、ジオメトリノードから動かします。 再生と一時停止は、ブール値で切り替えます。 【Tips】一時停止時のノイズ対策 音声を途中で一時停止すると、ブザーのようなノイズが出ます。別の空のオブジェクトで音のオンオフを切り替えることで、ノイズをなくしています。
冒頭の質問に戻り、楽しさが薄れたのは、クライアント対応やアプリの切り替えが増えたからだと振り返ります。遊べるコンソール、車内のバーチャルルームでカメラを手で操作する仕掛け、自律サッカーの試合など、Blenderで実現できたアイデアは、単なる回避策ではなく「創作の火を保つ方法」だといいます。
登壇者が示すのは、何をすべきかではなく自分のやり方です。オペレーターになりやすい環境でもアーティストであり続けるために、変わった方法でも誰も使っていない方法でも、受け入れることで楽しさが生まれる、という結論です。
Vtubing Using EEVEE/Cycles DLSS:Blenderからのライブ配信EEVEEやCyclesとDLSSを使い、Blenderの中でVTuberのライブ配信を行う仕組みの講演です。配信用アドオンや視聴者参加の機能、ライブ演奏のデモがあります。(登壇:Tse Cheng/再生時間:30:04)
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イントロとスタジオ紹介
ゲームエンジンの課題
Blenderからのライブ配信
アドオンの紹介
モーションとシェーディングの技術
視聴者参加の機能
今後の目標と拡張
Blenderの中で完結させる理由
ライブ演奏デモ
質疑応答と締めくくり
❯ 登壇者は台湾のスタジオHello Digitalで、YouTuber向けの3Dキャラクターや、『ジョジョ』などアニメ作品の3D背景を制作しています。作品リールの上映後、アジアを中心に、バーチャルエンターテインメントとライブ制作向けの3Dサービスを提供していると紹介されます。
Blenderで作ったキャラクターをゲームエンジンに書き出すと、モディファイアやノード設定を外す必要があります。3年前に作った、バックフェイスカリングで顔の肌と口をスタイライズしたキャラクターも、Unityに持ち込むとライティングによって表示が崩れました。
選択肢は、スタイライズを諦めるか、Unity用の専用シェーダーを作るかの2つでした。そこで、モデルだけでなく、シーン、ライティング、カメラ、VFXまでBlenderに残したまま配信できないか、という発想が生まれます。
台北から会場へ、Blenderのビューポートの映像をライブ配信するデモが行われます。画面は通常のBlenderで、アウトライナーやタイムラインなど、いつものUIがそのまま見えます。
台北のスタッフが、Blenderの操作、カメラの切り替え、音声、モーションキャプチャのセットアップを分担します。 台湾のYouTuber・音楽クリエイターのStarさんが、ライブでのキャラクターの演技、フェイシャルキャプチャ、音声を担当します。 タイムラインでのアニメーション再生と、ライブのモーションキャプチャは独立して動くため、イベントを発動しても演技が止まりません。 これを可能にするのが、登壇者らが作ったBlenderアドオン(自動字幕の表記では「UGO」)です。掲げている目標は次の3つです。
一般的なVTuberモデル、特にVRMを動かせること ボディとフェイシャルのモーションデータやホットキーを受け取って合成し、リアルタイム補正をかけられること 配信中もすべてがライブで編集できること ほかに、コンポジターのツール、被写体の切り替えやフォーカス、追従などのカメラプリセット、キーバインドでのカメラ操作、M2チップ向けの軽量マテリアルプリセットがあります。Twitch、YouTube、DiscordのAPIを受けて演出をトリガーする、視聴者参加の機能も備えています。
モーション層は、ノードシステムで構成されています。フェイシャルモーキャプのノードと、スムージングやモーションミックスのノードで、上半身の配信に必要な反応を動かします。
VRMのデータをボーンマップと表情マップの近道として使うため、VRM以外のキャラクターにも割り当てられます。 Blenderのアクションもソースとして使えます。 特定のソースだけで制御したい場合は、首など、不要な部位を隠せます。 シェーディングは、Unityの人気トゥーンシェーダーの見た目を再現するプリセットで、リムライトやドロップシャドウ、各種パスを使ったトゥーンレンダリングです。背景をぼかしてキャラクターに光を反射させる「ブレンディング」の環境も作られています。
視聴者参加のデモでは、会場にDiscordチャンネルのQRコードが示されます。テキストを送るとBlender内で反応し、たとえば「Susan」と入力すると、キャラクターの頭上からスザンヌが降ってきます。
キーボード入力でBlender内の情報を変え、別のオブジェクトを選び直す仕組みなので、スザンヌ以外も、ユーザー側で設定を変えて使えます。
ツールはBlenderが無料であることに合わせて無料で、初心者にも使いやすいよう、調整は3Dビューポートのサイドバーからできる設計です。ノードシステムは上級者向けです。今後の拡張として、次の項目が挙げられています。
モーションソースの追加(現在はVMCプロトコルのみ。RokokoやLeap Motion、SteamVRなどを想定) ルックの追加(現在はアニメ調のみ) 複数のアーティストが、同じライブ環境で作業するマルチプレイ BlenderのVRモードでシーンに入り、モーションデータを反映する使い方 性能が追いつく必要はありますが、Blenderをバーチャルステージとリアルタイム制作の本格的なエンジンにできるか、という構想が示されます。
理由は2つあります。
3Dアーティスト自身が、最終的な画の見た目を決められるようにするためです。モデルを渡した時点でクライアントとの接点が終わり、最終画像はUnityのエンジニアの領域になりがちだからです。 最終画像をゲームエンジンに移す必要が本当にあるのか、ほかに選択肢がないだけではないか、という疑問です。 Blenderがライブ配信、リアルタイムキャプチャ、最終画像のレンダリングまで担えれば、アーティストは創作の自由を得られます。今後は、Blenderで制作するアーティストを集めた、ライブコンサートのプロジェクトも構想されています。
締めくくりとして、アニメ作品のオープニング曲のカバーが、台北からライブで演奏されます。途中で台北側の音楽プログラムがクラッシュしてやり直しになり、会場でも手元のBlenderファイルで対応する場面がありました。復旧後は、Starさんのアバターによる歌唱が、Blenderの映像として配信されます。
画面の右側にはアドオンのUIが見え、モーションレイヤーや、ステージ演出用のキー設定を確認できます。
アドオンのGitHubリポジトリは、この時点ではまだ非公開で、スタジオのサイトで情報を案内する形でした。
質疑応答では、Discordのメッセージが物理演算で動く仕組みに関連して、VTuberのモデル自身が物体を押す(衝突する)ことは可能か、という質問が出ました。回答は、キャラクターはBlender上のメッシュとして参照されるため、コリジョンを設定すれば、互いに衝突できるというものです。
2D Comic Style in 3D:3Dの中に作る2Dコミック調グリースペンシルとメッシュを組み合わせ、3Dの中で2Dコミック風の線・トゥーンシェーディング・塗りを作るワークフローを解説しています。(登壇:Sacha Goedegebure/再生時間:47:25)
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自己紹介とProject Fuzzy
Project 2D3Dの目的
効率的なワークフローの4原則
スーパープリセットボタン
3つの柱と3Dシェイプ
グリースペンシルの線
メッシュ上への描画
変形するジオメトリへの追従
線の食い込み対策とその他の機能
トゥーンシェーディング
フィル(塗り)レイヤー
追加の実験とまとめ
❯ 登壇者は、オランダ出身でポルトガル在住のショーランナーで、シンガポールとマレーシアに拠点を置くスタジオで働いています。仕事ではBlenderを使う必要がないため、禁断症状を避ける目的で、時々自分用の大きなBlenderプロジェクトを設けているそうです。
最初の「Project Fuzzy」では、自作のIPを題材に、Pythonを初めて学びました。オペレーターやツールをアドオンにまとめ、1人でも素早く制作できるパイプラインを作っています。アーティストにもコーディングを勧めています。
次の「Project 2D3D」は、20年以上使ってきたBlenderと、40年以上続けてきた絵という2つの情熱を合わせる試みです。テーマはコミック寄りで、表情豊かで怒った顔や、大きな鼻のキャラクター、魔法使いのような癖のあるモチーフが好みだと語られます。
第1段階:個人的な2Dスタイルを3Dに持ち込む(現在ここ) 第2段階:アニメーションツールが中心 3Dでも、2Dと同じく「ディテールの量」をどう決めるかが課題になります。グリースペンシルを使い、アニメーションや、変形するジオメトリの上でも動くことを前提にしています。
1人で空き時間に進めるため、素早く効率的に作る方針を持っています。
すべてをモデリングしない。スタイル次第で、顔や目、口を2Dで描くなど、2Dと3Dのパイプラインを混ぜます。 ジオメトリノードを取り入れる。苦手なら、必ず使うプロジェクトを自分に課して学びます。 アセットを活用する。ジオメトリノードのモディファイアやトゥーンシェーダーをアセット化すると、ドラッグアンドドロップで素早く使え、コードからも呼び出せます。 アドオンを作る。よく使うオペレーターや既存のプロパティを、サイドバーにまとめます。 ワークスペースを増やしたり、デフォルトを変更したりする代わりに、プロジェクトごとに「スーパープリセット」ボタンを作り、初期設定を一括で行っています。
カラーマネジメントをStandardにする(2Dでは特別な色管理が不要) ジッターシャドウを有効にする グリースペンシル用に、深度パスを有効にする この2D3Dパイプライン専用のワールドシェーダーを作る ブラシと描画の設定、お気に入りツールへのクイックアクセス ワイヤーフレーム表示、3Dカーソル、原点表示のオフ ワークベンチのシャープなシャドウは、2Dパイプラインと相性がよく、EEVEEのシャドウもこうなってほしい、という感想が添えられます。
このプロジェクトの重点は、3Dシェイプ、グリースペンシルの線、トゥーンシェーディングの3つで、どれが欠けても全体が崩れます。アニメーションも2Dスタイルを左右しますが、次の段階の課題です。
カーブで作る3Dシェイプ
2Dのスケッチには、平らな形、チューブ状の脚、影や断面線で探る立体感があります。これを3Dで再現するため、1本のカーブ(10本のスプライン)を使い、それぞれのスプラインが別のオブジェクトを変形させる構成にしました。各オブジェクトには、2つのジオメトリノードモディファイアを持たせています。まだ完全にプロシージャルで、足のトポロジーが変形に弱い点は課題です。
カプセルとスプラインの追従
Blue Zooの昨年の講演で紹介された、カプセルだけでキャラクターを作る手法に着想を得て、キャップの追加・削除や、先端のスケールを変えられる「カプセル」を作りました。カーブでは、任意の軸での変形と、スプラインに沿った移動・スケールができます。スプラインのインデックス番号を指定して、特定のスプラインへ追従させることも可能です。
1つのスプラインで、複数のオブジェクトを変形できる 編集モードを出入りせずに、プロパティをピン留めできる ボタン1つで、ミラーを一括設定できる カーブの始点と終点にボーンを置いて、アーマチュアを作れる Blender 4.3以降、グリースペンシルがジオメトリノードに対応したことが、このプロジェクトを始めた理由だと語られます。
線には、ラインアートモディファイアが生成する線と、手描きの線があります。生成された線は太さが均一で個性に欠けるため、混ぜると馴染みません。そこで、線に不完全さを与える「線の太さ」モディファイアを自作しました。既存のノイズと太さのモディファイアをまとめて、好みに合わせて微調整し、拡張できるようにしたものです。
カメラからの距離で太さが変わる。ただし、太さが変化しない基準距離を設定できる ターゲットのオブジェクトやコレクションの頂点グループで、太さを制御できる メッシュ上に描くには、ストローク配置を「サーフェス」にし、オフセットを0にします。ただし、あとから調整しにくく、線がメッシュに食い込むことがあります。
そこで、「メッシュにスナップ」のモディファイアを追加し、対象のメッシュを指定して描き続けます。距離は、固定値か、グリースペンシルの線の半径(太さ)を使う方法があり、後者が既定です。発表中に紹介された基本のセットアップは、ほかのモディファイアやノードを足して拡張する土台として使えます。
変形するジオメトリにグリースペンシルを追従させる方法は複数あります。ここでは、発表者独自の方法が紹介されます。
ほかの方法
グリースペンシルの開発者Falk David氏によると、Sticky GPという機能がBlenderに入る予定です。 サーフェスデフォームモディファイアを使い、グリースペンシルをいったんメッシュに変換してから戻す方法もあります。ただし、やや硬く、バインド後は描き直しにくくなります。 独自の方法
変形しない「レスト」オブジェクトと、アニメーションで変形するオブジェクトの2つを使い、UVを介してSample UV Surfaceノードで位置などを転送します。UVが重ならないことが条件です。2つ必要な点を解消するため、Blender Artistsで教わった「レスト位置」の属性を使い、頂点の元の位置を参照して1つのオブジェクトにまとめました。細分化したオブジェクトに描く場合は、ジオメトリをスムーズにして元の形に近づけます。完全ではないものの、実用に足るという評価です。
線の食い込み対策
グリースペンシルの線はチューブのような体積を持つため、口の端などでメッシュから飛び出します。ジオメトリノードにはレイヤーウェイトのノードがないため、オンラインの方法で再現し、横を向いた部分ほど線をメッシュ側へ押し込みます。この補正はビューポート専用で、オンオフのボタンを付けています。
そのほかの機能
エラー、情報、警告のメッセージを表示するチェックリスト 帽子のように原点にない部品のための、相対トランスフォームの開始位置 変形した状態で描き、レスト位置へ送る手順(新しいレイヤーを作り、ほかのモディファイアの対象から外して描き、逆バインドする。スクリプト化の予定) カメラに対するキャラクターの角度に応じて、口を反転させるミラーと、回転に応じたマスクによる切り替え(インビトウィーン用) 長く取り組んでいるシェーダーです。EEVEEがEEVEE Nextに変わり、リアル寄りになったことで、トゥーン表現が難しくなったと語られ、NPRの新しい開発に期待が寄せられます。
方式は、ライトを赤・緑・青のチャンネルとして扱うRGBライトシェーディングです。EEVEEのShader to RGBノードでのみ可能です。 Principled BSDFを使います。ノーマルに属性をつないでも、属性がないときは既定値に戻るためです。スペキュラーはオフにします。 カラーランプの代わりにMap Rangeを使うと、影の位置に加えて、柔らかさや硬さも数値で調整できます。 目標は、フラットシェーディングから真っ黒な影まで幅広い雰囲気に対応することです。ベースカラーを0〜200%で上書きしたり、2階調の影を作ったりでき、影とハイライトの色や、ブレンドモードも調整できます。
グリースペンシルのフィルは平面のため、ライティングの影響を受けません。表面に置いても、すぐにメッシュに食い込みます。
そこで、描画をジオメトリ(メッシュ)に変換するモディファイアを作りました。トポロジーの変更や、元の線の表示・非表示を選べます。生成したメッシュにはマテリアルが必要で、マスクを作って色も変えられます。トポロジーが荒くシェーディングが乱れる場合は、対象のオブジェクトやコレクションの法線をサンプリングして直します。フィルもシェーディングの一部になり、目に焦点を寄せる表現もできます。
耳のリムライト
リグを組んでいる耳の頂点グループをマスクにして、回転係数と組み合わせると、ライトが当たる位置を調整できます。回転には限度がありますが、狙ったリムライトを作るには十分です。
しわの法線調整
しわなどの線をメッシュに変換し、ジオメトリのプロキシミティで白黒の柔らかいマスクを作って、法線の調整に使います。口元、額、あご、目の下などの陰影がはっきりします。高品質な方法はほかにもありますが、速さを優先したアプローチです。
Level Up Your Non-Photoreal Rendering with One Weird Trick非フォトリアルレンダリングを上達させる「唯一のコツ」として、絵を描くことが語られます。後半には、ライブドローイングの体験パートがあります。(登壇:Dave Ferner/再生時間:49:19)
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イントロとスタジオ紹介
配布ファイルとNPRの範囲
ジブリの雲問題
唯一のコツ:描く
描くことは見ることを学ぶこと
制作ツールとしての描画
NPR版ドーナツチュートリアル
ほかのアーティストの事例
まとめと「最初の1万枚」
ゲスト:ライフドローイングの紹介
ライブドローイング体験
❯ 登壇者は、ロンドンの小さなアニメーションスタジオReal Good Liarsの共同創業者です。常勤は2人で、プロジェクトによって最大8人ほどになります。ノートPCが故障したため、借りたMacBookで登壇しています。
NPRの中でも、自分たちの好みに寄せた作風を追求しており、ショーリールの約9割はBlenderの案件です。
配布される作品ファイルは、Creative Commons BY 4.0です。実制作のファイルで、EEVEEを使い、Blender内だけで仕上げています(外部コンポジットなし)。
スクリーンスペースでディテールを管理する手法 2Dアートを3D空間に取り込む手法 グリースペンシルとメッシュを相互にアニメーションさせるツール ただし、今回の主題であるコツは、これらのテクニックではありません。ここでのNPRは、リアルではない見た目、特に絵のように見えるものを広く指しています。
NPRの講演や解説の多くは、ジブリ風の雲をどう再現するか(ジブリの雲問題)に集中しています。どの解説も、お手本にしている美術家たちが実際にやっていることを再現できていない、と指摘されます。
ジブリ作品の美術監督が雲を描いていく映像を見せたうえで、コツが示されます。「外に出て雲を見て、描く」ことです。CGの技術ではなく、直接描くことを指します。
ここでいう「描く」は、鉛筆でも絵筆でもマウスでもよく、作り手と画像が直接つながり、画像の中のすべてが自分から出てくる状態です。簡単なコツではない、と断りが入ります。
描くことは、見ることを学ぶことだと語られます。ペンとインクで、下描きなしに描くスケッチブックを常に持ち歩き、何を入れて何を入れないか、どう伝えるかを判断する訓練にしています。重要なのは、完成した絵ではなく、鍛える過程です。
写真の参考資料は、他人が選んだ被写体、アングル、瞬間です。現場で描いたものは、自分だけの体験を伝えます。 線の1本1本に意図を込めます。細部を大量に埋められるAIアートとは逆のアプローチだ、と述べられています。 Blenderでの作品でも、瓦屋根や窓は最小限の表現にとどめ、月は2色だけで質感を示しました。 描くことは、制作の道具としても役立ちます。挙げられた事例は次のとおりです。
手のクローズアップ:手をモデリングしてリグを組む代わりに、ラフをToon Boom Harmonyで、仕上げと陰影をグリースペンシルで描きました。トレースではなく、スケールや指の見え方を調整しています。 レーザー:ジオメトリノード、レイキャスト、シミュレーションゾーンでインタラクティブなレーザーを作ったものの、数フレームしか映らないため、2Dエフェクトアニメーターに依頼しました。短時間で、より見栄えのよい仕上がりが届き、スピードラインやトレンチ側面の光も加わりました。 雲:ボリューメトリクスや流体シミュレーションではなく、3日以内で手描きされました。 宇宙船:3Dなのはトレンチとターレットだけで、ほかは2Dです。 音楽の可視化:Blender 5.2のSample Sound Frequencyノードを使わず、描きました。 カメラアングルの確認:スクリブルで済ませ、モデリング後の修正を避けます。 仕上げ:グリースペンシルをカメラにペアレントし、ショットごとの小さな不具合を上から描いて直します。 【Tips】登壇者の方針 描かない正当な理由がない限り、描く。描くのが大変、というのは正当な理由ではない、と述べられています。
NPR版のドーナツチュートリアルが披露されます。手順は、Blenderを開く、空のグリースペンシルオブジェクトを追加する、そして描く、というものです。冗談めかしつつ、「描く」を既定の選択肢にする主張が示されます。
ほかのアーティストの例が紹介されます。スケッチブックの癖が、Blender作品にも現れています。
漫画家出身の作り手による、自発的な手描きの短編 2Dのキャラクターデザインが3Dの作品にもそのまま現れる例 学生作品の肌の描き方や、配色が、本人の手描きと一致する例 棒人間のように見えても、構図(『最後の晩餐』のような配置、限られた色、カーペットの線による視線誘導)が練られた作品 最後の作品を作ったデュオの1人は、ライフドローイングに多くの時間を割いているそうです。
NPRは新しい表現の始まりだとまとめられます。2Dアニメーションは100年以上、3Dは約40年の歴史があり、その境界を薄められるようになったのは最近です。過去の表現を模倣するだけでなく、新しい表現を作る機会だと述べられます。
登壇者自身は、絵に苦手意識を持つ側で、グラフィックデザインと3Dの出身だと明かします。学ぶうえで唯一のコツとして、「最初の1万枚の絵が最も難しい。悪い絵をできるだけ早く出し切る」という言葉が引用されます。6年分のスケッチブックは1メートルを超え、約4,000枚に達するそうです。
ゲストとして、ロンドンで毎週ライフドローイングの会を主宰するモデル兼アーティストが登壇します。写真や動画ではなく、目の前の立体を描くライフドローイングは、画像づくりを学ぶうえで最も豊かな方法の1つだと語られます。
会は、集中しつつもリラックスした、社交的な雰囲気を大切にしています。1〜20分の短いポーズで、考えすぎずに描く「フロー」状態を重視します。終了後は、床に作品を並べて見せ合い、互いのやり方から学びます。
会場で、ライブドローイングの体験が行われます。鉛筆は消せないため、描くよりモデルを見る時間を長くするよう促されます。登壇者はBlenderで描きます(途中でキーボードのトラブルもありました)。1〜2分のポーズが中心で、次のコツが挙げられます。
紙よりモデルを長く見る 胴体や頭などの大きな塊の位置と向きをつかむ 消さずに描き足し、下描きを薄くして重ねて修正する 手などの難しい部分を飛ばさない(ミトンのように単純化するのは可) 1分のポーズでは完成を求めず、骨格だけを描く 最後は、上の階のスペースで作品を見せ合う流れになります。
Motion Sculpting:新しいアニメーションの考え方従来のキーフレーム中心の作業から離れ、「密なアニメーション」をブラシやスプラインで彫刻するように編集する手法の講演です。Mixamoのリグを使ったデモがあります。(登壇:Nacho de Andrés/再生時間:54:48)
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イントロと自己紹介
従来のアニメーションの摩擦
「密なアニメーション」という考え方
FKリグとアニメーションキャッシュ
ステートレスなリグとツール群
デモ:Mixamoのリグで試す
ワームホール表示
IKとロックを使った編集
スプラインとブラシによる調整
セットアップとピッカー
複数キャラクターの編集
制作用リグへの応用とキャッシュの仕組み
公開予定と質疑応答
❯ 登壇者はゲームアニメーターで、『Fabledom』や『Manor Lords』のアニメーションを手掛けてきました。粘土アニメーションのように、机の上で作るような「触って作る」感覚を、Blenderのアニメーションに持ち込むための実験が紹介されます。
約4年前にPythonを学んでからツール開発を始め、PixarやDisneyのアニメーターとも、自宅でBlenderを使う人向けのツールを開発しているそうです。この講演の内容の一部は、すでにそれらのツールに戻されています。
従来のワークフローには、次のような摩擦があります。
ウェイトペイント済みのメッシュにボーンを入れ、自動ウェイトを付けたあと、さらにコントロールリグを重ねる作業が大変です。 FKとIKの切り替え、ポールの漂い、ストレッチボーンのわずかなずれなど、リグ特有の問題があります。 リグごとにコントロールが異なり、使いこなすにはリグ自体を深く理解する必要があります。 Blenderには、リアルタイムのモーションパスやオニオンスキンがありません。現在のフレームで編集するたびに、将来のフレームを評価し直す必要があり、リグ全体の依存関係の連鎖を読み直すことになるためです。
モデリングでは、CBRSやNomad Sculptの登場で、ローポリを作る代わりに、密なメッシュをスカルプトする手法が主流になりました。密になるほど、以前と同じ制御を保つための道具が必要になり、その道具が可能にしたものです。アニメーションでも同様に、「密なアニメーション」(すべてのフレームにキーがある状態)を強みにできる、という主張です。
既存の道具も紹介されます。Animation Offset、Auto IK、そして自作の「Propagate」(ポーズの変更を隣接フレームに広げる)です。ただし、これらだけでは目的に足りませんでした。
まず、ウェイトペイントの情報を使って、ボーンを直接選ぶ代わりにメッシュ上から選べるようにしました。次に、あえてFKリグに限定することで、遅延の問題に対処しています。
FKのチェーンは、時間経過での動きが予測しやすい構造です。F-カーブを読めば、Blenderに未来の状態を問い合わせなくても、すべてのボーンの位置がわかります。これを使い、ボーンの未来を読む「アニメーションキャッシュ」を作りました。
選択したボーンのモーションパスを、ほぼ無料でリアルタイムに表示できます。 オニオンスキンも、多様な設定で重ねられます。 範囲、減衰、影響度を指定して、ポーズをリアルタイムに伝播できます。 目標は、グラフエディターを見ずにアニメーションを作ることです。 スプラインの制御が恋しくなる場合に備え、キーになるフレームを指定して、パスをスプラインとして変形できるツールも作られています。IKも扱え、チェーンが途切れる位置(接続されていないボーン)を自動で判定します。
FKリグと単純なスケルトンという条件のおかげで、FKとIKを切り替えずに、その場でアニメーションを操作できる「ステートレスなリグ」が実現します。代償として、操作は直接アニメーションに書き込まれます(見えているものをスカルプトする感覚です)。
手足のロックは、空間に固定する従来の方式ではなく、その操作の間だけ、ロックした部位が自分のアニメーションを保ちます。 任意の場所(ボーンでなくてもピボット可)から、回転できます。 回転ロックは、上流のみ、下流のみ、両方の3種類です。 スパイクの修正用に、キーを広げる、結合する、滑らかにするスライダーがあります。 モーションパスの上をスカルプトのように動かせる「モーションブラシ」があります。 内部の流れは、入力を受けたソルバーが現在のフレームを解き、伝播システムがその結果を範囲内のフレームへ送り、ジェスチャーの最中はキャッシュに、指を離した時点でF-カーブに書き込む、というものです。開発途中のアルファ版で、ジェスチャー中の描画などは調整の余地があります。
Mixamoのリグとアニメーションをインポートし、セットアップなしで動かします。コントロールリグは使わず、ボーンごとのウェイトペイントを読み取るため、多くのMixamoリグではそのまま動作します。
手足(リム)は、ボーンをダブルクリックして定義します。分離した股関節でも、つま先から腰までを1つのリムとして認識できます。 モーションパスは、その場で描かれます(計算済みではありません)。選択中のボーンだけでも、すべてのボーンでも、ほぼ30fpsで再生しながら見られます。 オニオンスキンは実際のメッシュから読み取っており、約3万ポリゴンでも動作します。可視範囲は増減でき、アニメーションの長さに実質的な上限はありません。 フローティングUIは、GPUモジュールで独自に描画しており、Blenderのパネルをその場で読み込んでいます。 速度表示に切り替えると、ボーンごとの速さを、ほかの部分と比べて見られます。
オニオンスキンが多いと、何が起きているか読み取りにくく、操作も難しくなります。そこで考案したのが「ワームホール」と呼ぶ表示です。XYZと時間に加えて、画面空間(スクリーンスペース)を使い、過去を左、未来を右に、空間情報を分離してオニオンスキンを並べます。動いていないアニメーションでも、これから何が来るかが見えます。
読み取りにくかったパスも、この見せ方だと、頭の向きや傾きが把握しやすくなります。動かすと、範囲内の各フレームに影響します(例:19フレーム前から22フレーム先まで)。減衰は、スムース、リニア、イン、アウトで変わります。
基本はFKですが、IKとしても動かせます。動かしたいものを、狙った通りに動かせる点が、目標としていたストップモーション的な触感に近いとされています。
有効なIKチェーンには、ポールが自動で現れます。長さは自由です。 膝だけを調整したいときは、下流の回転ロックを使い、足の回転をそのジェスチャーの間だけ固定します。 体を動かしても足を置いたままにしたい場合は、足をロック(位置と回転)してから動かします。 デモでは、剣を振るアニメーションの構えの部分を、範囲と減衰を指定してGキーで動かし、より劇的にしました。足は空間に固定されず、それぞれのアニメーションを保ちます。
【Tips】処理が重くなる場面 前後50フレームぶんの伝播を、操作するボーンごと、オニオンスキンとモーションパスとあわせて計算するため、範囲を広げると動作は遅くなります。
スプラインのツールは、IKで動く腕の密なアニメーションに、スプラインの制御を追加します。腕の軌道を、その場で決められます。追加した「テンションスライダー」で、アニメーションを両端のどちらへ寄せるかも調整できます。スプラインがリムの届く範囲を超えても、リムはそれ以上伸びません(ストレッチする手足は今後の対応予定です)。
登壇者は、スプラインが重要でないとは言っていません。グラフエディターは、パスをリアルタイムに描けなかった時代の抽象化であり、見えているものを直接触るほうが速い、という立場です。
ブラシは、独自の範囲を持ち、影響度に応じてオニオンスキンの濃さが変わります。急な動きを和らげたり、スカルプトのようにアニメーションを整えたりできます。
【Tips】回転ロックと伝播 回転ロックが有効だと、指の回転が保持されて手が崩れます。ブラシ使用中は伝播が働かないため、通常の操作に戻す際は伝播を再度有効にしてください。
セットアップは簡単で、専用の編集モードで、ウェイトペイントに基づいてメッシュの切り抜きを自動生成します。ボーンは親子関係を保ったまま分離される「プロキシリグ」です。
チェーンをダブルクリックして右クリックからリムを作成し、ミラーを設定します。 ポーズを付けた状態でプリセットを追加すると、ピッカーを呼び出せます。右手だけ、両手だけなど、プリセットをその場で切り替えられます。 通常のコントロールリグ向けのピッカーも構想していますが、ボーンとコントロールの対応付けが必要なため、より複雑です。 今後の計画として、ブロッキング用ツール(現在は未完成)、リタイミング、アニメーションの混合、ループ、物理演算の追加が挙げられます。ゲームエンジン用キャラクターのリターゲットでは、スパインのボーン数が違っても、回転を再配分して近い結果を出すことも目標です。
2体のリグをポーズモードで選び、Ctrl+Shiftで切り替えると、どちらのキャラクターも同じ操作で扱えます。デモでは、キックをより誇張し、蹴られる側の反応に合わせて押し戻す動きを加えました。
ワームホール表示で、過去と未来のフレームの関係を見ながら編集します。 カーブを触らず、見えているものだけで、押し戻しの強さを調整します。 足はロックしても空間に固定されず、それぞれのアニメーションを保つので、位置を変えてもアニメーションの残りはそのまま保たれます。 蹴りの誇張で、構えの部分が崩れた場合も、押し戻しを壊さずに直せます。 デモ中にクラッシュはなかったものの、まだ開発途中だという断りがあります。
これらの実験は、既存のアニメーションの編集に役立ちます。ここまでのツールの多くは、すでに制作用リグ向けに取り込まれています。制作用リグでは、スプラインのアニメーションも扱え、カーブの意味を独自に抽象化したうえで、ハンドルを直接操作して3D空間で調整できます。ロードマップには、まだ多くの機能が残っています。
キャッシュの工夫
Blenderは、依存関係グラフを1サイクルに1回しか評価できず、将来のフレームを測るには遅すぎます。そこで、CPUコア数を調べ、シーンのシャドウコピーを作って並列に読み込んでいます。オニオンスキンのメッシュは、毎回アップロードせず、1回だけ送ってGPU側でウェイトに基づいて変形させます(補正用のモディファイア(Corrective系)がある場合は完全に一致しませんが、実用上は十分です)。
FKとIKのいいとこ取りを、完成済みのアニメーションに対して実現する仕組みもあり、パスを空間ではなく、そのモデル自身の視点から見て整える使い方もできます。
ツール名は「Motionator」で、制作投入にはまだ早いものの、試して遊べる段階だとされています。支援者向けにアクセスを提供する予定ですが、支援できない人はまずBlender Foundationを支援してほしい、と呼びかけがあります。
Unreal Engineのエフェメラルリギングに似た仕組みかという質問には、似た系統のシステムで、こちらはBlender内でネイティブに動作し、多様な工夫を加えている、という回答でした。 操作の履歴に戻れるかという質問には、現時点では戻れないものの、直接上書きする代わりにスナップショットを作り、変更との間をブレンドする機能を計画している、という回答でした。 Automotive Design in Blender:自動車デザインの現場自動車デザインのエクステリアとインテリアで、Blenderがどのように使われているかを紹介する講演です。今後の要望にも触れています。(登壇:Kim Jern、Rodrigo Candell、Ardalan Farboud/再生時間:18:15)
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自動車デザインにおけるBlender
エクステリアのワークフロー
インテリアのデザインプロセス
今後の要望とまとめ
❯ 自動車デザインでは、約10年前まで、ポリゴンモデリングはほとんど使われていませんでした。標準は、AliasやICEM Surfのようなツールを使った、厳密で確立したNURBSのワークフローでした。
変化のきっかけは、明確な戦略ではなく、より詳細なモデル、より多くのバリエーションを、少ない時間と人数で求められるようになったことです。ほかのDCCも試したあと、作業の多くをBlenderに移していきました。
スウェーデンのヨーテボリのスタジオで、約80人のデジタルモデラーが在籍しています。 Zeekr、Lynk & Coなどのデザインを手掛けています(自動字幕の表記による)。 現在、デザイン開発の約半分をBlenderで行い、最終段階でNURBSツールに移行します。 エクステリアチームの進め方は、デザイナーのスケッチとエンジニアのデータを受け取り、モデリングを始めるというものです。約7年前(2020年頃)にBlenderを選んだ理由は、動作が速く滑らかで、創造的な業界に合った創造的なソフトだからです。1つのソフトで、可視化、モデリング、プレゼンテーションまで行えます。
初期のスケッチから最終スケッチまでBlenderで進め、実際に販売されている車になった例が、Zeekrの複数車種で紹介されます。デザイナーがスケッチを重ね書きして戻すやり取りを、何度も往復します。
立ち上げ時の課題と解決策
曲面の評価:Blenderは自動車向けではないため、AliasやICEM Surfの見え方を真似たマットキャップを用意しています。 データ連携:クレイモデルの切削機はCATIAなどのファイルしか読めません(自動字幕上は「KIA」)。現在は、ハイライトやサーフェス上のカーブを詳しく検証するため、Autodesk Aliasを経由しています。 Aliasがない場合は、アドオンのSurface Diagnosticが使えます。アイソアングル、ゼブラ、断面、勾配や切断の確認ができます。 切削後のクレイモデルにある不整合は、切削側で修正され、STLスキャンで戻ってきます。同じ修正をBlender側でも再現します。 Aliasの非比例ビュー(カメラを歪めてCVを見分けやすくする機能)は、Blenderにありません。現状はXYZのスケールで代用しており、ビューポートの歪み表示の追加を望む声が出ました。
Blenderの利用はスタジオ内で広がり、デザイナー、CMF、可視化、VR、エンジニアリングも使い始めています。流れは、スケッチ、モデリング、クレイチーム、再更新、Aクラス(NURBS)チーム、生産チームの順です。
インテリアのモデリングは、ゼロから始めるのではなく、エンジニアリングデータ(CATIAのカットパーツやNURBSのワイヤー)から始まります。
データはBlenderへ取り込む必要があり、Surface Cycleなどの既存アドオンに加えて、ドラッグアンドドロップ対応の独自スクリプトを使っています。 CATIA、Alias、Blenderのどこにいても同じ構造を保てるため、従来のモデリング部分で重要です。 デザイナーとの対話
デザイナーはいつも「これは作れるか」と聞いてきます。Blenderなら、さまざまなアイデアに素早く応答して形にできます。比率やサーフェスをその場で試し、「こう変えたらどうなるか」の答えを素早く返します。Blenderは単なるモデリングツールではなく、デザインと対話するためのツールだ、というのが登壇者の位置づけです。
シートとコンセプトカー
シートは、柔らかい部分が最後までポリゴンで制作に進む、数少ないパーツの例です。コンセプトカーでは、デザイナーのスケッチから、インテリアとエクステリアを同時に、すべてポリゴンで作ります。マテリアルとカメラを決め、テストレンダリングで確認するまでBlenderで行い、ショーカーとして展示に進みます。
ここまでの内容は、モデリング部門全体の成果だと強調されます。Blenderの強みは、速度と柔軟性、そしてアイデアを試す自由です。今後の要望として、次の3点が挙げられました。
Blender内でのネイティブなNURBSモデリング(工程をより1つの環境にまとめるため) サブディビジョンサーフェスを、カーブの投影で切断・トリミングする機能 実寸でモデルを確認する、拡張現実(AR)のサポート強化 実際の車は、ヨーテボリのスタジオが関わるZeekrのショールームなどで見られます。締めくくりに、Blenderとコミュニティへの感謝が述べられます。
Porting Blender to Android:Android版Blenderの移植BlenderをAndroidに移植する作業を、クロスコンパイルやGradleの構成、タッチ・ペン操作のライブデモまで、技術面から解説しています。(登壇:Jonas Holzman/再生時間:57:42)
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イントロと講演の構成
クロスコンパイルとツールチェーン
GradleとGradle Staging
依存ライブラリとAndroid固有の起動処理
ライブデモ:タッチとペンの操作
デモ:Gスプラットとジオメトリノードなど
GHOSTバックエンドとSDL
AndroidのGPUサポートとプロファイリング
タブレットUIの設計方針
利用シナリオと今後の計画
❯ 登壇者は、BlenderのVR・XRサポート、macOSプラットフォームの保守、そしてBlenderタブレットプロジェクトを担当する開発者です。講演は、次の3部構成です。
BlenderをAndroid向けにビルドする技術的な話 Androidタブレットでのライブデモ タブレットUIの設計と、タブレットでのBlender体験 Androidへの移植は、まずビルドから始まります。ここでのビルドは、ソースコードをコンパイルして実行ファイルにする作業で、正確にはクロスコンパイルです。ソフトを作るホスト(PC)と、実行するターゲット(Androidタブレット)が別のプラットフォームになります。
Androidツールチェーンファイル
CMakeにAndroidの環境を教えるための設定ファイルです。ターゲットのABI(プロセッサの種類)、API level(対応する最低限のAndroidのバージョン)、C++標準ライブラリ(STL)などを定義し、GoogleのNDKのツール群を使えるようにします。
コードジェネレーターとホストツールのサブビルド
Blenderには、ビルド時にソースを生成するツール(例:.blendファイルに保存する構造体を扱うmake_sdna)があります。Android向けにビルドすると、そのツール自体もAndroid用の実行ファイルになり、PC上では動きません。そこで、ホスト用のツールだけをビルドするサブビルド(Blenderの完全なビルドの中に置く小さなビルド)を用意しました。コンパイルするのは346個の翻訳単位で、Blender全体の約7,800個より大幅に小さな規模です。
Gradleは、Java系で一般的なビルドシステムで、AndroidのAPK(Androidのパッケージ)を作るために使います。通常はGradleがCMakeを呼び出してC++をビルドしますが、Blenderのビルドは複雑なスクリプトや独自のロジックがあるため、この方式ではGradleが混乱します。複数のプラットフォームを対等に扱いたいので、ビルドシステム自体を大きく変えることもできません。
Gradle Staging(登壇者の考案した手順)
通常どおりCMakeでビルドし、インストールツリー(ビルド済みのアセットやライブラリを整理したフォルダ)を作ります。 不完全なGradleプロジェクトの骨組み(Androidアプリ用のアイコンやマニフェストを含む)を、ビルドフォルダにコピーします。 共有ライブラリとランタイムアセットを、そのプロジェクトにコピーします。 Gradleには「コンパイル済みライブラリを含む通常のAndroidプロジェクト」に見せかけて、APKを組み立てさせます。 画面収録では、CMakeがNDKのコンパイラとAndroid向けライブラリを見つけ、ホストツールをビルドしたあと、Android用のターゲット(android upload)でステージング、APKの生成、端末への転送まで行う流れが示されます。
Blenderの依存ライブラリは、更新のたびに増減し、ビルドシステムもばらばらなため、登壇者が3年間向き合ってきた作業です。詳細はプルリクエストにまとめられています。Android向けに手間がかかった例は次のとおりです。
Python:クロスコンパイルではモジュールのビルドが難しく、Python自身にAndroid上で動いていると思わせる仕組み(Python crossenv)を使います。 Open Shading Language:特に難しかったとのことです。 Open Image Denoise:Android向けのISPCコンパイラが必要です。 Vulkan:AndroidにはVulkanローダーがなく、ヘッダーの扱いが特殊です。 起動の仕組み
AndroidのアプリはJavaから始まるため、Blenderの実行ファイルは、ライブラリ(libblender)に置き換えられています。BlenderActivityがAPK内のファイルをディスクに展開し、SDLActivityがライブラリを読み込みます(JNI経由)。標準出力とエラー出力は、デバッグ用にadb logcatへ転送し、argv[0]を展開先のフォルダに書き換えて、ランタイムファイルを見つけさせています。
実機のAndroidタブレットで、Blenderを起動するライブデモが行われます。PoC(概念実証)のビルドで、最終製品を示すものではありません。
指でビューポートを回転、2本指でパンとズームができます。オブジェクトの選択やギズモの操作もタッチでできます。 ペンとタッチは別の入力として扱われます。ペンでは、選択やビューポートへの描画など、マウスと同じ操作ができます。 ペンのホバーにも対応し、ギズモへのハイライトやツールチップが出ます。 2Dエディターのドラッグや、ノードツリーの操作(背景からのドラッグでパン、ノードからのドラッグで移動)も動きます。 「モディファイアホイール」は、キーボードの代わりに使う修飾キーで、切り替え式です(Androidタブレットではペン使用中にタッチが使えないため)。「クイックフェイバリット」は、キーボードでしか使えない操作をまとめたもの、エスケープとエンターのボタンもあります。 2本指タップでアンドゥ、3本指でリドゥ、4本指でフォーカスモード(UIを消す)に入る、といったジェスチャーも実装されています。回転を含むジェスチャーは、グリースペンシルでの描画を想定したものです。
Blenderのフル機能が動くことが強調されます。コンポジットやEEVEEも使えます(シェーダーのコンパイルには時間がかかり、影に不具合が残っています)。
Gスプラット:Blender 5.3の新機能で、デモの1週間前にマージされたばかりです。パンは滑らかで、点の選択、削除、比例編集もできます。 ジオメトリノード:ビューポートは60fpsで動作し、ノードツリーの編集もできます。 リグのポージング:ツイークツールで、キャラクターの頬や眉を動かせます。 アセットライブラリ:家具などをドラッグして配置する、製品デモのような使い方も示されます。 スカルプト:ペンの圧力でクレイブラシを使い、Shiftでスムーズ、Altでマスクを作れます。 グリースペンシル:新しいカバーツールとフィルツールも動きますが、シェーダーの制約でパフォーマンスは十分ではありません(対応中)。 GHOST(Generic Handy Operating System Toolkit)は、BlenderがOSとやり取りするための、33年の歴史を持つ層です。macOS、Windows、Linux向けのバックエンドがあり、SDLのバックエンドを使うと、直接対応していないプラットフォームでも動かせます。
SDLは最近、SDL2から SDL3に更新され、古いバックエンドに比べて近代化されました。 SDLのウィンドウ内にVulkanのGPUバックエンドを表示できるようにしました。AndroidはSDLの実装があるため、素早い実験ができました。このデモはSDLなしでは存在しなかったといいます。 将来は、ネイティブアクティビティを使った独自のGHOSTバックエンドに切り替え、システムとの連携を強める計画です。 AndroidのGPUは、デスクトップのGPUよりはるかに機能が限られています。これまでBlenderの起動を妨げていた機能(例:logic op)を、任意または非推奨にする作業が進められています。Vulkan 1.1への対応が進み、Vulkan 1.2はBlender 5.3にマージ済みとされています。
コミュニティが報告した端末で見ると、Blender 5.2では34台中7台が対応、新しい作業で13台、拡張ターゲットで16台に増える見込みです(コミュニティの報告による集計で、Android端末全体の分布ではありません)。
プロファイリング
Androidシステムのプロファイラー(Perfetto)は、システム由来の性能問題の診断に役立ちます。最近Blenderに統合されたTracyプロファイラーは、Androidでもそのまま動作し、ローカルネットワーク越しにリアルタイムで端末の挙動を見られます。
昨年のタブレットワークショップでは、メニューを少し大きくする案が出ました。その後、UIデザイナーが、ネイティブUIでBlenderを作り直すようなモックアップを示しました(iOSのリキッドグラスなどを使用)。
ネイティブUIを使うべきかという問いへの答えは「使わない」です。大規模なオープンソースプロジェクトとして、複数のUI実装を維持できないためです。代わりに、タブレット向けウィジェットを含む、統一されたBlender UIを目指します。方針は次のとおりです。
デスクトップ、タブレット、ペンタブレットのすべてで使えること(ペンタブレット利用者の体験の改善も目的) 開発者がデスクトップPCだけでも、タブレット向けの機能を開発、テストできること タッチとペンの両方に対応すること 想定される使い方は、次の3つです。
スタンドアロン:タブレット単体での制作(最終的な目標) ファイルビューア:制作せず、公共の場などで作品を見せる用途 コンパニオンデバイス:デスクトップとタブレットでファイルを同期し、ソファで作業してデスクトップに戻す使い方 今後の開発として、仮想ファイルシステム(モバイルのサンドボックスやクラウドストレージ用)と、タッチ入力の抽象化レイヤー(WindowsやLinuxのタッチ画面、トラックパッド向け)が挙げられます。
次のステップ
Androidブランチをメインにマージする。汎用のクロスコンパイル基盤も入り、iOSなど将来のプラットフォームの追加が楽になります。 10月にAndroid UIワークショップを開く。 Android向けのCI/CDの整備。 公開リリースは2027年前半を目標に、完璧なUIを待たずに早く出し、ユーザーと開発者を増やす方針です。 講演の最後に、デモ版をダウンロードできるQRコードが示されます。
Grandma Z:Clay Pencil、公式のBlender Labプロジェクト短編『Grandma Z』の上映のあと、Blender Labの公式プロジェクトである「Clay Pencil」の仕組みと現状の課題を紹介しています。(登壇:Daniel Martinez Lara/再生時間:22:52)
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短編『Grandma Z』の上映
自己紹介とClay Pencilとは
開発の経緯
「長期的な関係」という課題
Blender Labへの参加
現在の仕組み
2つのワークフロー
現状の課題
入手方法
まとめ
❯ 講演の冒頭で、クレイペンシル(Clay Pencil)で制作した短編『Grandma Z』が上映されます。音声のトラブルがあったため、話す前に先に映像を流す構成に変更されています。
登壇者は、バルセロナのアニメーションスクールを主宰し、プロやスタジオ向けにグリースペンシルを中心とした研修とコンサルティングを行っています。約12年間、グリースペンシルの開発に携わり、開発者と協力してアニメーターのためのツールを設計しています。
Clay Pencilは、グリースペンシルと、ジオメトリノードの2つの標準機能を組み合わせた結果です。短編は、Blender Labの枠組みの下で、このツールをBlenderに組み込む価値があるかを検証するプロジェクトとして作られました。組み込みを約束するものではなく、有用性と、実装の最善の形を確かめる試みです。
約2年前、グリースペンシルとノードの組み合わせが面白いと考え、ジオメトリノードを学びながら、自分なりの(荒削りな)実装を作りました。アドオンとして公開し、動画も作ると、コミュニティの人々がこの実装で作品を作り始めました。
アイデアを思いつくことと、制作で使えるツールを維持することは、まったく別の課題だと語られます。映画やテレビで自分のツールが使われた作品を見ると励みになりますが、次のような問題が起きます。
資源や資金が足りず、適切な開発者を見つけにくい ジオメトリノードに対する自分自身の限界 別の仕事(スクールの運営)との両立 Blenderの新リリースのたびに変更が入り、古くなったチュートリアルや、ツールの保守が必要になる AIを使って2Dアニメーションを3Dに変換する道も見えているものの、目指すのは、Blenderの中にこのツールセットを置くことです。
昨年、Blenderの側から、このプロジェクトをBlender Labの枠組みに置くことが決まりました。新しいことを試す場で、約束はなく、有用かどうかを試すためのものです。資金が得られる点で、大きな助けになっています。
約5か月前に作業を始め、何度かの試行の末に、適した開発者を見つけました。現在の実装はアドオンです。将来的にBlenderへネイティブに統合する可能性はあるものの、未定で、まずは有用かどうかの評価が目的です。開発では、無限の願望と限られた資源のせめぎ合いの中で、優先順位を決める必要がある、と述べられています。
現在は、マテリアル(またはレイヤー)の設定として使います。登壇者はマテリアルを好みます。目のマテリアルにClay Pencilのオプションを設定し、半径などのパラメーターを与えるだけです。
「コンストラクター」という種類が現在3つあり、今後増やす予定です。 例:ロフトのコンストラクターは、線を複製して、面を作るようなモデリング的な使い方ができます。 フィル(塗り)とチューブを組み合わせ、リメッシュ機能を使うと、ボリューム感のある見た目になります。 使い方は、大きく2つに分かれます。
2Dドローイングのワークフロー
2Dアニメーションに機能を適用し、ボリュームを持たせます。本物の3Dの体積ではなく、「クッキー」のような立体感ですが、スタイルによっては十分です。
モデリングのワークフロー
描くのではなく、車のようなものを作る使い方です。フィルとチューブを組み合わせて構成でき、リグのコントローラーも使うため、実質的に3Dでモデリングしている形になります。登壇者自身は、Grandma Zでは、よりアニメーションに近い、簡単な方法を好みました。
両方を組み合わせることもでき、標準のリグやエフェクトとも併用できます(Blenderの中にあるため)。標準のスカルプトの代わりではなく、別の選択肢として用意されています。
リメッシュは、ブーリアン処理が多く、ディテールの多い形では遅くなります。そのため、主にレンダリング時の使用が前提で、リアルタイムで作業するには向きません。押し出しなどの操作は、リアルタイムで動作します。 テクスチャは、ビューポート上でリアルタイムに生成されるため、通常のUVでは扱いにくく、投影やプロシージャルなマテリアルを使う必要があります。 5か月を経て、UI・UXの改善余地が大きく、バグも残っています。機能追加のアイデアも多数あります。 アドオンは、Blender Labのサイトからダウンロードできます。情報はまだ多くなく、前日にも改善を加えた新しいリリースが公開されました。デモファイルに古いものが含まれているため、今後数週間で、Grandma Zのファイルなどを公開する予定です。すべて公開して、みんなで試してもらう方針です。
3Dの制作には、デザイン、モデリング、リギング、アニメーション、シェーダー、レンダリングなど、多くの工程があります。それも悪くないものの、登壇者は、2Dのように、デザイン、アニメーション、コンポジットだけの簡単なワークフローを好みます。
Clay Pencilの狙いは、「鉛筆」(2Dのワークフロー)を使って、3Dの最終的な見た目を得ることです。3D環境で2Dのワークフローを使うと、多くのことが起こり、ワコムのペンやVR、空間に描くデバイスなど、さまざまな入力方法との相性もよい、と述べられます。要するに、2Dのワークフローで3Dを作る、という考え方です。
Every Hair Deliberate:ヘアカーブで作るフォトリアルな猫ヘアカーブで作られたフォトリアルな猫を題材に、領域の分け方、クランプ・カール・フリズ、毛の割れ、シェーディングなどの要点を解説しています。(登壇:Steve Chow、Alex Parker/再生時間:23:24)
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イントロ:マスコットの猫Winston
なぜ猫なのか
1. 頭と体の2領域に分ける
2. クランプ・カール・フリズ
3. テクスチャで毛の割れを作る
4. シェーディング:影の透明度
ダブルコート(上毛の追加)
まとめ
❯ スタジオのマスコットである猫のWinstonは、眼鏡をかけて新聞を読む、本物ではない猫です。数百時間をかけてアーティストが制作し、毛の1本1本を、Blenderのヘアカーブで作っています。
登壇者が所属するスタジオは、10年以上にわたり、フォトリアルな動物のキャラクターやクリーチャーを手掛け、高ディテールの動物の案件を数百件納品してきました。パイプラインはすべてBlenderで、モデリング、スカルプト、テクスチャ、リグ、アニメーションを行い、Cyclesでレンダリングします。
猫は、当初、ヘアカーブのシステムを試す社内テストでした。ブリティッシュショートヘアを選んだ理由は、リアルな動物キャラクターの課題がすべて詰まっているためです。
毛は短く、密で、ふんわりしており、シルエットは丸く豊かに保つ必要があります。 皮膚が伸びる首、腹、後ろ脚では、毛が自然に割れます。割れがないと、ぬいぐるみのように見えます。 ダブルコート(下毛と上毛)は、密度、長さ、ランダムさがまったく異なり、省くとリアリティが崩れます。 最初に行ったのは、Blenderを開くことではなく、どのモディファイアがどの課題を解決するかを整理することです。狙いが定まっていれば、試行錯誤の時間を減らせます。今回は、そのうち4つの要点が紹介されます。
猫全体を、頭と体の2つの領域に分けるだけです。従来のシステムでは、1つのレイヤーで制御できる範囲が限られ、密度や太さを変えるたびにレイヤーを重ねる必要があり、プロジェクトが重くなりました。ヘアカーブでは、密度、太さ、形をモディファイアが担うため、モデルの大きな形に合わせて分けるだけで足ります。
分割線は、頬のすぐ後ろに引きます。モデルの構造に沿うため、顔に不自然な継ぎ目が出ません。 分割は、テクスチャではなく頂点グループで行います。データがモデル内にあるため、ファイルを移動しても外部テクスチャのようにパスが切れる心配がありません。 体の毛は、3つのモディファイアを次の順に使います。クランプは毛を小さな束にまとめ、カールは各束に軽いカーブを与え、フリズは毛1本ずつをばらつかせます。
クランプ
ブリティッシュショートヘアの毛には、数を多く、1つずつは控えめな束が合います。強くしすぎると毛先が尖り、すぐに作り物に見えます。
ヘアカーブ特有の機能として、既定では束がガイドカーブに従いますが、「既存のガイドマップを使う」をオフにし、ガイド間の距離で密度を直接制御できます。旧システムでは、ガイドを手作業で足す必要がありました。
【Tips】カールにも同じ設定を カールもガイドカーブに従います。クランプだけオフにして、カールをオンのままにしたところ、ガイドが疎なため、束が大きく緩く広がり、パーマをかけたような見た目になりました。カールでも同じスイッチをオフにすれば解決します。
フリズ
毛が素直に真っすぐになりすぎないようにする最後の調整です。効かせすぎると、猫全体が汚れて見えるため、軽く加えます。離れて見ると雑然としていて、近くで見ると意図があるように見えれば、クランプの設定が合っている目安になります。
登壇者が最も話したい項目です。皮膚が伸びる場所で毛が割れる自然な見た目を、テクスチャで制御したTrimモディファイアで作ります。ウェイトでは、精度がポリゴン数に縛られ、メッシュが密でないと割れが粗く硬くなります。テクスチャなら、必要なだけ細かくできます。
割れを描くコツ
分布をランダムにし、整然と並べない 長さを変える 先端を細くして、ひし形に見えるようにする 少しカーブさせる この4つがそろって、初めて自然に見えます。
【Tips】見落としやすい落とし穴 描いたテクスチャをTrimにつないでも、何も起きません。既定の設定では認識されないため、ジオメトリノードエディターで、テクスチャを手作業で接続する必要があります。
これが機能すると、首や腹が平らな毛布のような見た目から、奥行きのある見た目に変わり、猫が生き生きとします。
グルーミングが終わってシェーダーを付けると、密な毛では、特に毛の奥が暗く沈み、ほこりが付いたような見た目になりがちです。対処は、少し変わったやり方で、透過BSDFとライトパスを併用し、影を真っ黒ではなく少し透けさせます。レンダラーに、影が思うほど濃くないと、少し嘘をつくような方法です。
【Tips】ビューポートが更新されないとき 調整しても、ビューポートが自動で更新されない場合があります。パラメーターが効いていないと思い込む前に、ソリッド表示に切り替え、レンダー表示に戻して再計算させてください。
さらに、根元を暗く、毛先を明るくするグラデーションを加えると、毛が立体的に見えます。
ここまでで作ったのは、下毛です。シェーディングが完成したら、レイヤーを複製して、より長く、よりランダムで、本数がずっと少ない上毛を作ります。上毛の役割は、シルエットを柔らかくし、猫にふわふわした輪郭を与えることです。
グルーミング中に作らない理由は、その時点ではシェーダーがなく、上毛の効果が見えないため、作業をやり直しがちだからです。見た目が固まってから2層目を加えれば、手戻りを減らせます。
ヘアカーブが変えたのは、毛を作れるかどうかではなく、毛の構造、テクスチャ、レイヤーを、制御でき、元に戻せ、積み重ねられる形で作れるようになったことです。この構造が、リアルな動物を作る最も重要な部分だといいます。毛は量ではなく、600万本の雑な毛より、6,000本でも層が整った毛のほうがよい、という考え方です。リアルに見えるかどうかは、毛の配置に理があるか、形にばらつきがあるか、近くで見てもシェーダーが破綻しないか、で決まります。
失敗談
長さのモディファイアをスタックの誤った位置に置き、後ろのモディファイアがすべて静かに壊れた。 更新されなくなったビューポートを、30分かけて調整し続けた。 毛は、リアルな動物を作る一要素にすぎません。皮膚、筋肉、被毛の構造を観察し、モデル、マテリアル、テクスチャ、リグ、アニメーションまで、Blenderがその全工程を通す道具になっています。最終的に本物の動物に見えるかどうかは、長年の観察と経験と判断で決まります。
Not Color:デジタルアーティストが知っておきたい色彩科学CIE1931の色度図を軸に、錐体の反応から、sRGB、カメラの色空間、ACES AP0までを順に説明する、色彩科学の入門的な講演です。(登壇:Nathan Vegdahl/再生時間:48:39)
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イントロ:この講演の位置づけ
色度図は「人間が見える全ての色」ではない
「色」は脳が作る
光のスペクトルと3種類の錐体
色覚の違いと「カラーオブザーバー」
Blenderで色度図を作る
馬蹄形の外側はどうなるか
RGB色空間の定義
sRGB:ディスプレイ色空間
白色点は2種類ある
Sony S-Gamut:カメラ色空間
ACES AP0:座標系としての色空間
補足と参考資料
❯ 登壇者はBlender Instituteで働くソフトウェア開発者のNathan Vegdahl氏で、以前はキャラクターリガー兼アニメーターでもありました。講演タイトルは「Not Color」です。冒頭で会場とのコール・アンド・レスポンスを行い、そのあと免責事項が述べられます。
【Tips】近似を含む講演です 色彩科学は非常に深い分野で、50分に収めるために近似が含まれます。登壇者は「地球は球体だ」と言うレベルの近似であり、「地球は平らだ」というレベルの誤りではないと説明しています。
講演全体の題材は、CIE1931の色度図(馬蹄形の図)です。この図の意味を本当に理解すれば、色彩科学の土台が分かります。
TVのレビューやYouTubeでは、この図が「人間の目が見える全ての色」と説明されがちですが、これはほぼ誤りです。正しいのは「人間の目に関する図である」という部分だけで、定義によっては色の図ですらありません。
ここでの「色」は、赤・黄・緑といった質的に異なる体験を指します。ただし、この講演で扱うのはその意味での色ではありません。
光は波で、振幅は明るさに対応します。 波長を連続的に変えても、感じる色は「連続的に増える」ものではなく、赤、橙、黄、緑と質的に異なる体験に切り替わります。 色は波そのものにはなく、脳が作り出しています。 色度図が扱うのは脳の中の色ではなく、光と目(脳に届く前の段階)です。
スペクトルのグラフ
実際の光は単一の波長ではなく、複数の波長が重なったものです。そこで、横軸に波長、縦軸にその波長のエネルギー量をとったスペクトルのグラフを使います。音なら3つの音として聞き分けられる光でも、目には1つの色の体験にまとめられます。
錐体(S・M・L)
網膜には、短・中・長波長それぞれに感度のある3種類の錐体があります。錐体は「どの波長で刺激されたか」を区別できず、感度に応じた刺激量を足し合わせた1つの値しか返しません。
その結果、複雑なスペクトルも3つの数値に集約されます。音なら豊かな響きになるものを、目は3つの数値へと畳み込んでしまうわけです。
RGBディスプレイの仕組み
異なる2つのスペクトルが、3つの錐体に全く同じ刺激を与えることがあります(黄色の単一波長と別のスペクトル、白色の等エネルギースペクトルと別のスペクトルなど)。目には区別できないため、RGBディスプレイは赤・緑・青の明るさを変えるだけで、さまざまな色を再現できます。
登壇者自身が色覚異常(異常3色覚)であることが明かされます。異常3色覚は最も一般的なタイプで、3種類の錐体は持つものの、M錐体またはL錐体の感度がもう一方に近づいています。
ここで、通常の色覚では区別できない2つのスペクトルを、この登壇者の目で見ると区別できることが示されます。つまり、通常の色覚と色覚異常は「互いに色覚異常」の関係にあります。
通常の色覚が区別できるスペクトルの集合と、異常3色覚が区別できる集合は、一部しか重なりません。 このように、光の見え方(区別できるスペクトル)が異なる観測者を「カラーオブザーバー」と呼びます。 異なるカラーオブザーバーは互いに非互換です。 ここからBlenderの画面で、色度図を一から組み立てます。
LMS空間
3軸をS・M・Lの刺激量とした空間を用意します。任意の光のスペクトルを、この空間内の3Dの点としてプロットできます。原点から点を通る直線上は、色相と彩度が同じで明るさだけが異なる刺激です。
貝殻状の領域と切断
単一波長の光を、明るさを一定にして波長方向に動かすと、刺激値が曲線を描きます。 明るさを少しずつ上げて曲線を増やし、つなげると貝殻状の形になります。この内側が、自然光が人の目に与えられる刺激の範囲です。 この形を平面で切断し、明るさの成分を取り除くと、おなじみの馬蹄形になります。 つまり色度図は、3種類の錐体の刺激比率だけを見て、全体の明るさを無視した図です。平面の角度とカメラを変えれば、通常見慣れた向きの図になり、同じ図の別の見え方であることが分かります。
馬蹄形の外側の領域(例えばM錐体だけが刺激された状態)は、通常の光では実現できません。錐体は空間的に分かれているため、レーザーなどでM錐体の細胞だけを狙って刺激できれば、理屈の上では体験できます。
登壇者は長年これを思考実験として説明してきましたが、昨年、実際にそれを行った研究者がいたと述べています。被験者は、その体験を「前例のない彩度の青緑」と表現したとのことです。
このほか、特定の条件下で馬蹄形の外側に少し出る方法もあり、詳しくはWikipediaの「Impossible colors」の記事を参照するよう案内されています。
【Tips】より正確な言い方 馬蹄形は「人間の目が見える全ての色」ではなく、「通常の状況で、光が人間の目の錐体を刺激できる全ての方法」と言うほうが正確です。
ここからは、実際にCGやディスプレイ、カメラを扱ううえで出会う、RGB色空間の話です(以降、リニアな色を前提にしています)。
sRGB/Rec.709、Rec.2020、Sony S-Gamut、ACES AP0、RED Wide Gamutなど、色度図に三角形を重ねて示す色空間には多くの種類があります。これらはすべて同じ方法で定義されますが、用途によって解釈が異なります。以降では、次の3つを取り上げます。
sRGB:ディスプレイ用の色空間 Sony S-Gamut:カメラ(キャプチャ)用の色空間 ACES AP0:座標系としての色空間 ディスプレイ色空間は、異なるディスプレイでも、同じRGB値に対して人の目への刺激が同じになるよう標準化するものです。
原色の定義
ピクセルの赤・緑・青の成分がどの刺激を与えるかを、色度図上の3つの点で指定します(この点を「原色」と呼びます)。3つの明るさを変えると、刺激は三角形の内側を動きます。2つの原色の間をブレンドすると、色度図上では直線上を動きます。逆に言えば、3つの光では三角形の外側の刺激は作れません。
ただし、これだけでは色空間は決まりません。もう1つ、白の定義が必要です。
等チャンネル点
3つのチャンネルをすべて最大にしたとき(1.0, 1.0, 1.0)に、目に届く刺激がどこになるかを定めるものです。原色の光の強さの比率をディスプレイ間で合わせるために必要で、これを加えることで色空間が完全に定義されます(「等チャンネル点」は登壇者の造語で、公式用語ではありません)。
知覚的な白色点
人がその環境で「無色(ニュートラルな白)」だと知覚する刺激のことで、脳が周囲の照明を補正するため、環境によって変わります。
影に入った部分の明るさを補正する市松模様の錯視と同じ仕組みが、色にも働いています。 暖色の部屋と寒色の部屋では、同じ白の見え方が変わります。 2つの違い
等チャンネル点はRGB空間の座標系を定める技術的な取り決めで、人の知覚とは関係ありません。一方、知覚的な白色点は色の体験に関するものです。ただし、ディスプレイの規格は通常、この2つが一致するものとして扱います。両方とも「白色点」と呼ばれるため混乱しやすく、色空間を変換するときには、色度図上の同じ点を保つ変換と、知覚が同じになるよう白色点を適応させる変換は別物として考える必要があります。
カメラ(キャプチャ)用の色空間は、カメラの分光感度が人の目と異なるため、扱いが特別になります。
カメラのセンサー(例としてSony Alpha 9)も、人の目とは別の「カラーオブザーバー」です。 人の目には全く違う色に見えるスペクトルを、カメラが同じものとして記録することがあります。逆の場合もあります。 そのため、センサーのデータから人間の色を作る際には、正確な変換ができず、推定する必要があります。 実際にはどうしているか
自然界のスペクトルの多くは滑らかで、極端なスペクトルほどには問題になりません。そこで、代表的な自然光のスペクトル(例:X-Rite ColorCheckerをD65光源で撮影したもの)を使い、カメラの応答を人の色にできるだけ近づけるよう変換を作ります。完全に合わせることはできないため、肌の色、空の青、葉の緑のうちどれを優先するかといった取捨選択が生じます。
【Tips】三角形の角が遠くにある理由 カメラ用色空間の三角形の角が、色度図から大きく外れているのは、実際の色が存在する位置ではなく、変換の都合で角を動かした結果だからです。角そのものには意味がありません。カメラメーカーが言う「色科学」は、主に、分光感度の設計と、そこから人の色空間へのマッピングを指します。
最後は、ディスプレイでもカメラでもなく、色を抽象的に表すための色空間です。登壇者は、大きく次の2種類に分けています。
交換用の色空間:色を他者に渡すための入れ物です。ACES AP0が代表例で、馬蹄形全体を収められる大きさで、この中で加工することは想定されていません。 作業用の色空間:レンダリングやコンポジットなど、加工を行うための色空間です。ACES AP1(ACEScg)、DaVinci Wide Gamut、E-Gamutなどが例です。 どの作業用色空間でレンダリングするかによって、結果は変わり、それぞれにトレードオフがあります。これは、来年の講演のテーマになるかもしれないと話されています。実際には、リニアsRGBが作業用にも交換用にも使われるなど、区別は曖昧です。
補足
錐体はLMSの順に呼ぶのが一般的です。講演では、波長のグラフに並ぶ順に合わせてSMLと書いています。 色度図の元になったのは、1930年代に作られたXYZ色空間です。XYZはLMSと等価な関係にありますが、実際の錐体感度とは完全に一致しません。前半のスライドの1つは、この点を少し単純化していると述べられています。 参考資料
参考文献のスライドのほか、YouTubeのCaptain Disillusion氏によるCIE色度図の動画が、内容の正確さと面白さから推薦されています。カメラの色を掘り下げたい場合は、Steven Yedlin氏の解説が挙げられています。
また、翌日(木曜日)のクラスルームで、別の登壇者がより実践的な、制作パイプラインでのカラーマネジメントの講演を行うと案内されています。
The Future of Rendering:OTOYが語るレンダリングの未来OTOYのJules Urbach氏が、リアルタイムのパストレーシング、ガウシアンスプラット、ワールドモデル、ニューラルコンポジットなどの動向を紹介しています。(登壇:Jules Urbach(OTOY)/再生時間:18:26)
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イントロ:Otoyとレンダーネットワーク
Blenderとの連携とワークフロー
PBRのその先へ:レンダリングの進歩
Render Networkの更新
リアルタイムのニューラルレンダリング
ガウシアンスプラットとAIの活用
ワールドモデルとシミュレーション
インバースレンダリングのパイプライン
ニューラルコンポジット
Star Trekアーカイブ・プロジェクト
❯ 登壇者はOtoyのCEO兼創業者のJules Urbach氏です。Otoyは、GPUの分散コンピューティング「Render Network」と連携するCG企業で、数年前からBlenderを支援しています。Blenderチームの中心人物であるTon Roosendaal氏とFrancesco Siddi氏とは、長年の協力関係があると述べています。
OpenPBRの統合によって、レンダラー間で共通のマテリアルとシェーダーの仕組みが持てる点や、11月に予定されているBlender 5.3のリリースに期待していると述べています。
OtoyはStar TrekやWarner Bros.、Disneyなどの案件を手掛けており、自社のレンダラー(Octane)のBlender統合にも取り組んでいます。アーティストはBlenderのほか、3ds MaxやCinema 4Dも使うため、ツールを混在させられることが重要です。
Octaneはプロセスの外で動作し、Blenderと同じマシンのGPUだけでなく、別のマシンやクラウド上のGPUともライブリンクできます。 BlenderはHydraレンダリングシステムのシーンデリゲートとして扱えるようになり、GPUとホストアプリケーションを分離することで、ほかの可能性も広がります。 最高品質のパストレーシングを目指し、PBRを超える表現を追加しています。Octane 2027には回折などが入る予定です。以前は疑似的に表現していた効果が、レンダラーの中で直接、かつ高速に計算できるようになるとしています。
また、アーティストが苦労しがちなBRDFやマテリアルの設定について、素材の写真から導き出す取り組みも進めています。レンダリングパイプラインの各所への機械学習の応用も見込まれています。
Render Networkは今年、大きなアップグレードがあり、新しいWebポータルを展開しています。CyclesとOctaneのどちらも、Render Network上で動作します。
ジョブの管理をより細かく行えるようになりました。 アセットの同期がより効率的になりました。 18Kのような、大判のレンダリングで特に有効で、数千基のGPUを低コストで使える点にメリットがあるとしています。 講演タイトルの「レンダリングの未来」について、AIが従来のレンダリングを押し広げる一方で、従来のパイプラインにも新しい利点が生まれていると述べられます。その1つが、リアルタイムのパストレーシングです。
Octaneのスペクトルパストレーサーはノイズが多く苦労してきましたが、ニューラルフィルタリング(DLSS系の技術との組み合わせ)により、ほぼノイズのない表示が得られるようになりました。 例として、10年前にOctaneで作られた「Westworld」のオープニングが、単一GPUで、サブサーフェススキャタリング込みでリアルタイム表示されます。 RTX 5090や4090の1枚で、作業中の映像をライブで確認できる点が大きな利点としています。 従来のレンダリングの良さとして、一貫性、制御性、速度が挙げられています。AIで同等の複雑さをリアルタイムに出すには、単一GPUよりはるかに多くの計算資源が必要になるとしています。
ガウシアンスプラットへのレンダリング
2Dのピクセルではなく、ボリューム的(多次元)なデータへレンダリングする方向も進めています。Octaneは、ガウシアンスプラットに直接レンダリングでき、ライトトランスポートの情報も含まれるため、あとからリライトしたりマテリアル特性を扱ったりできます。ブラウザでもレンダリングできるため、テクスチャやEXRのような、交換用のフォーマットになると見ています。
AIは限定的な場面のツールとして
受賞歴のある3DアーティストのMark Bell氏(Star Trekの3Dモデリングで知られる)の例が紹介されます。AIにあまり好意的でなかった同氏が、宇宙船の窓を作る手間のかかる作業を、最新のAIモデルで専用ツールとして作り、時間を節約したという投稿です。
登壇者は、面倒な作業の補助として、3Dツール(ここではBlender)に足りない機能を補うような使い方に可能性があると述べています。
ワールドモデルには、2つのタイプがあります。
完全に生成されたガウシアンスプラットを作るもの フレームごとに生成型のリアルタイム映像モデルとして描画するもの Genie 3の試用
すでに存在しないロサンゼルスのダウンタウンのスタンダード(施設)を、フォトグラメトリで撮った写真をGenie 3に入力して再現してみた例が示されます。悪くない結果ですが、720pで、遅延は200ミリ秒あり、リライトはできません。スプラット化(Marble)した場合も、オープンソースのツールと大きく変わらず、Octaneで学習し直す方が満足のいく結果で、制御もしやすかったとしています。
スプラットの位置づけ
スプラットは、現実のものを3D空間に置くために使います。Octaneでは、マテリアル特性がなくても、スプラットにライトを当てて影を落とせます。Blender 5.3では、Cyclesでスプラットがサポートされる予定で、VDBのように第一級のアセットになると見ています。
物理挙動とオープンソースのモデル
Tencent製のオープンソースのワールドモデル(フレームごとに生成するタイプ)は、Genieに比べて世界の記憶を保持し、水や反射、シーンのダイナミクスの表現が印象的だったとのことです。また、Adobeの研究者がWANをリアルタイムまで高速化した例では、お茶を注ぐ映像が、ニューラルな物理シミュレーションだけで生成されています。ナビエ・ストークス方程式に基づくシミュレーションも完全ではないため、知覚的に見栄えのよい物理表現が役立つ場面があるとしています。
制作現場では、インバースレンダリングに注力しているとしています。実写や生成した映像からスプラットを作ってBlenderに取り込むだけでなく、シーン全体を組み立てることが目標です。
Otoy Studio
スプラットを生成するサービスです。画像からの生成、穴埋め、3Dや4Dでのインペインティング・アウトペインティングにも対応しており、紹介された例は、登壇者がここ48時間で作ったテストとのことです。3Dデータがあれば、さらによい結果になり、動きのあるものにも対応します。
実例:Baker’s Canyon
アーティストがOtoy Studioで制作したStar Wars系のYouTube動画(約13分)を、Blenderに読み込んだデモです。コンポジターの中だけでなく、全方向から見られる「8D」アセット(発言の表記)として、ライティング情報も含み、シーン内の要素を分けて、通常の3Dアセットのように編集できます。Octane単体では、ノートPC上でレイトレーシングや被写界深度、ほぼ即時のリライトが動作し、Blender内では、ライティングなどのシーン内の要素を制御できます(Octaneでレンダリングしなくても構いません)。
まだ初期のプロトタイプですが、レンダリング済みの映像から3Dデータを復元してリライトしたり、再構成したりする、将来のパイプラインの一部になると見ています。3DGSから4DGSにし、リライトやライトトランスポートの次元を加える方向も示されています。
Otoyは、ARウォールやグリーンバックで俳優を撮影して制作しており、機械学習を使ったコンポジットの進歩に期待しています。
髪のマットなどが間に合わず、破棄したシーンを、Octaneで作ったCGのシーンと、女優のスキャンを組み合わせて仕上げた例が紹介されます。最初にSwitchXというモデル(BV VFXの製品と発言)を使い、現在は他のモデルもあるとのことです。映像に写る女優は、カメラが撮ったピクセルそのものですが、法線などが与えられており、水面の反射も含めて、ニューラルレンダリングで処理されています。
締めくくりに、Star Trekに関する取り組みが紹介されます。共同パートナーのRod Roddenberry氏(Star Trekの創作者の息子)と、シリーズを保存するための取り組みを数年続けています。
2年前に公開したショート作品は、4,000万回再生されました。最新作では、Leonard Nimoy氏の遺産管理団体とWilliam Shatner氏の協力を得て、KirkとSpockの役を2人の俳優が演じています。 60周年に合わせて、今後数か月に多くの作品が予定されています。 秋に公開予定のデジタルアーカイブでは、60年分のすべての映画・TVエピソードが網羅されます。Webブラウザ上で3Dアセットが起動し、艦内を探索したり、操作したりできます(キャラクターを除く。こちらは開発中)。 中心となる作業は、40年にわたるUSSエンタープライズの全デッキ、全ての部屋を作ることです。シーズンごとに変わったセットや、映画版の大きく異なる姿も含みます。全長約1,000フィートで、アーティストが約3年半作業を続けており、あと約2年かかる見込みとのことです。 GPUの性能向上により、単一GPUでリアルタイムに(ローカルでもリモートでも)扱えるようになりつつあると述べて、講演を締めくくっています。
Suzanne Awards:授賞式アニメーション賞、デザイン賞、短編賞の3部門の発表です。受賞作は、順に「BipBop-Puddles」「Oh,Daisy」「How Not to Die on an Alien Planet」でした。(発表:Natalie Rozvezeva、Laura Gingrich、Pratik P. Borhade(プレゼンター)/再生時間:7:33)
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アニメーション賞
デザイン賞
短編賞と授賞式の締めくくり
❯ Suzanne Awardsは、Blenderで作られたアニメーション作品を対象とする賞で、この回は「アニメーション」「デザイン」「短編」の3部門が発表されました。
ノミネート作品
BipBop-Puddles Monitor Frame by Frame The Chase 受賞
受賞は「BipBop-Puddles」です。制作者のDuncan氏は現地に来られず、ビデオメッセージで、投票への感謝と、Blenderを支えるコントリビューターへの感謝を述べています。
ノミネート作品
Oh,Daisy Noxious The Balkan Detroit Fragments ほか1作品(聞き取れませんでした) 受賞
受賞は「Oh,Daisy」です。ディレクターのJin氏とJay氏がビデオメッセージを寄せ、Blenderでキャリアを始めたため、Blenderコミュニティからの賞は非常に意味があると述べています。
ノミネート作品
Jim Anxiety(聞き取りが不確かです) Cut from the Dead Greenhouse Fever How Not to Die on an Alien Planet Hoya Bacho(聞き取りが不確かです) 受賞
受賞は「How Not to Die on an Alien Planet」です。ディレクターのCarlos氏がビデオメッセージで、Blenderの魅力はコミュニティにあると述べ、アドオン開発者にも謝意を示しています。1人で制作するうえで、アドオンの助けが欠かせなかったとのことです。
最後に、司会が受賞者を祝福し、来年の開催を案内して終了します。
The Nature Generator:実用的なジオメトリノードツールの作り方ジオメトリノードのアドオン「The Nature Generator」が、試作から製品になるまでの技術的な工夫を、岩、地形、マテリアル、システム設計の順に紹介しています。(登壇:Andreas Dürr/再生時間:16:38)
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イントロ:Nature Generatorとは
岩の生成ワークフロー
マテリアルと最適化
地形と山のデザイン
システム設計:統一された構造
仕上げと手続き型アセットの利点
❯ 登壇者はドイツの3Dアーティストで、ジオメトリノードのアドオン開発者のAndreas Dürr氏です。YouTubeチャンネル「Cinematic Cookie」でBlenderの解説を配信しており、「The City Generator」の開発者でもあります。短編映画も制作しており、そのうちの1〜2本はSuzanne Awardsの作品に含まれているとのことです。
ここ2年の主な収入源は、ジオメトリノードで作ったジェネレーターをオンラインで販売することでした。この講演では、その1つである「Nature Generator」の制作過程が紹介されます。冒頭で、完成品のトレーラーが流れます。
きっかけは、QuixelのMegascansのライブラリを見て、「これがプロシージャルだったらどうか」と考えたことです。
ボリュームを使った岩
シンプルな形状(例:スザンヌ)をボリュームに変換し、メッシュに戻します。 ノイズテクスチャでディスプレイスメントを加え、ボクセル数を増やして細部を出します。 別のノイズをZ軸方向に潰して重ねると、水平の筋が入り、岩らしく見えます。 立方体などのシンプルな形状から岩に
Dual Meshノードにサブディビジョンと三角形化を組み合わせてからボリューム化すると、どんな形状からでも岩が生成できるようになります。ボクセル数のスライダーで解像度を変えられ、「Is Viewport」ノードで、ビューポートとレンダーの解像度を切り替えられます。低スペックのノートPCで使う人への配慮として重要だとしています。
形状のバリエーション
ガイドとなる形を変えることで、別の岩ができます。キューブを散らして複製する方法、平面をサブディビジョン・歪ませ・押し出して積み重ねる方法、描いたカーブをガイドにする方法などがあり、カーブを使う手順は、YouTubeチャンネルで解説しています。
マテリアルは、配布されている通常のPBRの岩シェーダーを使い、ボックスプロジェクションで貼ります。
ノイズで色相・彩度・明度をランダム化します。 アンビエントオクルージョンで隙間を選び、彩度を落として暗くします。エッジのマスクも作り、マテリアルが岩の形に馴染んでいるような効果を出します。 マップレンジでテクスチャを白黒にし、Mix RGBノードのオーバーレイで色を乗せます。この方法で、青いエイリアンの岩なども作れます。 ジオメトリを増やさずにディテールを出す
クローズアップにはディテールが必要ですが、ボクセルを増やし続けるとPCがクラッシュします。そのため、水平方向に潰したノイズテクスチャをバンプノードの高さに接続する方法で、ジオメトリを増やさず質感を調整します。ひび割れのパターンも、同様の手法で作っています。
そのあと、自然写真やアセットを参考に、さまざまな岩を試作しました。
山や地形もジェネレーターに含めたいと考えました。ノイズテクスチャだけでは、浸食のようなパターンが得られません。
Shortest Edge Pathを使った手法
Cartian Caramel氏のチュートリアルで紹介されていた、最短エッジパスのノードを使う手法を採用しています。
解像度の高いグリッドを用意します。 任意のマスクを、最短エッジパスの終点の頂点に入力します。 結果を1から0に再マップし、その値でグリッドを変位させます。 別のノイズテクスチャをエッジコストにして、ランダム性を加えます。三角形化もランダムにして、有機的でカオスな見た目にします。 グラデーションなど、どんな形でもマスクにすれば山や地形になります。ジオメトリノードにギズモが導入されたタイミングだったため、ビューポート上のコントローラーで山のスケールや形を変えられるようにしました。カーブからの近さをマスクにして、カーブで山の形を描く方法も用意しています。
水とシェーダー
水は、地形を囲む立方体に水のシェーダーを付けるだけで、地形の深さに応じて湖などができます。地形のシェーダーは、法線のZ成分を分離してマスクにし、ほかのノイズと組み合わせて、岩と雪、岩と草などを混ぜています。
試作を繰り返した結果、「rock_final_version_1」「rock_final_version_2」のような名前のBlendファイルが大量に残りました。これを、分かりやすい1つのシステムにまとめました。
ノードの整理
すべてのジオメトリノードのセットアップで、共通の構造を使うようにしました。自分用に、設定とカテゴリのガイドラインをテキストファイルに書き出しています。
Resolution(解像度) Base Shape(メッシュからボリュームに変換する前の制御) Displacements(ノイズによる変位の設定) マテリアルの統一
アセットごとにシェーダーやパラメーターの作りが違うと使いにくいため、マテリアルも作り直しました。
再利用できるノードグループを用意します。例として、6種類の岩のPBRマテリアルを整数値で切り替える「Rock PBR Switch」があります。 カラーバリエーション、アンビエントオクルージョン、エッジの摩耗は、標準化したノードグループにしました。 できるだけ少ないマテリアルで賄い、1つのマテリアルを可変にして、別のアセットにも使えるようにしています。 構造は、ベースマテリアル、サーフェスエフェクト、サーフェスディテールの設定に分かれています。 季節感とレイヤーエフェクト
雪や汚れなどの季節感を出せるよう、「Layer Effects」ノードグループを作りました。地面の苔、濡れ、雪を、ボタン1つで切り替えられます。すべてのアセットで同じ構造を使えるため、ユーザーは1種類のパネル構造を覚えるだけで済みます。内部では、直前の岩のシェーダーの法線マップからZ値を分離し、マスクとして雪や草を乗せています。
アセットブラウザ用の整備
アセットブラウザ用のサムネイルを作り、アセットを分類しています。マテリアルとジオメトリノードの設定を1つのタブに並べて表示する、小さなサイドパネルも作りました。
トレーラー制作の意味
ジェネレーターの制作では、トレーラーを作る工程が重要です。ユーザーの視点で製品を実際にテストすることになるため、直したい点や新機能のアイデアが見つかり、リリース前に反復できます。
手続き型アセットの利点
シーンを彫刻しているような感覚で、芸術的な自由度が高くなります。 通常のアセットでは、同じ岩のモデルを回転・拡大縮小して使い回し、気付かれないことを期待しがちです。手続き型では、設定やシードを変えて複製するだけで、本当に異なる結果が得られます。 Rigify – Future Proof Rigging Concepts:Rigifyの未来志向のリギングRigifyのサンプル情報を読み取り、シングルクリックの操作でボーンを配置するプロトタイプ「Rigify Smart UI」を紹介する講演です。(登壇:Ivan Cappiello/再生時間:37:15)
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イントロ:登壇者とRigify
リギングはなぜ複雑か
既存のオートリガーの限界と目指すもの
プロトタイプ:Rigify Smart UI
リグフレームとボーンの配置
Rigifyのサンプルから情報を得る
腕の配置手順とライブデモ
脚・背骨・指
アセットシェルフとメタリグ
顔と目
スパイン・尾と馬のリグ
将来への備えとメタリグの往復
質疑応答
❯ 登壇者はIvan Cappiello氏です。ディレクター、アニメーター、スタジオの責任者で、過去のBlender Conferenceでも登壇しています。会場にリギングやRigifyの経験を聞いたうえで、Rigifyをまだ知らない人に向けて説明します。
Rigifyは、リグの作成を自動化するツールです。キャラクターに限らず使えますが、手作業だと非常に時間がかかるため、こうした「オートリガー」が使われます。
「腕には3本のボーンがあればよい」という説明がよくありますが、Rigifyは、この3本のボーンの上に、多数の構造を組み立てます。機構用に複製されたボーン、変形専用のボーン、別の形(ウィジェット)に置き換えられたボーンなどです。
アニメーターは、リグができていれば、腕を掴んで動かしたいだけです。しかし学び始めると、ボーンの頭と尾、ロール、リレーション、コンストラクト、回転、コレクション、編集ボーンとポーズボーンの違いなど、覚えることが多く、身に付いたころにはアニメーションへの関心を失ってしまう、と述べられます。「そこまで複雑でなければならないのか」というのが、問いの出発点です。
Blender以外にも、リギングツールは数多くありますが、登壇者は次の欠点を挙げています。
人型(二足歩行や擬人化キャラクター)に限られやすいこと ミラーが一括で、片側の操作がすべて反対側に反映されること もう1つの背景は、Blenderがモバイル(タッチ操作)に対応しつつあることです。タッチ操作でスカルプトやモデリングができるなら、ボタン1つとタブレットでリギングもできるのではないか、という問いが、タイトルの「Future-proof」につながります。
目指す要件
Blender内で動作し、Rigifyをそのまま活用できること シングルクリックのインターフェース(ダブルクリック、キーボード、ショートカットなし) 点による配置(ロールの向きや、チェーンの反転で悩まなくて済むこと) パーツごとに選べるミラー(左右非対称と同期を混在させられること) モジュール式の構成と、リグのパーツやリグ自体のアセットライブラリ この要件を形にしたプロトタイプが「Rigify Smart UI」です。名前にRigifyと付いていますが、最終的にはRigifyがなくても動く設計とのことです。理論的にはCloudRigなどにも応用できるが、そのままでは動かないと述べられています。
基本方針は、スカルプトやモデリングのように、3Dビュー内で作業を完結させることです。3Dビューの中に、フライアウトのツール、アセットシェルフ、プロパティパネル、上部のエディターの3つの領域を追加しました。Blenderの標準機能に頼れない部分は、自前でミラーなどを実装しています。
最初に使うツールは「リグフレームツール」で、サイドバーからレイヤーのように一覧できます。1クリックでパイメニューが開き、長押しにも対応しています。すべての操作は1クリックの入力で行えます。
リグフレーム
スケッチブックのページのようなものです。各ページには、点と線があるだけで、回転を直接扱わずに点を動かします。
ボーン配置のキャンバスとして使います。 複数のボーン配置を含められます(例:指をグループにして、腕のサブグループにする)。フレーム単位でミラーできるため、腕はミラーせず、指だけミラーするといった使い方ができます。 フレームは、ほかのフレームと接続したり、入れ子にしたりできます。 ボーンの配置(プレースメント)
空間上の点の情報で、腕であれば、ボーンがつながる関節の位置だけを考えます。リグフレームの中だけで描け、ビューポートから得た情報にすぎません。同じフレーム内でペアレントでき、フレームをまたぐ場合は、ツールが自動でフレーム間を橋渡しします。
リグの情報は、Rigifyのコードベースを読み、サンプルから得ています。サンプルとは、編集モードでボーンを1本追加し、アーマチュアパネルのサンプルのドロップダウンから、たとえば「腕」を選び、「サンプルを追加」すると作られる、パーツの定義です。「生成」を押すと、実際にリグができます。
腕は、接続された3本のボーンのチェーンで、最初のボーンにRigifyが付けたカスタムプロパティがあり、何をするかが定義されています。これを読み取ることで、Rigifyの各パーツを1つずつ有効にしていきます。
サポートの条件
読み取れる種類とパラメーターがあること ボーンを操作するためのウィジェットの描画手順が定義されていること 配置から、サンプルを再生成できるよう、検証と最終処理があること デフォルトでは、すべてが未サポートで、この条件を満たしたものから、サポートされます。
腕の場合、Rigifyが必要とするのは、上腕、手首、肘の関節、IKの先端などの位置です。この情報から、ユーザーを次の手順で案内します。
先端と根本の2点を置きます。 分割位置を決めます。方向を示す円が現れ、サンプルから得た方向を、ひねったり、スケールして曲がりを強めたりできます。 何もない場所をクリックして、次のステップに進みます。 ボーンが描かれると、3つのオプション(コード、平らな姿勢の2種類、自由)が現れます。コードは、Rigifyが腕の弦(コード)と考える位置に自動配置されます。ほかの2つは、キャラクターが完全に平らな姿勢で立つ場合に使うもので、スタジオでは必要になることがあります。
ライブデモ(録画)
3Dのレイキャストを再現しているため、メッシュを選択せずに、ボリュームを直接クリックできます。1回クリックして分割位置を決め、ウィンドウの外をクリックすると、関節が自動で作られます。気に入らなければ、カーディナル(軸に沿った方向)を出発点にしたり、曲げ角度を自由に回したりできます。
【Tips】アシスト付き編集 編集モードの「フリーフォーム」は、以前の配置を無視して動かせます。一方、「アシスト付き編集」は、前回編集した位置を初期値にして、配置を最初からやり直します。誤クリックしても、その位置に戻せます。
脚
脚は、Rigifyでは「踵のボーン」が付いているため腕と少し異なりますが、肢(リム)の生成は同じコードを使っています。Rigifyは、Y軸に沿った配置を想定しており、崩すこともできますが、従うように誘導されます。踵のピボットと足の両側を設定し、つま先と指先を置くと、そこから逆算してつま先の曲がりの位置が決まります。Y軸にロックするのは、そうしないとリグが破綻するためで、必要ならモデル側で脚の向きを少し外に向ける方がよい、とのことです。
背骨
背骨は別のツールで、最初に2つの端点を置くと、スプラインのガイドが現れます。ハンドル付きの分割点は1つだけです。カーブを決めると、スライダーで分割位置を示せます。Rigifyの背骨は、2つのピボットが2方向に曲がる構造で、分割数は、追加・削除で調整できます。
指
指のサンプルには、指そのものと手のひらの2本のぶら下がったボーンがあり、ツールが両方を正しい空間に配置します。コードに沿うため、コードから外れた位置にはできません。そのため、メッシュ内部への配置が必要なときは、フリーフォームで、サーフェス配置にオフセットを付けて調整します。名前は「index」のように付けると、生成時に、index1、index2、index3と自動で連番が付きます。
シェルフには、2つのものが入ります。1つはRigifyのサンプルそのもの、もう1つは、複数のサンプルでできた「フレーム」(指全体など)です。両者を切り替えられ、新しいメタリグも追加できます(顔は別の仕組みのため、後回しとのことです)。
クリックしてドラッグし、各フレームで位置を直します。背骨は、X軸方向には動かず、平面上だけを動く、といった制約がスクリーンキャストで示されます。点へのスナップにも対応し、首と背骨が接続されていない問題は、1クリックで直せます。
ボーン単体の配置も同じ手順で、カーディナルから始め、3つ目のステップで微調整できます。回転・移動・スケールをサポートしているのは、フレームだけです。
目は、顔のサンプルの一部です。顔全体の手順は、まだレビュー中のため、紹介されません。顔は生成できるものの、元の顔のボーンが多く煩雑なため、多くのボーンを取り除いた簡易版を、アドオンにハードコードしたとのことです。将来は、顔のアップグレードのボタンも直したいとしています。
目の配置には、専用のウィジェットを使います。3Dビューに置いたあと、投影平面を側面に貼り付けて、ボーンの位置と回転を正確に確認できます。 Rigifyの生成の制約から、主要なボーンで使えるのはカーディナルだけですが、目のリードは自由にひねれます。顎にも、同じヘルパーが使われています。 オフセット機能で、メッシュの上に正確に置けます。数値を下げると、ジグリングが止まります。 部分的なミラー
顔全体をミラーするのではなく、片目だけをミラーして、顔をそのまま同じにすることもできます。
背骨と同じコードが、尾にも使われています。ここでは、ペンシルのドロー平面のような平面を作り、そこにオフセットも付けられます。スプラインで、分割位置と、その前後の数を決めます。
柔軟性の実演として、馬のメッシュにリグを付けます(録画時点では、前脚は未実装でした)。技術的には、前脚も後脚も同じサンプルで、開始位置が違うだけです。馬全体のリグに、約6分かかったとのことです(一部のボーンは不足しています)。
尾も、同じ仕組みで追加でき、分割を決めたあとで微調整できます。後脚のポール(ポールターゲット)では、メッシュの内部に入らないよう、平面をまっすぐな脚の近くに置く別の方法を使っています。2つのボーンを置くと、平面上で1つずつ進むように誘導されるため、ポールのねじれや暴れを防げます。この事例は、サンプルは同じでも、ビューポート上で調整して使う工夫です。最後に、変形を安定させるカスタムのヘルパーボーンを加えています。
「Future-proof」の意味として、人体や比較解剖学が変わらない限り、Rigify側を直して改善でき、ツールはRigifyが公開する情報を読んで、ウィジェットを作るだけだ、と述べられます。
内部では、メタリグを作り、そこからリグを生成します。そのため、最初の下準備に使い、あとは手作業に切り替える、といった往復もできます。 ヘルパーの定義は、モジュール式です。目のヘルパーは、顎にも使われています。 将来、ジョイントベースのシステムやリグノードのシステムに移行しても、位置を読むだけなので、ペアレントとピボットに基づくリグなら動作する、としています。 CloudRigなども、サンプルのように何を生成するかを読み取れるため、同じ方法で配置に使える可能性があります。生成そのものはツール側が行うため、既存の仕組みを壊さない設計です。 質疑応答では、次のことが説明されます。
メタリグを編集したあとで、配置に戻れるか:位置を再び読み取るため、理論上は可能です。一部の配置はフリーフォーム編集に対応し、他はガイド付きに固定されています(馬の後脚のポールなど)が、コードで位置が決まるため、いつでも戻せます。 コントロールも作成されるか:メタリグの生成に相当することを内部で行い、「生成」を押すとリグが作られます。この手順を隠して省略することもできますが、ずれたボーンを確認するため、あえて同じ手順で行っているとのことです。 The Quest for the Ultimate Stylized Mouth Rig:究極のスタイライズ口リグを求めてジオメトリノードで作る、2Dのビーン形のような、漫画的な口のリグの講演です。Pixarの「Win or Lose」に影響を受けたとされ、仕組みの内容と残る課題が語られます。(登壇:Maor Fridman/再生時間:29:50)
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イントロ:ゲームスタジオと情熱
完成イメージと機能デモ
目指した表現:2Dの「ビーン形」の口
過去の試行錯誤
実制作の機会
リサーチ:Pixar風の口の秘密
カーブが土台になる
口の穴:レイキャストと透明化
アニメーター向けのソリッドモード
口の内部とアウターリング
唇の実装:口角を固定する
口が閉じたときのチューブ切り替え
課題と今後
❯ 登壇者はイスラエルの3DアーティストのMaor Fridman氏で、FridayLabというスタジオを運営しています。主にゲーム、特にモバイルゲームの3Dアートを手掛けています。ただし、この講演で扱うのは仕事ではなく、情熱を注いできたテーマです。
講演は25分程度で、質問があれば、あとで声をかけてほしいと話しています。
まず、制作中のワークインプログレスの映像として、開発中の映画「Finding Rozy」のショットが流れます。続いて、システムの機能概要が示されます。
キャラクターの口は、閉じた状態から開き、極端なレベルまで伸ばせます。 ソリッド表示から、より重いが正確な表示に切り替えられます。 口の内側だけを動かしたり、全体を動かしたりできます。 すべてジオメトリノードで作られており、カーブのオブジェクトと頭のメッシュの2つを用意し、頭に貼り付けて使う仕組みです(実際の映画のノードは煩雑だったため、講演用に整理したと話されます)。
登壇者は、2Dの漫画的な「ビーン形(豆形)」の口の大ファンです。単純な形で、笑っている、ヒステリックになっているなどが分かるため、少ない要素で表情を伝えられます。この2Dの質を3Dに持ち込むことを、ずっと目指してきたとのことです。
大きな影響を受けたのが、Mindbenderのデモ(字幕表記)で、当時は別のソフトで作られていたものの、時代を先取りしていたとのことです。トポロジーを気にせず、大きな口にも小さな口にも対応できる、という点も理想として挙げています。
長年、この表現に近づくための実験を続けてきました。
ビューレイヤーとコンポジットで、2つのレイヤーを重ねる方法(ビューポートでは同時に見えない) グリースペンシルやブーリアンを使う方法 UVでメッシュを変形させる方法(映画「Cat and Dog」の手法と紹介) あるディレクターから、新しい短編のプルーフ・オブ・コンセプトのために、キャラクターのリグを依頼されたことが、実制作で試す機会になりました。ディレクター、アニメーターからのフィードバックを得て、システムを実証できます。
ディレクターは、すでに「ビーン形」のコンセプトを使った作風で、登壇者の技術が合っていたとのことです。また、そのディレクターにとってBlenderでの大規模な制作が初めてだったため、使いやすさも重視しました。主なキャラクターは、Ruth、Mickey、Rozyの3人です。
着想の中心は、Pixarの作品の口の表現でした(公式の講演紹介では、Pixarの「Win or Lose」から強く影響を受けたと説明されています)。インターネット上には、Instagram、X、さまざまなソフトで、同じ口を真似しようとした例が溢れています。登壇者は、そのスタジオの映像の舞台裏や、ほかのクリエイターの手法を調べ、すでに試していた要素が多いと気付きました。
ただ、1つだけ、見落としていた単純な工夫がありました。「醜い部分を覆う」ことです。口の穴の錯覚を、ストップモーションの「置き換え」と似た考え方で成立させています。仕組みとしては、口のシステムが口を作り、頭と組み合わせるだけです。
システム全体はカーブが土台で、カーブが全体を駆動します。
少ない制御点で、形全体を編集できるため、表現力が高くなります。 サブディビジョンサーフェスでモデリングするときの、少数の頂点で複雑な形を作る感覚に近いです。 一方で、次の課題があります。
トポロジーを安定させるのが難しく、長さが常に変わります。 アニメーターが使うリグのコントロールを、難しくしないようにする必要があります。 Blenderのカーブオブジェクトのリギング自体が面倒です。 この点は、Blender Studioの「CloudRig」で簡単に解決できたと述べられています(数クリックでほぼ解決)。
口の穴は、口のカーブから頭のメッシュに向けたレイキャストで投影します。デモで離れて見えるのは見せ方のためで、実際は、頭のメッシュにシュリンクラップして貼り付いています。
投影した属性は、ジオメトリノードで作ります。 シェーダーでレイキャストを使い、その部分を透明にします。メッシュは変更せず、透明になるだけで、ブーリアンではありません。 ジオメトリノードで投影するため、輪郭をきれいに出すには、細かい分割が必要になります。これは欠点で、あとで解決策を示すとのことです。また、上下の唇の投影が近づくと、中間が1ピクセル以下になり、この方法では成立しません。そのため、アートスタイルが漫画的であることを利用して、口を「線」に切り替えるスイッチを用意しました(同じカーブの中央を使います)。アニメーターが、口の開閉を切り替えられます。
分割数の問題への対応として、アニメーター専用のモードを作りました。アニメーターは、ビューポートの軽さのため、ソリッド表示で作業しますが、ソリッド表示ではマテリアルが見えないため、透明化が使えません。
そこで、このモードでは、メッシュを直接削除しています。荒い処理ですが、とても軽く動きます。レンダーやアニメーション用のモードでは、実際のシェーダーを使った、より正確な方法に切り替わります。外側のリングが大部分を隠すため、ソリッド表示でも、アニメーションには十分な、全体の形が得られます。
口の内部は、指定したボーンの方向に押し出すだけの、単純な処理です。ボーンの位置とスケールを相対的に調整でき、内部がジオメトリの邪魔になる場合にも対応できます。
アウターリング
Pixarが的確にやっていると思う部分が、外側のリング(登壇者は「outering」と呼ぶ)で、欠点をすべて隠し、見栄えをよくします。2つのメッシュがあると気付かれないよう、UVと法線も投影して、1つのメッシュのように見せています。完璧ではなく、鼻の近くの法線に難がありますが、テクスチャを貼れば、悪くないとしています。
頭のメッシュ全体へのシュリンクラップは、ピンチが出やすいため、トポロジーを固定する方針です。リサンプルしてトポロジーを変えることもできますが、ブーリアンのようにIDやインデックスが変わり続け、制御が難しくなる問題があるため、トポロジーを固定し、緩和する方法を追加しました。
作り終えたあとで、キャラクターに唇があることに気付き、追加で対処しました。
カーブは、始点と終点は把握していても、途中の位置が分からないため、口角の位置を固定するのが難しかった、と述べられます。点を消してインデックスの順序を変える方法も試しましたが、うまくいきませんでした。
採用した解決策
ジオメトリノード内に、新しい直線を2本作り、円形カーブのインデックス0・1・2に沿う線と、2・3・0に沿う線を作りました。その後、「Deform on Curve」のグループを使い、少し押し出してサブディビジョンをかけると、まずまずの結果になりました。このグループは、他の作者のジオメトリノード集から借りたもので、その作者に謝意が述べられます。
口がほとんど閉じたときに、メッシュがきれいにねじれず、漫画的な見た目にならない問題がありました。そこで、「チューブ」状に切り替えるスイッチを追加し、「お」のような発音の形にも対応できるようにしました。
この作品では、アニメーションが2コマ打ちで、動きがスナッピーなため、切り替えが1フレームで起きても、動きの中では自然に見えるとのことです。
現時点の課題
レストポーズがありません。あればあらゆる問題に効くため、将来対応する予定です。 口を完全に閉じる方法について、解決策は考えているとのことです。 唇を巻いたり、突き出したりはできません(今は使われていない、と述べられます)。 次世代に向けた計画
フックの仕組みを、ジオメトリノードに置き換えます。現状のフックは、CloudRigが自動で作れる優れた解決策ですが、フックの前にジオメトリノードを置けず、レストポーズを保持できません。ジオメトリノードでボーン情報を扱えるようになったため、ジオメトリノードだけで実現できます。 解像度の問題を解決するため、シェーダーのレイキャストに移行したい考えです。ピクセル単位で処理できますが、Eeveeではレイキャストノードの動作がまだ不十分で、投影した口の部分を隠しつつ投影を続ける方法も見つかっていないため、案があれば教えてほしいと述べられます。 アニメーターがより制御できるよう、4点ではなく、8点への切り替えなど、中間点を増やすことも検討しています。 セッション一覧 投稿時点で公開されているすべてのセッションを掲載しています。上で紹介した17本に、この一覧の77本を合わせた94本が、公開済みの全セッションです。一覧では、17本以外の77本を、カテゴリ別にまとめました。カテゴリのボタンを押すと一覧が切り替わり、各項目を押すとYouTubeの動画が新しいタブで開きます。日本語タイトルは、記事作成のために訳したもので、元の英語タイトルを下に併記しています。
基調・イベント・考え方8 ジオメトリノード・プロシージャル11 モデリング・ものづくり6 アニメーション・リグ・キャラクター9 作品・スタジオ事例11 レンダリング・色・VFX11 科学・データ可視化・ドーム12 建築・産業・開発9
Blender Conference 2026 公式サイト
過去のBlender Conferenceのプレゼンテーションも、公式のアーカイブで確認できます。Blender Conference アーカイブ(公式)