2026年9月15日(現地時間)- 開発者のAndrew Peel氏は、Blender向け建築・インテリアデザイン支援アドオンの最新バージョン「Home Builder 5.2」の公式リリースを発表しました。
目次
新機能ハイライト
Home Builderは、オープンソースの3DCGソフトウェアBlender上で、平面間取り図の作成から高精度な造作家具・キッチンのモデリングまでを直感的なパラメトリック操作で行える人気アドオンです。
開発者のAndrew Peel氏が「大規模なアップデート(massive update)」と位置づける今回のバージョン5.2では、作図作業に最適化された新しいユーザーインターフェースと間取り作成ツールが導入されたほか、米国の老舗オーダーメイド家具メーカー「Custom Wood Products(CWP)」との4年間にわたる共同開発によって誕生した、実製造規格に準拠するフェイスフレーム・キャビネットライブラリが完全無料で追加収録されました。
ワンクリックで作業画面を設計レイアウトへ再構成できる推奨設定ボタンや、画面左側に集約されたツールストリップにより、作図操作がスムーズになりました。いつでも標準のBlender画面に復帰できます。
トラッキングによる自動整列、内壁の連続描画、矢印キーによるドア開閉方向の即座切り替えなど、正確かつ素早いフロアプラン作成が可能です。
実在する家具メーカーの構造に忠実な3Dアセットを無料提供。ビジュアライゼーションだけでなく、製造発注や見積もり算出まで見据えた本格的な設計を行えます。
主な新機能
最適化された新インターフェース
Home Builder 5.2では、Blender本来の自由度を保ちながら、建築や間取りの設計をより迷いなく進められるよう専用の作業環境が整備されました。
ワンクリックで設計レイアウトに切り替える「Recommended Settings」
キーボードの N キーを押して開くサイドバーの「Home Builder」タブ最上部に、新しく「Recommended Settings(推奨設定)」ボタンが追加されました。 このボタンをクリックして「OK」を承認するだけで、作業画面がHome Builderでのプロジェクト制作に最も適した配置へと自動的に再構成されます。元のBlender標準レイアウトに戻したい場合も「Back Previous」をクリックするだけで即座に復帰できるため、通常のCGモデリング作業と手軽に行き来が可能です。
作図機能へ最短でアクセスできる左側「Tool Strip」
画面左側には新設のツールストリップ(Tool Strip)が配置され、フロアプランの骨組みを作るための主要ツール(壁描画、各種建具の配置など)が整然とまとめられました。Blenderの複雑なメニューを行き来することなく、作図に必要な機能へ最短距離でアクセスできるよう設計されています。
作図・プレビューを快適にする画面整理と表示設定
設計作業中の画面の煩雑さを解消する表示制御も盛り込まれています。 キャビネットを多数並べた際に寸法ラベルが画面全体を埋め尽くさないよう、「選択中のキャビネットのみ寸法ラベルを表示するトグル(Toggle Labels)」が用意され、必要な情報だけをすっきりと確認できるよう配慮されています。
また、フロアを敷いた後のライティング確認においては、照明設定のデフォルトを承認することで部屋全体を均等に照らすグリッド照明が自動配置されます。実務上のTipsとして、Blenderの「Viewport Overlays」から「Extra objects」を非表示に設定することで、ライトオブジェクトのワイヤーフレームを隠し、光の効果だけを残した見通しの良い画面で作業に集中できます。
CADライクな間取り作成の強化
フロアプラン作成に関する機能が全面的にブラッシュアップされ、CADソフトを操作しているかのような直感性と正確な寸法合わせが実現されています。
トラッキングポイントとドラッグ変形による直感的な壁面作図
ツールストリップから「Draw Walls」ツールを選択し、画面をクリックしていくことで外壁を直感的に配置できます。壁を伸ばしたい方向にカーソルを向けた状態でキーボードから数値を直接打ち込むことで、正確な長さの壁を素早く生成可能です。 さらに、既存の角や頂点にカーソルを合わせる(ホバーする)だけでトラッキングポイント(追従ガイド点)が生成され、他の壁や頂点と素早く整列(アライメント)させて部屋を閉じることができます。
外壁作成後は、壁を右クリックして「Change Room Size」を選択することで全壁セグメントの寸法が表示され、数値を直接打ち込んでリサイズできるほか、壁セグメントをマウスでインタラクティブにドラッグしながら間取りの形状や部屋の大きさを直感的に調整できます。確定は Enter キーで行います。
仕切り壁をテンポよく配置できる内壁の連続描画
壁設定アイコンから壁タイプを「Interior(内壁)」に切り替え、「Continuous Drawing」を有効にすると、既存の壁へカーソルを合わせるだけで自動的にスナップします。クリックとスナップを繰り返すだけで複数の仕切り壁を連続して直感的に描画でき、右クリックでいつでも描画モードを終了できます。
ショートカットとリアルタイム制御による建具(ドア・窓・開口部)の配置強化
ドアや窓といった開口部パーツの配置フローも大幅に強化され、作業効率が向上しています。
- 連続配置と矢印キーによる開閉向き(スイング)の即座切り替え:「Double Door(両開きドア)」や「Single Door(片開きドア)」の配置時に「Continuous Drawing」を有効にすることで、部屋ごとのドアを連続してテンポよく設置できます。さらに、配置中にキーボードの ↑(上矢印キー)を押すだけで、ドアの開閉スイング方向(内開き・外開き・左右勝手)をリアルタイムに切り替えることができます。
- 窓のサイズ事前プリセット:設計内で共通する窓サイズがあらかじめ決まっている場合、インターフェース上で数値を入力しておくだけで、以降は「Window」オプションをクリックして壁上に連続して同じ規格の窓を素早くレイアウトできます。
- 「D」キーによる2点指定のオープン開口部:ドア枠のない通り抜け開口部(Open Doorway)を配置する際、キーボードの D キーを押して壁上の2点をクリックするだけで、自由な幅の開口部を直感的にくり抜くことができます。
- 建具プロパティと開閉シミュレーション:配置後のドアや窓は、幅や高さの寸法変更はもちろん、ドアプロパティ(Door Prompts)からドアスタイルの切り替えや、左右および上部の袖ガラス・欄間(Sidelight)の寸法指定が可能です。さらに、プロパティ内の「Open」パラメーターをスライドさせることで、ドアが実際に開閉する挙動や他の家具・動線との干渉を視覚的にシミュレーションできます。なお、壁越しに建具が見える透過表示が不要な場合は、設定から非表示に切り替えることも可能です。
実在メーカーCWPの製造規格ライブラリ
従来のHome Builderにはサンプルのフレームレスキャビネットが収録されていましたが、バージョン5.2では米国カンザス州に拠点を置き全米へ製品を展開する老舗高級オーダーメイド家具メーカー「Custom Wood Products(CWP)」と公式パートナーシップを締結。「Library」タブから、4年もの歳月をかけて共同開発された詳細なフェイスフレーム(框組み枠付き)キャビネットライブラリが無償で利用可能になりました。
このライブラリは、単にCGレンダリング用の外観を再現するだけにとどまらず、CWP社の実際の製造ルールに忠実に準拠しています。デザイナーや設計者は、クライアントへのハイクオリティな静止画レンダリングやアニメーションの提示にとどまらず、実務レベルの設計データを構築できるとのことです。アメリカ向けかと思いますが、実際の見積もり(Quote)の算出、オーダーメイド家具の発注、施工(Install)のスケジュール調整までを一本化できる実務レベルの設計データを構築できます。
複雑な製造構造を自在に操る「6つの階層別選択モード」
Home Builder 5.2の最大の特徴が、画面上部に新設された6つの選択モードです。CWP社のキャビネットは「複数の区画(ベイ)にまたがる大型家具を1台の一体構造として製造できる」という特徴を持っており、アドオン上でもその製造構造を忠実に反映した階層別の編集が行えます。
| 選択モード | 編集対象と具体的な機能・活用例 |
|---|---|
| Cabinet(キャビネット) | 製品全体の選択。キャビネット単位での移動、削除、基本寸法の変更を行います。壁面への吸着や定寸数値入力、寸法ラベルの表示絞り込み(選択中のみ表示)もこの階層で行います。 |
| Bay(ベイ / 区画) | 1つのキャビネット内に存在する各区画を選択。Shift キーで複数のベイを同時選択し、右クリックから「フルハイト両開き扉」や「3段引き出し」「2段引き出し」など、区画全体の収納構成を一括変更できます。 |
| Opening(開口部) | 各区画内の個別の扉や引き出しを選択。特定の扉だけを「左開き(Left swing)」に変更したり、上部を「跳ね上げ式フラップ扉(Flip-up doors)」に変えたり、扉を取り外してオープン棚にするなどの個別調整が可能です。 |
| Face Frame(フェイスフレーム) | キャビネット前面の木製フレーム枠を選択(ソリッドシェーディング推奨)。下部レールを「Flush(ツライチ)」に設定して巾木(Toe-kick)をなくしカウンター席の足元スペースを確保したり、縦枠(Stile)を床まで延長(Styles to the floor)して端部を美しく見せる調整が可能です。Q キーのお気に入りに登録すれば素早く適用できます。 |
| Interior(内部パーツ) | キャビネット内部の構造を選択。冷蔵庫上へのトレイディバイダー(仕切り板)の追加や、引き出し式ラック(Rollouts)のサイズ変更・ボックス追加が行えます。仕切り壁(Division)を入れて左右に分割し、右側に可動棚(Adjustable shelves)を配置するなど、自由な内部構造を設計できます。 |
| Part(個別パーツ) | 前板や特定部材の選択。「Enable Open Door Mode」を有効にすると、3Dビューポート上で扉や引き出しの前板をクリックするだけでスムーズに開閉動作します。クライアントとの打ち合わせ時に、内部構造をウォークスルー形式でインタラクティブにプレゼンテーションする際に極めて実用的です。 |
CWPキャビネットを素早く組み立てるスマートな配置・アライメント機能
CWPライブラリの家具を思い通りにレイアウトできるよう、Home Builder側には強力な配置支援機能が多数備わっています。
- 壁面への自動吸着と定寸入力:ライブラリからキャビネットをクリックして壁にカーソルを合わせると、自動的に空きスペースを埋めるように配置されます。幅を固定したい場合は「24」など数値を直接入力するだけで定寸配置が可能です。隣接して冷蔵庫用キャビネットやアッパーキャビネットをテンポよく並べられます。
- ショートカットによる多区画キャビネットの即座呼び出し:ベースキャビネットの配置時にキーボードの ↑(上矢印キー)を押すと、即座に「2つのベイ(区画)を持つキャビネット」に切り替えて配置できます。
- 正対アライメントによるアイランド設計:アイランドキッチンの中央にシンクを配置する際、向かい合う壁面のコンロ(Range)やベイにカーソルを重ねるだけで、対面位置の中心に自動的に整列(センター合わせ)して配置できます。
- 端部パネルの一括適用と結合(Combine):露出したキャビネット端部には「Apply to all exposed」で框パネル(Paneled ends)を一括配置できます。アイランドなどで2台のキャビネットの端部にそれぞれパネルが付いてしまう場合も、両方を選択して設定することで1枚のすっきりとしたパネルに結合(Combine)できます。
- バックプラッシュの配置と右クリック編集:タイル等のバックプラッシュを追加した後、右クリックメニューの「Edit the backsplash」から、壁上の位置や範囲を微調整できます。
CWPの製造規格に準拠した意匠・納まりと造作仕上げオプション
インテリアの意匠性とリアリティを高める仕上げオプションも極めて充実しています。CWP社が実際にラインナップしている木材や納まり規格がそのまま反映されているほか、モールディングや照明の生成機能も統合されています。
- 樹種と仕上げカラーの塗り分け:木材の種類(Wood Species)と仕上げ塗装(Siennaなど)をライブラリから選択可能です。別スタイル(Espressoなど)を作成し、ペイントツールを使って特定のキャビネットや部材だけにピンポイントで別色を塗り分けることも可能です。
- 本格的な扉の納まり(Full Inset):一般的なClassic Overlayに加え、扉がフレーム枠の中にフラットに収まる「Full Inset」を選択できます。スクエアエッジ(Square edge)、玉縁装飾が施されたビードエッジ(Beaded edge)、面取り(Chamfer)、重厚なEstateなど、細かなプロファイルが網羅されています。
- 扉シリーズとペイントによる部分差し替え:「Marketplace」などの扉シリーズを一括適用できるほか、別の扉スタイル(木製格子ガラス扉:Wood Mullionなど)を作成し、「Assign by painting(ペイントで割り当て)」ツールを使って特定の扉だけをクリックしてピンポイントで差し替えることができます。
- 造作モールディングの自動連動と「Refresh Molding」:上部には天井まで美しく伸ばせるスタック式のクラウンモールディング(Stacked molding)、下部にはベースモールディングやベースシュー(巾木見切り)、アッパーキャビネット底面にはライトレールモールディングを自動付加できます。新しく家具を追加した際も「Refresh Molding」を実行するだけで瞬時に再計算・再配置されます。
- LED間接照明の溝掘り加工とライト自動生成:レンダービューにおいて、アッパーキャビネットの底面を右クリックし、仕上げ条件を「3/4 inch flush」に設定した上で「LED Route(配線・器具用の溝掘り加工)」と「LED Light」を有効にすると、レンダリング用のLEDライトオブジェクトが自動生成されます。「Apply to all uppers in a room」をクリックすれば部屋全体のアッパーに一括適用され、リアルな間接照明の陰影表現を即座にシミュレーションできます。
- ダイニング収納とオープン棚のテクスチャ仕上げ:アッパーキャビネットの設置設定で床からの高さを「36(インチ)」に設定し、↓(下矢印キー)を押すことで、カウンタートップまで届く4ベイのアッパーキャビネットをワンアクションで配置できます。オープン棚の背面には「Beadboard(羽目板)」や「V-groove(V溝)」といったテクスチャ仕上げを個別に割り当てることも可能です。
実践設計ワークフロー
ダウンロード
Home Builder 5 は、 GPL-3.0 license のもとで提供されており、誰でも無料で使用、改変、再配布が可能です。
ダウンロードは、Blender extension platform からが確実です。
投稿時点では、まだ最新版に更新されていないようですが、ダウンロードやソースコードの確認は、以下のリンクからも行えます。



