Blender Studio、オープンムービー「OVERGROWN」のティザーを公開!絵画調のNPR表現で贈る長編作品

2026年9月14日(現地時間) – Blender Studioは、長編アニメーション映画プロジェクト「OVERGROWN」のティザー映像を公開しました。

目次
    1. 20年のショートフィルム制作を経て、初の長編へ
    2. あらすじ
    1. 資金調達は「20/80モデル」で
    2. 支援で得られるもの
    1. 「Small Teams, Ambitious Projects」構想との関わり
    2. スケジュール

オープンムービー「OVERGROWN」のティザーが公開

20年のショートフィルム制作を経て、初の長編へ

Blender Studioは「Open Movie」と呼ばれる高品質な短編映像作品を20年間にわたり継続して手がけてきましたが、今回の『OVERGROWN』はこれまでに培われた知見と制作基盤を土台として初めて挑む本格的な長編アニメーション映画プロジェクトです。

物語としての完成度を高めると同時に、大規模なアニメーション映画制作を支えるフリーかつオープンソースの「プレイブック(包括的な制作の手引き・パイプライン)」を構築することも、この取り組みにおける主要な目的の一つに掲げられています。

『OVERGROWN』は、Blender Studioが歴代の短編プロジェクトで精力的に探求してきた絵画的NPR(Non-Photorealistic Rendering、非写実的レンダリング)表現の延長線上に位置づけられる作品です。ガッシュ(不透明水彩)を思わせる手描きのような筆致の質感表現と、緻密に計算された大気光・レイヤードライティングを融合させることで、これまでにない温かみと重厚感を併せ持ったアートスタイルの確立を目指して制作されています。

あらすじ

共同監督を務めるHjalti Hjálmarsson氏とRik Schutte氏は、本作の舞台を「人類が去ったのち、豊かな自然によって覆い戻されたロボット文明崩壊後の世界」と設定しました。

ストーリーの中心となるのは、この特異な環境を生き抜く主人公たち――心優しいアライグマの父親と、活発なハリネズミの娘による親子の絆です。種族の異なる二人は、数々の困難や未知の発見、そしてお互いの内面的な変化を経験しながら、めまぐるしく展開する冒険の旅へと乗り出します。

支援の呼びかけ

資金調達は「20/80モデル」で

OVERGROWNの資金計画には「20/80モデル」が採用されています。まずBlender Studioが、サブスクライバーからの支援によって全体の20%を調達し、ビジュアル開発と、映画制作を始動させるために必要なソフトウェア・パイプライン開発にあてます。ここで作られるツールは、従来どおりフリー・オープンソースとして公開されるとのことです。

この初期のビジュアル開発の成果をもとに、残り80%を出資する外部のプロデューサーや配給会社を巻き込む計画としています。これにより、スタジオとコミュニティはビジュアル開発・技術・パイプラインといった注力したい領域に資金を投じ、制作の重い部分は外部資金でまかなう形になるとしています。

支援で得られるもの

プロジェクトを支援すると、オープンソースのツールと制作知見にアクセスできます。目指しているのは、長編映画のパイプラインとして組み合わせられる、オープンソースかつ十分にドキュメント化された生産性ツール一式とのことです。

独立系の映像制作者コミュニティが、ゼロから始めるのではなく、Blender Studioの「プレイブック」を参照・活用できるようにすることを狙いとしています。

あわせて、OVERGROWNの制作を通じた本格的なトレーニングと知見も共有される予定です。公開が予定されている知見には、次のようなものが含まれるとしています。

  • パイプラインアーキテクチャ・制作ワークフロー: パイプライン設計と制作フローに関するドキュメント。
  • ストーリー・プレビズ: 効率的なプレビジュアライゼーションのためのストーリーツールとレイアウト技法。
  • レンダリング: 大容量・高パフォーマンスなレンダリングの手法。
  • マスタリングと納品: 最終出力・納品に関する知見。
  • アセット・キャラクター制作: リギングとシェーディングを中心としたワークフロー。

個人向けのサブスクリプションは月額11.50ユーロからで、フリーランスや学生、指導者向けと位置づけられています。制作アセットへの全面的なアクセス、Open Movieの制作ログの閲覧、トレーニングへの無制限アクセスなどが含まれるとしています。チーム向けのサブスクリプションも別途用意されています。

Blender Studioの活動は、サブスクライバー(定期支援者)の存在によって成り立っています。このような規模のプロジェクトを安定した基盤のもとで進めるため、7,000人からの支援を目標に掲げています。プロジェクトページによると、本記事執筆時点(2026年9月16日)で6,060人が参加しており、目標の87%に相当します。

今後の展開

「Small Teams, Ambitious Projects」構想との関わり

Blender Studioは、OVERGROWNを単なる長編映画作品にとどめるつもりはないとしています。制作過程で得た知見を専用のドキュメントやチュートリアルとしてまとめ、他の映像制作者が自身のプロジェクトに応用できる形で共有していく計画です。

この方針は、Blenderのプロダクト責任者(Head of Product)であるDalai Felinto氏による記事「Small Teams, Ambitious Projects」で示された、Blender開発における戦略的なビジョンとも軸を合わせたものとのことです。

スケジュール

2026年9月末までに7,000人のサブスクライバーに到達すれば、資金調達に向けて強い立場になるとしています。Blender Studioは、コミュニティによる支援がプロジェクトの実現、そしてその成果をフリー・オープンソースとして誰にでも還元することを可能にするとして、さらなる支援者を呼びかけています。


OVERGROWN Teaser Premiere

Blender Studio「OVERGROWN」プロジェクトページ

目次

    1. 20年のショートフィルム制作を経て、初の長編へ
    2. あらすじ
    1. 資金調達は「20/80モデル」で
    2. 支援で得られるもの
    1. 「Small Teams, Ambitious Projects」構想との関わり
    2. スケジュール