2026年9月10日(現地時間)- Adobeはデスクトップ版動画編集ソフトウェア「Adobe Premiere」の最新バージョン「26.5」を発表しました。
目次
新機能ハイライト
今回のアップデートでは、タイムライン上で直接プロンプトから映像や効果音を生成できる革新的な「生成メディアツール」をはじめ、文字起こしテキストの選択操作だけでラフシーケンスを迅速に組み上げられる「Paper Edit」、ソニー FX5 や ARRI ALEXA 35 Xtreme のネイティブサポートなど、制作フローを大幅に短縮する機能が多数盛り込まれています。
さらに、先行して試験提供されているベータ版では、制作準備を支援する「Premiere AI アシスタント」や進化した「Color mode」の強化も利用可能となっています。
新機能の概要(2026年9月 バージョン 26.5)
生成メディアツール
Premiere のタイムライン内で直接、ビデオと音響効果を生成できる「生成メディアツール」が追加されました。アプリケーションを切り替えることなく、編集している場所でそのままAI生成メディアを作成し、結果を直ちにシーケンスに追加できます。
タイムラインの範囲を選択し、作成したいメディアを説明し、対応するAIモデルを選ぶだけで、編集にスムーズに統合される素材を生成できます。生成された結果は編集可能なクリップとして追加されるため、レビューや調整、編集の継続も簡単に行えます。

Premiere の生成メディアツールと生成タスクバー。
A. 生成メディアツール B. 生成タスクバー
サポートされている機能
- テキストプロンプトとオプションの参照フレームを使ったビデオクリップの生成
- テキストプロンプトからのカスタム効果音の生成。音声でタイミングと強度をガイドすることも可能
- ビデオ生成用に Adobe Firefly と対応パートナーAIモデルから選択
- シーケンスのフレームを視覚的な参照として使用
- タイムラインを離れずにメディアを再生成
効果音を生成する手順 ▼
- ツールバーから生成メディアツールを選択します。
- オーディオトラック上をドラッグするか、オーディオギャップをダブルクリックして、生成したい長さの範囲を選択します(範囲は後からトリムや移動が可能です)。
- 生成したい効果音の内容をテキストプロンプトで説明します。
- (任意設定)自身の音声をマイクで録音してタイミングと強弱をガイドし、生成を選択します。
- 生成された複数のバリエーションを試聴し、AIバッジをクリックしてお好みのサウンドを選択します。
※以前に指定した範囲の生成処理がバックグラウンドで実行されている間も、待機することなく続けて新しい範囲選択と生成を行えます。
動画を生成する手順 ▼
- ツールバーから生成メディアツールを選択します。
- ビデオトラック上をドラッグするか、クリップ間のギャップをダブルクリックして、生成したい尺の範囲を指定します。
- 使用するAIモデルを選択し、必要に応じて参照フレーム(最初のフレーム、最後のフレーム、前後のフレーム、または参照フレーム)を指定した上でプロンプトを入力し、生成を実行します。
生成タスクバーでは、Adobe Firefly Video Model に加えて対応するパートナーモデルを選択できます(デフォルトモデルは Veo 3.1)。参照フレームはプログラムモニター、ソースモニター、プロジェクトパネルから柔軟に取得でき、クリップ間のギャップを指定した場合は前後のクリップの隣接フレームが自動参照されます。イメージ通りの正確なビジュアルを得るため、参照フレームの積極的な指定が推奨されています。
また、生成タスクバーには解像度、アスペクト比、フレームレート、デュレーションなど、生成時に用いられるパラメーターが表示されます。Premiere はシーケンス設定に可能な限り合致するモデル設定を自動的に選択します。
生成されたメディアの運用メリット
Premiere 内部で直接メディアを生成できる環境により、映像制作ワークフローは以下のように合理化されます。
- クリップを外部ツールに書き出したり、サードパーティ製Webサイトを経由したりする必要がない
- 生成されたメディアの解像度や仕様がシーケンス設定に整合した状態で保たれる
- 単一のシームレスなワークフローから複数の提携AIモデルに切り替えてアクセスできる
- 素材生成の完了直後からタイムライン上でカット編集やエフェクト適用へ移れる
- 過去に生成した結果のヒストリーをいつでも見直し、再生成や微調整を加えられる
※生成AIメディアを含む、または生成AIツールによって修正されたコンテンツには、書き出し時に「コンテンツ資格情報(Content Credentials)」が自動でメタデータとして埋め込まれ、制作におけるAI利用の透明性が確保されます。
Paper Edit
音声の文字起こし(トランスクリプト)テキストを読み進めながら、対話シーンやインタビューなどの会話の多いフッテージからラフカットを直感的に構築できる「Paper Edit」機能が搭載されました。
タイムライン上で細かく波形やイン・アウト点を指定しなくても、活かしたい文章や文の一部をテキスト上でハイライト選択していくだけで、新規シーケンスへと自動で編集・配置することができます。

Paper Edit の基本的な操作手順 ▼
- テキストパネルを開き、ヘッダーに新設された Paper Edit アイコン を選択します。
- ラフカットに組み込みたいトランスクリプト内のテキストを選択します。一文丸ごとだけでなく文の一部だけを切り出すことも可能で、離れた箇所からの複数選択にも対応しています。
- プレビューを選択すると、シーケンスを実生成する前に選択部分の通し再生を確認できます。選択したトランスクリプトの内容と合計デュレーションがパネルに明示され、クリアでいつでも選択のやり直しが可能です。プレビュー再生中に選択箇所をクリックすることで、特定のフレーズだけを除外する調整も行えます。
- 内容が確定したら新規シーケンスを作成をクリックします。選択されたテキストに対応する映像と音声が新しいシーケンス上に自動で整列されます。
長時間のインタビュー素材でも、選択済みのブロック間をワンクリックで素早くジャンプして往復できるため、膨大なタイムラインを端からスクロールして探すストレスが解消されます。インタビューやドキュメンタリーのように、話している内容から構成を決めていく編集で、シーケンスの組み立てを短時間で行うことが可能となります。
Object Masking の機能強化
被写体の切り抜きやエフェクト適用に用いる「Object Masking」において、検出AIモデルの強化と、生成後のマスクエッジを追い込むための詳細な調整パラメーターが導入されました。
オブジェクト検出の精度向上
従来バージョンでは認識が難しかった小さな小道具、複雑な背景パーツ、前後に重なり合った被写体なども正確に分離・認識できるようになりました。検出可能なオブジェクトのバリエーションは1シーンあたりおよそ2倍に増大しているとのことです。
マスクの境界ラインも複雑な輪郭や有機的な形状に対してより忠実に沿うようになり、選択後にパスを手動修正する工数が大幅に削減されます。さらに、高精度モデルとバージョン26.3で先行導入された非同期プロパゲーション技術の組み合わせにより、トラッキング処理速度も向上しています。
これまでのバージョンでは識別できなかった小道具、背景要素、重なり合った被写体など、シーンごとに選択できるオブジェクトが大幅に増えました。マスクの境界も、複雑または不規則な形状でより正確になり、選択後の手動修正が少なくて済むとしています。検出できるオブジェクトの数はシーンあたりおおよそ2倍になり、より高性能なモデルと非同期プロパゲーション(26.3で導入済み)の組み合わせにより、トラッキングも高速化しているとのことです。
ハードウェア要件とフォールバックについて
この強化された検出モデルを利用するには一定水準以上のGPU性能が必要です。Intelプロセッサ搭載のMacや、古いAMD製グラフィックスドライバーを使用しているWindows環境では、自動的に従来の検出モデルへフォールバックします。この場合でもオブジェクトマスク自体の操作は可能ですが、検出対象の拡大範囲は制限されます。AMD環境では最新の公式グラフィックスドライバーへアップデートすることで最新モデルが有効化される場合があります。
シャープネス(スムーズモードのエッジ調整)
シャープネスコントロールを使用すると、モードを切り替えたり再トラッキングしたりすることなく、マスクのソフトエッジフリンジをどの程度含めるかを微調整できます。シャープネスを上げると、信頼度の低い背景ピクセルがクリップされ、曖昧なエッジが引き締まります。値を下げると、信頼度の低いフリンジをより多く取り込み、浮き毛などの細かいディテールを回復するのに役立ちます。エフェクトコントロールパネルでは、次の2つの調整方法を使用できます。
- Sカーブ(デフォルト): コントラストスライダーと中間点スライダーを使用して調整
- レベル: 入力ブラック、入力ホワイト、ガンマを使用して調整
マスク展開(Mask Expansion)
このプロパティでは、生成されたマスク全体の輪郭を、0を基準とした1基のスライダー操作で均等に内側へ収縮、または外側へ拡張できます。
負の値(マイナス)に設定するとマスクが内側に縮退し、エッジ周辺に生じる不要なハロ(光輪)アーティファクトを取り除くのに役立ちます。正の値(プラス)に設定すると外側に広がり、境界部でAIが拾い落とした微細なピクセルを復元できます。

マスクオフライン通知
プロジェクトを開いている間にマスクファイルへアクセスできなくなった場合(ドライブの取り外し、クラウドからの退避、ファイルの移動・リネームなど)を検出する、常駐のファイル監視機能が追加されました。

数秒以内に「マスクファイルが見つかりません」というバナーが表示され、フォルダを指定して検索する、ソースクリップからマスクを再生成して復元する、または後でを選んで作業を続ける、といった対応が行えます。影響を受けたマスクは、エフェクトコントロールでも個別にデータ欠落として表示されます。

新規・更新されたエフェクト(レンズフレア/Twirl/モザイク)
シネマティックな見た目を作れる新規・更新エフェクトが3つ追加されました。既存プロジェクトの見た目は変わらず、従来のエフェクトはレガシーとして残ります。
レンズフレア FX(ライトとグロー FX)
シミュレートされたレンズフレアをカスタマイズして追加できます。フレアの形状、ストリークの強度、色をコントロールでき、さまざまな照明条件に合わせられます。
Twirl FX(Distort FX)
指定した中心点を軸にピクセルを渦巻き状に回転・歪曲させるエフェクトです。半径と角度の精度が向上し、よりクリーンで制御しやすいスピンゆがみを作成できるようになりました。従来の Twirl もレガシーエフェクトとして残ります。
モザイク FX(エッセンシャル FX)
従来の単純な格子状モザイクにとどまらず、動的な多角形分割やグリッド分割を用いて、柔軟な幾何学的パターンのピクセル化を適用できます。新しいソフトネスコントロールによってタイルの縁がブレンドされ、ブロック間のトランジションがより自然なぼかし処理を実現できます。
生成延長の対応メディア拡大
AIによってクリップの始点や終点の映像・音声を自然に引き伸ばす「生成延長(Generative Extend)」が、より多彩なソースメディアに対応しました。
低解像度の 360p から超高精細な 4K UHD まで、あらゆる縦横比や特殊なピクセルアスペクト比のクリップに対して生成延長を適用できるようになっています。延長部分が生成されている間も、オリジナルのソースメディアはネイティブフォーマットのまま無劣化で保持されます。
対応メディアの仕様要件詳細
- 解像度と縦横比: 最小 360p(640×360 または 360×640)から最大 4K UHD(4096×2160 または 2160×4096)まで幅広くサポート。横長(16:9)、縦長(9:16)、正方形(1:1)、ウルトラワイド、カスタムアスペクト比に対応します。解像度やアスペクト比がネイティブプリセットに完全一致しない場合は、最も近い上位解像度で延長部が自動生成され、元の比率に合わせて適切にリフレームされます。
- 走査方式・ピクセル比: インターレース素材にも対応しており、延長部分は高品質なプログレッシブ形式で生成されます。アナモルフィックレンズ撮影や放送用SD規格などの非正方形ピクセル素材に対しても、正方形ピクセルで整合性を保って生成されます。
- フレームレート: 12 fps〜60 fps のソースクリップに対応。ただし、30 fps を超える高フレームレート素材であっても、AI延長部分は 30 fps で生成されます。
- ビット深度: 8 bit、10 bit、16 bit のソースメディアに対応。延長部分は一律で 8 bit として生成されます。
- カラースペース: SDR および HDR いずれのソースクリップにも適用可能ですが、生成される延長部分は SDR となります。
その他の新機能
- ソニー FX5 カメラのサポート: 32ビット浮動小数点の Hi-Res オーディオに対応したソニー XAVC/XOCN メディアを、他のメディアと一緒に Premiere で編集できます。
- ソースの一致でオーディオ設定を自動的に一致: ソースのオーディオチャンネルとサンプルレートにも対応し、必要に応じて自動でダウンミックスが行われます。書き出し形式がソースのチャンネル構成に対応できない場合は警告が表示されます。
- ProRes RAW サポートの改善: 互換性が強化され、ProRes RAW のフッテージを編集ワークフローに取り込みやすくなりました。
- ARRI ALEXA 35 Xtreme/ARRICORE のサポート: ALEXA 35 Xtreme の ARRICORE メディアを、編集ワークフローに直接取り込めます。
- NVIDIA Blackwell GPU での再生支援: MXF に含まれる AVC および HEVC の 4:2:2 10ビットデコードを、ハードウェアアクセラレーションで処理できます。
- XAVC-I のスマートレンダリング拡張: XAVC Intra Class 100 1080 および XAVC Intra Class 300 UHD を含む XAVC-I メディアに対応し、プレビュー生成が高速化されました。
- トランジションハンドルの表示切り替え: タイムライン表示設定の新しいオプションと対応するキーボードショートカットで、オーディオとビデオのトランジションハンドルを表示/非表示にできます。
- 新しい Voice Activity Detection モデル: 音声テキスト変換に新しいモデルが採用され、文字起こしの精度が向上したとしています。
- Windows on ARM でのネイティブデコード: MotionJPEG、MKV、RLE Animation MOV をネイティブにデコードできます。
- メディアをリンクダイアログの改善: 新しいコンテキストメニューのオプションから、メディアの検索、オフライン化、リセットをすばやく行えます。
各機能の詳細や動作環境については、Adobe Premiere(デスクトップ版)のリリースノートを参照してください。
ベータ版の新機能
Premiere ベータ版では、正式版に先立って多数の新機能が試験提供されています。Adobeの公式コミュニティフォーラムでも新機能が相次いで発表されており、What’s Newページがまだ更新されていないものも含め、ここでまとめて紹介します。
Premiere AI アシスタント
自然言語のチャットプロンプトを通じて、素材の仕分け、フッテージの下準備、初期編集のアセンブリといった煩雑な前工程をAIに指示できる「Premiere AI アシスタント」がベータ版で提供されています。ビンの階層構築や重要シーンへのマーカー付与といった機械的な作業を、普段の言葉で指示するだけでバックグラウンド代行してくれます。

Premiere AI アシスタントの利用手順 ▼
- メニューバーの ウィンドウ > アシスタント を選択して「Premiere AI アシスタント」パネルを呼び出します。
- パネル下部の入力バーに、「読み込んだフッテージをシーン別にビンを作成して整理して」「テロップ用のマーカーを打って」などの具体的な要望を日本語で入力します。
- アシスタントがプロンプトの意図を解釈し、必要な一連のアクションをプロジェクトに対して自動実行します。処理はバックグラウンドで進行するため、待機中もタイムライン編集作業を中断する必要はありません。
- 実行結果を確認しながら、チャットを続けて追加の指示を与えたり、仕上がりを微調整したりできます。
現時点で対応している主なワークフロー
現時点では、プロジェクトパネルとタイムラインに関わる次のようなワークフローに対応しています。
- プロジェクトの整理: ビンの作成・整理、クリップの移動・名前変更、カラーラベルの適用、アセットの構造化
- メディアの準備: トランスクリプトの生成、スレートの検出、マーカーの追加、編集用フッテージの準備
- 編集をまとめる: ストリングアウトの作成、ラフアセンブリの作成、整理済みメディアのタイムラインへの配置
アシスタントが作成した内容はすべて通常どおり編集でき、アクションは Premiere の取り消し・ヒストリーパネルに記録されるためいつでも元に戻せます。対話ヒストリーも保持されるので、過去のリクエストや実行内容を後から確認可能です。アシスタントが操作するのはプロジェクトパネルおよびタイムラインの内容のみであり、ワークスペースの配置を変えたりパネルを勝手に開閉したりすることはありません。
アシスタントパネルの主な機能
パネル下部のプロンプトバーからリクエストを入力し、上部の会話エリアで応答を確認します。他の Premiere パネルと同様にドッキングやリサイズが可能です。
- 会話の管理: +ボタンで新しい会話を開始し、上部のタブで切り替え。タスクごとにチャットを分けて管理でき、以前のチャットはパネルヘッダーのメニューから確認できます。
- 推論とツールの使用: 応答の推論を展開すると、リクエストの解釈内容、実行手順、使用した Premiere のツールや AI モデルを確認できます。
- フィードバックボタン: すべての応答にサムズアップ/サムズダウンボタンがあり、ベータ期間中のアシスタント改善に役立てられます。
- 取り消し: アシスタントによる変更は取り消し・ヒストリースタックに記録され、取り消しボタンで直前の会話ターンの変更をリセットできます。
- 権限設定: アシスタントが自動実行できる範囲を設定可能。「常に権限を確認」では各ステップの実行前に確認を求め、「権限の自動承認」では確認なしで最初から最後まで実行します。プロンプトバーからいつでも切り替えられます。
パブリックベータ版について
現在は初期パブリックベータ版で、フッテージの整理やメディアの準備、ストリングアウトの作成といった対応ワークフローは出発点にすぎないとしています。指示できる内容は今後も拡張が予定されており、機能・ツール・挙動はベータ版の開発にあわせて変更される可能性があります。フィードバックは Beta Support Community フォーラムで受け付けています。
ベータ版のため開発が進行中で、問題が発生する場合があります。バグレポート機能やサムズアップ/サムズダウンボタンでのフィードバックが推奨されています。現時点ではクライアント案件への使用は推奨されておらず、プロジェクトを複製するか、新しいメディアを新規プロジェクトに読み込んでテストすることが案内されています。
Color mode の更新
Premiere のカラーグレーディング環境「Color mode」が更新され、個人の制作スタイルやアクセシビリティに即した表示調整が可能になりました。さらに新しいのベータビルドでは、スタイル操作を高度化する2つの新しいモジュールが追加されています。
Film Color が Wide Gamut に対応
Film Color スタイルモジュールが、Wide Gamut のカラー設定でも正しく機能するようになりました。使い方自体はDirect Rec.709(SDR)と変わりませんが、Wide GamutのカラーセットアップにおけるACEScctワーキングカラースペースに合わせてフィルムカラーエフェクトが正しくスケーリングされるようになり、適用した色とコントラストがRec.709出力・PQ/HLG出力の両方で正しく表示されます。
Variable Vibrance スタイルモジュール
カラー補正で人気の高い「Vibrance(自然な彩度)」調整を行える新しい「Variable Vibrance」モジュールが追加されました。デフォルト位置の水平コントロールのまま垂直方向にドラッグすると、画像のVibranceを増減できます。さらに新しい水平コントロールの「Skin Tone Protection(肌色保護)」パラメーターで、Vibranceの効き方を細かくカスタマイズできます。
- デフォルト位置(50%): Lightroomと同じVibrance処理が適用され、肌色が誇張されないよう適度に保護されます。
- 左側(0〜49%): 効果がVibranceから、すべての色相を均等に彩度アップする「全体彩度」寄りに変化していき、0%で完全な全体彩度増加になります。この彩度アルゴリズムはColor & Contrastの彩度アルゴリズムとは異なるため、画像の彩度を変える方法が2種類使えることになります。
- 右側(51〜100%): 肌色保護をさらに強め、保護対象の色相を積極的に減衰(脱彩度)させることもできます。肌色以外のすべての色相の彩度を上げつつ、肌色に該当する色相の彩度だけを抑える、という同時調整が可能になります。
Clip Grid でのグループへのクリップ追加・削除
Color Modeでのみ利用できる「Clip Grid」には、グレード管理のためのクリップのグループ化機能があります。このグループに対してクリップグリッドのコンテキストメニューから直接クリップを追加・削除できるようになりました。グループに対する操作は、接続された全クリップへ自動的に反映(ripple)されるため、グループ管理がしやすくなることで、まとまったカットのカラーグレーディングを効率化できます。
生成AIによる音声機能
Generate Music(BGM生成)
Firefly Music モデルを使い、タイムライン上で直接オリジナルの音楽を生成できる Generate Music が追加されました。
テキストプロンプトで曲調や楽器構成を指定できるだけでなく、配置した映像クリップに対して範囲選択を行い「Video to Prompt」を選ぶと、画面の内容に合わせた音楽を生成できます。動画の尺に合わせて綺麗に繋がるシームレスループの作成にも対応しています。
テンポはBPMで自分で指定するか、自動で任せるかを選べ、長さは5秒から5分まで設定可能です。生成のたびに4つのバリエーションが返され、比較して選ぶことができます。

商用ライセンスと権利関係
生成された楽曲は完全なロイヤリティフリーであり、映像とのシンクロナイゼーション権(同期権)も含まれています。テレビ放送、ゲーム、映画、Web広告など、追加のライセンス費用を支払うことなくそのまま商用利用できます。すべてのトラックには「コンテンツ資格情報(Content Credentials)」が付与されます。なお、生成処理の実行には生成クレジットを消費します。
Generate Soundscape(環境音・音のベッド生成)
タイムライン上の範囲を選択すると、Premiere が映像を解析し、それに合わせて動く環境音(サウンドスケープ)を生成する Generate Soundscape が追加されました。背景レイヤー2つと前景レイヤー2つ、あわせて4つの編集可能なステムが生成され、レイヤーごとに再生成したり、バランスを調整したりできます。
Generate Sound Effects が単発の効果音を生成するのに対し、Generate Soundscape はシーン全体の音のベッドを一括で作成するイメージです。オーディオトラック上で範囲選択すると Generate Soundscape のオプションが表示され、実行するとレイヤーがステムとしてタイムラインに配置されます。1回の解析範囲は約15秒が目安で、複数のシーンにまたがる範囲選択には現時点で対応していません。

Sync to Video(映像同期付き効果音生成)
Generate Sound Effects(効果音生成)に、映像に合わせて自動でタイミングを同期する「Sync to Video」が追加されました。範囲選択した映像をPremiereが解析し、画面上のアクションに合わせて生成した効果音のタイミングを合わせます。
たとえば「犬が吠える」「ドアがバタンと閉まる」といったプロンプトを与えると、Premiere が被写体の動きを画像解析し、画面内の犬が口を開けた瞬間やドアが枠に衝突した正確なフレームへ自動で効果音のピークを配置します。
従来の「テキスト指定」「マイクの肉声で強弱をガイド(Record a Guide)」に続く第3の生成手段となります(自身でタイミングを付けたい場合は Record a Guide も併用可能です)。
高度なオーディオ機能
Enhance Audio(次世代音源分離・声の強化)
収録済みの音声を解析し、セリフ・音楽・環境音・効果音・リバーブの各要素に分離したうえで、それぞれを個別に調整できる「Enhance Audio」が追加されました。Webで提供されていた Enhance Speech の次世代版で、音源分離機能も統合されています。
収録された1本のオーディオクリップを「セリフ(Dialogue)」「音楽(Music)」「環境音(Ambience)」「効果音(Sound Effects)」「リバーブ(Reverb)」の要素へ自動分離し、個別にレベルや質感をコントロールできます。
処理はハイブリッド方式で、音源分離そのものはローカルマシンのハードウェア(オンデバイス)で実行さら、最高品質の音声モデルである「Enhance Speech V2」はクラウド上の Firefly インフラで演算されます。
V2の利用には1分あたり2クレジットを消費しますが、V1を選べば音源分離も含めて完全オンデバイスで処理され、クレジットは消費されません。既定のモデルは環境設定で指定でき、クリップごとにプロパティパネルからV1/V2を切り替えることもできます。

音楽・環境音・効果音にはそれぞれボリュームコントロールがあり、ステムごとに音量を上げ下げしたり、アイコンをクリックしてミュートしたりできます。波形がリアルタイムで変化に反応するため、ステムを下げたりミュートしたりした瞬間に、タイムライン上でその変化を確認できます。

Enhance Audio の操作手順 ▼
- タイムライン上で対象のオーディオクリップを選択し、プロパティパネルの「オーディオ」セクション、または右クリックメニュー/クリップメニューから Enhance を実行します。
- 処理が完了すると、プロパティパネル内に「セリフ」「音楽」「環境音」「効果音」の独立したコントロールセクションが表示されます。
- セリフ調整: 「ボリューム(声の音量)」「エンハンスメント(クリーンアップの強度:0で原音、100でフル処理)」「リバーブ(部屋の反響音除去)」の3スライダーで声を理想的なスタジオ収録品質へ整えます。
- その他ステム調整: 音楽・環境音・効果音の各スライダーで音量を個別に上げ下げしたり、スピーカーアイコンをクリックして特定要素を一発でミュートできます。操作に応じてタイムライン上のオーディオ波形がリアルタイムに再描画されます。
また、必要に応じて、分離した4要素をタイムライン上で物理的に独立した別々のクリップとして分割展開し、それぞれ編集・レベル調整・移動できます。ターンオーバーの準備や、ステムを手作業で仕上げたい場合に活用できます。
エンハンス実行後のカットやフェード、トリミングといった通常の編集操作では再レンダリングは発生しません。処理結果には自動で前後5秒間の「安全ハンドル」が付与されており、ハンドル内でのトリムであれば再計算なしで即座に反映されます。ハンドル幅を超えて未解析部分へ拡張した場合のみ、追加された差分時間分だけが再計算されます(V2の場合は差分のみクレジット消費)。

Separate Crosstalk(重なり合う声の分離)
単一のマイク(ブームマイク、スマートフォンの録音、1基のピンマイクなど)で収録した音声において、2人の人物が同時に喋って声が被ってしまった箇所(クロストーク)を分離できる「Separate Crosstalk」が追加されました。
ブーム・スマートフォン・単一のラベリアマイクなど、単一マイクでの収録を対象としており、モノラル・ステレオいずれのクリップにも対応します。話者ダイアライゼーション(話者ごとの完全な分離)とは異なり、実際に音声が重なっているクロストークの瞬間を解決するための機能です。クリップを処理すると、話者1・話者2・背景/環境音の3トラックが生成され、それぞれ個別にミックスできます。

仕様とコストに関する注意点
この機能は、全体の「話者ダイアライゼーション(全編にわたる話者判定)」ではなく、実際に音声が重なって聞き取れなくなっている瞬間を修復することに特化したプレミアム機能です。処理には 音声1秒あたり1クレジット を消費します(解析精度担保のため前後2秒のハンドルが自動追加され、その分もクレジット計算に含まれます)。そのため、会話が衝突している箇所だけをあらかじめレーザーツール等で短くトリムしてから実行することがコスト節約の観点から強く推奨されています。処理可能なクリップの長さは1秒から最長10分までです。
Audio Leveling
セリフ音声の音量ムラを解析し、適切な音量バランスを保つためのボリュームキーフレームをクリップ全体に自動で書き込む機能「Audio Leveling」が追加されました。
この機能は、クリップ全体に一律の音量調整をかけるのではなく、レベルが上がりすぎている箇所や下がりすぎている箇所を検出し、大きい部分を抑え、小さい部分を一定の目標値に向けて持ち上げるクリップボリュームのキーフレームを追加してくれます。生成される結果は実際のキーフレームのため、手で描いたものと同じように、位置の調整や形状の変更、削除が自由に行えます。
ダイアログクリップを選択すると、Essential Sound パネルの「ラウドネス」モジュール内に Audio Leveling が表示されます。実行すると Premiere が音声を解析してバランス調整用のキーフレームを書き込み、その後は通常のキーフレームと同様に微調整できます。

ダッキングキーフレームの自動更新
ナレーションやセリフが入るタイミングでBGMの音量を自動的に下げる「オーディオダッキング」に、タイムライン上のクリップ編集に合わせてキーフレームを自動更新する新機能が追加されました。
このオプションは初期状態で有効(デフォルトでオン)になっており、編集の進行に合わせてダッキングの同期状態を常に維持します。これによr、クリップの位置や長さを微調整するたびに、ユーザー自身が手動でキーフレームを再生成する必要がなくなります。
「Auto-update keyframes」がオンの状態では、ダッキングキーフレームがクリップの変更へリアルタイムに追従します。ダッキングのトリガーとなっている音声クリップ(ダイアログ等)をトリミングして尺を伸縮させたり、トラック間で移動させたり、別のクリップへ差し替えたりした場合でも、BGMトラック側のダッキングキーフレームが自動的に再計算・再配置されます。編集の意図に沿った理想的なミックスバランスが保たれるため、音量キーフレームの修正に気を取られることなく、カット編集作業そのものに専念できます。
新しいオーディオストレッチモード
クリップの再生速度や尺(デュレーション)を変更する際、音のピッチ(音高)を自然に保ったまま伸縮できる新しいストレッチエンジンが搭載されました。従来は音程が不自然に変化してしまうため、Auditionへの書き出し・処理・再読み込みという手間が必要でしたが、Premiere内だけで完結できるようになります。
「速度・デュレーション」のワークフロー内で、次の3つのモードから選択できます。
- レガシー: 従来のリアルタイム処理。即時反映されますが、伸縮量が大きくなると音が不自然になりやすい方式です。
- ミディアム/高品質: Auditionに匹敵する高品質なストレッチを Premiere 内で実現する新しいモードです。品質を優先するため多少のレンダリング時間がかかりますが、現在はこちらがデフォルトとして使用されます。
Premiere はクリップがダイアログか音楽かを自動的に判別し、それぞれに適したストレッチ処理を行うため、特別な設定は不要で利用できます。

その他のベータ版の機能
- iXML メタデータ対応(クリップヘッダー・ソースモニター): 収録音声に含まれる iXML メタデータを、クリップヘッダーとソースモニターの両方に直接表示できるようになりました。ソースモニターではチャンネルラベルのレベルに表示され、シーケンスに配置する前の並べ替えや選定に活用できます。グローバル設定のため、一度有効にすれば両方に適用されます。
- Timeline Track Header Labels(トラックヘッダーのカラーラベル): タイムラインのトラックヘッダーに、プロジェクトのラベルカラー(16色)からカラーラベルを付けられるようになりました。ビデオ・オーディオ・キャプションいずれのトラックにも設定でき、色が付くのはヘッダーのみでクリップの色は変わりません。トラックヘッダーを右クリックして設定します。
価格とシステム要件
Premiere Pro は、Windows 10(64 ビット)V20H2 以降、macOS Sonoma(バージョン 14)以降で利用できます。
より詳しいシステム要件はこちらから
単体プランの価格は以下の通りです。
- 年間プラン, (月々払い) — 3,280 円/月(税込)
- 年間プラン, (一括払い) — 34,680 円/年(税込)
- 月々プラン — 4,980円 /月(税込)
また、Premiere Pro は、Adobe Creative Cloudプランの一部としても利用可能です。
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