Google、動画生成AI「Gemini Omni 1.1 Flash」を発表 ― 最大40秒のシーン拡張と4Kアップスケールに対応

2026年8月27日(現地時間)- Googleは、動画制作向けの生成AI新モデル「Gemini Omni 1.1 Flash」を発表しました。

目次
    1. シーン拡張で長尺の物語をつくる
    2. 開始・終了フレームを指定した滑らかな遷移
    3. 360pでの高速な下書きから4Kへのアップスケールまで
    4. 動画リファレンスでキャラクターの一貫性を保つ

生成動画を「本番運用できる水準」へ

Gemini Omniシリーズは、2026年5月のGoogle I/Oで発表された「Gemini Omni Flash」を起点とするモデル群です。テキスト・画像・音声・動画を単一のモデルで扱う「マルチモーダル」な生成動画モデルとして登場し、同年6月末には開発者向けにGemini APIでの提供が始まりました。

今回のOmni 1.1は、このOmni Flashの正式な後継モデルにあたります。Googleは今回のアップデートについて、生成動画ワークフローや映像編集ソフトの開発者に向けて「Omni 1.1をGemini API上でプロフェッショナル用途に対応できる水準にした」としています。

単発のクリップを生成するだけでなく、シーンを継ぎ足して長尺化したり、狙った構図のフレームを指定したりといった、実制作で求められる「制御性」に主眼を置いたアップデートが行われています。

主な特徴

シーン拡張で長尺の物語をつくる

「シーン拡張(Scene extension)」は、生成済みの動画の続きをシームレスに生成する機能です。Omni 1.1では直前最大10秒分の映像を文脈として参照できるようになりました。従来モデルが最後の1秒しか参照していなかったのに対し、大幅に参照範囲が広がったことになります。この変更によって拡張部分の視覚的な一貫性やストーリーの整合性が向上しています。

拡張は10秒単位で行い、累積で最大40秒まで映像を継ぎ足せます。実際に公開されたデモでは、1つの動画から複数パターンへと拡張を繰り返す例が紹介されています。

廊下を歩いてきた女性が立ち止まった後、ドリーズーム・スナップズーム・タイムフリーズという3種類のカメラワークで、それぞれ異なる演出に分岐する例

Gemini APIでの呼び出し方

previous_interaction_id に直前の生成結果のIDを渡すことで、そのシーンの続きを生成できます。Interactions APIを使い、テキストで「Continue the scene.」のように続きを指示するだけで、直前の構図やキャラクターを引き継いだ映像が生成されます。


from google import genai

client = genai.Client()

interaction = client.interactions.create(
    model="gemini-omni-1.1-flash",
    previous_interaction_id=previous_video_interaction.id,
    input=[
        {"type": "text", "text": "Continue the scene."}
    ],
    response_format={
        "resolution": "360p",
    },
)

開始・終了フレームを指定した滑らかな遷移

2つ目の新機能は、ショットの開始フレームと終了フレームをそれぞれ画像で指定し、その間を補間する動画を生成する機能です。

カメラの複雑なオービット(周回移動)やズーム遷移、シームレスにループする映像など、始点と終点が決まっている演出と相性が良い機能です。

ComfyUI向けのパートナーノードのドキュメントでは、画像をプロンプト中で <FIRST_FRAME> のようにタグ付けすることで、開始フレームとしての役割を明示できます。あわせて <IMAGE_REF_N>(0始まりの連番)というタグで、スタイルやキャラクター、物体の参照画像として使う指定もできます。

360pでの高速な下書きから4Kへのアップスケールまで

試作段階のイテレーションを速くするための機能として、360p解像度での軽量な下書き生成が追加されました。この機能は、標準の720p生成と比べて最大60%高速に、かつコストは3分の1程度に抑えられるので、構図やストーリーボードを素早く試したい段階に向いた設定です。

逆に納品用途では、1080pや4Kといった高解像度の出力にも対応しています。ただし、Gemini APIの公式料金ページによれば、この高解像度出力は生成そのものをネイティブ4Kで行っているわけではなく、生成結果をアップスケールしたものと位置づけられています。

動画リファレンスでキャラクターの一貫性を保つ

マルチモーダル入力の一部として、最大3秒までの動画をリファレンスとして参照させる機能も追加されました。

Googleが公開したデモでは、3本のダンス動画それぞれの振り付けを、犬・タコ・クマといった別のキャラクター画像に置き換えたうえで、1つの空間の中で同時に踊らせる、といった使い方が紹介されています。人物や動きの参照元と、見た目の参照元を別々に与えられる点が特徴です。

これらの機能により、開始フレームと終了フレームの画像を投げ込むだけで、プリセットやプロンプトを使ってその間の遷移映像を生成できる遷移映像の自動生成アプリ、不動産ウォークスルー映像の生成アプリ、要素を1つずつ変えながら並べて比較できる下書きの並列比較アプリなど様々なアプリに活用することができます。

導入事例に見る活用の広がり

Googleの発表に合わせて、複数のパートナー企業からのコメントも紹介されています。Adobeは動画編集ツール「Firefly」にGemini Omni Flashを組み込んでいます。

Figma WeaveのクリエイティブディレクターであるItay Schiff氏は、参照素材の添付やバージョンの分岐といったキャンバス上の機能と組み合わせることで、単なる動画生成にとどまらず「映像を演出する」段階まで踏み込めるようになったと評価しています。

GPUクラウドサービスを提供するGMI CloudのVPであるLouisa Guo氏は、教育・解説系コンテンツのように正確さが重要な用途において、Omniのディテールの精度が実務利用を後押ししていると述べています。

動画編集AIツールRunwayのチーフクリエイティブオフィサーであるJamie Umpherson氏も、プロンプト・画像・動画のいずれからでも生成や編集を始められる柔軟さが、既存のワークフローに自然に組み込める理由になっているとコメントしています。

ComfyUIからも利用可能に

Gemini Omni 1.1 Flashは、ComfyUIのパートナーノードを通じても利用できます。

「Gemini Video Omni」ノードのモデルドロップダウンから「Omni Flash 1.1」を選ぶことで、テキストから動画、画像から動画、リファレンスから動画、動画編集、シーン拡張といったタスクを1つのノードで扱えます。生成される動画には音声トラックも自動付与されます。

ノードで設定できる主な項目

  • 解像度:360p / 720p / 1080p / 4K
  • アスペクト比:16:9 または 9:16
  • タスクの種類:text_to_video / image_to_video / reference_to_video / edit / extend
  • 入力:プロンプト、画像(任意)、動画(任意)

会話的な動画編集にも対応しており、既存のクリップを動画入力に接続したうえで「make this video anime」「change the lighting to be more dramatic」のように指示するだけで、その他の要素を保ったまま編集を反映できます。

ComfyUI側のガイドでは、こうした編集プロンプトは詳細に書き込みすぎるとかえって意図しない変化が起きやすいため、短い指示に留め、対象を1つに絞りたい場合は「keep everything else the same」を添えることを推奨しています。

【Tips】プロンプトを書くときのポイント

  • 複数カットに分かれた構成がデフォルトの挙動のため、ワンカットで通したい場合は「in a single continuous shot」のように明示する。
  • 画像を参照として使うか、そのまま動かす素材として使うかはプロンプト側の指示で決まる。
  • タイミング指定は自然文(”after 3 seconds”)でも、タイムコード([0-3s])でも可能。
  • 画面内に文字を出したい場合は、その文言をプロンプトに具体的に書く。
  • 除外したい要素(台詞なし、効果音なしなど)は、否定形でプロンプト本文に含める。専用のネガティブプロンプト欄は用意されていない。

価格と利用方法

Gemini Omni 1.1 Flashの利用価格は以下の通りです。

Omni 1.1は、Googleの開発者向けエコシステム全体で順次展開されています。

  • Google AI Studioで試す:Google AI Studioから直接Omni 1.1を試せます。
  • Gemini Enterprise Agent Platformで構築:企業はAgent Platform API経由でOmni 1.1を直接利用できます。
  • 開発者向けドキュメントを見る:公式ドキュメント、クックブック、プロンプトガイドで、シーン拡張・動画リファレンス・アップスケールをアプリに組み込む方法を確認することができます。
  • ComfyUI:パートナーノード「Gemini Video Omni」経由、Comfy Cloudからも利用可能。

Omni 1.1は、Google FlowでもGoogle AI Plus・Pro・Ultraの全サブスクライバーが世界各国で本日から利用できます。シーン拡張機能は、GeminiアプリでもGoogle AI Plus・Pro・Ultraのサブスクライバー向けに提供されています。


Google公式ブログ「Gemini Omni 1.1 Flash lets you build with more control」

目次

    1. シーン拡張で長尺の物語をつくる
    2. 開始・終了フレームを指定した滑らかな遷移
    3. 360pでの高速な下書きから4Kへのアップスケールまで
    4. 動画リファレンスでキャラクターの一貫性を保つ