2026年9月1日、ComfyUIの開発チームは公式ブログにて、3D生成AIモデル「Trellis.2」と「Pixal3D」をComfyUIのコア機能としてネイティブに統合したことを発表しました。
これにより、専用のカスタムノードや個別にコンパイルしたCUDA拡張のインストールを必要とせず、商用利用の妨げとなっていたライセンス上の制約も解消されました。また、今回の統合では、モデル本体だけでなく、Load/Preview/Save 3Dノードの刷新、メッシュ後処理ノード群の追加、PBRテクスチャ生成の拡張など、3Dパイプライン全体が再構築されています。現行のComfyUI環境がそのまま利用でき、生成から書き出しまでを商用利用も含めて無償で行うことができます。
コミュニティのカスタムノードが抱えていた課題
2025年12月にMicrosoftがオープンソース化したTrellis.2は、公開直後からComfyUIコミュニティで注目を集めました。Andrea Pozzetti氏によるComfyUI-TRELLIS2や、VisualBruno氏によるComfyUI-Trellis2といったカスタムノードパックが登場し、合わせて1000以上のスターを獲得していました。
ComfyUIチームはこれらの開発者に謝辞を述べたうえで、こうしたカスタムノードには「インストール」と「ライセンス」という2つの課題が残っていたと説明しています。
課題1:インストール
Trellis.2のオリジナル実装はPyTorch 2.6.0とCUDA 12.4を前提としており、多くのユーザーは既存のComfyUI環境をダウングレードする必要がありました。さらにflash-attention、FlexGEMMのスパース畳み込み、O-Voxelカーネル、CuMesh、nvdiffrastといった複数のコンパイル済みCUDA拡張が、Python・PyTorch・CUDAの組み合わせごとに個別対応を要し、いずれかのバージョンが更新されるたびにビルドが失敗し、インストールが壊れることがよくありました。
課題2:ライセンス
Trellis.2自体のコードと重みはMITライセンスですが、オリジナルのパイプラインはメッシュのラスタライズに使うnvdiffrastと、物理ベースレンダリングに使うnvdiffrecという2つのNVIDIA製ライブラリに依存しています。いずれもNVIDIA Source Code Licenseの下で配布され、非商用の研究・評価用途に利用が制限されいます。このため、スタジオがリファレンスパイプラインから書き出したアセットをそのまま商用作品に使うことは、法的にグレーな領域に踏み込むことになっていました。今回のネイティブ統合では、これらの依存関係が取り除かれています。
Trellis.2とPixal3Dとは
Trellis.2
2025年12月にMicrosoftが公開したTrellis.2は、1枚の画像から高精細な3Dアセットを生成する40億パラメータのモデルです。
「O-Voxel」と呼ばれるコンパクトな構造化潜在表現を採用し、実効解像度で最大1536³までの複雑なトポロジーを扱えます。ベースカラー・ラフネス・メタリックの各マップを生成する専用のテクスチャリングモデルも同梱されており、公開から10ヶ月が経過した現在も複数のオープンソース3Dモデルのベースとして採用されるなど、基盤モデルとしての地位を築いていると評価されています。
Trellis.2の特徴
- PBRマテリアルを標準搭載:ベースカラー・ラフネス・メタリックの各マップを専用モデルが生成。
- 単一画像から3Dアセットへ:1枚の入力画像から高精細なジオメトリとマテリアルを生成する40億パラメータモデル。
- O-Voxel構造化潜在表現:ジオメトリと外観を同時にエンコードするネイティブな表現で、実効解像度は最大1536³。
- 任意のトポロジーに対応:開いた面や非多様体形状、完全に閉じた形状のいずれにも対応。
詳細は以下の記事をご覧ください。
Pixal3D
2026年4月には、清華大学とTencent ARC Labの研究者らによるPixal3DがSIGGRAPH 2026に採択されました。
Pixal3Dは入力画像の各ピクセルと3D形状を直接対応づける「ピクセル整合生成」を特徴とし、入力画像に忠実な詳細形状と、Trellis.2と同様のPBRマテリアルセットを、より高い再現度で生成できます。
Pixal3DはTrellis.2のバックボーンと、VAEおよびDINOv3による画像コンディショニングを共有しており、ComfyUIチームは両モデルをあわせて統合した理由の一つに、この技術的な共通性を挙げています。
Pixal3Dの特徴
- ピクセル整合生成:入力画像とジオメトリを直接対応づけて生成するため、見た目の忠実度が高い。
- 明示的な画像バックプロジェクション:マルチスケールの画像特徴を3D特徴ボリュームに投影し、リコンストラクションに近い忠実度を実現。
- カスケード方式のリファインメント:疎な構造から形状、テクスチャへと段階的に高解像度化。
- Trellis.2をベースに構築:バックボーン、VAE、DINOv3コンディショニングを共有。
詳細は以下の記事をご覧ください。
今回の統合で追加された機能
今回の更新では、ほかの画像生成・動画生成モデルと同じように、最良のオープンな3DモデルをComfyUI上でそのまま動かせるようにすることが目標とされています。
今回のネイティブ実装は、3D生成をComfyUIにおける主要な機能の1つとして位置づけ直す機会にもなったとのことです。実装を担当したKijai氏と、その土台となった初期実装を手がけたyousef-rafat氏です。
純粋なネイティブ実装
Trellis.2とPixal3Dはいずれも、コンパイル済み拡張を必要としないComfyUIのコアノードとして動作するようになりました。
従来nvdiffrastやnvdiffrecなどのコンパイル済み拡張が必要だった3D後処理は、PyTorchとSciPyを使って一から再実装されています。構成ごとの専用ホイールも不要になったため、既存のComfyUI環境がそのまま動作している場合、追加のセットアップなしにこれらのモデルを利用できます。
刷新されたLoad/Preview/Save 3Dノード
Load 3D、Preview 3D、Save 3Dの各ノードは以前のバージョンのComfyUIから搭載されていたものですが、Terry Jia氏によって、新しいモデルと現代的なメッシュワークフローに対応するようゼロから再構築されました。今回追加されたのは「Load 3D (Advanced)」「Preview 3D (Advanced)」「Save 3D (Advanced)」の3ノードです。
メッシュ後処理ノードの新設
生成直後のメッシュはそのままでは実制作に使いづらいことが多いため、今回複数の後処理ノードが新設されました。
- Remesh Mesh:穴やメッシュの不具合を修正。
- Decimate Mesh:面数・頂点数を目標値まで削減。
- Smooth Mesh Normals:メッシュのボリュームを滑らかにする。
- Fill Holes:生成時にできた穴を埋める。
そのほか、Merge Meshes・Paint Mesh・Render Meshなどが追加されています。

PBRテクスチャセットの拡張
Trellis.2のテクスチャリングモデルはベースカラー・ラフネス・メタリックの各マップを生成しますが、今回の実装ではさらに一歩進め、メッシュをテクスチャリング用に展開する新しいUVアンラップノードと、ハイポリメッシュから焼き込まれるノーマルマップおよびアンビエントオクルージョンマップの2つが追加されています。
ComfyUIチームは、これらのテクスチャは完璧ではないとしつつ、コンシューマー向けハードウェアで無償生成でき、利用者が自由に使えるものだとしています。

生成例



生成品質について
ComfyUIチームは、Hunyuan 3DやTripo、Rodinといったクローズドソースの3D生成モデルは、依然としてTrellis.2やPixal3Dより高品質な結果を出せると率直に認めています。最高品質が必要で、かつAPI利用がパイプラインに適合する場合は、これらのサービスも有力な選択肢であり、いずれもComfyUIのパートナーノード経由で利用可能です。
一方で今回の統合の利点は、オープンな3D生成をローカル環境で、アセットあたりのコストをかけず、生成物の利用に制限を課さずに使えるということです。反復作業やプロトタイピング、スタイライズされた作品、3D-to-2Dのワークフロー、そしてインストールに時間をかけたくないユーザーに最適とされています。
導入方法
- ComfyUIを最新バージョン(0.34.0以降)に更新するか、Comfy Cloudを利用する。
- 下記のワークフローをダウンロードするか、テンプレートライブラリから見つける。
- ワークフロー内のノートに従い、モデルを正しいモデルディレクトリに保存する。
- 画像をドロップして実行する。
モデルの重みは以下から入手できます。
- Comfy-Org/TRELLIS.2
- Comfy-Org/Pixal3D
- Comfy-Org/BiRefNet(背景除去用)
- Comfy-Org/MoGe(カメラ画角推定用)
詳しいセットアップ手順は、公式ドキュメントのTrellis.2チュートリアルとPixal3Dチュートリアルで確認できます。

































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