2026年8月17日(現地時間) – PlayCanvasは、3D Gaussian Splatting(3D GS)モデルの編集・閲覧Webツール「SuperSplat」において、外部アプリケーションやスキャンツールから直接Web上へモデルを公開可能にする新しい「Publishing API(パブリッシングAPI)」を発表しました。
Publishing APIとは
これまで作成した3Dスプラット(.plyファイルや.sogファイル等)をSuperSplat上で閲覧・共有するためには、一度ローカル環境にデータを書き出した上で、手動でWebサイト(superspl.at)にアップロードする必要がありました。特にギガバイト単位に及ぶ広大な3Dスキャンデータの場合、このエクスポートと再アップロードの手間は制作フローにおける大きな負荷となっていました。
今回提供が開始されたPublishing APIは、このプロセスを自動化・シームレス化するためのREST APIです。これにより、ユーザーのアカウント権限を用いてアプリから直接モデルを直接転送し、即座に共有用リンクやWeb埋め込み表示を出力できるようになります。また、ユーザーがすでに所有している既存シーンの参照や管理もAPI経由で行うことが可能です。
主な技術的特徴
Publishing APIは、大容量の3Dスプラットデータをネットワーク上で安定して安全に処理できるよう設計されています。主な仕様と機能は以下の通りです。
- PlayCanvas Access Tokenによる認証: 認証にはPlayCanvasのアカウント設定画面(API Tokensセクション)から発行したアクセストークン(Bearer Token)を使用します。連携するサードパーティアプリ側でトークンを一度入力・保存するだけで設定が完了します(アプリによっては「APIキー」「APIトークン」と表記される場合があります)。
- 中断・再開に対応したマルチパートアップロード(Resumable Uploads): クライアント側でアップロードセッションを開始し、各パートの署名付きURLを取得した上でストレージへ直接データをプッシュします。2GBを超えるような巨大な3Dシーンの送信中にネットワークが一時切断された場合でも、最初からやり直す必要なく途中から再開可能です。
- 非公開(Unlisted)設定での安全な到着: API経由でアップロードされたモデルはデフォルトで限定公開(Unlisted)状態で保存されます。作成者がクオリティを確認し、意図したタイミングで一般公開に切り替えることができます。
- メタデータおよびクライアント識別の保持: タイトルや説明文に加え、生成に使用されたツール群を記録する
softwareToolsフィールドや、アップロードを実施した連携アプリ自身を明確に識別するuploadClientフィールドを送信・保持できます。
エンドポイントの詳細やデータスキーマの仕様については、公式のAPI & IntegrationsガイドおよびSuperSplat APIリファレンスにて公開されています。
サービス開始時点から対応する3つのローンチパートナー
Publishing APIの公開に合わせ、すでに業界をリードする3つの3Dソフトウェア・プラットフォームにおいて本APIの統合が完了しています。
Teleport by Varjo
Teleport by Varjoは、Varjo社が提供する3D再構成プラットフォームです。スマートフォン画像や360度動画、最大1万枚のドローン写真から最大1億スプラット(100 million splats)規模の地理参照付き3D GSを構築可能。APIファースト設計のためパイプラインへ組み込みやすく、設定画面(Settings → Integrations)でトークンを登録すれば、ワンクリックでSuperSplatへ直接投稿できます。
以下は、スマホ1台から即座にWeb公開された例です。
専用のLiDARリグやドローンを使用せず、iPhoneのTeleport iOSアプリ単体で撮影・キャプチャされたフィンランド・トゥルクの大型リサイクルセンター(Turun Ekotori)の3Dスプラット(作成者: jjames氏)です。今回の連携APIを用いて直接SuperSplat上に公開された実際のインタラクティブビューアーを以下で操作できます。
XGRIDS LCC Studio
ハンドヘルドLiDARスキャナー向けデスクトップソフト(Lixel CyberColor Studio)では、「My Models」メニューからSuperSplatを選択し、共有が可能です。データ容量を削減できるSuperSplatの圧縮ストリーミングフォーマット「LCC2 (SOG)」での出力に対応しており、アップロード完了時には共有用ライブビューアリンクが表示されます。
LichtFeld Studio
LichtFeld Studioは、高速なオープンソースGaussian Splatトレーナーです。
PlayCanvasチーム自体が開発・保守を行う公式のSuperSplat plugin for LichtFeld Studio(MITライセンス)が提供されています。「SuperSplat」タブからPLY/SOG形式で進捗確認を行いつつスムーズにアップロードできます。
自社ソフトや内製パイプラインにSuperSplat連携APIを組み込む際、アップロードから再開処理までの全体フローを確認できる理想的なリファレンス実装(サンプル)として利用できます。
※各ツールで作成された公開作品は、それぞれの公式ギャラリー(Teleportコレクション / LCC Studioコレクション / LichtFeld Studioコレクション)にて閲覧できます。
SuperSplat APIを導入するメリット
Will Eastcott氏は、3Dキャプチャアプリ、LiDARスキャナー、トレーニングツール、あるいは3D再構成パイプラインを開発している事業者やエンジニアがSuperSplatのパブリッシングAPIを自社ツールに組み込むことで次のようなメリットがあるとしています。
- ビューアの自作・保守が一切不要: WebGPUに対応したホスト済みの高品質3Dスプラットレンダラー、共有用リンク、Web埋め込みコードをユーザーに即座に提供できます。モバイルGPUの互換性対応やサーバー帯域のコストを自社で抱える必要がなくなります。
- 自社プロダクト専用の特設ギャラリーが自動構築: 送信されるメタデータの
softwareToolsを通じて、自社ツールで作成された作品をまとめたコレクションページがsuperspl.at上に自動生成・蓄積されていきます。 - ターゲット層への永続的なブランディング(アトリビューション): ユーザーが共有したすべてのシーンページ上に自社ツールのロゴチップとリンクが表示されます。3Dスプラットツールを探している意欲の高いユーザー層へダイレクトに露出を高めることが可能です(詳細はSoftware Attribution解説を参照)。
- シームレスなユーザー体験の完結: キャプチャからトレーニング、パブリッシュ、Web共有までを離脱なく一気通貫で完了させることができます。数GBのファイルを手動でエクスポート・再アップロードさせるストレスが解消されます。
- SuperSplatの最新機能をそのまま継承: SOG圧縮、ストリーミングLOD、ウォークモード、Studioでの編集、360度動画作成、ワンクリックで開始できるスタータープロジェクトなど、SuperSplatの高度なエコシステムが自社ツールの出力結果にそのまま適用されます。
- 軽量な実装コスト: REST APIとBearer Tokenによる認証、マルチパートアップロードというシンプルな構造であり、オープンソースのサンプラー(LichtFeld Studioプラグイン)をベースに短時間で実装可能です。
リソース
PlayCanvasは「Webにおける最高の3Dツールは誰もが自由にアクセスできるべきである」という理念に基づき、SuperSplat、SplatTransform、およびPlayCanvas EngineをすべてMITライセンスのオープンソース(OSS)として提供しています。
GitHub上で公開されている主要なリポジトリは以下の通りです。
- playcanvas/engine — PlayCanvas 3D Engine core
- playcanvas/supersplat — SuperSplat Editor
- playcanvas/supersplat-viewer — SuperSplat Viewer
- playcanvas/splat-transform — SplatTransform Utility
- playcanvas/supersplat-lichtfeld-plugin — SuperSplat Plugin for LichtFeld Studio
PlayCanvas上でのGaussian Splatting活用を検討している開発者向けには、公式のGaussian Splattingドキュメントが開設されているほか、自社ツールへのAPIインテグレーション開発に関する相談やフィードバックについては、公式のPlayCanvas Discordコミュニティにて受け付けが行われています。































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