SIGGRAPH 2026
リサーチ・ダイジェスト
コンピュータグラフィックス最大の国際会議 SIGGRAPH 2026 が、2026年7月19–23日にロサンゼルスで開催されました。ここでは今年のテクニカルペーパーを、受賞論文・参加者投票のトップ10・公式トレーラー紹介の3つの切り口から計52件まとめています。上部のタブで切り替えてご覧ください。気になった研究はそのまま論文や実装にあたれるよう、プロジェクトページ・arXiv・ACM DOI などへのリンクも設置しました。
Technical Papers Awards
Best Papers・Honorable Mentions・Test-of-Time
SIGGRAPHのTechnical Papers Awardsは、査読を通過した論文のなかから委員会が特に優れた成果を選ぶもので、その年の研究の潮流を知る手がかりになります。会期に先立つ2026年5月19日にACM SIGGRAPHブログで発表され、1,120件を超える投稿から、最高評価のBest Papers 5件、Honorable Mentions 10件、そして発表から10年以上を経てなお影響を与え続けている研究に贈られるTest-of-Time Award 4件が選ばれました。Best Papersは物理シミュレーション、幾何処理、レンダリング、生成AIと幅広い分野にまたがります。
Best Papers 5 papers selected by the Best Papers Award Committee
GimmBO:ベイズ最適化によるインタラクティブな生成画像モデルのマージ
GimmBO: Interactive Generative Image Model Merging via Bayesian Optimization
拡散モデルのカスタマイズには多数のアダプター(LoRAなど)が作られ、それらを重み付けでマージすることで新しい表現を生み出せるが、従来はスライダーによる手動調整に依存しており、20〜30個規模のアダプターでも重みの選択が難しかった。本研究はGimmBOを提案し、選好ベイズ最適化(Preferential Bayesian Optimization)によってアダプターのマージをインタラクティブに探索できるようにする。実利用でみられるスパース性や制約付きの重み範囲を踏まえた2段階のBOバックエンドにより、高次元空間でのサンプリング効率と収束性を改善する。

Mixwell:段階的な物理ベース混合のためのシャープな2D流体ブラシ
Mixwell: Sharp 2D Fluid Brushes for Progressive Physics-Based Mixing
円柱まわりのポテンシャル流れに着想を得た解析的な流体混合手法。グリッドや中間的な再サンプリングを介さず、サンプルごとにドリフトを直接評価するため、任意の解像度でリアルタイムに混合をシミュレーションでき、数値拡散のほとんどないシャープな描画が得られる。絵の具を混ぜるようなペイントツールへの応用が期待される。
Walk on Decomposed Subdomains:楕円型PDEのためのモンテカルロ・決定論混合ソルバー
Walk on Decomposed Subdomains: A Hybrid Monte Carlo-Deterministic Solver for Elliptic PDEs
複雑な幾何形状上の楕円型PDEを解く、モンテカルロ法と決定論的手法を組み合わせたハイブリッドソルバー。領域を単純なサブドメインに分解し、各サブドメインの局所解演算子をモンテカルロ法で推定した上で、疎な線形系で結合する。体積メッシュ生成なしに、純粋なモンテカルロ法よりも桁違いに低分散な解を高速に得られる。

3Dベクトル化のためのロバストな平面地図
Robust Planar Maps for 3D Vectorization
3Dシーンをソリッドかつオーバーラップのないリージョンからなるクリーンな2Dベクター画像へ変換するには、平面地図(planar map)の構築が必要だが、既存手法は低速で数値的に不安定になりやすかった。本研究は、数値的に難しい曲線同士の交差判定を、より扱いやすい曲線と直線の交差判定に置き換えることで、平面地図を空間階層構造として構築するロバストかつ高速な手法を提案。現実のファイルにありがちな不完全・非連結な曲線記述も扱える。

離散X線CTのための逆レンダリング
Inverse Rendering for Discrete X-Ray Computed Tomography
各ボクセルを既知の材質群に対する確率分布としてモデル化し、投影の一致性に関するオブジェクト空間損失を最小化する、勾配ベースの離散トモグラフィ手法。逆レンダリングの発想に着想を得て、散乱を扱えるようにしながら、スパースなデータや限定角度のシナリオで古典的な手法を上回る性能を示す。

Honorable Mentions 10 papers
Best Papersに次いで高く評価された10件。ジオメトリ処理、流体シミュレーション、モンテカルロ法、VR知覚研究など幅広い分野から選ばれています。
Gaussian Process Implicit Surfaces上の不確実性を考慮したジオメトリ処理
Uncertainty-Aware Geometry Processing on Gaussian Process Implicit Surfaces
Gaussian Process Implicit Surfaces(GPIS)上でジオメトリ処理を行うための枠組みで、勾配・発散・ラプラシアンといった基本的な演算子を確率的な設定に拡張する。微分幾何学・科学計算・Kac-Rice公式のツールを組み合わせることで、ノイズが多い・不完全・部分的にしか観測されていない形状に対しても直接計算できるようにする。

非常に大きな時間ステップでの高速な自由表面・二相流シミュレーションのためのSpatiotemporal FLIP
Spatiotemporal FLIP for Fast Free-Surface and Two-Phase Simulation With Very Large Time Steps
FLIP(Fluid-Implicit-Particle)法を拡張し、非常に大きな時間ステップでも安定に自由表面・二相流をシミュレーションできる手法。SIGGRAPH 2026 Technical Papers Showcaseでも紹介されています。
モンテカルロPDEソルバーのための勾配ドメイン再構成
Gradient Domain Reconstruction for Monte Carlo PDE Solvers
グリッドフリーなモンテカルロ法はPoisson方程式を複雑な領域上で解けるが、原始領域のみで動作するため分散が高く収束が遅い。勾配ドメインレンダリングに着想を得て、空間的に異なるクエリ位置間の解の差分を直接推定する新しいモンテカルロ推定器を導入し、勾配ドメインレンダリング由来の再構成技術を用いて追加バイアスなしに効率的な解の再構成を可能にする。

リアルタイムレンダリングのためのReSTIRを用いた時空間コントロール変量
Spatio-Temporal Control Variates with ReSTIR for Real-Time Rendering
ReSTIR(時空間リザーバーリサンプリング)にコントロール変量(control variate)の考え方を組み合わせ、リアルタイムレンダリングにおける分散をさらに低減する手法。

微分可能な体積レンダリングにおける同時消散勾配推定のためのサンプルマッチング
Sample Matching for Joint Extinction Gradient Estimation in Differentiable Volume Rendering
微分可能な体積レンダリングにおいて、消散係数(extinction coefficient)の勾配をより低分散に推定するための、サンプルの対応付け(sample matching)に基づく手法。

Inspiration Seeds:生成的探索のための非直接的な視覚的組み合わせの学習
Inspiration Seeds: Learning Non-Literal Visual Combinations for Generative Exploration
テキストプロンプトに頼らず、2枚の入力画像から多様かつ視覚的に一貫した組み合わせ画像を生成する手法。CLIP Sparse Autoencodersで抽出した編集方向を用いて視覚的な側面を分解した合成データで学習し、言語に依存しない直感的な画像の組み合わせによって、アイデア形成前の初期段階の視覚的探索を支援する。

知覚研究のための2ミリ秒パススルー・ヘッドセット
A Two-Millisecond Passthrough Headset for Perceptual Studies
一般的なHMDのエンドツーエンド(e2e)レイテンシは12〜60ミリ秒程度で、それより低いレイテンシでの知覚研究は難しかった。本研究は、世界に対して固定されたミラーで撮影用カメラをユーザーの実際の眼の位置に揃えるカタディオプトリック設計により、2ミリ秒のe2eレイテンシを実現するビデオパススルーHMD「Camsicle」を開発。2〜29ミリ秒の範囲でレイテンシがタスク性能や主観評価に与える影響を検証した。
地形侵食シミュレーションのための確率的地形輸送
Stochastic Geomorphological Transport for Terrain Erosion Simulation
山岳地形は水・土砂・落石などの輸送を伴う侵食過程によって地質学的時間スケールで進化するが、輸送過程と侵食過程は時間スケールが桁違いに異なるため同時シミュレーションが難しい。本研究は、この課題に対応する並列な確率的粒子ベース手法を提案。従来手法(Stream Power Lawなど)が置く強い速度の仮定を緩和し、より一般的な運動量保存に基づく新しい侵食モデルにより、網状河川など複数スケールの地形形成を再現する。
全単射な対応関係のための陰関数極小曲面
Implicit Minimal Surfaces for Bijective Correspondences
境界のある/なしジーナス0曲面間の連続的・全単射・向き保存な写像を、陰関数として表現する手法。2つの入力曲面の直積からなる4次元空間内に、写像を2次元の「マッピング曲面」として埋め込み、複素関数の零点集合として陰関数的に格納する。マッピング曲面の面積(Ginzburg-Landauエネルギー)を最小化することで写像の歪みを最適化でき、組合せ的なメッシュ変更やバリア関数を必要とせずロバストに全単射な対応関係を計算できる。

Photons × Force:微分可能な放射圧モデリング
Photons × Force: Differentiable Radiation Pressure Modeling
放射圧(光が物体の運動に及ぼす力)を考慮したパラメトリックデザインの最適化システム。モンテカルロシミュレーションから学習した、桁違いに高速なニューラル代理モデルにより、宇宙機の形状・材質・運用パラメータなど、移動時間の最短化や燃料消費の最小化を目指す逆設計を可能にする。
Test-of-Time Awards 4 papers from SIGGRAPH 2014–2016(第4回)
少なくとも10年にわたり計算機グラフィックスとインタラクティブ技術に大きな影響を与え続けている論文を表彰する賞。2026年は2014〜2016年に発表された論文が対象となりました。
キャラクターモーションの合成・編集のための深層学習フレームワーク(2016年)
A Deep Learning Framework for Character Motion Synthesis and Editing
大規模モーションキャプチャデータセットで学習した畳み込みオートエンコーダの隠れユニットで人間の動きのマニフォールドを表現し、高レベルパラメータからキャラクターの動きを合成するフレームワーク。スパースな成分に分解された動きデータを組み合わせることで、幅広く複雑な動きを生成できる。
畳み込みワッサースタイン距離:幾何領域上での効率的な最適輸送(2015年)
Convolutional Wasserstein Distances: Efficient Optimal Transportation on Geometric Domains
幾何領域上での最適輸送を扱う最適化問題に対する新しいアルゴリズム群を導入した論文。画像や三角メッシュなどグラフィックスで使われる大規模な領域上でも最適輸送を扱いやすくし、既存手法より桁違いに性能を改善した。
Intrinsic Images in the Wild(2014年)
Intrinsic Images in the Wild
屋内シーンの固有画像分解(intrinsic image decomposition)を評価するための大規模公開データセットを導入した論文。各シーン内の点対における材質特性の相対比較を、数百万件のクラウドソーシングアノテーションによって収集し、ベンチマークを構築した。
モンテカルロノイズをフィルタリングする機械学習アプローチ(2015年)
A Machine Learning Approach for Filtering Monte Carlo Noise
ノイズの多いシーンデータと理想的なフィルタパラメータの間の複雑な関係を、非線形回帰モデルで学習するアプローチ。多層パーセプトロン(MLP)とマッチングフィルタを、学習時・テスト時の両方で組み合わせて用いる。
Papers Fast Forward
注目トップ10
Papers Fast Forwardは、各論文の著者が持ち時間30秒前後で研究内容をプレゼンする、SIGGRAPH恒例の高速紹介セッションです。会期初日の2026年7月19日(日)夜に開催され、全論文のプレゼンを聴いた参加者による投票の結果が「Attendee Favorites」として公式サイトで公開されました。委員会が選ぶ受賞論文とはまた違った「現場の関心の集まり方」が見えてくる、上位10件を紹介します。
Attendee Favorites Top 10 Technical Papers Fast Forward
連続性を高める次数上げと分割
Continuity-Enhancing Degree Elevation and Splits
ベジェハンドルによる3次多項式曲線モデリングは広く使われているが、曲率連続性を実現する実用的な手段がなかった。本研究は、曲線を高次多項式に変換して任意レベルの連続性を達成する「次数上げ」と、区分3次多項式の形を保ったまま曲率連続性を実現する「分割」という2つの解法を提示する。
三角メッシュのための高速かつ厳密な巻き数計算
Fast and Exact Winding Numbers for Triangle Meshes
隙間・自己交差・開いた境界を持つ三角メッシュの内外判定に使える3次元一般化巻き数(winding number)の計算を再考。表面積分の解析的な簡約により、1回のレイ・メッシュ交差判定と境界エッジ上の単純な総和だけで評価できるようにし、既存手法より大幅に高速化する。
Gabor Fields:ボリュームレンダリングのための方向選択的レベルオブディテール
Gabor Fields: Orientation-Selective Level-of-Detail for Volume Rendering
ガウス分布ベースのボリューム表現は効率的だが、階層的なレベルオブディテール(LoD)を構築しづらいという課題がある。本研究は、方向選択性を持つGaborカーネルの混合による新しい体積密度場「Gabor Fields」を提案し、追加コストなしで連続的な周波数フィルタリングとレンダリング時間の削減を実現する。

InfiniteDiffusion:オープンワールドの地形生成における学習された忠実度とプロシージャルな実用性の橋渡し
InfiniteDiffusion: Bridging Learned Fidelity and Procedural Utility for Open-World Terrain Generation
パーリンノイズのようなプロシージャルノイズ関数は高速・無限だが写実性に限界があり、拡散モデルは高忠実度だが有限のキャンバスに限られる。本研究は、遅延評価かつ無限拡張可能な拡散サンプリングを実現する学習不要のアルゴリズム「InfiniteDiffusion」を提案し、地形生成フレームワーク「Terrain Diffusion」でその有用性を示す。
Points as Tori:点群のための高速な点ごとの符号付き距離計算
Points as Tori: Fast Pointwise Signed Distance for Point Clouds
法線付き点群を入力として、任意の空間解像度で高速に評価できる符号付き距離の解析的パラメータ化を提供する手法。局所的に点群をトーラス(torus)でフィッティングするというアイデアが核で、トーラスは閉形式の符号付き距離関数を持つ。事前学習したネットワークでフィードフォワードにトーラスの曲率・シフトパラメータを出力する。
微分可能な中性子輸送
Differentiable Neutron Transport
中性子輸送のシミュレーションは核工学の中核を担うが、遮蔽設計や感度解析といった逆問題は非常に難しい。輸送方程式がコンピュータグラフィックスの体積レンダリング方程式と共通の数学的基盤を持つことに着目し、微分可能レンダリングの技術を中性子輸送問題へ拡張。モンテカルロ法による勾配ベースの逆設計・感度解析を可能にする。
Pixal3D:画像からのピクセル整合3D生成
Pixal3D: Pixel-Aligned 3D Generation From Images
画像のピクセル特徴を逆投影して3D空間へ直接持ち上げ、ピクセルと3Dの明示的な対応関係を確立する手法。単一画像から、ほぼ再構成レベルの忠実度でジオメトリとPBRテクスチャを備えた3Dアセットを生成できる。

Photons × Force:微分可能な放射圧モデリング Honorable Mention 受賞
Photons × Force: Differentiable Radiation Pressure Modeling
放射圧(光が物体の運動に及ぼす力)を考慮したパラメトリックデザインの最適化システム。モンテカルロシミュレーションから学習した、桁違いに高速なニューラル代理モデルにより、宇宙機の形状・材質・運用パラメータなど、移動時間の最短化や燃料消費の最小化を目指す逆設計を可能にする。
Invisible Holographic Window:透明な表面レリーフ型計算機生成ホログラムによるフルカラー3D画像再構成
Invisible Holographic Window: Full-color 3D Image Reconstruction From Transparent Surface-Relief Computer-Generated Holograms
透明な表面レリーフ型の計算機生成ホログラム(CGH)を用い、窓のように透明でありながらフルカラーの3D画像を再構成できるホログラフィックディスプレイ手法。
テクニカルペーパー・トレーラー
紹介リスト
毎年公開されるテクニカルペーパー・トレーラーは、その年に採択された論文のハイライトを数分の映像にまとめたもので、SIGGRAPHの見どころを一望できます。ここでは映像に登場する研究23件を分野ごとに整理し、一件ずつ落ち着いて追いかけられるよう、それぞれ論文や実装へのリンクもいっしょに紹介します。
物理シミュレーション・レンダリング Physics Simulation & Rendering
MPM Lite:粒子を用いない線形カーネルと積分
MPM Lite: Linear Kernels and Integration without Particles
求積点(quadrature)に粒子を用いず、線形カーネルによる積分でMaterial Point Method(MPM)を簡略化・高速化する手法。SIGGRAPH 2026の物理アニメーション系論文リストに掲載。
適応的合意形成による分散アフィン・ボディ・ダイナミクス
Distributed Affine Body Dynamics with Adaptive Consensus
Affine Body Dynamics(ABD)は IPC(Incremental Potential Contact)の枠組みで剛体に近い硬い物体を非貫通保証つきで扱えるが、グローバルに結合したバリア制約のため複数GPU・複数計算ノードへのスケーリングが困難だった。本研究はADMMベースの合意形成(consensus)方式で局所サブ問題を各ノードで並列に解き、共有境界の整合性をとる分散定式化を提案。
JGS2-GQ:ガウス求積による学習不要の二次ヤコビ法
JGS2-GQ: Training-free 2nd Jacobi with Gaussian Quadrature
前作JGS2は各サブ問題に「摂動部分空間(perturbation subspace)」を付加してJacobi型GPUシミュレーションのオーバーシュートを抑える手法だが、部分空間の積分にデータ駆動のCubatureを用いるため学習データの分布外で性能が劣化する弱点があった。本研究は古典的なGauss求積(Gaussian Quadrature)に基づく学習不要の部分空間積分アルゴリズムに置き換え、高解像度・局所的に複雑な変形でも安定させる。
Mixwell:段階的な物理ベース混合のためのシャープな2D流体ブラシ Best Paper 受賞
Mixwell: Sharp 2D Fluid Brushes for Progressive Physics-Based Mixing
円柱まわりのポテンシャル流れに着想を得た解析的手法。グリッドや中間的な再サンプリングを介さずサンプルごとにドリフトを直接評価するため、任意解像度でのリアルタイム流体混合と、数値拡散がほぼゼロのレンダリングを実現する。
VideoNeuMat:生成動画モデルからのニューラルマテリアル抽出
VideoNeuMat: Neural Material Extraction from Generative Video Models
動画生成モデル(video diffusion model)を仮想的な反射率計(reflectometer)として利用し、実写素材を撮影せずともマテリアルのニューラル表現を抽出する手法。

プロシージャルなデータ拡張によるより豊かなマテリアル生成に向けて
Toward Richer Material Generation via Procedural Data Enhancement
拡散+単一鏡面ローブという単純なPBRマテリアルを、埃・クリアコート(fuzz/clear coat)・多層散乱などを表現できる多層モデルへ拡張。22パラメータの複雑な非拡散成分を、2枚のRGB潜在テクスチャからなる6次元潜在空間へ圧縮したニューラルマテリアルとして表現し、動画拡散モデルをファインチューンして生成に利用する。

8DNA:分布学習による8次元ニューラルアセット光輸送
8DNA: 8D Neural Asset Light Transport by Distribution Learning
サブサーフェス散乱・光沢の相互反射・繊維の微細散乱といった大域照明効果を、8次元のニューラルアセットとして事前計算(pre-bake)する。従来手法は遠方照明を仮定した6次元の光輸送関数だったが、本研究はフル8次元光輸送を学習し近接照明下でも正確なレンダリングを可能にする。フォワードパストレースのサンプルから学習する分布学習(distribution learning)により、回帰ベース手法より低い分散・少ない学習コストを実現。
空気・水・砂混合物のための体積保存型LBM-MPM結合
Volume-Preserving LBM-MPM Coupling for Air-Water-Sand Mixtures
格子ボルツマン法(LBM)とMaterial Point Method(MPM)を体積保存性を持たせて結合し、砂・空気・水の3相混合を扱う物理ベースシミュレーション手法。
ネストされたDouglas-Rachford分割法によるインタラクティブなヤーンレベルのニット衣類
Interactive Yarn-level Knitwear with Nested Douglas-Rachford Splitting
ネストされたDouglas-Rachford分割法を用い、糸(ヤーン)レベルのニット衣服をインタラクティブな速度でシミュレーションする手法。

硬い弾塑性体のための混合マテリアルポイント法
Mixed Material Point Methods for Stiff Elastoplasticity
砂・雪・弾性体・剛体を統一的な枠組みで扱えるよう拡張した、硬い弾塑性体向けのMaterial Point Method(MPM)の新しいバリアント。
高速VEM流体シミュレーション
Fast VEM Fluid Simulation
Virtual Element Method(VEM)を用いた高速な流体シミュレーション手法。任意形状の境界に適合する離散化により、複雑な境界条件を効率よく扱えるネットワーク構造を構築する。
AI・生成モデリング・アニメーション・その他 AI, Generative Models, Animation & Others
極端に変形する曲面のための物理に着想を得たプロシージャルテクスチャリング
Physics-Inspired Procedural Texturing of Extremely Deformable Surfaces
極端に変形する曲面上でも破綻しない、物理に着想を得たプロシージャルテクスチャリング手法(ISTオーストリア)。

Pixal3D:画像からのピクセル整合3D生成 Fast Forward トップ10 選出
Pixal3D: Pixel-Aligned 3D Generation from Images
画像特徴をアテンションで緩やかに注入する従来の3Dネイティブ生成手法と異なり、画像のピクセル特徴を逆投影して3D空間へ直接持ち上げ、ピクセルと3Dの明示的な対応関係を確立する。これにより単一画像から、ほぼ再構成レベルの忠実度でジオメトリとPBRテクスチャを備えた3Dアセットを生成できる。
累積フローマップに基づく少数ステップ生成モデル
A Few-Step Generative Model on Cumulative Flow Maps
物理輸送のフローマップ手法に着想を得た「累積フローマップ(cumulative flow maps)」に基づく、統一的な少数ステップ生成モデリングの枠組み。局所的・瞬時の更新と有限時間の輸送を結び付け、画像生成・幾何分布モデリング・SDF生成・スケッチ生成など多様なタスクで、既存の拡散/フローベースモデルにアーキテクチャを変えずに組み込める。
MorphSkein:トロポスケイン形状における表面積変化時にピクセル密度を維持する形状変化型残像ディスプレイ
MorphSkein: A Shape-Changing Afterimage Display Preserving Pixel Density During Surface-Area Changes Across Troposkein-Based Shapes
回転するケーブルが遠心力によって自然に形作る軸対称形状(トロポスケイン)を利用した残像(afterimage)ディスプレイ。伸縮ポールと4本のLEDストリップ・リワインダーで構成され、表面積が変化しても初期のピクセル密度(1.44 px/cm²)を維持できる点が特徴。
座標運動アセンブリの計算的デザイン
Computational Design of Coordinate-Motion Assemblies
「座標運動(coordinate-motion)パズル」— 複数のピースを同時に、それぞれ異なる方向へ動かさないと組み立て/分解できない立体パズル — を計算的に自動生成する手法。
AtomSlicer:FFFのための一定厚みでフィールドに沿った非平面スライシングと連続ツールパス
AtomSlicer: Constant-Thickness Field-Aligned Non-Planar Slicing and Continuous Toolpaths for FFF
5軸FFF(Fused Filament Fabrication)3Dプリンティング向けに、厚みがほぼ一定でフィールドに沿った非平面レイヤーを生成し、続けて衝突のない連続ツールパスを計算する手法。階段状のアーティファクト(staircasing)や不要な移動動作を削減する。ACM TOG (SIGGRAPH 2026) 掲載。
MOCHI:協調的な人間-物体相互作用のモーション強化
MOCHI: Motion Enhancement of Collaborative Human-object Interactions
複数の人間が物体を共有しながら協調して動く「協調的マルチ人物-物体相互作用(MHOI)」のキャプチャデータに含まれる、手と物体の接触ズレ・動きのジッター・指の関節動作の欠落といったノイズを補正する2段階フレームワーク。まず最適化により物理的に妥当な把持動作を生成し、その後、拡散モデルベースのノイズ最適化で全身モーションを補正して、自然な手指の相互作用アニメーションを合成する。
MotionBricks:モジュール型潜在生成モデルとスマート・プリミティブによるスケーラブルなリアルタイムモーション
MotionBricks: Scalable Real-Time Motions with Modular Latent Generative Model and Smart Primitives
35万本以上のモーションクリップを単一モデルで扱えるモジュール型潜在生成バックボーンと、速度・スタイル・キーフレームなどをまとめて指定できる「スマート・プリミティブ」インターフェースを組み合わせたリアルタイム・モーション生成フレームワーク。追加学習なしのゼロショットで新しい下流タスクに適用でき、2msのレイテンシで15,000 FPSのスループットを達成。
ReActor:物理を考慮したモーション・リターゲティングのための強化学習
ReActor: Reinforcement Learning for Physics-Aware Motion Retargeting
人間のキネマティックな参照モーションをロボットの体形へリターゲティングする際に生じる、足の滑り・自己衝突・力学的に不可能な動きといった問題を解決する二段階最適化(bilevel optimization)フレームワーク。参照モーションをロボットの形態に合わせて調整する上位ループと、強化学習でトラッキング方策を学習する下位ループを同時に最適化し、物理シミュレーションと直接統合することで模倣学習に適した物理的に妥当なモーションを生成する。ヒューマノイドと四足ロボット双方でシミュレーション・実機検証済み。
機能的な関節構造をモデリングするための運動学的キットバッシング
Kinematic Kitbashing for Modeling Functional Articulated Objects
既存の部品(キット)を運動学的に組み合わせて、機能する関節構造(アーティキュレート・アセンブリ)を構築する手法。
MUSIC:筋肉駆動型デクスタリティ・ハンド制御の学習
MUSIC: Learning Muscle-Driven Dexterous Hand Control
筋骨格ハンドモデルを用い、データセット外の新しい楽曲でも精密なピアノ演奏ができる、物理ベース・筋肉駆動のデクスタリティ制御手法。強化学習で単一手のトラッキングポリシーを学習し、VAEで構造化された潜在空間へ蒸留。楽譜から抽出したノートイベントを目標とする高レベルポリシーが、この潜在空間上で両手を協調させる階層構造を採用。ACM TOG (SIGGRAPH 2026) Vol.45, No.4 掲載。




