2026年7月22日(現地時間) – Autodeskは、Arnold 7.5.3.0 をリリースしました。
主な新機能
今回のリリースは機能アップデートとなっており、スタイライズドレンダリング向けの新しいBSDFシェーダーノード、IPR(インタラクティブ・プレビュー・レンダリング)の高速化、GPUレンダリング性能の向上、そして高速なビューポートレンダリングを実現する新しいAPIなどが導入されています。
また、Arnoldのクラウドレンダリングソリューションである「Flow Render」のテックプレビューも引き続き含まれており、ターンテーブルレンダリング、テクスチャベイク機能、および1回のレンダリングタスクでの複数フレーム処理が追加されています。
GPUレンダリングとシーン更新の高速化
GPUピクセルレンダリングの高速化
GPUレンダリングの効率が大幅に改善されました。シーンの構成にもよりますが、全体として約1%〜20%のパフォーマンス向上が見込まれます。

GPUにおける初回ピクセル表示までの時間の短縮
前バージョンの改善を引き継ぎ、GPUにおけるシーン更新がさらに高速化されました。Arnold 7.5.2と比較して、一般的に1〜4倍の速度向上が確認されています。これにより、作業中のフィードバックがより迅速に得られるようになります。
| シーン | 7.5.2 GPU シーン更新時間 | 7.5.3 GPU シーン更新時間 | 高速化倍率 |
|---|---|---|---|
| Beeple | 3081 ms | 790 ms | 3.90x |
| Walrus | 107 ms | 47 ms | 2.27x |
| ALab | 1910 ms | 850 ms | 2.25x |
| Sophie | 2608 ms | 2601 ms | 1.00x |
Direct outputs レンダリングによる高速なビューポート
新しい「direct outputs」モードの導入により、従来のCPUベースのイメージャーやドライバーのインフラストラクチャをバイパスして、AOV(Arbitrary Output Variables)を直接取得できるようになりました。これにより、シーンのナビゲーションや編集時のフィードバックが大幅に高速化されます。
例えば、Maya用のArnoldプラグイン(MtoA)では、これがAccelerated Viewportモードとして実装されています。
※ 現在、このモードはGPUレンダリングでのみ利用可能であり、通常のArnold IPRにはまだ公開されていないIPRの最適化も含まれています。この機能を有効にするには、options.direct_outputs ブールパラメータを使用します。
デノイザーの品質向上(OptiX / Noice)
OptiXデノイザーの改善
OptiXデノイザーのアルゴリズムが改善され、より高品質なノイズ除去結果が得られるようになりました。


Noiceによる高品質なノイズ除去
独自のNoiceデノイザーも改善され、ガラスなどの透明な表面越しに見えるオブジェクトや、鏡などの反射面に映り込んだオブジェクトに対するノイズ除去精度が向上しました。
この改善を最大限に活用するためには、Noiceへの入力として denoise_albedo_noisy とその分散AOVを含める必要があります。これは、OIDNやOptiXデノイザーで使用されるものと同じアルベドAOVです。


Flow Render の機能強化
Arnold 7.5.3.0には、引き続きArnoldのクラウドレンダリングソリューションである「Flow Render」のテックプレビューが含まれています。
このアップデートでは、以下のような機能強化が行われてます。
Flow Render クラウド上でのターンテーブルレンダリング
Flow Renderクラウドサービス上で、直接ターンテーブルアニメーションをレンダリングできるようになりました。
DCCツール内でカメラやライティングを手動で設定する手間を省き、モデルの360度ビューを簡単に作成できます。現在、Maya、3ds Max、Cinema 4D、HtoAで利用可能であり、KtoAへの対応も計画されています。
※ 画像内のGabiシーンは Alex Mateo 氏の提供によるものです。
その他の機能強化
- テクスチャベイク: Flow Renderがテクスチャベイクに対応しました。ライティングやシェーディングの詳細を画像ファイルに永続的に焼き付けることができ、リアルタイム処理や下流のレンダリング工程でのパフォーマンス向上に役立ちます。Maya、3ds Max、Cinema 4D、HtoAで利用可能であり、KtoA対応も計画されています。
- マルチフレームレンダリング: 新しい「Frames Per Task」設定により、レンダリングジョブ送信時に複数のフレームを1つのタスクにグループ化できるようになりました。これにより、クラウドワーカーの起動およびシャットダウンに関わるオーバーヘッドが削減され、特に長いシーケンスや、1フレームあたりのレンダリング時間が短いシーンにおいて有効です。
- ジョブ送信パフォーマンスの向上: アセットを大量に含むシーンのジョブ送信が大幅に高速化されました。数千のアセットのアップロードステータス確認にかかる時間が、数分から数秒に短縮されています。
- ワーカータイムアウトの延長: クラウドレンダリングジョブの実行可能時間が最大24時間まで延長され、より長大で複雑なレンダリングタスクにも対応できるようになりました。
その他の機能強化
- CPUおよびGPUでのインタラクティブなポリゴンメッシュ編集の高速化: IPR実行中にポリゴンメッシュを変更する際、メッシュ全体を再構築するのではなく、変更された増分のみを更新するようになりました。高密度なメッシュに対する一般的な頂点編集やデフォメーションの更新が、約2〜2.5倍高速化されています。例えば、20万ポリゴンのCatmull-Clarkメッシュのスムージング切り替えは、1回の更新あたり約6.5ミリ秒から約1.4ミリ秒に短縮されます。
- instancerノードによる軽量なインスタンス化: Arnoldの
instancerノードを使用するすべてのプラグインにおいて、新しい軽量なインスタンシングシステムを通じてインスタンスがレンダリングされるようになりました。これにより、以前はUSD経由でしか得られなかった利点が他のワークフローにも拡張されます。シーンの初期化が迅速になるため、メモリ効率が向上し、初回ピクセル表示までの時間も短縮されます。植生の散布、群衆、パーティクルの複製など、大量のインスタンスを含むシーンにおいて、すべてのプラグインでレンダリングの高速化とメモリ使用量の削減が期待できます。 - スタイライズドレンダリング用BSDFノード: 新しいdiffuse、fuzz、およびspecular BSDFノードが追加されました。これにより、個々のライティングの反応を独立して評価できるようになります。これらをshader_to_rgbaノードに接続することで、ノンフォトリアル(NPR)なルックをより直感的に構築できます。
- Cryptomatteマニフェストの小型・効率化: Cryptomatteマニフェストにおいて、マットホールドアウトオブジェクトやカメラに不可視のオブジェクトのエントリが含まれなくなりました。これにより、EXRファイルに埋め込まれる、あるいはサイドカーマニフェストとして保存されるマニフェストメタデータのファイルサイズを大幅に削減できます。これまでは大規模なシーンで不要なデータが数メガバイト蓄積し、Nukeなどの後工程ツールの動作を遅くするケースがありましたが、この問題が解消されます。
- kickでの複数フレームレンダリング: USDファイルをkickコマンドでレンダリングする際、
-frame引数を使用してセミコロン区切りのフレームリストや範囲指定が可能になりました。範囲は開始-終了で指定し、カンマの後にオプションのステップ値を指定できます。
例:-frame 1;3;10-22(フレーム1、3、および10から22をレンダリング)
例:-frame 1-100,2(フレーム1から100まで1つ飛ばしでレンダリング)
これらを組み合わせることも可能です(例:-frame 1-10,2;15)。 - optionsノードへのUIグループ化メタデータの追加: kickなどのツールで、関連するパラメータをグループ化してヘルプを表示できるようになりました。例えば、
kick -info optionsを実行すると、optionsノードのパラメータが「Sampling」「System」「Diagnostics」といった見出しの下に整理してリストされます。 - matrix_interpolateのモーションレンジサポート:
matrix_interpolateノードが新たにmotion_startおよびmotion_endパラメータをサポートしました。 - ライセンスとOIDNのアップデート:
- Autodesk Desktop Licensingが v16.3.1.15415 に更新されました。
- Intel Open Image Denoise (OIDN) が バージョン 2.4.1 から 2.5.0 に更新されました。
USDの機能強化
- ライターにおける
upAxisおよびmeterUnitメタデータの書き出しサポート - USDアセットからターンテーブルシーンを生成するコマンドラインツールの追加
- UV RenderVarsのサポート
- 倍精度primvarのサポート
- メッシュ法線のインタラクティブな更新サポート
APIの変更点
- Direct outputs API: DCCプラグインにおいて、新しいGPUレンダリングモード「direct outputs」を活用した高速なインタラクティブビューポートの構築が可能になりました。optionsノードで
direct_outputsオプションを設定すると、内部的に解像度を下げてレンダリングし、最終解像度にアップスケールすることで、高速なフィードバックを得られます。ビューポートのレンダリングループ中、更新のたびに新しいAI_RENDER_UPDATE_VIEWPORT更新タイプが指定されたコールバックが呼び出され、新しい出力が表示可能であることを通知します。各AOVはGPU上に配置され、新しいAiGetRenderOutput()関数を使用して、呼び出し元が用意した保存先にコピーします。保存先の種類はAtGetRenderOutputHandleTypeによって選択され、OPENGLの場合はCUDA-GL相互運用機能を用いてGLテクスチャに直接コピーされ、CPUの場合はホストバッファにコピーされます。(現在はGPUレンダリングのみ利用可能)
その他すべてのアップデート内容の確認はこちらから
価格とシステム要件
Arnold は、Windows 10以降、macOS 11以降、Linux、glibc 2.28以上(RHEL/Rocky 8に相当)で利用できます。一般に、Arnold は、Houdini、Maya、Cinema 4D、3ds Max、Katana が動作するほぼすべての64 ビットシステムで動作します。
より詳しいシステム要件の確認はこちらから
Arnold はデフォルトでMaya と3dsMaxに含まれています。その他のソフトウェアでの利用での Arnold の購入価格は、1ヵ月サブスクリプションが 9,900円、1年サブスクリプションが 73,700円、3年サブスクリプションが 221,100円です。
また、Media & Entertainment Collectionにも含まれています。































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