2026年7月22日(現地時間) – Autodeskは、3Dアニメーションおよびモデリングソフトウェアの最新アップデートである「Maya 2027.2」を発表しました。
新機能ハイライト
Maya 2027.2では、MotionMakerにおける独自データ(Bring Your Own Data)による学習ワークフローの導入、スマートベベルの劇的な高速化、そしてUSDアセット管理を強化する診断ツールの追加といった機能強化が行われています。
MotionMaker:独自データ(Bring Your Own Data)を用いたカスタムモデルの学習
Maya 2027.2の目玉機能として、AIモーション生成ツール「MotionMaker」において、ユーザー独自のデータ(Bring Your Own Data / BYO Data)による学習ワークフローがサポートされました。

この機能により、手持ちのモーションキャプチャデータや手作業で作成したアニメーションデータを活用して、独自の機械学習(ML)モデルを直接トレーニングできるようになります。トレーニングされたモデルはMotionMaker Libraryに追加でき、プロジェクト固有のキャラクターやアクションスタイルの新しいモーション生成に再利用することが可能です。
カスタム標準キャラクタの定義
BYO Dataワークフローのために、MotionMakerには新しい標準キャラクタ定義ツールが組み込まれています。
アトリビュートエディタ(Attribute Editor)内の「標準キャラクタ定義(Standard Character Definition)」セクションを使用することで、交差ペアジョイント(across pair joints)、歩行ジョイント(gaiting joints)、ターミナルジョイント、スキップジョイントなどを詳細に定義できます。
また、接地状態を正確に処理し、フットスライド(足の滑り)を軽減するための「コンタクトジョイント(Contact joints)」を設定することも可能です。このキャラクター定義をパブリッシュすると、MotionMakerのトレーニングワークフローで使用される定義ファイルと関連するリグシーンが自動生成されます。

カスタムモデルのトレーニングと割り当て
エクスポートしたBYO DataのトレーニングデータからカスタムMLモデルをトレーニングし、それらのモデルをアクションスタイルに割り当てるためのツールも統合されています。
トレーニングの進行状況は「Training Job Monitor」でリアルタイムに監視できます。学習が完了したモデルパッケージはMotionMaker Libraryに追加され、ジェネレータノードの「ML Models」セクションから割り当てることができます。選択されたモデルは、次回MotionMakerがモーションを生成する際に使用されます。

BYO Data の主なワークフロー
MotionMaker Editorには新たに「Training」メニューが追加され、セットアップからトレーニングまでのコマンドに簡単にアクセスできます。独自モデルを構築して使用するまでの全体的な流れは以下の通りです。
- MotionMaker Library の位置設定: 標準キャラクター、アクションスタイル、リグファイル、MLモデルパッケージなどの各種リソースを保存・管理するフォルダディレクトリを指定します。
- 標準キャラクターの作成: トレーニングやリターゲティングの基準となる骨格構造(ジョイントや接触点の設定など)を定義します。HumanIK と連携させると自動リターゲティングが簡単にできます。
- アクションスタイルの定義 : そのキャラクターが実行可能な動作を定義し、「移動」や「感情」などのアクショングループとして整理します。
- シーンのセットアップ : ソースとなるアニメーションデータを標準キャラクターに接続し、タグ付け作業用のシーンを構築します。
- アクションのタグ付け : 各アニメーションクリップの開始フレームから終了フレームの範囲に対して、「Jump」や「Default」といったアクションタグを割り当てて分類します。
- トレーニングデータの書き出し : タグ付けが完了したシーンを評価し、モデル学習用のモーションデータおよびメタデータとしてエクスポートします。
- モデルのトレーニング : 書き出したトレーニングデータを用いて、カスタムMLモデルの学習処理を開始します。
- カスタムモデルの使用 : 学習済みのモデルを割り当て、MotionMaker上で新しいアニメーションの生成に利用します。
より詳しい手順はこちらをご確認ください
Smart Bevel(スマート ベベル)の機能強化
Maya 2027.2ではスマートベベルに対する開発が継続され、様々な既知の問題が修正されたことで、生成されるトポロジーの品質が改善されました。
さらに、全体的な処理速度と安定性に対して大規模な改善が行われています。この改善は、特に高密度なメッシュに対してスマートベベルを適用した際に最も顕著に現れます。機能の適用時、処理速度は最大20倍に向上し、メモリ消費量は22分の1へと大幅に削減されました。
また、ハードエッジ(Hard Edges)や角度によるエッジ(Edges By Angle)などのフィルタータイプを誤ってオフにしてしまった場合でも、後から設定を微調整してミスを修正できるようになり、モデリングの試行錯誤がより安全に行えるようになっています。
Arnold for Maya 5.6.2 (Arnold 7.5.2)
MtoA 5.6.2 は、最新の「Arnold 7.5.2.0」コアを採用した機能統合アップデートです。本バージョンでは、Mayaとの連携を強化するビューポートレンダリングの改善や、各種設定の追加など、プラグイン(MtoA)固有の使い勝手を向上させるアップデートが多数行われています。
Maya ビューポートレンダリングの強化
Mayaのビューポート上でArnoldレンダリングを行う際の統合機能が大幅に強化され、プレビュー作業がよりシームレスになりました。
- IPRでのメッシュ更新の最適化 : IPR(インタラクティブ プレビュー レンダリング)実行中におけるメッシュデータの更新処理が高速化されました。
- Arnoldビューポートボタンのメニュー化 : Arnold Viewportボタンに新しいメニューが追加され、関連機能へのアクセスが容易になりました。
- Z深度を使ったコンポジット : Z深度情報を用いた、Arnoldビューポート内での合成表示に対応しました。
- 非レンダリング対象オブジェクトの表示 : レンダリング対象外のオブジェクトを、Arnoldビューポートのレンダリング結果の上にすべてオーバーレイ表示させることが可能になりました。
- ワイヤーフレーム同期 : ワイヤーフレーム表示とArnoldのレンダリング結果が同期して表示されるようになりました。
- Mayaの背景表示オプション: Arnoldのビューポートレンダリング時に、Maya側で設定した背景を表示するオプションが追加されました。
MtoA 5.6.2 固有のその他の機能強化
- 新しいデバイス設定 : 優先して使用するレンダリングデバイス(GPUまたはCPU)や、デフォルトのGPUデバイスを、ユーザーの環境設定から直接指定できるようになりました 。
- aiNearestPoints用の新しいノード選択ツール:
pointcloudModeがnodeに設定されている際、メッシュの選択や接続がよりスムーズに行えるようUIが改善されました 。 - Flow Render(クラウドレンダリング)の自動ダウンロード設定: クラウドで計算されたレンダー結果の「自動ダウンロードオプション」および、それに関連する環境設定 が追加され、クラウドレンダリングの管理がより便利になりました。
Arnold 7.5.2 コアエンジンのハイライト
- Gaussian Splats(3Dガウシアンスプラッティング): スプラットのロードとレンダリングが可能に。Viewport 2.0での完全な表示サポートや、Mayaジオメトリを使用したマスク処理に対応。
- Noice デノイズの品質向上: 毛皮(ファー)、ひげ、布地などの微細なディテールを過度にぼやかすことなく保持し、迷子の黒いピクセル(アーティファクト)を排除。
- NPR(ノンフォトリアル)ルックの強化: ライティングをクリーンな明るさの帯に分割する「Tone Zones」や、ライティング結果をシェーディングツリーに直接取り込む「Shader to RGBA」ノードの追加。

USD for Maya 0.37
USD for Maya 0.37では、アセットパスの管理を支援する新しい診断ツールが追加されました。シーン内のすべてのパス(トークン、環境変数、ファイルパスなど)を確認し、作業に影響が出る前に問題を発見することが可能になります。
新しい「Path Editor」を使用すると、ステージ内のすべてのパスを1つのビューで表示できます。トークン、ファイルパス、環境変数、その他の解決可能なリファレンスを素早く検索でき、未解決のパスは明確にマークされるため、問題を即座に特定できます。作業に集中したまま、ドロップダウンメニューからステージを切り替えることも可能です。これにより、パス問題の診断にかかる時間を節約し、シーンが正しく構成されていることを確認しやすくなります。

パス管理
- 適用前のパス変更のプレビュー:Path Editorで変更を適用する前に、いくつのパスが影響を受けるかを示すプレビューが表示され、変更を確認し、シーンへの予期せぬ副作用を防ぐことができるようになりました。
- 未解決パスを含むステージの特定:未解決のパスが含まれるステージのドロップダウンには、エラーアイコンが表示されるようになりました。この視覚的な指標により、注意が必要なシーンを素早く見つけて優先的に対処できます。
- アクティブな正規表現(regex)パスの割り当ての表示:Asset Resolver Settingsに、優先順位ごとに整理された正規表現の割り当てが表示されるようになりました。各割り当てには式と値のペアが表示され、ロックアイコンによって外部管理されていることが示されます。これにより、リファレンスやサブレイヤーを扱う際のアクティブなパスの置換状況を理解しやすくなります。
- トークンとプロジェクト設定の管理:Asset Resolver Settingsの新しい Tokens ビューには、使用可能なすべてのトークンがタイプ別にグループ化され、それぞれの名前と値が表示されます。トグルを使用してプロジェクトトークンを有効または無効にでき、アセット解決時にどのトークンをアクティブにするかを制御できます。
- パス割り当て設定の確認:Asset Resolver Settingsに、優先順位順に整理されたすべてのパス割り当てが表示されるようになりました。各割り当てには名前と値が表示され、ロックアイコンで外部管理されていることが示されます。これにより、解決時にどのパス置換がアクティブになっているかが明確になります。
その他USDのアップデート
コンポーネント構築
- USD Primからのコンポーネント作成:アウトライナ(Outliner)で選択したUSDデータから直接コンポーネントを構築できるようになりました。右クリックから、設定可能なオプションを使用して、バリアントの有無にかかわらずコンポーネントを作成できます。これにより、コンポーネント階層の整理と管理のプロセスが合理化されます。
- USDデータへのPurpose値の割り当て:バリアントエディタからUSDデータに Purpose(目的)値を設定できるようになりました。必要に応じて Purpose スコープが自動的に作成されます。これにより、手動でレイヤーを管理することなく、レンダリング目的(ガイド、プロキシ、レンダリングなど)ごとにデータを整理できます。
- 現在のバリアント編集ターゲットの表示:Component Builderでバリアントを編集する際、ターゲットにしているバリアントのパスが表示されるようになりました。これにより、複雑なコンポーネント階層を操作する際の混乱を防ぎ、編集が正しいバリアントに確実に行われるようになります。
レイヤー管理
- Edit Forwarding(編集転送)ステータスの表示:レイヤーエディタのバナーに、Edit Forwarding ルールがアクティブな場合が表示されるようになりました。これにより、編集がどのようにルーティングされているかが明確になり、レイヤースタックのどこにローカルの変更が適用されるかについての混乱が軽減されます。
- スクリプトエディタでのEdit Forwardingのデバッグ:レイヤーエディタのオプションから「Echo Edit Forwarding in Script Editor」を有効にすることで、すべてのEdit Forwarding操作を追跡できます。これは、複雑なシーンにおける編集のルーティング動作を理解し、トラブルシューティングするのに役立ちます。
- レイヤーの統合と整理:サブレイヤーを親レイヤーやルートレイヤーに統合したり、同じ強度の複数のレイヤーを一つにまとめたりすることができるようになりました。右クリックのコンテキストメニューから簡単に実行でき、複雑なコンポジションにおいて乱雑さを減らし、レイヤー構成を整理できます。
- PythonによるEdit Forwardingの自動化:新しい
AdskUsdEditForwardPythonモジュールを使用して、Edit Forwardingのルールをプログラムで定義できるようになりました。上級ユーザーは、USDの編集がレイヤースタックのどこに着地するかを自動化でき、カスタムワークフローの構築やパイプラインとの連携が可能になります。
レンダリング
- デフォルトのUSDレンダリング設定の使用:Maya USDプラグインをロードすると、アウトライナにデフォルトの「USD Render Settings」ノードが作成されるようになりました。これにより、Hydraプラグインがロードされている場合、Hydra StormまたはHydra Arnoldを使用してUSDステージをレンダリングするシンプルで簡単な方法が提供されます。
その他のアップデート
- グラフ エディタでのロック/ミュート ボタンの表示の制御:グラフ エディタ(Graph Editor)に ビュー > ロック/ミュート ボタンを表示(View > Show Lock/Mute Buttons) が追加されました。これにより、チャンネル行の上にカーソルを置いた際に、アウトライナ内にロックボタンおよびミュートボタンを表示するかどうかを制御できます。
- BYO Data(データの持ち込み)学習データのモデル フレームレート:MotionMakerで「BYO Data(Bring Your Own Data)」ワークフロー用の学習データをエクスポートする際、モデルのフレームレートを設定できるようになりました。選択したフレームレートは学習済みモデルとともに保存され、モーション生成時に使用されます。
- カラー マネジメント:サポートされている OpenColorIO のバージョンが v2.5.2 になりました。
その他アップデートに関する詳しい情報は公式ドキュメントページへ
価格とシステム要件
Maya 2027 は、Windows 11, 10(1809以降)、Linux® Red Hat® Enterprise 8.6 WS、Rocky Linux 8.6とmacOS 13.x,12.x, 11.xで利用することができます。
より詳しいシステム要件はこちらから
価格はサブスクリプション形式で、44,000円/月、345,400円/年、1,037,300円/3年です。
17,061/33 トークン~の従量課金制のFlexオプションも利用可能です(24 時間ごとに 6 トークン消費)。
価格は投稿時点の価格です。最新価格は公式ページでご確認ください。
またMayaは、AutodeskのMedia & Entertainment Collectionの一部としても利用可能です。
さらに、年間総収入が 1,500 万円未満である方は 56,100円/年のIndieライセンスを購入することが可能です。





































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